●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.270 ●▲■        
発行日:2021年2月26日(金)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■  「日本酒は世界一の長寿企業群」 <前編>
■ 4つの論拠:
世界の中の日本+日本の中の清酒+200年以上蔵元+灘伏見大手
■ 「5社に4社が創業100年以上」+「4社に1社が創業200年以上」
■ 欧米DNAは「建物の継続」、日本DNAは「家業の継続」?

                          text = 喜多常夫

きた産業の「直販サイト」のご紹介
●1▲ 紙コップ型の空間除菌剤 「OPA+(オーパプラス)」
●2▲ 世界のSake(清酒)とKita Winesを直販 「エピキュリアン」
●3▲ ガラスびんを1本から販売 「うえぶ・びん屋」

 

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新潟大学に事務局を置く「日本酒学研究会」
https://sites.google.com/view/nihonshugaku 
が、この度、メールマガジンを始められた。
2月19日に配信された第1号に、エッセーを書かせていただいたが、
了解を得て、掲載された文章に大幅に加筆したものを再掲させていただきます。

 

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醸造や醗酵といった側面だけでなく、
文化、歴史、経営、租税、米栽培、国際化など、
実に様々な切り口があることが、「日本酒学」の魅力である。

中でも興味深く思っているのは、
「日本酒は世界一の長寿企業群」であることだ。
その長寿ぶりを証明するため、以下に4つの情報を記載する。

 

<<情報1>>
「創業100年以上企業は世界に80,066社、うち日本は33,076社で41.3%
創業200年を超える長寿企業は世界で2,051社、うち日本は1,340社で65.0%
200年以上の長寿企業は、
1位日本1,340社、2位アメリカ239社、3位ドイツ201社、4位英国83社で、
1位日本は、けた違いに多い」
(「周年企業ラボ」の調査、2020年3月18日)
https://consult.nikkeibp.co.jp/shunenjigyo-labo/survey_data/I1-03/

日本の企業の長寿ぶりは、世界の中でとびぬけている事が分かる。
企業や家業の目的は多くの国で「利益の最大化」にあるのに対し、
日本では歴史的に「企業や家業の存続」を優先する傾向があるのだと思う。

 

<<情報2>>
「100年以上の老舗企業は、2018年11月時点で全国に3万3,259社。
業種別では1位貸事務所894社、2位清酒製造業801社、
3位旅館ホテル618社、4位酒小売611社、5位呉服・服地小売568社」
(帝国データバンク「老舗企業の実態調査2019年」2019年1月8日)。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190101.pdf

帝国データバンクのデータベースにある清酒製造業は1,050社(2020年12月現在)。
したがって、100年以上の801社は、データのある清酒製造業の約8割である。
「5社に4社が創業100年以上」という事実をみれば、「会社数」では2位だが、
清酒製造業は間違いなく「比率」1位の業種である。

なお、帝国データバンクのデータベースでは清酒製造業は1,050社だが、
データベースでは収載していない零細蔵元や、
帝国データバンクの分類で清酒が主業でない企業もある。
後述する通り、清酒製造業は約1,200とも、1,500以上とも言えるが、
その場合、100年以上企業比率は、8割より上がるように思う。

2019年公表の、直近のこの調査では、貸事務所が1位で清酒製造業は2位。
ただ、それ以前の調査では清酒製造が1位の常連であったことも付記しておく。

また、「100年」の区切りで見ると今現在は、貸事務所、清酒製造の順だが、
「200年」という区切りで見ると、貸事務所というのは成立しにくい時代が長い。
200年以上なら、清酒製造は会社数でも1位確実だと思う。
次に引用する情報3もその論拠である。

 

<<情報3>>
「18世紀までに創業の蔵元(すなわち創業215年以上の蔵元)で、
いまも清酒製造を継続している会社は294社(2015年時点)」
(醸造協会誌2015年9月号 「18世紀までに創業した清酒・焼酎蔵元
296社とその分析」 喜多常夫、注:うち2社は焼酎なので清酒は294社)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/110/9/110_604/_article/-c
har/ja

上記は5年前の、私の調査。
今現在は、200年以上の蔵元は「300社」以上と推測する。

一方、直近の(2020年2月公開の)国税庁による清酒製造状況調査で
(清酒免許場数は1,720場、製造場数は1,563場あるのだが)
平成30酒造年度において実際に清酒を製造したのは1,199場。
つまり、現在、毎年清酒製造を行っているのは「1,200社」程度でしかない。

(200年以上が「300社」)/(アクティブな蔵元が「1,200社」)と考えると、
「4社に1社が創業200年以上」である。
前述のとおり、
「5社に4社が創業100年以上」でもある。
このような業種はほかにはない。

 

<<情報4>>
「清酒のいわゆるナショナルブランド、「灘・伏見大手」11社のうち、
実に8社が創業250年以上~500年以上である。
剣菱(1505年)、白雪(1550年)、月桂冠(1637年)、菊正宗(1659年)
白鹿(1662年)、大関(1711年)、沢の鶴(1717年)、白鶴(1743年)
それ以外の3社は、
日本盛(1899年)、松竹梅(1925年)、黄桜(1925年)
で、100年越え、またはもうすぐ100年。
ただ松竹梅と黄桜の1925年は、現ブランド設立年、あるいは分家の年であって、
清酒造りのルーツは1800年代や1700年代にさかのぼる。」
(前掲の醸造協会誌)

