●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.121 ●▲■
      発行日:2008年11月18日(火)
■お酒・アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 2008年は酒類「糖質ゼロ」元年?
●▲■「ゼロ」は完全なるゼロに非ず
●▲■「カロリーゼロ」が増えると食料自給率は?

                 (text = Sienna K. Emiri)

ご紹介アイテム●1▲(お酒)一升壜用王冠のスポット箔
ご紹介アイテム●2▲ ラボ用製麦機、アップグレード
ご紹介アイテム●3▲ 醸造所にお勧めする殺菌剤・洗浄剤

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(本日発行「酒うつわ研究」のシーナズウォッチングを、
           メルマガのために、大幅加筆して収録)

 

チャーーーオ、シーナです。

2008年、ニッポンではメタボ健診が義務化。

メタボを気にする中年男性にも、
健康志向の若い女性にも、
低カロリー製品は人気のようです。
先進国では、カロリーに対する関心は老若男女共通ですね。

 

●▲■2008年は酒類「糖質ゼロ」元年?

●ビール大手4社は今年、
「糖質ゼロ」「糖質オフ」の発泡酒を次々発売。

今や「糖質ゼロ&オフはビール系飲料全体の約1割(!)」
の勢いなのだそう。
発泡酒のほか、チューハイ、清酒、
コーヒー飲料、ガム、ハム(!)でも次々「ゼロ」が登場。

●「糖質ゼロ」のお酒のサンプル:
COOPさんで買い集めてきたものを並べてみましょう。

  ■月桂冠・清酒「糖質ゼロ」79kcal/al.13-14度
   ■キリン・チューハイ「氷結ZEROレモン」43kcal/al.7度
   ■アサヒ・チューハイ「旬果搾りフルッティオレモン」36kcal/al.6度
   ■サッポロ・発泡酒「VIVA!LIFE」28kcal/al.5度
   ■アサヒ・発泡酒「STYLE FREE」24kcal/al.4度
   ■サントリー・発泡酒「ダイエット」22kcal/al.3.5度
   ■キリン・発泡酒「ZERO」19kcal/al.3度
   (アルコール度数順に記載。カロリーは100mlあたり)

競争熾烈なようで、
「ゼロナマ」(サントリー、糖質ゼロの発泡酒)
「BEER FINE」(サッポロ、糖質50%オフのビール)
は、夏過ぎに生産中止となったそうです。

●次に、お酒以外の「ゼロ」のサンプル:

  ■(糖類0)森永・コーヒー「Mt.Rainierノンシュガー」33kcal
   ■(糖類0)ロッテ・のど飴「ZERO」100kcal
   ■(糖質0)ニッポンハム・ロースハム「新鮮生活・糖質0」79kcal
   ■(炭水化物0)コカコーラ「アクエリアス・ZERO」0kcal
   (カロリーは、飲料が100mlあたり、食品は1パックあたり)

お酒は「糖質ゼロ」なのに、清涼飲料・食品は、
「糖類ゼロ」「炭水化物ゼロ」などの表現もあります。

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●▲■法律の話:「糖質」「糖類」「炭水化物」

●ニッポンの食品表示では、
「糖質」「糖類」「炭水化物」と3つの言葉が使われています。
栄養学的にいえば、「炭水化物」>「糖質」>「糖類」
という包含関係だそうけれど、法律解釈を見ておきましょう。

●「糖質」とは:
  「当該食品の重量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、
   灰分及び水分の量を控除して算定」(厚労省告示第176号)

すなわち糖質の量を測定するのでなく、
引き算による「計算値」なのですね。
砂糖(ショ糖など)、ブドウ糖、デンプンはもちろん、
ポリフェノール、ビタミンCなどもカウントされます。

●「炭水化物」とは:
  「当該食品の重量から、たんぱく質、脂質、
   灰分及び水分の量を控除して算定」(同告示)

すなわち、「糖質」+「食物繊維」で、これも「計算値」。
(食物繊維とは、人間が消化できないセルロースなど)

●「糖類」は、糖質と似た言葉ですが:
  「ガスクロマトグラフ法
   又は高速液体クロマトグラフ法で得られた値」(同告示)

すなわち、これは「測定値」。
(栄養学的には糖類は「単糖類と二糖類」の合計だそうです。)

 

