●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.255 ●▲■
発行日:2019年10月16日(火)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
ビール産業レポート
●▲■ 「グローバルTOP3」「中国TOP3」の動向
●▲■ 「日本4社の海外でのビール生産量」の推定
●▲■ 「アメリカと日本のクラフトビール」の動向
text = 喜多常夫
ご紹介情報:秋のお酒関係のイベント
●1▲ 「30x60ワインキャップの新製品<グリーンキャップ>発表」
10月31日 / 東京パックの出展社セミナー
●2▲ 「SAKE WORLD CUP」
11月2日 / 東京 + 11月3日 / 京都
●3▲ 「酒史学会」
11月9日 / 大阪・近畿大学
●4▲ 「日本酒学研究会・発足記念コンファレンス」
11月23日 / 東京・一橋大学
●5▲ 「日本ブドウ・ワイン学会」
11月29・30日 / 山梨・山梨大学
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最近、ビール関係の新聞報道が多い。
アサヒ:7月、AB InBevから、オーストラリアのビールシェア首位の、
カールトン・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)を
1兆2,000億円で取得することで合意。
CUBのEBITDA率は46%と利益率は極めて高い。
(注:サントリーのビーム買収は1兆6,000億円だった)
AB InBev:アジアパシフィック子会社の香港での株上場計画を
7月に突然中止した(=資金調達計画が狂った)ことが
上記のCUB売却につながった、と報じられたが、
9月末になって急展開し、結局、香港で株を上場した。
SABミラー買収で膨らんだ負債を圧縮し、
他の成長分野に資金を振り向ける目的。
キリン:ファンケル(健康食品大手)の株、33%を取得。
今後とも、健康分野や海外のクラフトビールなど
成長分野に投資。
韓国:日本製ビールの不買運動で、
7月以降、韓国向け輸出は激減。
(注:日本のビール輸出の半分以上は韓国向けである)
世界のビール産業は、目まぐるしく動いている。
今回は、世界と日本のビール業界の分析と小論。
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●▲■ 「2018年のビール会社の世界ランキング」
「バースレポート」というビール業界の分析報告を、
ネットで閲覧できると、最近教えてもらった。
ドイツのホップの会社BARTH-HAAS社が毎年作っている、
「全世界のビール産業を俯瞰するマーケットレポート」。
初回発行は1911年(!)。
直近の2018年版まで100年以上(!)のデータを閲覧できる。
(戦争などで発行していない年もある。
ビール産業全般を俯瞰するようになったのは80年代で、
それまではホップのデータ。とはいえ、
民間企業しては驚異的な継続性。 独白-当社も見習いたい)
そのバースレポートから
「2018年のビール生産の世界ランキング」を抜き書きしてみる。
2018年生産量のほか、2012年生産量、増減も併記した。
<2018年生産量 / 2012年生産量 / 6年の増減>
●1位AB InBev 567.0m.HL / 352.9m.HL / +61%
●2位ハイネケン 233.8m.HL / 171.7m.HL / +36%
▲3位華潤雪花 121.0m.HL / 106.2m.HL / +14%
●4位カールスバーグ 112.3m.HL / 120.4m.HL / ▲7%
5位モルソンクアーズ 96.6m.HL / 55.1m.HL / +75%
▲6位青島 80.3m.HL / 78.8m.HL / +2%
■7位アサヒ 57.9m.HL / 21.2m.HL / +173%
8位BGI(フランス) 40.5m.HL / 26.7m.HL / +52%
▲9位燕京 38.0m.HL / 54.0m.HL / ▲30%
10位Efes(トルコ) 31.8m.HL / 28.4m.HL / +12%
11位ペトロポリス(ブラジル)30.0m.HL / 18.0m.HL / +67%
■12位キリン 27.8m.HL / 49.3m.HL / ▲44%
13位サンミゲル(フィリピン) 24.0m.HL / 17.3m.HL / +39%
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■25位サントリー 8.8m.HL / 7.9m.HL / +11%
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■28位サッポロ 8.4m.HL / 8.4m.HL / ±0%
注)
m.HL=百万ヘクトリットル(十万キロリットル)
●:グローバルTOP3ブランド
▲:中国TOP3ブランド
■:日本のビール4社
アサヒが「+173%」で、増加率トップ。
