●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.200 ●▲■
発行日:2014年11月6日(木)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

 

------------------< 目 次 >------------------

 

●▲■「サケ・ウォッチングinシンガポール」

仏・コニャックの輸出先2位、英・スコッチの輸出先3位、
日本ビールの輸出先4位、日本焼酎の輸出先7位、
日本酒の輸出先8位、日本ウイスキーの輸出先8位

(text = 喜多常夫)

 

お知らせ●■「大晃印刷」から「DKプリント」に社名変更

ご紹介情報●1▲ 「フランスCDa社の半自動タックラベラー」
ご紹介情報●2▲ 「BPA対策品あり:サケ壜口規格の冠頭と替栓」
ご紹介情報●3▲ 「王冠・キャップの手押し打栓機」

 

 

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1930年ごろ、戦前の話:

シンガポールに立寄る客たちは、第一の夕の歓待を、
日本庭園を模したアルカフ・ガーデンの料亭か、
このカトンでうけるのである。(中略)
桟橋づたいに水にのり出した日本料理屋の軒には、
岐阜提灯にうつくしい燈がはいる。(中略)
[朝日ビール]の壜が並び、濠洲牛のすき焼き鍋が煮える。

 

大正から昭和初期の詩人、金子光春の著作で、
今も文庫本で出版されるロングセラー
「マレー蘭印紀行」の中の、
「シンガポール」の章はこんな始まりである。
注:タイトルの「蘭印」とは「オランダ領東インド」、
かつてのオランダの東南アジアの植民地のこと。
ただし、シンガポールは当時、英国の植民地。

シンガポールでは戦前すでに、
提灯を掲げた「日本料理屋」があって、
「朝日(アサヒ)ビール」が飲めた。
記述はないが当然、日本酒も飲めただろう。

当時、アサヒは大日本麦酒のブランドのひとつ。
中国の青島(チンタオ)ビールも大日本麦酒の経営で、
アサヒとサッポロを生産していたので、
日本製でなく中国製だったのかもしれない。

 

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それから85年ほど経過した2014年。

シンガポールでは今も、金子光春の時代と同じく、
「軒に提灯」をつるした
「桟橋づたいに水にのり出した日本料理屋」
が繁盛していました。

 

今年の夏前にシンガポールに行ったので、
見聞したサケ、焼酎、日本ビール、ウイスキーなどの事を書きます。

 

写真は以下のアーカイブ資料に掲載しています。

●▲■ アーカイブ資料 ●▲■

「サケ、焼酎、ビール watching in Singapore 2014」
(5ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/SakeSingapore.pdf

 

 

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シンガポールが、

「フランスのコニャックの輸出先2位」(1位はアメリカ)
「英国のスコッチの輸出先3位」(1位は仏、2位アメリカ)

という世界ランキングであるのは、結構意外ではないだろうか。
高級酒の輸入大国である。

そして、
「日本のビールの輸出先4位」
「日本のサケの輸出先8位」
「日本の焼酎の輸出先7位」
「日本ウイスキーの輸出先8位」
でもある。
(以上は2013年の量による順位)

 

東京23区くらいの国土面積、
人口500万人強(うち飲酒をしないムスリムの国民が15%、
逆に国民ではない外国人居住者が+150万人)にして、
これだけの酒類消費。
小さいけれどとても豊な国である。

 

因みに、
同じく小さな独立地域、香港は、
東京23区の2倍弱くらいの面積、
人口は700万人強であるけれど、

「フランスのコニャックの輸出先6位」
「フランスのボルドーワインの輸出先7位」

そして、
「日本のビールの輸出先7位」
「日本のサケの輸出先4位」(金額では米国に次ぐ2位)
「日本の焼酎の輸出先3位」
「日本ウイスキーの輸出先11位」

と、良く似ている。
(同じく、2013年の量による順位)

