●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.129 ●▲■
     発行日:2009年 7月21日(火)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ シャンパーニュに関する考察、3題 ●▲■

 ●▲科学編:酵母の自己消化度合いの差
  ▲■歴史編:帝国シャムパン株式会社
  ■●アミノ酸編:味の素とシャンパン?

               (text = 喜多常夫)

 

ご紹介アイテム●1▲ジャイロパレット、YouTube動画
ご紹介アイテム●2▲シャンパンコルカー、YouTube動画
ご紹介アイテム●3▲発泡清酒プラント、YouTube動画
ご紹介アイテム●4▲ZALKIN半自動キャッパーTM-3

 

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7月10日に東京で、
醸造協会さん主催のワインセミナーの1コマを受け持って、
「シャンパンの製造技術」の講義を行ってきました。

シャンパンの製法を簡単に言うと、

 「アルコール度11%くらいのワイン」を造って、それに、
  「砂糖」と、「アルコール耐性の高い酵母」を添加して壜詰めし
  壜内で再醗酵させて高圧ガスをつけ、
  15か月以上(長い場合は数年)たってから、
  死滅した酵母(オリ)を壜口に集めておいて除去し、
  クリアな液にして商品化

という、もの。

 

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 ●▲科学編:酵母の自己消化度合いの差

セミナーのテキストを準備していて、改めて、
「シャンパンとは変わった酒であるなあ」
と思ったので今回はまずそのことを書きます。

ご存じの方も多いと思いますが、
シャンパン製造の「キモ」は、
死滅(自己消化)した酵母を残したまま、
年単位のエージングを行うこと。

 

そもそも、各種酒類には、
酵母を積極的に利用する方法が存在します。
  ■清酒では「活性濁り酒」や最近の「濁りスパークリング」
  ■ビールではドイツの「ヘフェ(酵母)バイツェン」や
   ベルギーの「(壜内二次醗酵)トラピストビール」
  ■ワインでは「シュール・リー」製法
など。

中でも、
ベルギーの壜内二次醗酵ビールは、
シュガービーツ(さとう大根)由来の砂糖と、
酵母を再添加して壜詰めするところなど、
シャンパンと似ている。
けれども、アルコール度数が低いことと、
オリを除去しないところが、大きく違う。

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ワインの「シュール・リー Sur Lie」とは
フランス語で「オリの上」という意味で、
オリの上でワインをエージングすることで風味を得る方法。
(この場合のオリは、90%以上が自己消化酵母)

フランスのロアール地方で使われていた方法で、
最近は日本でも、甲州ブドウのワインでつかわれています。

シュール・リー・ワインもシャンパンも
自己消化酵母とエージングするのは同じ。

ただ、
ワインのシュール・リーは「数か月間」なのに対し、
シャンパンのシュール・リーは「年単位」。

この間、死滅して自己消化する酵母がどうなるかというと、
数か月単位では、たぶんまだ
  ●「細胞の姿形(すがたかたち)がまだ残っている」
年単位になれば
  ●「細胞はバラバラ、粉々に分解」
という差があるようです。

 

この、バラバラ、粉々になったものから液中に放出される
アミノ酸、窒素成分、揮発成分こそが、
1本が数千円〜1万円以上もするシャンパーニュの特徴、
ということを、
遅まきながら最近改めて再認識した次第。

 

因みに、壜内二次醗酵スパークリングの、
壜詰めからオリ除去までのエージング期間は、
各国の主要な原産地呼称ルールで厳格に定めている。
  ▼シャンパーニュ:15か月以上、ビンテージは36か月年以上、
  ▼クレマン・ダルザス(アルザスのスパークリング):
    2008年から12か月以上(9か月だったが延ばされた)
  ▼スペインのカバ:レゼルバ15か月、グランレゼルバ30か月以上
  ▼イタリアのフランチャコルタ:25か月以上