だが、本当に驚くべきはAB InBevが、
世界1位かつ世界シェア3割にして「+61%」である事だろう。
(2016年に2位のSABミラーを買収したから。
アサヒの増加もSABミラー買収に起因、と言える)
キリンの世界生産量は2015年まではアサヒの世界生産量の約2倍だったが、
キリンがブラジルキリンを手放し、一方、
アサヒがグロールシュやペローニ、ウルケルなどを買収して
一気に逆転した。
サントリーとサッポロの25位と28位は、
上位企業が統合される中で、
結果的に世界ランキングを上げた格好。
(2012年は、それぞれ31位と34位だった。)
「グローバルTOP3」と「中国TOP3」を見ると、
世界も中国も、どちらも、
1位(AB InBevと雪花)が、「最もシェアを伸長」
2位(ハイネケンと青島)が、「ややシェアを増やす」
3位(カールスバーグと燕京)が、「シェア減少」
経営学のケーススタディーの典型のような展開である。
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グローバルトップブランドは、決算に並ぶ成果報告として、
毎年の自社の世界の総ビール生産量を発表している。
(上記のバースレポートのAB InBev、ハイネケンなどの世界生産量は、
アニュアルレポートで自社の実績として公表された数字を使っている。
後述するユーロモニターは、どうも違う数字を使ってるようだ。)
一方、日本のビール4社のそれぞれのビール生産量については、
国内(日本)生産量については業界紙などで知ることができるものの、
世界総生産量は公表していない(と思う)ので、
上記のバースレポートの数字は興味深い。
●▲■ 「日本の4社の2018年の海外ビール生産量」の試算
計算式としては、
「世界生産量」ー「日本生産量」=「海外生産量」
となる。
バースレポートの世界生産量と、業界紙の日本生産量から
日本4社の「2018年の海外ビール生産量」を試算したのが下記。
「世界生産量」ー「日本生産量」=「海外生産量」
■アサヒ 57.9m.HL-18.7m.HL=39.2m.HL
■キリン 27.8m.HL-17.1m.HL=10.7m.HL
■サントリー 8.8m.HL-8.0m.HL=0.8m.HL
■サッポロ 8.4m.HL-5.7m.HL=2.7m.HL
バースの数字がどこまで補足しているのかわからないので、
この引き算が実情をどの程度反映しているかわからない。
が、アサヒが群を抜いているのは確か。
海外生産が日本生産の2倍以上である。
これに2020年、オーストラリアCUBの
約8m.HL(ほぼ、サントリーの日本分相当)が乗る。
(ただ、上乗せしても、世界ランキングはたぶん7位のまま。
6位の中国・青島ビールとの差は大きい。)
ビールの海外生産量は、
かつては、ブラジルキリンを擁したキリンが群を抜いていたが、
今では、アサヒが圧倒的に多い。
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ここでは「バースレポート」の世界生産量の数字を用いたが、
日経新聞では英国の調査会社「ユーロモニター」をよく引用している。
ほかに英国の調査会社「Plato Logic」なども、
世界各社のビール生産量を調査している。
調査会社のデータは有料なので詳細を承知していないが、
「バースレポート」と「ユーロモニター」の数字は結構異なるようだ。
2018年の世界シェアも、以下のようにずいぶん違う。
(以下の「ユーロモニター」の数字は日経新聞の記事から)
1位AB InBev バース 29.8% ユーロM. 26.2% 差+3.6%
2位ハイネケン バース 12.3% ユーロM. 11.1% 差+1.2%
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7位アサヒ バース 3.0% ユーロM. 3.2% 差▲0.2%
AB InBevの3.6%の差は、アサヒの世界シェア以上に相当する大差。
株式保有会社の扱いや委託・受託の扱いの違いが大きいと思われる。
100%子会社の生産分を加算することに異論はないだろうが、
持ち株比率70-80%、
あるいは50%程度の会社の生産量の扱いはむつかしい。
国際会計基準では、単純な持ち株比率によらず
「実質的支配権の有無」で、子会社か否か・連結対象か否か、
が決まるそうだ。
SAB M.は2015年まで、中国1位の華潤雪花の49%の
株を所有していた。
ユーロモニターやPlato L.では華潤雪花の生産量の49%を
SAB M.の実績に加算していたようだ。
一方、バースレポートでは加算していない。
似たような事情を言えば、キリンは(キリンに次ぐ世界13位の)
フィリピンのサンミゲルの48.4%の株を保有しているが、
これはキリン生産量には反映していない。
さらに言えば、キリン・アサヒ・サッポロの3社は世界各国で、
現地の有力ビール会社に委託醸造している。
例えば、キリンはアメリカでは、
AB InBevに「キリン一番」の生産を委託しているが、
これはキリンの生産量か? AB InBevの生産量か??