小さな国・地域であるけれど、
地球上にシンガポールと香港が存在することで、
世界の酒類産業はどれほど助かっていることか。

 

 

香港に輸入された酒類はすべてが香港で消費されるわけでなく、
「何割か」は中国本土に流れるそうだけれど、
シンガポールに輸入された酒類は、
自国内での消費率が高い。
(欧州の有名ブランド酒類では、一旦シンガポールに入って、
日本などへ再輸出されることもあるとは聞くが。)

 

シンガポールは、香港以上に、
「世界の高級酒類のリーディングマーケット」といえる。

 

 

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●▲■日系スーパー観察その1:「明治屋」●▲■

 

シンガポールには、
届け出ている在留邦人が2万7,000人もいるほか、
届けていない日本人居住者や、
日本人ツーリストが常時多数滞在している。

そんな事もあって、
日系のスーパーやデパートが数多い。
まずはその売り場でサケ、焼酎、ビール、ウイスキーを観察。

 

 

観光地「クラークキー」のビル内に近年開業した「明治屋」。
大きな売り場面積で、あらゆる日本食材がそろう。
日本から空輸した新鮮野菜も並ぶ。

売り場にはシンガポーリアンも数多いが、
居住者らしい日本人の奥さんの買い物客が目立つ。

 

サケと焼酎は、目玉商品であるよう。
入り口に大きな展示台を設けて販売中でした。

サケの販売価格を観察。720mlびんで:

「真澄」29.90〜45.90 SGD (\2,500〜\3,800)
「八海山」 39.90〜64.90 SGD (\3,300〜\5,300)
「南部美人」46.90 SGD (\3,800)

など。リーズナブルな価格であると思います。
(訪問した2014年5月現在のレート1 SGD=82円で換算)

そのほか、
「白鹿」
「南部美人」
「梵」
「菊水の辛口」
などがありました。

 

背中合わせに並ぶ焼酎は、清酒と同じ棚取り面積。
価格は、同じく720mlびんで:

「黒霧島」45.90 SGD (\3,800)
「くろうま」45.90 SGD (\3,800)
「白岳」45.90 SGD (\3,800)

など。焼酎は見事に同一価格。やや高価な印象。

 

 

●▲■日系スーパー観察その2:「伊勢丹」●▲■

随一の繁華街「オーチャードロード」にある「伊勢丹」は
昔から高級デパートで知られる。
明治屋と違って、
日本人よりシンガポーリアンが圧倒的に多い。

 

日本式に、地下が食料品売り場。
酒売り場は食料品売り場と一体になっているが、、
支払いレジは別。

酒売り場の面積は明治屋より狭いが、
サケ銘柄数はむしろ豊富。

「日本名門酒会」のステッカーをはった銘柄が目立つ。
「一ノ蔵」
「太平山」
「浦霞」
「上善水如」
「小鼓」
「男山」
など。
名門酒会以外の地酒銘柄も多数。

 

灘・伏見銘柄では
「菊正宗」
「玉乃光」
「白鹿」
「黄桜」
「松竹梅」
「大関」
など。

明治屋にはありませんでしたが、
伊勢丹には清酒の紙パックもならんでいました。

 

もちろん日本ウイスキーも各種ある。
代表的価格を記録しておくと:
「サントリー角」81 SGD (\6,600)
「山崎12年」158 SGD (\13,000)
「余市12年」151 SGD (\12,400)
など。

 

 

●▲■ 日本ビールと地ビール観察編 ●▲■

明治屋では日本ビールも観察。
サントリー以外の大手3銘柄のほか、
オリオンビールもある。

 

まず価格を観察。

[びんビール]の価格は:
「キリン一番」3.35 SGD (\270)
「アサヒスーパードライ」4.10 SGD(\340)
「オリオン」4.25 SGD (\350)
など。

因みに日本以外のブランドは:
「ハイネケン」4.20 SGD (\340)
「タイガー・ラガー」4.00 SGD (\330)
など。

 