「灘・伏見大手11社」の2019年の生産量は合計約120万石で、
全国の総生産量約260万石の46%を占める。
一定以上の規模の産業でありながら、
そのシェア上位がこれだけ「長寿企業ばかり」で占められる産業は、
世界で他にないと思う。

酒造業は世界的に長寿企業が多い業種であり、
ヨーロッパのワイン、ビール、ジンなどでも数百年の歴史あるブランドがあるが、
長寿ブランドのマーケットシェアはこれほど高くない。

 

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2020年のコロナ感染拡大で多くの企業がダメージを受けた。
酒造業はダメージが大きい業種の部類である。
2021年も悪い状態が続くのは必至で、乗り越えられない企業もあるだろう。

ただ、100年、200年、300年といったスパンで見たら、
今のコロナ感染以上の危機がたくさんあったはずだ。

2度の世界大戦、政府による企業統合命令、
食料や物資の統制、米の大凶作、
スペイン風邪・ペスト・天然痘・コレラなどのエピデミック、などなど。
老舗の蔵元は、これらの危機を生き抜いてきた。

直近では、阪神大震災と東北大震災の事例がある。
当然ながら廃業された方もいるが、
倒壊しながら再開した蔵元は多い。

 

  ■岩手「酔仙酒造」
2012年8月に岩手の「酔仙」の新工場竣工式に出席した経験を思い出す。
陸前高田にあった同社は2011年3月の東日本大震災の津波で、
社員7名が死亡、全社屋・全設備を失った蔵である。
事業再開にかかる膨大な資金や労力、業界を取り巻く環境を考えれば、
廃業されても不思議ではなかったが、大変な努力をされて事業を再開された。
再開を決めた理由は様々あったと思うが、
他の事業ならぬ「清酒であればこそ」という要素も多々あったのではないか。
酔仙は1944年創業だが、それは戦時整備令により8軒の蔵元が1軒になった年。
長い伝統のある清酒蔵元である。

 

あたかも清酒製造業には
「事業継続の意思」がDNAとして組み込まれているかのようである。

世界一の長寿DNAをもつ清酒製造業、長寿の持つ価値は極めて高い。
日本酒のユネスコの登録を目指すうえでも大きな理由にできるが、
そんな話を超えた、世界に誇るべき高い価値・今後も守るべき価値であると思う。

 

以下は、まったく、個人的なイメージなのだが、、、

欧米には、「建物の継続」を大事にする文化がある。
築200年、300年といった家屋をとても大事にし、
現オーナーが手放しても、次のオーナーが古さを維持して使い続ける。
都市部でも田舎でも、わざわざ古い家を探して自宅にする人は多い。

木造建築の日本では、このようなことがない(しにくい)。
飛躍が過ぎるかもしれないが、
その代わり「家業の継続」が文化になっているのかもしれない、、、と感じる。
清酒に限らず宿屋や菓子舗など、家業を200年、300年と守る事例は多い。

江戸時代から昭和初期まで、素封家で嫡子がいない場合、
娘に婿養子を迎えて家督や家業を引き継がせるのが一般的だった。
娘もいない場合は、養女をもらい、婿養子をとって、次世代に家業を継いでいく。
今も、このようなことはよくある。
これは日本の「家業の継続」の「要(かなめ)」の要素になっているのではないか。
長寿企業の多くは、これを経験していると思う。
(養子は実は欧米の長寿企業でも同じかもしれないが。)

             (後編に続く)
text = 喜多常夫

 

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さて、商品紹介です。
今回は、きた産業の「直販サイト」を3つご紹介します。

 

●▲■ ご紹介情報 きた産業の「直販サイト」 その1 ●▲■ 

  紙コップ型の空間除菌剤 「OPA+(オーパプラス)」
https://opa-plus-technology.com/ 

きた産業が、「ワンプッシュ」の「二酸化塩素・空間除菌剤」を新発売。

お酒のお燗機能付き容器以来、
30年以上生産している「ワンプッシュで2種の薬品を混合」するパッケージと、
クラフトビール向け殺菌剤として、
20年以上販売してきた「二酸化塩素」を組み合わせた応用製品です。

デスクトップ、工場、エアシャワー室、トイレ、更衣室などのウイルス対策に。
1箱6個入りで4,950円+送料です。

 

●▲■ ご紹介情報 きた産業の「直販サイト」 その2  ●▲■       

  世界のSake(清酒)とKita Winesを販売 「エピキュリアン」
https://sakaya-epicurean.com/

 ●アメリカ・サンフランシスコの 「セコイヤサケ」
●カナダ・バンクーバーの 「アーティザンサケ」
●アメリカ・シアトルの 「タホマ富士」
●スペイン・カタルーニャの 「セーダ・リキーダ」
●輸出専用ブランド(関谷醸造) 「エンター・ドット・サケ」
と、
●アメリカ・サンタ・イネスバレーの至宝 「Kita Wines」
を販売しています。

 

 

●▲■ ご紹介情報 きた産業の「直販サイト」 その3  ●▲■ 

ガラスびんを1本から販売「うえぶ・びん屋」
https://web-binya.com/

ユニークなカタチのガラスびんを、1本からばら売り。

 ■樽の「ガラス製バング」
■樽からサンプリングするための「ガラス製シーフ」
■ディスプレー用の小型ピュピトル
■ワインのスクリューキャップのスカートカッター「PEQI」
など、マニアックな商品もあります。

 

 

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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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