●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.271 ●▲■  
発行日:2021年3月3日(水)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

 

<お知らせ>
          きた産業は、
 2021年3月9日から12日まで幕張メッセで開催される
「FOODEX JAPAN 2021」への出展を取りやめました。

    昨年、出展を申し込み、ブースを確保していましたが、
     緊急事態宣言が3月7日まで延長された時点で、
社員の安全確保などを考慮してキャンセルを決め、主催者に連絡しました。

  直近では感染は減少傾向なので、出展取りやめは残念でしたが、
      ご理解くださいますようお願い申しあげます。

 

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 「日本酒は世界一の長寿企業群」 <後編>
  ■ 長寿企業が多い「からくり」:新しい免許がでない
  ■ 長寿と裏腹の実態:「老舗倒産が最も多い業種も清酒」
  ■ 増える「新清酒蔵」と「新オーナー」:受け継がれてほしい長寿DNA
  ■ 長寿DNAは、日本だけで発現する「変異型」?

                              text = 喜多常夫

ご紹介情報●1▲ 「グリーンキャップ」「ノマコルク」「ヴィノロック」
ご紹介情報●2▲ クラフトビールの缶に「ガッシング付きハンドシーマー」
ご紹介情報●3▲ 進化した「スマートスクリュー」

 

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前回メルマガで、「日本酒は世界一の長寿企業群」であることを
4つの数字資料をあげて論考した。
そして
「清酒製造業には、事業継続の意思がDNAとして組み込まれているが如し」
と書いた。

 

しかし実は、清酒蔵元に長寿企業が多いのには、
「DNA」以外の「からくり」もある。

 

清酒製造は、多くの国の酒造業がそうであるように「免許制」である。
日本政府はこの50年、日本酒需要が減少し続けていることを主な理由として、
基本的に新規の清酒製造免許を認めていない。
範囲をこの100年に広げても、新規免許は少ない。

戦後の主な新規清酒免許取得者は、
  ●企業合同や共同事業などで、新規が合理的と認められた免許
  ●廃業する蔵元の免許を買って、新会社とした蔵元
  ●朝鮮や樺太で酒造経営をした実績で戦後に国内で新規免許を得た蔵元
  ●その他の特殊事情
などに限られる。

手元に、2015年に調査した時の全国蔵の創業年リスト(完全ではない)があるが、
1920年以降創業(現時点で創業100年未満)の清酒蔵元は、
千数百社のうち200社強でしかない。

新しい蔵が増えないのだから、
必然的に長寿企業が多数派になる、というのが「からくり」である。

 

一方、100年前の1920年には清酒免許場は9,791場あったのが、
2020年は1,500場程度になったと思われる。
(注:前回メルマガ引用の直近の公表データ、製造場数1,563場からの推定)

差し引き100年で8,300場程度が、廃業・倒産または統合した計算。
8,300の中にも、社歴200年300年といった蔵元は多かったであろうことを思えば、
歴史があるからといって淘汰を免れるわけではない。

実際、帝国データバンクや東京商工リサーチの調査で、
「老舗企業の倒産ランキング」の1位が、清酒であることが多い。
長寿と裏腹であるが、厳然たる事実である。

 

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前回、東北大震災後の岩手の「酔仙」の事業継続の事例を書いたが、
逆のケースとして、私の地元、灘の「多聞」と「富久娘」の事例も記しておく。

 

  ■灘(西宮)「多聞酒造」
  「多聞」は1924年酒造開始なので、比較的新しい蔵といえる。
  10階建てほどの高層建築の工場兼事務所を竣工されたり、
  社長が酒造組合中央会の会長をされていたことなど、
  有名な灘の準大手ブランドだった。
  多聞は2000年ごろは4万石以上で、
  生産量が全国トップ20に入る大手だったが、
  阪神大震災後の様々な事情や酒販免許自由化で売上が低迷し、2002年に破綻。
  負債総額が巨額で、当時ずいぶん話題になった。
  (多聞ブランドは大関が引き継いで、今も継続している。)

 

  ■灘(神戸)「富久娘酒造」
  「富久娘」は創業1681年の老舗ブランド。
  花木酒造から、東洋醸造、旭化成を経て、現在はオエノンのブランド。
  「富久娘酒造」は2018年に社名変更し、かつての富久娘の工場は、
  現在は「オエノンプロダクトサポート」社になっている。
  富久娘は2000年ごろは6万石以上で、
  生産量が全国トップ15に入る大手だったが、
  阪神大震災後は、年々販売量を落としていた。
  創業後、実に337年経過して、社名が消えたことになる。
  (富久娘ブランドは継続していて、オエノン傘下の福徳長が製造。
  また、オエノングループとしての清酒総製造量はむしろ順位を上げ、
  現在トップ10に入る。)

 

この2社は阪神大震災で被災したとはいえ、建物や設備を失ったわけではない。
しかし、震災後の様々な変化が、廃業や社名変更の大きな要因となったと思う。

当社にとって、この2社は半世紀以上の継続的取引のある大きな得意先だった。
多聞は、カップ酒のキャップの注文がとても多かったのを覚えている。
富久娘は、花木酒造時代からのお取引先であるし、
旭化成時代は「お燗機能付き・燗番娘」の容器を当社が生産していた。
2社ともブランドは継続しているとはいえ、寂しい限りである。

多聞はオーナー経営、富久娘は大手資本傘下であるので、
廃業や社名変更の決断に至った事情は異なるだろう。
ただ、灘であるから・大手であるからと言って生き残れるわけではないこと、
老舗ブランドであっても常に淘汰のリスクがあることの証左である。

 

