●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.189 ●▲■
発行日:2013年 12月25日(水)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
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年の瀬のご挨拶。それに、2013年の○と×。
●▲■ 清酒業界の2013年:「大手が19年ぶりの値上げ発表」
●▲■ ビール業界の2013年:「プレミアムビールの市場拡大」
●▲■ ワイン業界の2013年:「日本ワインのシェアの低さ」
●▲■ ウイスキー業界の2013年:「ヨーロッパの空港免税店に出現」
●▲■ きた産業の2013年の○と×
(text = 喜多常夫)
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今年も押し詰まりました。
暮れのご挨拶を申し上げます。
http://www.kitasangyo.com/2014message/message_2014.html
(↑「5か国語クリスマス&年賀のカード、
それに、年末年始の休日のご案内」)
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さて、年末恒例の「2013年の○と×」、
お酒・アルコール飲料業界の2013年を振り返って、
○(マル:良かったこと)と×(バツ:悪かったこと)を書きます。
(企業名は敬称略で失礼します。)
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●▲■ 清酒業界の2013年
○(マル)だったなあと思うのは、「日本酒で乾杯条例」。
そんな法律が制定可能とは想像もしませんでしたが、
伏見清酒のある京都市で2013年初めに始まった条例が、
全国の多くの自治体で採用されました。
清酒ばかりでなく、
地元の焼酎、ワイン、ウイスキーを対象にした自治体もある。
地産を地消することはいいことです。
(個人的には「一升壜の清酒・焼酎を愛飲しよう条例」
をどこかの自治体で作ってくれないかなあ、と思います。
当社は一升壜の王冠を製造しているので。)
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×(バツ)としては、、、
安価な酒を吟醸酒と表示
定められた規格外の米を使用
純米酒にアルコール添加
などの問題。
残念なことでした。
2008年に「事故米が焼酎や清酒の原料に流通した」時も、
その前にあった「老舗菓子店の賞味期限偽装」に
連続して出てきた感がありましたが、
今回も「有名ホテルのレストランメニューの虚偽記載」に、
連続して取り上げられたような印象もあります。
今年、遷宮で話題だった伊勢神宮にお参りしたのですが、
その参道に「赤福餅」の本店があります。
赤福餅は賞味期限偽装で大打撃を受けたはずですが、
5年たった今、当時の事が嘘のように、
お店の前は長蛇の列で大繁盛していました。
たぶん、信用回復のため膨大な改善努力を重ねられたのでしょう。
清酒も早く信用を取り戻し、
繁盛してほしいと思います。
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しかしなんと言っても、
清酒の2013年最大のトピックスは、
「大手では19年ぶり、平均4%程度の値上げ」
でしょう。○か×かの判定が難しいところですが。
焼酎など他の酒類が値上げしたときも、
清酒大手は過去19年間値上げしなかった。
今年はついに、多くの灘・伏見大手清酒メーカーが値上げ発表。
地方の蔵元でも値上げを発表されたところがあります。
実際には2014年からの浸透具合如何のようですが、
大手流通の抵抗に伍して、値上げが実現するよう祈ります。
「清酒は安価になりすぎた」というのが、個人的意見です。
かつて清酒に級別があった昭和の終わり頃、
1.8リットルあたりの標準的な価格は、
清酒特級が本格焼酎の約3倍、清酒一級が約2倍だった。
清酒二級でも本格焼酎の1.3倍くらい高価だった。
そして価格の高い清酒の方が、量で本格焼酎の何倍も
売れていた。
その後清酒は、需要減対策のため低価格化を進めた結果、
平成25年の今や、
2L紙パック経済清酒(の1.8L換算価格)は、
本格焼酎主要銘柄の価格の約1/2。
ところが価格の高い本格焼酎が清酒に迫る量になっている。
これは、
清酒が低価格政策を取り続け、
本格焼酎が価格を維持し続けたからだと考えます。
成熟文化の先進国では、
「安い酒のマーケットは中長期的には縮小する」
「むしろ高い(安くない)価格の酒類こそが生き残る」
のだと思います。
少なくとも中長期的には、
ちょうどフランスのワインのように、
量が減る前提で平均価格をあげる戦略が正しいと思います。