買い集めたサンプルを見た限り、
アルコール飲料では「糖質」表示が多いのですが、
清涼飲料や食品では「糖類」と書いてあったり「炭水化物」であったり。
消費者視点では、ヤヤコシイ、ですね。
日常用語として「糖分」「糖度」なども使うので、なおヤヤコシイ。
(今回、リサーチできていませんが、
諸ガイコクでは「carbohydrate-炭水化物」表示が多いと思います)

●(メラミン混入事件のもと?)
余談ながら、厚労省告示の方法で「糖質」量を算定するには
「たんぱく質」量を決める必要がありますが、
これは窒素量から推定する「窒素定量換算法」が指定されています。
これが、中国食品メラミン混入事件のもとなのですね。
(メラミンは窒素が多いのでタンパク質が多いように見える)

 

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●▲■「シュガーレス」「ノンシュガー」は1990年代から

●シュガーレスのガムやキャンデーが本格的に出はじめたのは90年代。
シュガーレス、ノンシュガーの表示は、
   ▲「単糖類」(ブドウ糖、果糖など)
   ▲「二糖類」(砂糖、乳糖など)
の二種類の甘味料が含まれないものだと可能だそうです。
(すなわち、「糖質ゼロ」でなく、「糖類ゼロ」ですね。
なお、単糖類、二糖類のカロリーは4kcal/gです。)

●甘味料には、ほかに
   ▲「糖アルコール系」(キシリトールなど)
   ▲「非糖質系」(スクラロース、アセスルファムK、ステビアなど)
   ▲「多糖類系」(オリゴ糖など)
がありますが、これらは「シュガーレス」「ノンシュガー」となりうる。
(カロリーはあるけれど、体に吸収されにくかったり、
使用量が微量だったりなので。)

●「糖質オフ」「糖質ゼロ」の発泡酒にも、
非糖質系甘味料の入ったものもあります。
ビール大手4社の代表銘柄の
原料(麦芽、ホップ、糖類以外)を書き出してみます。

 ■大豆たんぱく、酵母エキス
  ■カラメル色素、酵母エキス、大豆ペプチド
  ■大麦、酸味料、クエン酸K、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、苦味料
  ■スピリッツ、エンドウたんぱく、カラメル色素、甘味料(スクラロース、アセス

ファムK)

「甘さなしで味を追求」派 vs. 「甘さは必要」派
ということなのでしょう。

 

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●▲■糖質ゼロの発泡酒・お酒

●文科省の「五訂日本食品標準成分表」による、
100gあたりの標準的な炭水化物の含有量は、
   ビール(淡色)で3.1g
   発泡酒で3.6g
   清酒(上撰)で4.9g
   赤ワインで1.5g
だそうです。
では、糖類ゼロの酒類はどうやってできるのでしょうか?

●穀類に含まれるのは、ブドウ糖がつながったデンプン。
それを、麦芽や麹の酵素で分解して単糖類(糖質)にして、
酵母でアルコール発酵させたのが、ビールや清酒ですね。
(デンプンのような高分子物質を直接醗酵できる酵母は少ない)

●アルコール度数が高い発酵後期には、
酵母の働きが弱くなって糖質を分解する力が低下します。
たとえば発泡酒やビールの場合は、
分解されなかった麦芽糖などが残り、
これが糖質のもと。
「糖質オフ」「糖質ゼロ」は、酵母の働きを高め、
できるだけ糖分を分解しきるのが基本だそうです。

 

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●▲■法律の話:「ゼロ」は完全なるゼロに非ず

●「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」の定義:

  「糖質」は、「算定した値を基準として
    ±20%の誤差許容範囲内にある値が、
    飲料100ml当たり0.5gに満たない場合は、
    0(ゼロ)とすることができる」(厚労省告示から要約)

  「カロリー」は、「修正アトウォーター法による計算値
   (注:たんぱく質量に4kcal/g、炭水化物量に4kcal/g、
    脂質量に9kcal/gを乗じたものの総和)を基準として、
    ±20%の誤差許容範囲内にある値が、
    飲料100ml当たり5kcalに満たない場合は、
    0(ゼロ)とすることができる」(同、要約)

●噛み砕いて言うと、
「100ml当たり0.49g以下の糖質」
「100ml当たり4.9kcal以下のカロリー」
は、「ゼロ」表示が可能なのです。

(穿った見方をすれば、「±20%」だから、バラツキなら、
糖質0.59g以下、カロリー5.9kcal以下まで許容?)

