●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.258 ●▲■
     発行日:2020年2月7日(金)
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 2019年の想定外、2020年も想定外
   ■ 2019年の韓国向け輸出量:
                 清酒46%減、ビール39%減
   ■ 2019年の清酒全体の輸出:
                 量3%減、金額5%増
   ■ 2019年の海外の日本食レストランの数:
                 15.6万店、2年で30%増

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                            text = 喜多常夫

 

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前回、12月末配信のメルマガで、「2019年のX(バツ)」 として、

   韓国向け輸出:
   清酒・ビールとも対前年比4~5割減の見込み
   日韓関係の悪化に伴い、
   2019年7月以降の韓国向け清酒輸出は激減し、
   ついに10月は1KL(正確には1.19KL=約7石)、
   ほぼ貿易停止!

と書いた。

12月末時点で、貿易統計は10月までしか出ていなかった。
その後の経過が気になっていたが、今週になって
2019年暦年のデータが公開されたので、数字を拾ってみた。

   <2019年の韓国向けの清酒輸出>
    7月   1,454石
    8月   826石
    9月    223石
   10月     7石 (!)
   11月   149石
   12月  174石

10月の「ほぼ停止状態」が、11月12月とわずだが改善。

お正月にいくつかの蔵元で韓国向け輸出のことを聞いたところ、
    「止まったまま」
と嘆息する会社もあったが、
    「年末から若干再開」
という会社もあった。数字の上でも表れている。

ただ、年間トータル実績は、以下のように対前年で激減。

   2018年合計   2.97万石  22.1億円
   2019年合計   1.62万石  13.6億円
   量で46%減 (▲1.35万石)
   金額で39%減 (▲8.5億円)

▲1.35万石とは、日本の全清酒生産量の0.5%くらい。
インパクトは大きい。

日本製品だけでなく、アメリカ製清酒にも影響が出ている。
日本の大手ブランドのカリフォルニアの清酒工場は、
米韓FTAで優遇される韓国には多量に輸出している。
が、日本銘柄故に不買運動の対象である。

 

2019年の前半の韓国向け輸出は、2018年と概ね同じで悪くなかった。
状況が変わったのは8月からで、
「2019年後半の5か月間の輸出減」だけで年間46%減である。

2020年は、月々の数字が少し改善するとしても
「12か月間通して輸出減」が続く可能性がある。
したがって、2019年の46%減に続いて、
2020年もさらに20-40%減、
場合によっては、もっと減る可能性さえある。嗚呼。。。

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ビールについても記載しておきます。

   <2019年の韓国向けのビール輸出>
    7月 7,931 KL
    8月 594 KL
    9月 1 KL
   10月 0 KL (ゼロ!)
   11月   55 KL
   12月 106 KL

韓国向けビール輸出は
10月に統計上「ゼロ」となったことが一般紙でも話題になったけれど、
清酒と同じく11月12月はわずかに再開。
しかし、従前、月平均6,000KL以上あったものに比べ
55KLや106KLはあまりにも少量で、先は見えない。

韓国向けビール輸出の年間トータルの前年比較は以下。

   2018年合計   7.99万KL  78.8億円
   2019年合計   4.89万KL  40.0億円
   量で39%減 (▲3.1万KL)
   金額で49%減 (▲38.8億円)

日本のビール大手は、4社すべてが韓国に輸出している。
アサヒスーパードライが韓国輸入ビールのトップシェアで、特に輸出量が多い。
また、いくつかのクラフトビールも輸出しているので、影響があるだろう。

清酒輸出は、いろいろな国が相手であるのに対し、
ビール輸出は、輸出全体に占める韓国向けが過半。
(韓国向けが、ビールの輸出量全体に占める割合は、
2018年68%、2019年55%)

したがって、
「韓国向け輸出激減」は「ビール輸出全体の激減」と同義。

日韓関係の悪化は日本の様々な産業に影響を及ぼしているが、
日本の酒類輸出戦略にも大きな影響がでている。

 

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清酒の輸出に話を戻す。

2019年の清酒輸出は、全体(全世界向け合計)として、
金額では増加を維持したが、量で減少した。
関係者にとって、ショックは大きいだろう。

   2018年合計   14.30万石  222.3億円
   2019年合計   13.85万石  234.1億円
   量で3%減 (▲0.45万石)
   金額で5%増 (+11.8億円)

21世紀に入って清酒の輸出は順調に増加してきたなかで、
前年比減は、リーマンショックの2009年に続き2回目の経験である。
(2009年は量・金額ともに前年比減だったが、
2019年は量のみ減、金額は増を維持したのは救いである。)