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●▲■ ビール業界の2013年
○(マル)は、
「プレミアムビール市場の拡大」。
2013年は特に中元歳暮で、
「プレミアムモルツ」や「ヱビス」が伸びたそう。
プレミアムビールの販売量は今や、
ビールの約10%、
ビール類(発泡酒や第三も含む)の約5%を占めるそうです。
2014年は景気回復が見込まれる中、
「グランドキリン」の販売チャンネル拡大や
贈答専用だった「ドライプレミアム」(アサヒ)の一般販売もあり、
高価格帯ビール市場の盛り上がり(激戦?)は必至です。
2013年は、
低価格帯(第三のビール)の伸び率より、
高価格帯(プレミアムビール)の伸び率が高い見込み。
消費二極化の中で、高価格の方が伸びるのは○(マル)ですね。
2013年は地ビール(価格が高い)も製造量が増えているようです
が、
ある意味で同じ要因だと思われます。
21世紀に入って減り続けた地ビール製造場数も、
ここに来て新規開設が目立ちますし、
東京圏・大阪圏で地ビール専門のビアパブも増えています。
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×(バツ)は、
「日本のビール類市場が2013年も縮小」が確実らしいこと。
ビール(ビール・発泡酒・第三と分けたときのビール)については、
2012年の傾向から、「2013年は底を打って反転するのでは」、
と期待していましたが、残念ながら減少のようです。
その必然的帰結というべきか、大手4社は海外展開に注力、
とくに2013年はアジア展開に拍車をかけているようです。
ベトナムでサッポロの生産能力増強計画
タイでキリン一番搾りの委託生産開始
シンガポールでプレミアムモルツの樽生提供開始
韓国でスーパードライの販売をさらに強化
などが一般紙でも報道されました。
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先月11月の日経新聞に
「2013年のアジア各国のビール市場金額規模の見通し」
という記事がありました。
初めて見た統計だったので抜き書きしてみます。
1位:中国 692億ドル
2位:日本 528億ドル
3位:オーストラリア・ニュージーランド143億ドル
4位:韓国 122億ドル
5位:タイ 62億ドル
6位:インド 61億ドル
7位:ベトナム 57億ドル
8位:フィリピン 41億ドル
9位:マレーシア 19億ドル
10位:シンガポール 17億ドル
11位:インドネシア 17億ドル
日本は減少市場とは言え「528億ドル(5兆円以上)」もの規模。
これは、「3位のオーストラリア・ニュージーランドから
11位のインドネシアまで、全てを合計した金額」に匹敵。
アジア各国がいかに成長市場とは言え、
金額規模を見る限り、
日本の落ち込みをアジアだけでカバーするのは至難と言えそうです。
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●▲■ ワイン業界の2013年
●「マスカットベイリーAのOIV登録」
(川上善兵衛さんが品種改良でつくったブドウ品種。
EUに輸出するワインにブドウ品種を表示するには、
OIV-国際ブドウ・ワイン機構-への登録が必要。
2010年の甲州に次いで2品種目の日本品種登録。)
は、2013年の○(マル)でした。
他には、日本市場独特の2013年事情として、
●「PETボトルワインの市場拡大」、
(メルシャンのほかマンズやアサヒ・サントネージュも増産。
2013年の市場規模は2万〜3万KLか。)
●「酸化防止剤無添加ワインの市場拡大」
(サントリーとメルシャンが2強。
2013年の市場規模は2万4,000KLくらいらしい。)
も記録すべき事項でしょう。
しかし、一番銘記すべき事は、、、
●「日本ワインの人気、いっそう高まる」
(注:日本ワイン=100%日本産ブドウでつくったワイン)
ブドウ栽培者や醸造技術者の努力で、
21世紀に入って日本ワインの品質はずいぶん高くなりました。
ワイン主産地の山梨や長野の製品は勿論、
北海道から九州まで全国的に人気が出ています。
私の地元、大阪のワインもずいぶんメディアが取り上げています。
2013年は大阪の市街地(ビジネス街)にマイクロワイナリーが出来ましたが、
これも地元大阪産のブドウで醸造されています。
国際コンクールでの日本ワインの受賞もずいぶん増えています。
日本ウイスキーが国際コンクールでの受賞がひとつの契機になって、
ヨーロッパで市場を構築しつつあるように、
日本ワインも2020年頃には、
ヨーロッパで一定の市場を築けるかもしれません。
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その一方、×(バツ)とは言いませんが、▲(懸念)なのは、
▲「日本ワインの比率の低さ」
(「日本ワイン」の量に関する公表統計が見あたらないけれど、
