●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.140 ●▲■
      発行日:2010年4月30日(金)
■お酒・アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■「清酒・焼酎乙類・甲乙混和まとめたトップ8」●▲■

●▲■「酒類の低価格政策は、
          5年で市場を縮小させる」の法則 ●▲■

   ▲ ウィスキー、清酒、ビールの例証 ▲

               (text = 喜多常夫)

ご紹介アイテム●1▲日豪合作のお酒のキャップ「サケZORK」
ご紹介アイテム●2▲スパーク・サケ&リキュール、5つの設備事例
ご紹介アイテム●3▲ガスのことなら、きた産業「N2-O2-CO2情報」

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●▲■ 「清酒・焼酎乙類・甲乙混和まとめたベスト8」

すでに5月が目前ではありますが、
昨年2009年の数字を振り返ってみます。

清酒・焼酎乙類・甲乙混和焼酎の3ジャンルまとめて、
業界メディアが公表した2009年(1〜12月)の出荷量の、
トップ8を書くとこうなります。

  1位:三和酒類(「いいちこ」)43万石
   2位:霧島酒造36万石
   3位:白鶴34万石
   4位:月桂冠29万石
   5位:宝酒造(「松竹梅」)25万石
   6位:薩摩酒造23万石
   7位:大関20万石
   8位:「かのか」(アサヒビール)18万石

  (いつも古い単位でスミマセン、
「1万石」=「約1,800KL」、万石未満切り捨て)

すなわち、上位8社の内訳は、

  本格焼酎が3社
   清酒が4社
   甲乙混和焼酎が1社

「80年代」、「90年代」からの構造変化を、
改めて実感します。

2009年は「2000年代」最後の年。
これからの「2010年代」はさらに変化があるでしょう。

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トップ8以降の社名は割愛しますが、
2009年を「トップ25社」までで括ると、

  本格焼酎が10社
   清酒が12社
   甲乙混和焼酎が(なんと!)3社

 

この25社合計で約410万石。

概ね、清酒350、本格焼酎300、甲乙混和50なので、
3つ合計で700万石くらいのマーケットサイズ。
410万石は700万石の約6割になります。

上位25社が全体の6割、
あと2,000社くらいで残り4割を供給している、
といえます。

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清酒、乙類、甲乙混和を、
3種まとめて俯瞰とはヘンじゃないか、
と思うかもしれませんが、
この3種を「代替え的」に楽しむ愛飲家も多いと思います。

すでにサチュレート(または若干減少)のフェーズとはいえ、
この10年・20年の流れで見ると本格焼酎が大きく躍進。

その本格焼酎サチュレーションに合わせて、
この3年間で甲乙混和焼酎の存在感が大きくなった。

甲乙混和というカテゴリーは昔から存在するのだけれど、
近年一気にシェアを増しました。

本格焼酎に比べて甲乙混和は価格が安い。
このことに本格焼酎業界の皆さんが、
大いなる危機感を持っていらっしゃるのはご存知の通り。

 

 

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個人的考えですが、

 「日本国内市場における酒類については、
   安い価格の新製品は一時的に市場拡大を促しても、
   5年でその酒類カテゴリー全体を縮小させる」法則

が成り立つと思っています。

長すぎるのでもう少し短くネーミングして、

●▲■ 「酒類の低価格政策は、
           5年で市場を縮小させる」の法則

 

この法則の証明のために、3つ事例を書きます。

 

 ▲■ ウィスキーの例証:

いま、ハイボールブーム、ウィスキー復権が報道されています。
しかし、1980年代前半、ウィスキーは今の5倍くらい売れていました。
私自身、学生時代にはウィスキーを実によく飲みました。

その昔、ウィスキーは高かった。
高額の税金がかけられ級別もありました。
輸入スコッチは、贈答品や海外土産の定番でした。

しかし、税金が下げられ、かつての高級品が酒DSに並ぶようになって、
ウィスキーは売れなくなった。
贈答品需要もお土産需要も雲散霧消。

価格が安くなって、ほぼ5年ほどで市場が縮小しました。

 

 ▲■ 清酒の例証:

1970年代末に登場した清酒の紙パックは、
「値下げ競争」や「増量競争」でシェアを増やし続けました。

ミルクの紙パックは安売り商材ではないけれど、
清酒紙パックはいまやほとんど「経済酒」で安売り商材。
紙容器自体はすぐれたパッケージであるかもしれないが、
残念ながら「清酒紙パック、イコール経済酒」という一般認識だと思います。

紙パック登場後約40年で清酒出荷量の半分以上が紙パックとなりました。
言葉を換えれば今や清酒の過半が経済酒というのが現実。

そして、
紙パック増加の約40年の歴史と清酒減少の約35年の歴史は、
オーバーラップすることを指摘したいと思います。

「安く販売」したことが清酒市場を収縮させたのではないでしょうか?

安売り紙パックがなかった場合でも市場縮小はあったでしょうが、
(別の法則で、「先進国における伝統酒逓減の法則」があるので。)
ロングスパンでみた場合どちらが良かったのか?