一方、例えば、キリンも国内工場で、
ハイネケン、
ブルックリン(アメリカのクラフトビール12位、24.5%出資)、さらに、
ヤッホー(33.4%出資)の一部も受託生産ている。
キリンがつくったハイネケンの数量は、
キリンの生産量か? ハイネケンの生産量か??
、、、話は複雑である。
●▲■ 「世界マーケットサイズは、
1.9億キロリットル台でこの10年横ばい」
「ビールの世界生産量」も、
いろいろな機関が公表しているが、
比べてみると数字は異なる。
キリン大学:2018年1,911m.HL(生産量)
「2018年は5年ぶりに増加」
バースレポート:2018年1,904.6m.HL(生産量)
「2018年は2年連続減少」
ユーロモニター:2018年1,974m.HL(販売量)
「2018年は前年比1.8%増加」
「キリン大学」は、キリンが毎年公表しているもので、
世界のビール生産量・消費量についての独自調査。
ネットでは1975年から2018年までの数字が閲覧できる。
上記の通り、
2018年はソースによって「増加」や「減少」と異なるが、
2011年以降ほぼ横ばいである、というのは共通認識。
世界総量は、キリンとバースは非常に近い。
一方、ユーロモニターの総量は日本1国分以上、違っている。
ただ、ザックリいうと、
世界のビールマーケットサイズは
「1,900m.HL=1億9千万キロリットル台」
で、
「この10年ほどほぼ横ばい、今後も増えないだろう」
という認識は共通のようだ。
ほぼ横ばい=総量の成長が止まった中で、
クラフトビールのシェアが増加している、という構図である。
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以上の文章の元データは、
グラフや表などで以下の資料にまとめてあるのでご覧ください。
●▲■ アーカイブ資料
「世界+日本+クラフト」 ビール産業レポート@2019 全19ページ
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/world-alcoholic/beer_ind.pdf
この資料には、大手ブランドの状況だけでなく、
2018年現在7,450か所に達した「アメリカのクラフトビール」
2019年末には480か所に迫る勢いの「日本のクラフトビール」
の状況(グラフ)も掲載しています。
このグラフを見てもらうと、
■1990年代後半に、急成長
■2000年代の最初の10年は、停滞または減少傾向
■2010~2015年以降、再度急成長に転ずる
という図式は、アメリカも日本も同じであるのがわかる。
他国の具体的なデータは持ち合わせていないが、
不思議に世界中が同じパターン。
例えば韓国も、2010年ころまで停滞、その後急成長と、
日本やアメリカと同じ傾向である。
2020年以降のクラフトビールはどうなるのか。
2つのパターンがありうる。
1)
「5年成長と10年停滞が繰り返す」過去のパターンで行くと、
「2020年ころから、そろそろ停滞期」に入るのかもしれない。
経済では、同じことを「繰り返す」パターンはよくある。
2)
「大量生産品に満足しない需要層・生産者」は増えていて、
今後も世界中で増加しそうだ、という実感がある。
とすれば、「クラフトの潮流」はさらに拡大するのかもしれない。
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この文章を書いている日(10月14日)の日経新聞には
「ディアジオ(ギネスビールやジョニーウォーカーを擁する酒類大手)、
ノンアルコール飲料に本腰、
英国のノンアルカクテルベースの会社の株の過半を取得。
ロンドンやNYでは、ノンアル専門のバーが続々誕生」
という記事があった。
冒頭記載の「キリンのファンケル株取得」にしてもしかり。
余談ながら、サントリーのTVコマーシャルも、ビールやウイスキーより
