●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.36 ●▲■
    発行日:2003 年11月29日(土)
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:喜多産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

------------------< 目 次 >------------------
 読み物 ●▲■(続)サラブレッドとハイブリッド●▲■
クローンと遺伝子組み換え、DNA発見後50年で人類はここまで来た?

ご紹介アイテム●1▲DIEMMEの「除梗破砕機」と「メンブランプレス」
ご紹介アイテム●2▲清酒・焼酎に!「アート150」と「シャトー180」
ご紹介アイテム●3▲来年は申(さる)年!「見ザル、言わザル、聞かザル」
●▲■最近のメルマガに関して、二点のご指摘
●▲■バックナンバー閲覧可!「メルマガ・クロニクル」オープン

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(前回メルマガの続き、シアトル在住のゲリー氏の文章)

前回は、シャルドネ、Cソービニオン、メルロ、ピノノアールなど、
欧州系のワイン好適「サラブレッド」品種は、
選抜した(=特定遺伝子を持った)葡萄を「クローン栽培」して、
アメリカ系台木に接木をして育てる、
すなわち自然発生植物でないという意味で「ハイブリッド」だ、
というオピニオンを書きました。

酒米のサラブレッド、山田錦も年月をかけて選抜と交配で生まれたもの。
ビール、ワイン、清酒などに日常使用する酵母も選抜、交配、培養で生まれた、
ハイブリッドのサラブレッド酵母(=酒造好適酵母)です。

「サラブレッドはハイブリッド」「ハイブリッドはお酒産業を救う」です。

さて、動物クローン(クローン羊「ドーリー」などの例)は
ほとんどの先進国で実験を制限している一方、植物クローンは我々の常識。
同じクローンでなぜ動物だけが「神の領域」なのか?
クリスチャンの洗礼に使うワインもいまやクローン葡萄から作られているはず。

では、さらに踏み込んで遺伝子組み換えはどうなのか?
遺伝子組み換え植物、それによる加工食品には
拭いきれない漠然とした不安(未知の病気?生態系への影響?)があるほか、
「神の領域に踏み込むのでは」という本能的不安が付きまとう。

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つい10年前までは、より良い品種を作るためには
ハイブリッド技術(「選抜と交配」による品種改良やクローン増殖のほか、
実際には、紫外線で突然変異遺伝子を作ることや、細胞融合など、
なんだか「神の領域に近い」技術も含まれるが)しかなかった。

ところが、最近GMO(遺伝子組み換え生物)が出てきた。
遺伝子組み換えは異なる種の遺伝子を組み込むのが普通。
実際に何世代か育ててみないとわからないハイブリッドと違って、
GMOは短期間で品質改良ができるので進歩が早い。

科学者のWatson と Crickが二重らせんDNA構造を発見したのが1953年で、
今年は発見50周年。
たった50年で人類の科学はここまで進歩してしまった。

アメリカでは遺伝子組み換えの
大豆、とうもろこし、ジャガイモ、菜種、綿花、などなど
がものすごい勢いで栽培面積を広げ、
マーケットで普通に売っているし、加工食品にも使用されています。

十分な安全性を確認しているとPRされているので、
市民の抵抗感もほとんどないと思う。とうか、分別表示がない。

一方、ヨーロッパや日本では、
遺伝子組み換え植物を加工食品などに使わない方向にあるので、
アメリカと政治的・経済的対立になってきていると聞きます。

お豆腐では遺伝子組み換え大豆は使わないのが人気だと聞いているし、
キリンはじめ大手ビール各社は非GMOの原料にシフトしていると聞きます。
(遺伝子組み換え植物は家畜飼料には日本でも使用されているので、
間接的に食肉として消費されていることにはなりますが。)

実態としてはアメリカのモンサントという会社が、
商業GMOの種の供給をほぼ一手に握っています。彼らの言い分は、
「ハイブリッドは地球を救う」ならぬ「GMOは地球を救う」です。


ワイン業界にとって幸いというべきか、
モンサントはまだ遺伝子組み換え葡萄を発表していません。
米、大豆、とうもろこし、など毎年枯れる植物と違って
葡萄のような多年生植物の遺伝子組み換えは技術的に難しい、
ということもありますが、たぶんモンサントにとっては、
毎年売れる植物でなければ儲からない、ということでしょう。

モンサントは、「ターミネーター」と称して一代限りで死んでしまう、
繁殖できない状態にして種を販売しているので、
農家は毎年、種を買わねばなりません。それが商売の種です。