最近、酒造業界の会合でよく、
「喜多さん、ほんとに紙パック嫌いやなあ」と言われますが、
「紙パック嫌い」というより「安売り嫌い」。
仮にこの40年の歴史が違っていて、
紙パックでなく清酒PETボトル全盛となっていて、
そのPETボトルが安売りのお酒だったら、
PETボトルに対して同じ意見をいうでしょう。

 

 

 ▲■ 発泡酒、第三のビールの例証:

発泡酒、第三のビールは優れた製造技術だけれど、
「より安い商品」として発売されたことは、
ビール系全体の市場収縮を起こした大きな要因ではなかったか?

発泡酒、第三のビールの開発コンセプトは、
酒税を節約し価格を安くすること。

「ビール」より安い「発泡酒」登場(2001年)直後は、
減少フェーズに突入したビール系飲料総量を押し上げたけれど、
すぐにさらに安い「第三のビール」が登場(2003年)。

その後、ビール系飲料は総量で減少に転じ、
いまも減少が続いている。

直近の状況、2010年の第1四半期はどうかというと
「ビール系5年ぶり最低」
(4月12日の日経新聞の記事のタイトル)

「5年ぶり最低」ではあるけれど、
記事をよく読むと、
「1992年の統計開始以来、過去最低水準」だそうです。
1992年とはすなわち、発泡酒も第三もなかった時代。

以下、新聞記事の抜粋。

 「1992年の統計開始以来、最低水準だった2005年同期は、
  希望小売価格の廃止、オープン価格導入を見越して、
  実質値上げとみた卸や小売りが導入前に商品を大量に仕入れた反動。
  今回、2010年第1四半期はそうした特殊要因はない。
  酒類別では、
  ビールが前年同期比6.7%減、
  発泡酒が同22.8%減とそろって不振、
  価格が最も安い第三のビールは同9.5%増。
  消費の冷え込みに加え、若者のビール離れや、
  消費者が晩酌などをビールや発泡酒から切り替える動きが鮮明。」

清酒と同じことを書きますが、
発泡酒、第三のビールのがなかった場合でも市場縮小はあったろうが、
ロングスパンでみた場合どうだったのでしょうか?

 

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以上の例証で、
  「日本国内市場における酒類については、
   安い価格の新製品は一時的に市場拡大を促しても、
   5年でその酒類カテゴリー全体を縮小させる」法則

略して、
  「酒類の低価格政策は、5年で市場を縮小させる」の法則

を支持いただけたでしょうか。

時代の流れは速まっているので、
「5年で縮小」が、これからは、
「3年で縮小」になるかもしれません。

「焼酎」がこの法則の次の例証にならぬよう祈るものです。

本格焼酎がビール、甲乙混和が発泡酒にならぬように。
(将来、第三のビールならぬ「第三の焼酎」だってあるやも。。。)

付け加えると、
同じ危惧を「輸出清酒」「輸出焼酎」にも感じます。
特に欧・米市場は、日本と同様に
「低価格政策→5年(or3年)で縮小」の法則が成立すると考えます。

 

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前回メルマガも、
放言(アジア酒類学会ウィーク+醸造機器展示会の構想)を書きましたが、
引き続き今回メルマガも勝手な私見を書きました。

最近文章を書くと、つい、、、
ぼやき漫才(「責任者出てこーい」、古いか。でも懐かしい!)
みたいになる。

放言斯御容赦。

                    (text=喜多常夫)

 

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さて、ご参考情報の紹介です。

 

●▲■ ご紹介アイテムその1:KKディビジョン ●▲■

日豪合作のお酒のキャップ「サケZORK」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/SakeZORK_ed1_1.pdf

サケZORKとは:
「一升壜口規格」の壜のための、清酒・焼酎のキャップです。
きた産業と、オーストラリアのZORK社の共同開発です。

サケZORKのメリット:
●手指の怪我の心配がない(アルミ製冠頭と比べて)
●ユニバーサルデザイン(大きな栓は開けやすい)
●独特の斬新なデザイン、一升壜商品の活性化に!
●海外市場に好適(ネジ山のある壜はチープに見られがち)
●すべてプラスチック製でリサイクルしやすい!

 

 

●▲■ ご紹介アイテムその2:ROOTSディビジョン ●▲■

スパークリング・サケ&リキュール、5つの設備事例
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/spark_sake_eq.pdf

主にタンク内ガス添加によるスパークリングのお酒の、
生産、充填設備の納入事例です。

ガス入りのお酒・リキュールをお考えの方は、
きた産業にご照会ください。

試作用にパイロットプラント
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/PilotPlant.html
の1カ月単位のレンタル(有償貸出し)も行っています。

 

●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■

ガスのことなら、きた産業「N2-O2-CO2情報」
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/Gas/Gas.htm

●「スパークリング清酒」
●「スパークリングワイン」
●「窒素ガスとビール」
●「液体窒素滴下の応用」
●「ガス飲料試作のためのパイロットプラントのマニュアル」
など、炭酸、窒素、酸素関係の過去の発表を収録しています。

ワイン・シャンパン関係のガス技術については
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/wine/wine_info.htm
にも収録しています。

お酒、ワイン、ビール、リキュールなどの、
ガス技術のことなら、きた産業にお任せください。

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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