多聞と富久娘はブランドとして継続しているが、
名前も消えてしまった灘のブランドは、実に多い。

私は、灘五郷の「西宮郷」と「今津郷」がある西宮市に住んでいる。
阪神大震災前、「西宮郷」と「今津郷」で20を超える蔵元があったが、
今は12しかない。

 

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清酒製造業が長寿である背景には、
清酒酒造免許を長年制限してきたことがあることを書いたが、
最近、清酒免許に関する政府の方針が変わってきた。
また、清酒免許保有者の様相が変わってきた。

 

  >>>その1:「新清酒蔵」
以下のような、「まったく新しい清酒醸造所」が次々できている。

 ■東京:東京駅酒造場(はせがわ酒店、清酒の試験免許)
 ■兵庫:黒田庄醸造所(「醸し人九平次」の自社水田の新清酒蔵)
 ■北海道:帯広畜産大学内の「碧雲蔵」
 ■鹿児島:焼酎「宝山」の西酒造による新しい清酒蔵
 ■富山:IWA sake(ドンペリの醸造家、リシャールさんの日本酒)

  (追記:配信時は「福井」と記していたものを「富山」に修正)

免許を移したものであっても、
業界活性化を意図して新規に近い考え方で許可したものもあるように感じる。

また、「輸出に限れば新規免許を認める」という新方針は、
業界では議論があるし、今現在適用例はないものの、大きな方針転換である。

 

  >>>その2:「新オーナー」
もう一つの変化は、長年家業であった古い酒蔵が、
買収されて「新オーナー」になる事例が増えていること。

これは昔からあることで、灘伏見大手でも長い歴史でオーナーが変わった蔵が多い。
新オーナーは、新たに自分の家業として代々蔵を受け継いできた。

一方、近年の新オーナーは以下のような人たち。

 ■酒蔵・食品企業を専門的に買収する会社(JFLA、田中文悟商店など)
 ■大手・中堅の清酒・焼酎メーカーが、中小蔵元を引き継ぐ
 ■地元有力企業(旅館、教育、食品、介護、流通、運輸、外食、、、実に様々)
 ■清酒造りにチャレンジしたい個人

新オーナーに代わることは、業界では複雑な想いがあるだろうが、
俯瞰的に見て、伝統ある清酒蔵元を維持するために、有益であると思う。

現在、日本全国でどのくらいの数が新オーナー酒蔵であるかは、わからない。
そもそも「新オーナー」かどうかの判定も難しいが、相当な数であるのは確かだ。
例えば、酒蔵が日本一多い県である新潟では、
総数約90のうち20程度、実に約1/4が「新オーナー」であると思われる。

 

2020年代は、清酒産業は新たなフェーズに入るようだ。

古い蔵元だけでなく、新しい酒蔵も徐々に増えるのだと思う。
業界外からきた経営者は、家業的発想でなく、新しい経営になるだろう。
企業の継続に執着しない人も増えるだろうが、
「長寿DNA」は、新しい酒蔵にも受け継がれてほしいと思う。

 

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話はそれるようだが、先週、
「北米酒蔵同業組合」と「在米日本大使館」の共同企画による、
「日本の蔵元3人」と「アメリカのクラフトサケ醸造者3人」の
トークショー的ウェビナーを見た。

 注:「北米酒蔵同業組合」 → クラフトサケ醸造者の組合ができている!
   英名は、Sake Brewers Association of North America。
   余談ながら、昔、西海岸に進出している大手の清酒会社が、
   日本的な酒造組合をつくろうとしたら
   競争原理に反する、という理由で止められたと聞いたことがある。

日本と違ってアメリカでは、各州毎の要件を満たせば、
サケ製造の新免許は誰にでも取得できる。
アメリカの参加者のうち1人は2020年にLAで始めた醸造所で、
コロナ禍でもクラフトSakeが増えていく事に、Sakeの力強さを感じた。

6人の方々の顔や話しぶりをZOOMで眺めていて、
「日本の蔵元は次世代に引き継いでいくのは間違いない」
と感じる一方、何故か、、、
「アメリカ人たちのSake醸造所は、20年先、30年先も続いているかなあ、、、」
と感じてしまった。

「長寿DNAは、日本だけで特異的に発現する「変異型」かもしれない」
という事も、付け加えておきたい。

 

将来、2050年や2100年になっても、
多くの創業100年以上、200年以上の日本酒蔵元を維持することは、
世界で唯一無二の価値になると思う。

日本だからこそ、できる事だと考える。

                    text = 喜多常夫

 

 

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さて、商品のご紹介です。

 

●▲■ ご紹介情報 その1 K2ディビジョン ●▲■ 

ワイン栓「グリーンキャップ」をご採用いただいた事例
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_290_Greencap.pdf 

ワイン栓「ノマコルク」をご採用いただいた事例
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_286_NOMACORC.pdf

ガラス栓「ヴィノロック」をご採用いただいた事例
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_285_VINOLOK.pdf

きた産業は、自社製のキャップに加え、
世界のユニークなキャップ・栓をご紹介しています。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その2 ROOTSディビジョン ●▲■ 

クラフトビールの缶に「ガッシング付きハンドシーマー」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/seamer/handseamer_g.pdf

缶ビールは、コロナ禍でも売れる商品です。
小規模生産のための、
「無地缶の小ロット供給」の対応も致します。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その3 KKディビジョン ●▲■ 

進化した「スマートスクリュー」
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/smart_screwz.pdf

ネジ山の見えない、30スタンダード口対応のキャップ。
2020年から、裾部を折り返した「セーフティーエッジ」の
「スマートスクリューZ」に進化しています。

 

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」

http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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紹介商品に関するお問い合わせは、営業部まで。
西日本担当:大阪営業部
tel.06-6731-0251 mailto:osaka@kitasangyo.com
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