遺伝子組み換え大豆やとうもろこしは、
農薬をまく頻度が極端に少ないとか殺虫剤を使用しないで済む、
というのが典型的です。減農薬に大きな効果があります。

膨大な量の農薬や殺虫剤が農場に撒かれて地球を汚染し続けていますが、
その量を圧倒的に減らすことができる。
個人的には、地球環境に対してものすごく良いインパクトだと思います。
農薬・殺虫剤を散布する農家の人の健康も大いに確保されます。

想像してみてください。
私はワインメーカーなので、葡萄について書きますが、
ボルドー液や農薬をまかなくても、
病害虫を気にしなくて済むような耐性のある葡萄ができたら、
台木がなくてもフィロキセラに強いメルロやシャルドネができたら、
雨が降ってもうまく育つピノノアールができたら、
天候不順の年でも糖度が25度になるCソービニオンができたら、
ジベレリン(gibberellin、無核化ホルモン剤)をつかって種無しにするのと、
遺伝子的に種無しにするのとどちらがベターか、、、などなど

テロワールもミクロクリマも関係ないワインなど夢がないかもしれませんが、
私のいるワシントン州は50年前にはワインなど存在しなかった場所。
テロワールなど存在すらしなかった場所です。
画期的な葡萄ができればワインもまた変わっていくのかもしれません。

この議論は、これが正しいという結論を出しにくい分野ですが、
遺伝子組み換えはたしかに我々アルコール飲料産業の者にとって、
十分慎重にウォッチしていかねばならない分野です。
(text:Gerry Melliwol)

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さて当社の商品のご紹介です。

●▲■ ご紹介アイテムその1:ROOTSディビジョン ●▲■ 
ワイン業界の方に:DIEMMEの「除梗破砕機」と「メンブランプレス」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Kappa.html
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/DIEMME_AR.html

エッセイスト・画家の玉村豊男さんに登場してもらっています。
(除梗破砕機に葡萄を投入している写真)
玉村さんは免許を取得され、長野県にヴィラデストワイナリーを作られました。
http://www.villadest.com
ワインのほか、シードルやヴィナッチャ(グラッパ)も作られます。

当社はヴィラデストにDIEMMEの「除梗破砕機」と「メンブランプレス」
を納入させていただきました。
順調にご使用いただいているとのこと、ありがとうございました!!


●▲■ ご紹介アイテムその2:K2ディビジョン ●▲■
清酒・焼酎・泡盛・ワインに!「アート150」と「シャトー180」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/art150.htm
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/chateau180.htm

差別化、小容量のプレミアム製品を念頭に製作したガラスびんです。
特に150mlはこれからクローズアップされるジャンル。ご照会ください。

●▲■ ご紹介アイテムその3:K2ディビジョン ●▲■
来年は申(さる)年!「見ザル、言わザル、聞かザル」びん。
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/monkeys.htm

ドイツ製で容量は200ml。3本セットでどうぞ。
現在、日本に在庫を持っており、即納可能、小ロット対応可能です。
営業担当にご照会ください。

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最近のメルマガに関して二点のご指摘がありましたのでご紹介します。

(その1)メルマガvol34で、「ステンレスタンクや殺菌剤が
利用されるようになったのも、長いお酒の歴史から見れば最近のこと。
ワインの亜硫酸添加もこの数十年。」と書いたことに関して、、、

<1897年出版のVictor Sebastian著 Vin de Luxに「SO2の使用は
デブルバージュ、発酵停止、酵母の純粋培養に適している、
その使用法は記録されていないくらい前からある」とあり、
1949年出版のJean Ribereau-Gayon著Traite d'OEnologieには
「何世紀も前から使われている技術」という解説があります。
SO2使用が積極的に薦められたのは20世紀になってからかもしれませんが
その利用は古くから知られていたということでしょう。>
というご指摘をいただきました。

(その2)メルマガvol35で書いていた「ハイブリッド」について、、、

<欧州勢主流のワインの世界では、「ハイブリッド」とは
「米国系ブドウ品種と他の系統(主として欧州種)との交配種」、
いうことになっています。O.I.V.の定義でもそうなっています。>
というご指摘をいただきました。

ありがとうございました。今後とも誤謬やご意見やありましたら、
ぜひお知らせください。 (text:喜多常夫)
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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」オープン
http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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