次に、びんの裏ラベルで生産国を観察:

「キリン一番」日本製(330mlの輸出モデル)
「サッポロ」ベトナム製(330ml)
「アサヒスーパードライ」日本製(334ml)
「ハイネケン」シンガポールのAPB製(330ml)
「タイガー・ラガー」は当然、APB製(330ml)

注:「APB」は「アジア・パシフィック・ブルワリーズ」、
銘柄は「タイガー」でシンガポール最大手のビールメーカー。
2012年、キリンと競り合った末、
オランダのハイネケンが傘下におさめた。

[缶ビール]の生産国も確認:
「キリン」日本国内仕様(350ml)
「アサヒ」日本国内仕様(350ml)
「サッポロ」(330ml)は「under supervision of Sapporo」

 

冒頭、「シンガポールは日本のビールの輸出先4位」と書きました。
キリンとアサヒは、現時点では、
シンガポールについては海外委託生産品でなく、
日本製を輸出する方針をとっているのがわかります。

 

なお、サントリーのビールは、
明治屋や伊勢丹の店頭にはなかったけれど、
シンガポールの日本食レストランでは
「サントリー・プレミアムモルツ」(もちろん日本製)を出す店が
とても多いことを記録しておきます。

 

 

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世界からビジネスマンと観光客が集まるシンガポールは当然、
世界的クラフトビール・ブームに敏感。

明治屋には「クラフトビール・コーナー」があって、
日本の地ビールが多数並ぶ。

「常陸野ネストビール」12種(7.50 SGD〜 8.60 SGD)
「小江戸ビール」4種(7.50 SGD〜 9.95 SGD)
「銀河高原ビール」1種(8.20 SGD)
「金シャチビール」3種(7.90 SGD〜 8.90 SGD)

以上はすべて[びんビール]。

[缶ビール]では「ヤッホー」が5種ありましたが、
全体として[びんビール]が多い。

そういえばタイガーやキリン・アサヒも[びんビール]が多かった。
日本人は「缶ビール好き」が多いと思いますが、
シンガポーリアンは「びんビール好き」のようです。

 

シンガポールのクラフトビールの老舗、1997年創業の
「ブリューワークズーBrewerkz」の繁盛ぶりや、
ショッピングモールで見つけた
「クラフトビール専門店」については、
先述のアーカイブ資料を参照ください。

 

 

●▲■ 日本食レストランでのサケ観察編 ●▲■

 

シンガポールでは、
狭い国土に日本食レストランが現在約1,000店あり、
さらに増加中。

「ショッピングモールには必ず日本食がある」
といっていい状態。

シンガポールの日本レストランは、欧米や韓国・台湾に比べ、
「日本人経営の店が多い」
「本格的和食の店が多い」
といった特徴があるように感じます。

注:日本人経営比率は4割程度といわれる。
パリ、ロンドン、NY、ソウル、台北では1割以下だろう。

 

一方で、一昔前にはずいぶん多かった、
シンガポール人や中国人経営の
所謂「日式」料理店は急速に減りつつある
(本格和食に駆逐されつつある)ように感じます。

注:「日式」料理店:中国系や韓国系の現地人が編み出した
日本風料理、あるいは日本式中華を提供する店。
安価でそれなりにうまくて人気もあった。
酒は「詰め替えたサケ」や「中国製サケ」も多かったと思う。

 

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今回は比較的日本人客比率が高い店、2軒で
サケ消費を観察。

 

1軒目は「銀座黒尊」というお店。

日本人料理人が日本の魚や和牛を目の前で料理してくれる。
インテリアも凝っていて、まるで銀座のお店のよう。

豊富なサケメニューの中から、
「麒麟山」「菊水の辛口」「久保田」
を美味しくいただきました。

いろいろな銘柄を飲みたいこともあって、
当方はグラスで飲んだのですが、
店内ではボトルで飲んでいるグループも。

「獺祭」の720mlびんが125 SGD(\10,300)、
「黒龍」の720mlびんが285 SGD(\23,400)、
と、サケ・ボトルはなかなかの値段。

 