●因みにシャンパンの場合、
Brutで残留糖度1.5g/100ml以下、Extra Brutで0.6g/100ml以下。
まだ「ゼロ」表示可能域ではありません。
Zero Dosage(ゼロ・ドサ)だと0.3g/100ml以下なので、
「糖質ゼロ」表示可能なレンジとなりますね。

ワインやシャンパンの「糖質ゼロ」は、
近々登場しそうな予感、、、感じますね。

 

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●▲■法律の話:「カロリーオフ」「糖質XX%カット」とは?

●「カロリーオフ」と表示可能なのは:
飲料の場合は100mlあたり20 kcal以下、だそうです。
「糖分ひかえめ」の場合、飲料では100mlあたり2.5g以下
と定められています。

●アルコール飲料で「カロリーオフ」?:
コーラ飲料などでは「糖分ゼロ&カロリーゼロ」の商品がありますが、
お酒では「糖質ゼロ」は可能でも「カロリーゼロ」はありえません。
アルコールは、1グラムあたり約7kcal。
5%アルコールならそれだけで約35kcal/100mlとなるからです。

したがってアルコール飲料では「カロリーオフ」表示は困難そうですが、
キリンの「ZERO」が、アルコール3%、19kcalで、
「カロリーオフ」表示となっていました。

●「カロリーXX%カット」「糖質XX%カット」
の表示の清酒、発泡酒、チューハイもたくさん見かけます。
この表示が許される範囲も法律で決まっていて、
飲料の場合、比較対象より100mlあたり2.5g以上の差がある製品の場合に
「糖質XX%カット」が記載できるそうです。

 

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●▲■「カロリーゼロ」が増えると、食料自給率は?

ニッポンの食料自給率は「カロリーベースで40%」、
という話をよく聞きます。
「カロリーゼロ」「カロリーオフ」食品が増えると、
ますます下がってしまうのでは??
と心配して、調べてみました。

●以下は農水省の食料自給率の説明の引用:

食料の重さは、米、野菜、魚、、、どれをとっても重さが異なります。
重さが異なる全ての食料を足し合わせるために、
その食料に含まれるカロリーを用いて計算した自給率の値を
「カロリーベース総合食料自給率」といいます。

牛乳、牛肉、豚肉、鶏肉、卵には、
それぞれの飼料自給率がかけられて計算されます。

日本のカロリーベース総合食料自給率は、
最新値(平成19年度概算値)で40%です。

1人1日当たり国産供給熱量(1016kcal)/1人1日当たり供給熱量(2551kcal)=40%

●上の式で、「国産供給熱量」とは、
加工食品の元になる米、野菜、魚、、、などの一次原料のことなので、
加工されて出来上がった食品が「カロリーゼロ」であっても、
国産の一次原料を使うと自給率にはちゃんと計上される。

「カロリーゼロ」「カロリーオフ」食品が増えると、
ますます下がってしまう、とういのは杞憂でした。

 

それにしても、、、

先進国は豊かな食生活を謳歌し、
肥満、メタボリック・シンドロームが増えて、
本来食品に含まれるカロリーや糖質を減らす技術を競う、
消費者もそれを求める、、、

なんだかちょっと、自然の摂理に背いているようにも感じます。
 
                 (text = Sienna K. Emiri)

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さて、当社商品のご紹介です。

●▲■ ご紹介アイテムその1:KKディビジョン ●▲■
「お酒の一升壜用王冠のスポット箔のバリエーション」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/PET%20Spot%20KS_ed6%201.pdf

従来あった「金色スポット箔」(濃い金色)が
フィルムメーカーの環境対策などの理由で生産中止となります。
来年から順次「薄金色スポット箔」(薄い金色)に切り替わります。

なお、濃い金色をご希望の方には、
「ゴールドPET」(接液面がPETフィルム)を準備しています。

 

●▲■ ご紹介アイテムその2:ROOTSディビジョン ●▲■
「ラボ用製麦機のアップグレード」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Phoenix_seibaku_upgrade.pdf

既存機をオーストラリアに送ってアップグレードを行います。
フィニックス・バイオシステムのラボ用製麦機は、
製麦実験のスタンダード機です。

http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Phoenix_seibaku.pdf

 

●▲■ ご紹介アイテムその3:K2ディビジョン ●▲■
「醸造所にお勧めする殺菌剤・洗浄剤」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/chemical/sanitizer_WOP_ed05.pdf

ヨウ素系、過酢酸系、二酸化塩素系、塩化ベンザルコニウム系など、
多彩な殺菌剤を販売しています。
小ロット出荷も対応します。

 

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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