●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.203 ●▲■
発行日:2015年2月23日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●■▲ 焼酎の世界市場:3つのエピソード ●▲■
●■ Shochu(焼酎)vs Soju(ソジュ)
●■ 世界の蒸留酒の輸出市場の俯瞰
●■ 日本製Soju、ベトナム製焼酎、韓国製焼酎
(text = 喜多常夫)
ご紹介情報●1▲ Tips for BFDバックナンバー「焼酎麹」
ご紹介情報●2▲ 焼酎・泡盛にお勧めの「AZK」キャップ
ご紹介情報●3▲ 「ガス入りのお酒のキャップ」
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財務省の輸出統計は素早くて、
2014年暦年のデータがもう公表されています。
「しょうちゅう」(財務省の分類は平かな表記)の輸出
2014年・・・16億円
2013年・・・17億円
残念ながら、前年を下回る結果。
この金額には甲類や甲乙混和も含まれますが、
本格焼酎が95%程度と推定されます。
清酒と並ぶ國酒プロジェクト対象でありながら苦戦です。
他の酒類と比較すると、、、
「清酒」(日本酒類の輸出額トップ)の輸出
2014年・・・115億円
2013年・・・105億円
「日本ウイスキー」(日本酒類で輸出伸び率ダントツ)の輸出
2014年・・・59億円
2013年・・・40億円
焼酎は、
清酒の1/7、
日本ウイスキーの1/4でしかありません。
言葉を換えれば、
「焼酎はこれから伸ばすべき重要な日本アイテム」です。
焼酎の世界市場に関する、3つのエピソードを紹介します。
●■ エピソード1 ●■
「Shochu(焼酎)vs Soju(ソジュ)」
業界の方はご存知の通り、日本の焼酎はアメリカでは
「Soju」または
「Shochu/Soju」
というラベル表示で販売されることが多いのです。
また、中国でも
「焼酎/焼酒」
と表示する日本製品もあります。
(注:「Soju」は韓国の焼酎の英語表記。漢字表記では「焼酒」。
大韓酒類協会の統計では「希釈」と「蒸留」に分けていますが、
99.9%が「希釈」で日本の甲類相当だと思われます。
なお、中国語常用で「酎」の字がないと聞いたこともあります。)
アメリカのカリフォルニア州は、2002年ころから
「Soju」をハードリカーライセンスなしで売ることを認めています。
レストランはワイン免許だけのことが多いので、
大いに販路が広がるのです。
韓国のロビー活動の成果でしょう。
日本の多くの本格焼酎は、その恩恵を受けるため、
アメリカ向け製品のアルコール度数を1度低い24度にして、
ラベルに「Soju」 と表記しています。
(注:NY州は韓国製のみに認めていて、日本製には認めていない。)
韓国Sojuと日本Shochuに共通する主要マーケット、
アメリカと中国でのシェアを比較してみました。
データがそろう2013年の数字で、
毎度古い単位で恐縮しますが「石(=180L)」表示です。
<アメリカのSoju+Shochuのマーケット>
韓国製Soju ・・・3万3,400石・90%
日本製Shochu/Soju ・・・2,700石・7%
ベトナム製などのShochu/Soju・・・1,000石・3%(推定)
<中国の焼酒+焼酎のマーケット>
韓国製・焼酒 ・・・3万5,900石・82%
日本製・焼酎/焼酒 ・・・4,700石・11%
ベトナム製などの焼酎/焼酒 ・・・3,500石・7%(推定)
製品価格は日本製が高いので多少の「別物」感はありますが、
「Sojuカテゴリー」の中に韓国製と日本製がある格好で、
かつ、圧倒的に韓国製のシェアが高い。
日本製焼酎がSojuを名乗ることは、
日本製焼酎を将来、プレミアムセグメントで伸ばていく上で
どのような影響がでるのか、、、、、不安なしとはしません。
アメリカでは日本レストランでさえ、
英文メニューで
「Sake、Shochu」ではなく
「Sake、Soju」と書いている例が増えていると思います。
因みに、日韓お互いの国でのシェアは、、、
(これは2012年のデータ)
<韓国のSojuのマーケット>
韓国製Soju ・・・654万8,700石・99.9%
日本製Shochu ・・・531石・0.05%
ベトナム製などのShochu/Soju・・・108石・0.01%
<日本の焼酎のマーケット>
韓国製焼酎 ・・・32万4,500石・6.0%
日本製焼酎(本格) ・・・264万9,700石・48.8%
日本製焼酎(連続) ・・・205万2,800石・37.8%
日本製焼酎(甲乙混和) ・・・36万1,100石・6.7%(推定)
ベトナム製などの焼酎 ・・・3万7,400石・0.7%
アメリカ・中国だけでなく、
韓国・日本に於いても、
韓国製の方が国際的存在感が高いと思います。
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因みに、Sojuのトップメーカーは
「Jinro(ジンロ・真露)」です。
ウイスキー、ジン、コニャック、ウォッカなどを含む、
世界のあらゆる蒸留酒の中で、
生産規模トップはJinroだそうで、
2013年の生産量は6,650万c/s=333万石。
(drinksint.comによる)
Soju2位(世界蒸留酒5位)はLOTTEで、
2013年の生産量は2,380万c/s=119万石。
韓国国内需要依存率が高いとはいえ、
1位1社で日本の本格焼酎全量より大きな生産量を持つ巨艦。
1位2位の2社で日本の本格+連続にほぼ相当。
日本焼酎を世界で拡げていく戦略を練る上で、
そのことも考慮しなければなりません。
●■ エピソード2 ●■
「世界の蒸留酒の輸出市場の俯瞰」
世界の蒸留酒の輸出市場を見てみましょう。
2013年の数字でそろえています。
●韓国のソジュ
・・・105億円
▲日本の焼酎
・・・17億円
■英国のスコッチ
・・・6,560億円
■フランスのコニャック
・・・3,040億円
■日本のウイスキー
・・・40億円
2013年は日本の清酒輸出の好調ぶりと
