●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.273 ●▲■
発行日:2021年4月17日(土)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
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●▲■ COVID-19のインパクト考 <日本酒 & Sake編>
■ 「コロナによる国内清酒の減少は、▲7%?」
■ 「コロナによる清酒の紙パックの増加は、+4%?」
■ 「コロナによる海外のSake消費の減少は、▲20%?
しかし、プレミアム化が進行し、クラフト・サケ醸造所は増加」
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ 清酒の缶詰機「TRON」と、「詰太郎」のレンタル
ご紹介情報●2▲ フランスZALKINのキャッパー「TM-300」
ご紹介情報●3▲ スパークリングの「サケ」「ワイン」「シードル」の資材のご採用事例
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「東大寺の大仏」は「疫病(天然痘)」など災厄平癒を祈願して建立された、
というのは有名だ。
最近、知った意外な話:
「大阪に水道」ができたのは130年ほど前で、日本で4番目の水道だそうだが、
その背景には「コレラ」があったそうだ。
明治初期は数度のコレラ流行の波があって、
明治12年は大阪で1万人死んだ。(全国では10万人以上死亡)
これを防ぐには清潔な水=水道が不可欠、ということで、
当時の市の予算の3倍の工事費が議会で通り、水道ができたのだそうだ。
話は飛ぶようだが、連想したこと:
「日中戦争・第二次世界大戦」で日本は食糧不足、米不足となった。
清酒に使う米が制限された結果、「アルコール添加の清酒」が開発され、
戦後はそれが、一般的な清酒として日本社会に定着した。
「三増酒」が廃止されるのは半世紀以上あとの2006年。
「二増酒」は今も普通に流通している。
奈良の大仏、大阪の水道、清酒のアルコール添加、、、
意外なものが、実は災厄(疫病や戦争)を起点としているのだなあ、と思った。
コロナも、意外な影響を社会に残すだろう。
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某上場企業の決算予測で、こんな表記を見かけた。
営業収益
2019年度実績7,627億円
2020年度予想5,750億円
増減▲1,877億円(うち、コロナの影響▲2,187億円)
営業利益
2019年度実績952億円
2020年度予想▲120億円
増減▲1,072億円(うち、コロナの影響▲1,164億円)
惨憺たる売上・利益の予測もさることながら、
「うち、コロナの影響」の金額は、いったい全体どうやって算出したのか、、、
というのが不思議だった。
ある程度の裏付けをもっているのだろうが、なかなか難しい計算だろう。
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で、清酒について、「うち、コロナの影響」を考えてみることにした。
まず、「国内市場」についての考察。
清酒の出荷量(国内分、1~12月)
2019年 258.8万石
2020年 231.1万石(前年比▲10.7%)
この数字から、「コロナの影響で1割減」とよく言われるが、
本当にそうなのだろうか。
もう少し長く、時系列をとってみる。
●清酒の出荷量(国内分、1~12月)
2015年 307.7万石(前年比▲2.0%)
2016年 299.2万石(前年比▲2.8%)
2017年 295.4万石(前年比▲1.3%)
2018年 274.4万石(前年比▲7.1%)
2019年 258.8万石(前年比▲5.7%)
2020年 231.1万石(前年比▲10.7%)
コロナのなかった2015年から2019年までの5年間の減り方を平均すると
1年につき▲3.8%
これから類推すると、
コロナがなくても2020年は▲3.8%減った蓋然性、あるいは可能性がある。
つまり、2020年の減少の、「うち、コロナの影響」は
▲10.7%ー▲3.8%=約▲7% ・・・ A
と言えるのではないか。
コロナは、「3年分の清酒の減少を1年に縮めただけ」
という言い方もできるかもしれない。
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大手製壜メーカーが加盟する「日本ガラスびん協会」が公表する、
「清酒向けに出荷した新壜の本数」を書き出すと以下のようになる。