年単位のエージングをする酒類は他に、
  ■オーク樽の中のウィスキーや焼酎
  ■壜の中のワイン
  ■仕次(しつぎ)法の泡盛古酒(クース)
などがあるが、
そもそもすべて「酵母なし」でエージングをしている。

シャンパンは本当に特殊であるなあ、と思う。

 

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 ▲■歴史編:帝国シャムパン株式会社

日本のワイナリーでは最近、
シャンパンのような壜内二次醗酵スパークリングに
取り組まれるところが随分増えてきた。

2000年頃までは3〜4社だったものが、
この5年ほどで、
新たに10社以上のワイナリーが市販を始めている。

嚆矢(こうし)は、
北海道の十勝ワイン(池田町ブドウ・ブドウ酒研究所)のほか、
山形のタケダワイナリー、
山梨の機山洋酒工業、
栃木のココファーム・ワイナリーなどだが、
実はもっと早くに取り組んだところがある。

 

山梨県のサントリー登美の丘ワイナリーの場所にかつて、
「帝国シャムパン株式会社」が存在した。
1916〜1921年のことである。

「大正の初めに、当時の貴族さん方の間に、
外国のお客が来ても国産のシャムパンがないようでは
国辱であるというような話が出て、、、(中略)
当時東洋一といわれた大農園を開拓いたしたのであります。」
(坂口謹一郎、酒学集成4「川上善兵衛翁とワイン」による)

しかし、
この会社がどのようなシャムパンを造っていたのかは
書かれていない。

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話は飛ぶが、
今年、2009年は、サントリーさんが山梨に持つ
登美の丘ブドウ園の100周年だそうだ。

サントリーさんは「サントリー・クォータリー」という、
その名のとおり季刊の、A5サイズの冊子を出している。
質の高い文章が多くて楽しみにしていたが、
つい先日の2009年春号(第88号)をもって休刊となった。
号数から察するに四半世紀も続いたろうに、
残念である。

その最終号のおまけ(?)に
「登美の丘100年の物語」という29ページの冊子がついていて
登美の丘の歴史を詳しく描いている。

すわ、帝国シャムパンの詳細も書いてあるか、
と思って読んだのだが、
社名は記してあるものの、それ以上の情報はなかった。
何しろ、サントリーが登美の丘を取得する前の話であるから、
仕方なかろう。

(ただ、「登美の丘100年の物語」冊子自体は、
多くの実名とともにブドウとワインの歴史が語られていて、
業界人にとっては誠に興味深い一冊である。
「農夫のように学者のように」という副題が言い得て妙。)

第一次世界大戦直後に存在した帝国シャムパン株式会社は、
なにしろ社名がシャムパンであるから、
スパークリングワインを造っていたのは間違えないと思うが、
はたしてシャンパン方式の壜内二次醗酵だったのか、
はたまた、別の方法だったのか。

帝国シャムパンの前身は大日本葡萄酒株式会社で、
当時指導していたのはフランス人ならぬドイツ人技師だった。

栽培や醸造の専門家とはいえ当時のドイツ人が、
フランスのシャンパーニュをどれほど知っていたろうか。
21世紀の今日でさえ、
シャンパーニュの詳しい製造技術を書いた文献は少ない。
(たぶんフランス人はあえて文献化していないのだと思う。)

仮にシャンパン製法で作っていたとしたら、
酵母添加はどうやっていたのだろうか。。。
動壜のためのピュピトルは使っていたのか。。。。
(ヴーヴクリコがピュピトルを発明したのは19世紀)
シャンパン壜やコルク栓、
ミュズレ(コルク栓止めワイヤー)などはどうしたのか。。。。。

どなたかご存知の方はぜひ教えてください。

 

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 ■●アミノ酸編:味の素とシャンパン?