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清酒の輸出先TOP5は、2018年はこんな順位だった。

2018年 <量の順位>     <金額順位>
  1位   アメリカ           アメリカ
  2位    韓国            香港
  3位    中国            中国
  4位    台湾            韓国
  5位    香港            台湾

韓国向け激減と、中国の躍進があって、2019年はこう変わった。

2019年 <量の順位>     <金額順位>
  1位   アメリカ           アメリカ
  2位    中国            中国
  3位    韓国            香港
  4位    台湾            韓国
  5位    香港            台湾

韓国は、量で2位から3位に後退。
代わって、中国がアメリカに次ぐ2位になった。
金額でも、中国は香港を追い抜いて2位。

中国の2019年実績は「量で24%増、金額で39%増」。
1位のアメリカの「量で8%増、金額で7%増」に比べても、
成長力が圧倒的に大きい。

日中関係は必ずしもいいとは言えない中で、
中国向けの清酒輸出は、この10年拡大を続けてきた。
(個人的独白:
もしもトランプさんと習近平さんの仲が悪くなかったら、
韓国より先に、中国で日本製品不買が起こっても、
おかしくなかったと思う。何が幸いするかわからない。)

中国は今後ますます重要な市場になる。
もしも今の勢いが続けば、
2021年に中国はアメリカを抜いて、
量でも金額でも清酒輸出国1位となる計算。

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だが、、、、
連日トップニュースで報道される「新型コロナウィルス」がある。
中国国内の経済活動が大幅に制限されている影響は、
2月以降の中国向け輸出に、確実に出るだろう。

2019年の韓国向け輸出についで、
2020年は中国向け輸出も打撃をこうむる可能性がある。

オリンピックイヤーで期待された日本国内のインバウンド需要も
しかりである。
世界中のアジア系レストラン(日本食を含む)の需要減退に
つながる可能性さえあるだろう。

「想定外」という言葉は、気候変動や台風のほか、
ビジネスでも常套句になってきたが、
     韓国(日韓関係の極端な悪化)
     中国(新型コロナウィルス)
は、まさに2019年と2020年の想定外だろう。

     香港(民主化デモ)
     台湾(対中関係)
も、輸出にとって想定外を生み出す要因でありうる。
もっと言えば、北朝鮮の動静もある。

韓国、中国、香港、台湾は、
この4か国だけで清酒輸出全体のほぼ50%を占める。
4か国で同時に「想定外」が起これば、清酒輸出は半減する。

「想定外を想定内にすることが経営に必要」と言われる。
アジアのリスクを想定内にするためには、、、
アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアを加速せよ、ということになるのだろうか。

いやむしろ、
順調な成長のロードマップを、
いったん棚上げすることも必要かもしれないと思う。
短期的な過剰な宣伝や無理な販売は、
長期的なサケの国際的価値を毀損しかねない。

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2019年暮れに、もう一つ、
興味深い統計が公表されている。

農林水産省が「海外の日本食レストランの数」を発表した。
2019年時点で15万6,308店、2年で1.3倍になったとのこと。

これは毎年発表されているわけでない。
近年は2年に1度だが、私の知る限り、過去6回公表されている。

    <海外の日本食レストランの数>
      2006年    2.4万店
      2010年    3.0万店
      2013年    5.5万店
      2015年    8.9万店
      2017年   11.8万店
      2019年   15.6万店

「海外の日本食レストラン数」は特に2010年以降、急増していて、
そのことが日本酒輸出増の「最も主要な原動力」となっている。

「日本酒輸出」は「海外の日本食レストラン数」と明確な相関関係がある。

今のところ、まだ日本食レストランは増加傾向だが、
いずれ頭打ちになることを想定内にしなくてはならない。
その時、清酒輸出の減速を回避するためには、
非日本食レストランや家庭のサケ需要の開発に注力しておかねばならない。

                     text = 喜多常夫

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さて、商品紹介です。

●▲■ ご紹介商品 その1 KKディビジョン ●▲■
「jZK」グローバル・スタンダードのサケのTトップ栓
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/JZK.pdf

●▲■ ご紹介商品 その2 K2ディビジョン ●▲■
ガラス栓「ヴィノロック」 ウルトラプレミアムの商品に
   印刷や着色の資料
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/vldeco.pdf
   サケびん口(口内径20)用の資料
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/SVL.pdf
   ワインびん口(口内径18.5)用の資料
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/VL18_5.pdf

●▲■ ご紹介商品 その3 ROOTSディビジョン ●▲■
「サケ・フロイント」 電磁流量計制御の4ヘッドマニュアル充填機
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/sake_freund.pdf
   動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=5TJOvJFWihw

 

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