2軒目は「HAN−はん」。

食道楽の大阪浪速をフィーチャーした和食の店。
料理人は日本人、オーナーは韓国人とのこと。

お任せ串カツとともに、
「手取川」「玉乃光」「八海山」
を美味しくいただきました。

なお、こちらのお店のボトルはさらに高くて、
「黒龍」の720mlびんは350 SGD(\28,700)。

 

この2軒の日本食レストランは、
高級の部類ではあるけれど決して最高級ではない。
そういうお店にしてこの価格設定。

シンガポールで日本食のお店に来るお客は、
お財布にとても余裕のある人たちです。

 

 

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シンガポールは来年2015年が建国50周年。

建国の父、リー・クアンユーさんは今も健在で、
近年は事あるごとに、
「日本など人口が減っていく国々の経済運営が心配」
と説いておられるようです。

シンガポールの出生率は日本以下(!)だそうだけれど、
なぜか、日本よりバイタリティーを感じました。

 

3日間の短い滞在でしたが、
世界の酒類マーケットの中でのシンガポールの重要性だけでなく、
世界経済の中でのシンガポールの先進性を感じた滞在でした。

 

(text: 喜多常夫)

 

 

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●▲■ 「株式会社DKプリント」のお知らせ ●▲■

ラベル・カートン・パッケージデザインなどを制作・企画する
きた産業の関連会社の大晃印刷株式会社は、今年が設立50周年。

50年の節目に、より一層の発展を期すべく社名変更をしました。

 

(旧社名)大晃印刷株式会社
(新社名)株式会社DKプリント(2014年9月から)
(新ウェブサイト) www.dkprint.jp
(新ロゴ)●■▲ (←ウェブサイト参照)
(新代表メールアドレス) otoiawase@dkprint.jp

 

所在地(東京都千代田区岩本町1-8-15)や
電話(03-5948-5510)は、変更ありません。

これを機に、
より一層皆様のお役にたつよう努めてまいります。
益々ご愛顧を賜りますよう、お願いいたします。

 

 

 

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さて、情報紹介です。

 

●▲■ ご紹介情報 その1:ROOTSディビジョン ●▲■

 

「フランスCDa社の半自動タックラベラー」(2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/CDalabeler.pdf

 

壜をローラーの上に置くだけで、
タックラベルを貼れる簡単操作。

フランスならではのエスプリ、斜めのローラー構造。
リーズナブルな価格。

なお、タックラベルのご用命は、
新生「DKプリント」にお任せください。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その2:KKディビジョン ●▲■

BPA対策品もある!「サケ壜口規格の王冠→冠頭と替栓」(2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/KTKS.pdf

 

KT(冠頭)とKS(替栓)は、
サケ壜口規格(一升壜口規格)の王冠。

「日本酒らしい」「焼酎らしい」という評価で、
近年特に海外マーケットで人気です。

 

フランスでは、2015年1月から、
すべての食品・飲料の容器で
BPAを含む材料が禁止となります。
注:BPA=ビスフェノールA。
環境ホルモンの疑いがある物質とさる。
日本では、哺乳瓶などでは規制があるが、
食品・飲料容器やキャップの規制はない。

当社では、
KTとKSはじめとするメタルキャップについて、
塗装のポリエステル化を始め、
様々な形でBPA対策キャップを準備しています。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その3:ROOTSディビジョン ●▲■

「王冠・キャップの手押し打栓機」(2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/handcapper_ed06.2_WOP.pdf

 

いろいろな王冠・キャップのための、
いろいろな手押し打栓機のカタログ。

国産ばかりでなく、
イタリア製もラインナップ。

王冠・キャップのことなら、
きた産業にお任せください。

 

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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