健康食品のCMの方が目立つ気がする。
仮に2)のパターンになるにしても、
アルコール消費自体が縮小することは前提条件となる。
text = 喜多常夫
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今回のご紹介情報は、
当社が関連する、秋のお酒関係のイベントのお知らせです。
(事前登録・申し込みなどで参加していただけるイベントです。)
●▲■ イベント情報 その1 ●▲■
「30x60ワインキャップの新製品<グリーンキャップ>発表」
10月31日 / ジャパンパックの出展社セミナー
ワインのスクリューキャップ(30x60サイズ)は、
世界でも日本でも、ますます増加傾向にありますが、
開封後にアルミのスカート部がガラスびん側に残るのが課題でした。
イタリアのグアラ社の<グリーンキャップ>は、
アルミが残らない、画期的な30x60キャップ。
グアラ・クロージャーズ・ジャパン社のブース(小間番号:3G-04)で、
当社がキャッピングのデモ運転を担当します。
また、31日のセミナーでプレゼンの一部を担当予定。
ネットで、無料入場登録や、セミナー事前登録が可能です。
ジャパンパックは、2019年10月29日(火)~11月1日(金)。
(ご注意:今年は「ビッグサイト」でなく「幕張メッセ」です。)
●▲■ イベント情報 その2 ●▲■
「SAKE WORLD CUP」
11月2日 / 東京 + 11月3日 / 京都
世界のSake文化を知り、
実際に海外で醸造されたSakeを愉しむイベント。
http://sakeworldcup.com/
当社のお酒販売サイト「エピキュリアン」で販売している
カナダ、アメリカ、スペインのSakeも出展します。
●▲■ イベント情報 その3 ●▲■
「酒史学会」
11月9日 / 大阪・近畿大学
「考古資料から見た近世伊丹の酒造・酒造業」
「中世京都の酒造遺構」
「古代エジプト最古のビール造り」
の演題が予定されています。
関心のある方はだれでも参加できます。
ネットで調べても出てこない、マニアックな(?)学会なので、
参加申し込み先は、きた産業 info@kitasangyo.com にお問い合わせください。
●▲■ イベント情報 その4 ●▲■
「日本酒学研究会(発足記念コンファレンス)」
11月23日 / 東京・一橋大学
今田周三氏(日本の酒情報館)
七田健介氏(天山酒造)
尾畑留美子氏(尾畑酒造)
千葉麻里絵氏(GEM by moto)
後藤奈美氏(酒類総合研究所)
の各氏の講演が予定されています。
関心のある方はだれでも参加できます。(定員80名で締め切り)
http://nihonshugaku.blog.jp/archives/3784289.html
●▲■ イベント情報 その5 ●▲■
「日本ブドウ・ワイン学会」
11月29・30日 / 山梨・山梨大学
オーラル発表13本
ポスター発表16本
特別講演「Chardonnay Production Techniques」
セミナー「日本ワイン誕生考―知られざる明治期ワイン造りの全貌」
などが予定されています。
きた産業は、産業会員として小展示を行います。
参加には事前登録が必要です。
http://www.asevjpn.wine.yamanashi.ac.jp/asevnews.html
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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」
http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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