100億円突破が大きな話題になりましたが、
韓国のソジュ輸出は、その清酒輸出とほぼ同じ金額規模です。
一方、世界商品のスコッチやコニャックに比べると、
ソジュも焼酎もとても小規模である事がわかります。
次に輸出先国のランキング(量による)を見てみましょう。
●韓国のソジュ
・・・1位日本、2位中国、3位アメリカ、4位オーストラリア
▲日本の焼酎
・・・1位中国、2位アメリカ、3位香港、4位韓国
■英国のスコッチ
・・・1位フランス、2位アメリカ、3位シンガポール、4位インド
■フランスのコニャック
・・・1位アメリカ、2位シンガポール、3位中国、4位英国
■日本のウイスキー
・・・1位台湾、2位ロシア、3位フランス、4位中国
スコッチにおけるインド、日本ウイスキーにおける台湾、
のような独特の市場もありますが、
総じて見ればどの蒸留酒も仕向先は似かよった国。
結局、鍵を握るのは、
アメリカ、中国、香港、シンガポールなど10カ国程度。
限られた国のマーケットの取り合いである事が判ります。
日本の焼酎は、
この中で勝ち抜いていかねばなりません。
現在の世界的な、
日本食ブーム、クールジャパンブームは、
大きなチャンスです。
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なお、比率は記載しませんでしたが、
韓国ソジュの輸出先1位の日本は、
全輸出量の74%を占めるのです。
他は、高い場合で、
コニャックのアメリカ向け、
日本焼酎の中国向けがそれぞれ30%程度。
韓国ソジュの日本依存率74%は特異的です。
ただ実は、日本ウイスキーも似た時代がありました。
かつて90年代末期はほとんど台湾依存でした。
たとえば98年の統計を見ると、
台湾向けが日本ウイスキー輸出量のなんと87%でした。
●■ エピソード3 ●■
「日本製Soju、ベトナム製焼酎、韓国製焼酎」
カナダでは酒類販売は基本的には公営ルートになります。
たとえばブリティッシュコロンビア州のリカーストアのサイトで、
「焼酎-Shochu」を検索すると、2品種しか出てきません。
ひとつは日本の「いいちこ・シルエット」、
もうひとつはベトナムの「月の光」です。
(因みに、「サケ-Sake」を検索すると35品種出てきて、
日本製サケ19種、アメリカ製サケ12種、カナダ製サケ4種。)
業界の方から、
「焼酎では「月の光」が最も売れているのではないか」
と聞いたことがあります。
このサイトでは在庫数/扱い店舗数も表示されるのですが、
2015年1月31日現在の画面では
「いいちこ 104本/13店舗」
「月の光 380本/39店舗」
と、ベトナム製のシェアの高さが伺えます。
また、消費者の評価ポイントも表示されていて
「いいちこ 4.7/5ポイント、32 votes」
「月の光 4.7/5ポイント、40 votes」
と、ほぼ同評価です。
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「ベトナム製品がカナダで「Shochu」と表示」、
「日本製品はアメリカで「Soju」と表示し、
そのお隣のカナダでは「Shochu」と表示」
そして、ご存じのとおり、
「韓国製品は日本で「焼酎」と表示」される、、、、、
なんだか複雑です。
将来、
「韓国ソジュがヨーロッパで「Shochu」と表示」
して売り出すことも当然ありえるでしょうし、
とめることも出来ないでしょう。
「本格焼酎はこれから伸ばすべき重要な日本アイテム」です。
日本の本格焼酎が、
韓国のソジュとは異なるプレミアムセグメント、
かつ、
ウイスキーなどエージング蒸留酒とも異なるセグメントとして、
国際市場を創るために、
長期的な視野での世界戦略が必要です。
(text = 喜多常夫)
※本稿に関連したグラフやデータを、
近日発行予定の当社の情報誌「酒うつわ研究」に掲載しています。
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さて、情報紹介です。
今回は、焼酎に関連した情報です。
●▲■ ご紹介情報 その1:e-アカデミー ●▲■
Tips for BFDバックナンバー「焼酎麹」
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/b_tips/b_tips_backnumber.htm
「酒うつわ研究」に連載した「Tips for BFD」のバックナンバーが
このサイトでご覧いただけます。
現在一番上にあるタイトル3つが
鹿児島県工業技術センターの瀬戸口さんに執筆いただいた
「焼酎麹について」の解説です。
●▲■ ご紹介情報 その2:KKディビジョン ●▲■
焼酎・泡盛にお勧めの「AZK」キャップ
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/AZK_hanyo.pdf
一升壜口に対応する新型キャップ、AZKの汎用品です。
「蔵元封緘」の刻印や印刷のほか、
「琉球泡盛」と印刷したものも準備しています。
●▲■ ご紹介情報 その3:eアカデミー ●▲■
「ガス入りのお酒のためのキャップ」
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/capping/closure_p_note_02.pdf
焼酎ベースなどのガス入りリキュールを検討される場合、
どのようなキャップの選択肢があるのか、
キャッピングの技術的なこと、
パストライズ温度と圧力の関係、
などを解説しています。
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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」
http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/
2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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