(注:より正確には、協会に加盟していない製壜メーカーの新壜や、
1.8L壜を中心にした回収壜があるので、2,000万本程度が上乗せされる。)
■清酒向けのびんの出荷本数(1~12月)
2015年 4億9,398万本(前年比▲1.0%)
2016年 4億9,817万本(前年比+0.8%)
2017年 5億0,340万本(前年比+1.0%)
2018年 4億6,975万本(前年比▲6.7%)
2019年 4億4,821万本(前年比▲4.6%)
2020年 3億8,770万本(前年比▲13.5%)
2015年から2019年までの5年間の減り方を平均すると
1年につき▲2.1%
これから類推すると、
コロナがなくても、2020年は▲2.1%減った可能性もある。
つまり、2020年のガラスびんの減少の、「うち、コロナの影響」は、
▲13.5%ー▲2.1%=約▲11% ・・・ B
と言えるかもしれない。
720mlびんや300mlびんは、近年健闘しているが、
1.8Lびんや180mlびんは減少傾向で、
全体としてガラス壜のシェアや本数は落ちている。
コロナは、「5年分のガラスびんの減少を1年に縮めた」
という言い方もできるかもしれない。
ガラスびんの減少=キャップの減少。
当社はキャップメーカーなので、厳しい減少を実感している。
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●▲■コロナの影響による、国内向け清酒の減少 A:約▲7%
●▲■コロナの影響による、清酒のガラスびんの減少 B:約▲11%
「AとBの差は紙パックにいった」、ということになるだろうから、
●▲■コロナの影響による、清酒の紙パックの増加 A - B = 約+4%
もちろん、単純な引き算は、ロジックとして間違っている。
「ガラスびんの減少は本数であって容量ではない、輸出分も含む」し、
「清酒総量の半分強が紙パック・半分弱がガラスびん」であるから、
引き算は成り立たない。
が、紙パックの増え方は、感覚的には概ねはそんな感じかな、、、と思う。
清酒総量に占める紙パックのシェアがどの程度なのか、
凸版・大日本を主体とした紙パック業界については、
ガラスびん協会のような統計データがないので正確なことがわからない。
(できれば、清酒や本格焼酎・泡盛業界のために、出してほしいものだ)
紙パックは増えすぎた結果、2015年以降若干シェアを下げていたと思うが、
コロナで一気にシェアを戻した格好だと思う。
前回メルマガ、「COVID-19のインパクト考<ビール編>」で、
「ビール類全体では、今や缶が80%以上」と書いたが、
清酒の場合は紙パックが増えすぎると、サケのプレミアム感を阻害し、
サケのグローバル戦略の障害になるだろう。
本格焼酎も紙パック比率が高いが、
プレミアム性を保ってグローバル戦略を進めるうえでは
これ以上は紙パック比率を上げないほうがいいと思う。
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次に、「海外市場」についての考察。
海外で消費されるサケ(清酒)には、
日本製(輸出、海外消費の3割程度)と
海外製(現地生産、海外消費の7割程度)がある。
2020年の清酒の輸出は数量ベースでは▲12.7%減った。
2019年も▲3.1%だった(韓国の不買運動)ので、2年連続減少。
データは割愛するが、国内市場と同じ方法で
2015年から2019年までの5年間の輸出量の増え方を平均すると
1年につき+9.1%
したがって、2020年の清酒輸出量の減少の、「うち、コロナの影響」は、
▲12.7%ー9.1%=約▲22%
と言えるかもしれない。
アメリカ西海岸の大手サケ生産者5社の総量も▲20%程度減ったようだ。
(西海岸大手5社=松竹梅、月桂冠、大関、八重垣、SakeOne)
韓国・ブラジル・中国などで作られる清酒の2020年情報はないのだが、
間違いなく減っているだろう。
すなわち、日本製+海外製で海外市場全体考えると、、、
●▲■コロナの影響による、海外のSake消費の減少:約▲20%
ぐらいだと考える。
従って、
「コロナは、日本のサケ消費より、海外のサケ消費に大きなインパクトとなった、
2020年の海外のサケ消費量は、日本のサケ消費量以上に減った」
と言えるだろう。
しかし、日本からの清酒輸出は金額ベースでは+3.1%だった。
海外のサケ消費では、コロナ下で日本酒化・プレミアム化が進んでいるといえる。
日本酒化・プレミアム化をドライブしているのが中国や香港である点は、
今の国際情勢を考えるとやや不安要素ではあるが、
「海外での全体的なサケ需要・日本食人気は、
コロナでも極端なマイナスインパクトを受けていない」と言っていいと思う。