「国産ワイン」のなかの20%前後ではないか。
もっと少ないのかもしれません。)
「日本ワイン」には大手も中小もこぞって力を入れているが、
「国産ワイン」のなかの僅かの部分でしかないのが実態。
(注:国産ワイン=輸入果汁を日本で醗酵させて作るワインなども含む)
国産ワインと日本ワインの区別がない時代もありましたが、
今では表示の上できちんと区分され、
ワイン消費者もある程度認識していることではあります。
しかし、事情を知らない一般人にとっては、
「国産ワイン=日本ワイン」でしょう。
「輸入原料ワインが国産ワインのメジャー」
という日本のこの状況は、
他の国では珍しい状況であるだけに、
なんだか、日本ワイン人気の足下をすくわれそうで、
よりきちんと区分すべきだと感じます。
食品については「何でもありのまますべてを表示する」、
日本もヨーロッパもアメリカも、世界的に、
そんな時代要請であるように思います
(付録)ワイン関係者の皆さんへ
11月のミラノのSIMEI展示会訪問と、
フランチャコルタ、トスカーナのワイナリー見学の
報告ブログをアップしています。
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/
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●▲■ ウイスキー業界の2013年
「サントリー山崎蒸溜所で新蒸留釜4基増設」
は日本のウイスキー業界の大きな出来事でした。
山崎蒸溜所は何度か見学したことがありますが、
従来は12基(ウォッシュ6基、スピリッツ6基)だったので、
単純計算で3割以上の生産能力増強になる。
山崎では45年ぶりの設備増強だそうで、
「国内の需要増」対応よりむしろ、
「海外の需要増」を見込んでの設備でしょう。
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しかし2013年に、私にとって一番印象的だった出来事は、
「ヨーロッパの主要空港、
ヒースロー(ロンドン)、
シャルルドゴール(パリ)、
スキポール(アムステルダム)
の免税店で、日本ウイスキーが売られている(!)」
のを発見したこと。
国際空港の酒類免税店ではどの国でも、
スコッチ、バーボン、ウオッカ、ワインなどを販売している。
売られているのは有名ブランド・世界ブランドだけで、
欧州の空港免税店では従来、日本製品など一つもなかった。
その免税売り場にスコッチやアイリッシュの銘品と並んで、
今や山崎、白州、余市、宮城峡などが売られている!!
いつ始まったかは定かではありませんが、
2012年や2011年は気づかなかったので、
たぶん2013年に本格的に始まったのではないかと思います。
このことを日本ウイスキーの2013年最高の○(マル)としておきます。
日本ウイスキーが世界ブランドの一角として並ぶのを見ると、
日本人として感慨深いものがあります。
(なお、ヒースローの免税店では日本ウイスキーだけでなく、
中国の高級白酒(パイチュウ)が販売されていたのには少々驚きました。
ディアジオが買収した中国の白酒「水井坊」。
最も、ウイスキーは世界の人向け、
白酒は中国人富裕層旅行者向け限定、だとは思いますが。)
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●▲■ きた産業の2013年の○と× ●▲■
×機械設備や製品に関するクレームが多かった。
当社の力足らずを大いに反省し、挽回を期します。
×8月の大阪の記録的集中豪雨で製品倉庫が一部浸水。
これはその後、対策の建屋改修を行いました。
○従来、大阪と奈良だけで取得していたISO9001を
東京でも取得。さらに品質向上に努めます。
○地ビール充填ラインやワイン醸造設備で大型の受注実績。
今後のための大きな礎(いしずえ)になりました。
●▲■ むすび ●▲■
「清酒、焼酎、泡盛、
ビール、ワイン、ウイスキー、リキュールなど
酒類産業全方位で、
高い存在価値のある企業を目指す」
これは、この数年掲げてきた当社の重点経営方針で、
2014年はその仕上げの年と位置付けています。
当社のコア事業である「酒類向けの王冠・キャップ」は、
数量減でますます厳しい経営環境になりますが、
「ガラス壜」「アルミ缶」「ラベル・カートン」「機械設備」
さらには「醸造技術や製造ノウハウ」なども含めた総合提案力で、
「酒類業界になくてはならない企業」
を目指します。
2014年も、なにとぞ宜しくお願いいたします。
きた産業株式会社 代表取締役 喜多常夫
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http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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