●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.222 ●▲■
発行日:2016年8月29日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ サケ・ウォッチングinブラジルのサンパウロ

  ●■ 正統派「東麒麟(アズマキリン)」
●■ ディアジオ(!)のサケ「純・大地」
●■ その他いろいろ→「力酒」「兄弟」「サカイ」「サガエ」・・・

 

                      text = 喜多常夫

 

ご紹介情報●1▲ 「炭酸ガス量やヘッドスペースエア量の測定」
ご紹介情報●2▲ 「一升びん王冠の開け方:英・仏・伊・独」
ご紹介情報●3▲ 「サケ王冠博物館・MUSEO SAKE FUTA」

 

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オリンピック観戦でブラジルにいってきた!

 

 

、、、というわけではないのですが、
今回は、ブラジルのサケ事情を書きます。

 

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私の推定では、
ブラジルのサケ市場は「2万石弱」。

「10万石以上」のアメリカ、韓国には、遠く及びませんが、
「1万石以下」のカナダ、香港より、はるかに大きい。
「1万5,000石くらい」のEU(ヨーロッパ全体)よりも大きな市場。

ただし、
日本から輸出されるサケは約1,000石(2015暦年実績)で、
9割以上が現地生産のサケ、もしくは日本以外のサケです。

 

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ブラジルは世界最大の日系人居住国で、
150~160万人の日系人がいる。
その7割がサンパウロに住むのだそう。

したがって、サケ消費の中心は、
オリンピックが行われたリオデジャネイロではなく、
その隣のサンパウロ(といっても200km以上離れているが)。

ただし、サケは日系人だけでなく、今や、
「パウリスターノ・パウリスターナ」(サンパウロ人)にも人気。
サケとしての普通の飲み方以外に、
カクテルベースの需要も大きい事がブラジルマーケットの特徴。

 

以下、サンパウロで見たサケ(日本製以外のサケ)を
3つの分類でご紹介します。

 

 

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●▲■分類1:正統派のサケ●▲■

 

●「東麒麟(アズマキリン)」/740ml

 業界ではご存じの方も多いと思いますが、
由緒正しいブラジルの清酒ブランド。

 1927年に、三菱の始祖、岩崎弥太郎が個人で、
「東山(とうざん)農場」をカンピーナス(サンパウロ近く)に設立。
1934年から別会社「東山農産加工」社として、
日系移民のためにサケを造ったのが始まり。
東山(とうざん)は岩崎氏の屋号、または雅号。

 「東山農産加工」社には
1973年からキリンビールが資本参加していましたが、
昨年、2015年に、キリンビールが全株を取得、
先月、2016年7月から、「Azuma Kirin(東麒麟)」社に社名変更したばかり。

 なお、東「麒麟」の名前は設立当初の1934年からのもので、
「キリン」ビールとは関係ない、偶然の産物。
かつて、ホノルル酒造の「宝」正宗を
「宝」酒造が買収(1986年)したのと、似ているといえば似ています。

 

 「東麒麟」は、
清酒で圧倒的シェアを持つほか、
焼酎や味噌・醤油も製造している。

 社長や醸造技術者は日本人の方で、品質は高い。
5年ほど前ですが、「東麒麟」を飲んだ事があります。
まことに良いできばえのお酒でした。

 以前撮影した写真ですが、商品はこんな感じ。
http://www.kitasangyo.com/Archive/PDA/PDA_43.pdf

 

 

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●▲■分類2:その他の大手ブランドや日系のサケ●▲■

 

●「純・大地 Jun Daiti」/670ml

 醤油で最大のシェアを持つのは「サクラ中矢」という会社。
ブラジルではキッコーマンよりシェアが高いそうだ。

 1940年、日系移民の中矢さんがサンパウロで創業。
醤油や味噌の製造が中心の会社だが、昔から
「大地 Daiti」というブランドで小規模に清酒を醸造していた。

 2010年、その「大地 Daiti」ブランドを、
ディアジオ社(!)が買収してリニューアルして売り出したのが
「純・大地 Jun Daiti」。
(ディアジオ:ジョニーウォーカーやギネスビールを持つ世界企業)

 輸入したサケをボトリングしている模様。
なかなかしゃれたブルーのボトルで、
カクテルベースとして売れているようだ。

 

●「Asia Sake」

 「サクラ中矢」社は、「大地 Daiti」ブランド売却後も
サケの醸造技術の継承を目的として
ごくごく小規模に「Asia Sake」という銘柄で生産を継続しているようだ。

 「サクラ中矢」社のウェブサイトには載っていないが、
ブラジル語の製品パンフレットには掲載されている。

 

以上のブランドは、日本でいうサケに相当する商品。

しかし、これ以外に、
実はサンパウロ周辺にはこんなサケが売られているそう。
(以下、ブラジル在住O氏からの、2016年8月の情報による。)

 

 