登美の丘ブドウ園100年、からの連想だが、
最近、「100年」という言葉をよく聞く。

100年に一度の経済危機、とか
GM(ゼネラルモーターズ)は100周年目前で破綻、とか、
去年の話だが、ブラジル移民100周年、とか。

昨年から、味の素も100周年のテレビCMをやっていた。
俳優の小栗旬が、
グルタミン酸の発見者の東大の先生役で、
うま味について話す設定。

東大の池田菊苗(きくなえ)博士が、
世界ではじめて昆布に含まれるグルタミン酸を発見し、
これを5つ目の味、「うま味」と命名してから100周年。
それが味の素になった。

 

私の親の世代は、何にでも、
味の素をサッサッと振りかけていたのを記憶する。

しかし最近では、
(パッケージ業界で注目された「味パンダ」びんや、
100周年にちなんで近々リリースされるという
マーク・ニューソンのデザインした「マークびん」など、
さまざまてこ入れをされているものの、)
食卓調味料としての需要は減っているだろう。

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さて、
味の素、すなわちグルタミン酸ソーダは、
サトウキビを主原料に醗酵させて作った、
アミノ酸である。

一方、シャンパンの最大の特徴は、
年単位のエージングで、
バラバラに分解した自己消化酵母から放出された
アミノ酸である、と書いた。

目の前に、味の素と、1本のシャンパンを置いて、
はは〜ん、
自己消化で放出されるアミノ酸が
シャンパンのキャラなんであれば、
もっとアミノ酸を足せば、
おいしくなるかも、と考え、
グラス一杯分のシャンパンに、試しに、
味の素をパラリ、パラパラと振りかけてみました。

さて、その味は、、、

 

 

オ〜ララ(仏語)というか、
ウ〜ップス(英語)というか、
おぇ、というか、、、

残念ながら完全なるミスマッチ。

お酒と食のミスマッチの最たるものは、
個人的には、
「おでん」と「赤ワイン」だと思いますが、
昆布だしとワインのある種の成分は合わないものなのでしょう。

どういうアミノ酸がマッチするのか、
そもそも、
シャンパン酵母からでるアミノ酸はどんなものが多いのか、

、、、興味は尽きぬところですが、
これ以上は専門家の領域なので、
今回はここで筆を置きます。

 

シャンパンに関する考察、3題でした。

 

(「おでん」と「日本酒」はベストマッチ。
ひょっとすると「酵母入り濁り酒」に「味の素」は合うかも、、、
と思いつつ、まだ試してはいない。
いや、、、試さないほうがいいか。)

               (text = 喜多常夫)

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7月10日の、醸造協会さん主催のワインセミナーの様子は
ブログに写真を載せています。

http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

 

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さて、きた産業の商品の紹介です。

 

●▲■ ご紹介アイテムその1:ROOTSディビジョン ●▲■

ジャイロパレット、YouTube動画
http://www.youtube.com/watch?v=1rj8M1SkJBs

壜内二次醗酵スパークリングワインをパレットごと回して、
オリを壜口に集める機械です。

カタログはこちら↓
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Gyropalette_WOP_ed01.1.pdf

 

●▲■ ご紹介アイテムその2:ROOTSディビジョン ●▲■
シャンパンコルカー、YouTube動画
http://www.youtube.com/watch?v=B7VPCJbAPWQ&NR=1

シャンパンコルカーにはレバーが3本ある理由が、
この動画を見るとわかります。

カタログはこちら↓
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/Rapid_corker_ed.06_WOP.pdf

 

●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■
(ワインではなく)発泡清酒プラント、YouTube動画
http://www.youtube.com/watch?v=xRH4yCSltgo

温度調整装置付き耐圧タンクと、
カウンタープレッシャ充填機モノトロン3などの動画。

カタログはこちら↓
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/Monotron3.html

 

●▲■ ご紹介アイテムその4:ROOTSディビジョン ●▲■
フランスZALKIN社の半自動キャッパー「TM-3」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/Zalkin_TM_3.pdf

トップ・プレッシャ・スプリングを、
シーミングヘッドに内蔵しているのがZALKINの特徴。
ヘッドを交換したときでも、
機械側でトップ・プレッシャを調整する必要がありません。

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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