または、「2020年はコロナで減少するも、
今後は再度、成長軌道に乗せられるポテンシャルがある」と思う。
うまくすれば、コロナを契機として、プレミアム化を進められるのかもしれない。
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「コロナの影響で、クラフト醸造所は既存店の閉店が相次ぎ、
新規開業は停滞する」と思っていたが、、、案に相違して
「日本のクラフト・ビール醸造所」は増え続け(前回メルマガ)、
「海外のクラフト・サケ醸造所」も増え続けている。
特にアメリカはクラフト・サケが盛んで、クラフトの酒造組合ができている。
Sake Brewer's Association of N. America
https://sakeassociation.org/
近年開業や開業準備中のクラフト・サケ醸造所にはこんなところがある。
Nova Brewing (アメリカLA)
http://novabrewingco.com/
Sawtelle Sake (アメリカLA)
https://www.sawtellesake.com/
Islander Sake (アメリカ・ハワイ)
https://www.islandersake.com/
Sake Brooklyn Brewery (アメリカNY)
http://sakebrooklyn.com/
Pure Land Sake (アメリカ・ナッシュヴィル)
https://www.inthepureland.com/
前回、クラフト・ビールで「缶」化がすすんでいることを書いたが、
海外のクラフト・サケでも「缶」商品が増えているのも注目すべき点。
最近のクラフト・サケの缶にはこんな商品がある。
Ben's Sake (アメリカLA)
https://www.bensamericansake.com/
Kanpai London (イギリス・ロンドン)
https://kanpai.london/shop/session-sake-wasabi-amp-apple-250ml
We Sake(アメリカNY)
https://wesake.co/
SakeOne (アメリカ・オレゴン)
https://sakeone.com/product/momokawa-junmai-ginjo-can/
Tyku(アメリカNY)
https://www.tykusake.com/#cucumbersake
日本でも、清酒のアルミ缶を再考すべきタイミングに来ているように思う。
text = 喜多常夫
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さて、商品のご紹介です。
●▲■ ご紹介情報 その1 ROOTSディビジョン ●▲■
清酒の缶詰機「TRON」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/Tron_ed5_1.pdf
清酒の缶詰機「詰太郎」のレンタル(東洋製罐と共同提案)
https://www.toyo-seikan.co.jp/product/foods/can/tsumetaro/
メルマガ末尾の喜多の文章からの我田引水で恐縮ですが、
清酒缶や缶詰設備のことなら、きた産業にお任せください。
●▲■ ご紹介情報 その2 ROOTSディビジョン ●▲■
フランスZALKINのキャッパー「TM-300」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/seamer/ZALKIN_TM300.pdf
清酒や焼酎で、「AZK」キャップや
「30x60」(ワインでよく使われる)キャップの採用が増えています。
フランスのZALKINは、あらゆるキャップに対応したキャッピングマシンを提供できます。
●▲■ ご紹介情報 その3 KKディビジョン ●▲■
スパークリングの「サケ」「ワイン」「シードル」の資材のご採用事例
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_288.pdf
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_289.pdf
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_287.pdf
シャンパンびん、シャンパンコルク、ワイヤー、29mm王冠、ラベル、アルミフォイル、、、
などをご採用いただいた事例です。
スパークリングの事なら、資材も設備もお任せください。
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