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●▲■分類3:日本で知られざる、非日系のサケ●▲■

 

■「Kampai Sake(カンパイ・サケ)」/745ml
折り紙のイラストのラベル
製造者:サケリア・チカラ社

■「力酒・THIKARA SAKE」/745ml
鯉のイラストのラベル
製造者:サケリア・チカラ社

 サケリア・チカラ社は社名のとおりサケ専門の会社で、
少なくとも5年以上前からある。
メインブランドの「力酒」は
サンパウロの日系食料品店でも販売しているので、
ご存知の方がいるかもしれません。

 しかし、どんな人が経営しているのか、
どうやって製造しているのか、、、情報がありません。

 「カンパイ・サケ」や「力酒」の、
ラベルに表示される原材料は(ポルトガル語で)
Fermentado Alcoolico de Arroz、Agua、Alcool Neutro、Glucose e Acucar
(米発酵アルコール、水、飲用エチルアルコール、グルコース、砂糖)

英語メディアには「本醸造」と発表しているようですが、
実際のところ、どのように造っているのか不明です。

 

また、以下のサケ銘柄は比較的最近登場したもののようです。

■「サガエ・SAGAE」/750ml
刀を持った武士のラベル
製造者:Bebidas Taverna社(ワインやリキュールのメーカー)

■「SAKAI(サカイ)」/750ml
日の出と墨絵のラベル
漢字で「日本酒」、アルファベットで「FUTSUU-SHU(普通酒)」の表示
製造者:Casa Di Conti社(ビールや清涼飲料のメーカー)

■「兄弟・SAQUE KYODAI」/750ml
髭の老人(仙人?)のラベル、
製造者:Vinhos Quinta do Nino社(ワインのメーカー)

■「涼酒・RYO」/750ml
よく見ると神社の鳥居のシルエットのラベル
製造者:Vinhos Quinta do Nino社?

 

「サガエ」や「サカイ」は日本語っぽいけれど、
なにを意味しているのか、よくわからない。。。

推測ですが、これら4点は
「麹を使っていない」のではないかと思います。

冒頭のサケリア・チカラ社の製品は745mlで、
750mlのワインびんにホット充填したとき
ヘッドスペースがなくなるから745だと推量するのですが、
後の4点は750mlなので、ホット充填もしていないと思います。

 

これらのブラジルのサケの写真は、下記資料でご覧いただけます。
ブラジルだけでなく、
世界の「こんなサケ!」を5年ほどかけて集積したものです。

 

●▲■ アーカイブ資料
「世界にはこんなサケがある ed.2.4」
(2016年8月更新、全31ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/least_known_sake.pdf

 

資料の最後のほうには、
5年前の2011年8月に同じO氏からいただいた
ブラジルのサケ情報も掲載しています。

当時はこんな銘柄もありました。

▲「HAYABUSA隼・健福好」/750ml
▲「SAKE OKINAWA(サケ沖縄) /750ml
▲「酒若い・SAKE SEISHU」 /750ml
▲「富士山SAKE FUJI」 /750ml

これらが今もあるのかどうかは不明です。

 

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「サケ」と表示していても、
「日本の定義ではサケではない」ものが世界で増えています。

ブラジルだけでなく、中国も多い。
私の推定ですが、
全世界でこの手のサケは5,000石以上造られていると思います。

ただし、
日本からの「合成清酒」の輸出も2,000石くらいあります。
(合成清酒も輸出されれば「サケ」)

 

オリンピックでは
「ドーピング問題」を規制する組織がありますが、
サケでも、
「合成サケ問題」を議論する組織が要るように思います。

 

                    text = 喜多常夫

 

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さて、情報紹介。

 

●▲■ ご紹介情報 その1:e-アカデミー情報 ●▲■
「炭酸ガス量やヘッドスペースエア量の測定」(18ページ)
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/Gas/image/gas_measure.jpg

スパークリングのサケが増えています。
品質管理の測定器の実務的使用法を解説した資料です。
もちろん、ビールやスパークリングワインにも。

 

●▲■ ご紹介情報 その2:KKディビジョン ●▲■
「一升びん王冠・KT+KSの打栓管理と開け方」(日本語)
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/capping/KT+KS_capping_J.pdf

 「一升びん王冠・KT+KSの打栓管理と開け方」(英語)
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/capping/KT+KS_capping_E.pdf

一升びん王冠が、海外でも人気なのでつくった資料。
英語版資料の最終ページには、
「英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語」の開け方を収載。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その3:アーカイブ情報 ●▲■
「サケ王冠博物館・MUSEO SAKE FUTA」
http://www.kitasangyo.com/museo/museo.html

戦前から戦後に当社が製造した、お酒の王冠の銅板の展示館。
(昔は、銅板に銘柄ロゴを職人が彫って、それを印刷原版にした)
北海道から沖縄まで、全国の銘柄を集めています。

 

 

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