●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.274 ●▲■  
発行日:2021年5月14日(金)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com



------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 「きた産業105周年」「東京での事業100周年」

(周年記念の文章)「酒類業界の30年を振り返る」
その1 <ビール編>
■ 「お酒には価格弾力性がある」という観念
■ もしも「発泡酒」や「第三」がなかったら2020年の数量は?

text = 喜多常夫

ご紹介情報●1▲ ラボ用ビール缶詰機「Beer Radix」(動画付き)
ご紹介情報●2▲ 2000CPH缶ビール充填機「G-TRON 12-3」(動画付き)
ご紹介情報●3▲ 窒素ガスのインライン添加サーバー「Ni-Tron」(動画付き)



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文末にあいさつを書きますが、
明日、5月15日が当社の創業記念日。
2021年は、大阪で創業して105周年、
東京の営業拠点を開設してちょうど100年となります。


そこで、周年記念の文章として、、、というのもヘンですが、
「酒類業界の30年を振り返る」と題して書くことにします。

30年という区切りにしたのは、
105年や100年は簡単には振り返れないけれど、
30年間(当社の75周年から105周年まで)の事なら、
自分の記憶や体験として書くことができる、というのが理由です。

30年の変遷をまとめるのは「ノスタルジー」ではなく、
「次の10年の指針」のヒントになるはずです。


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30年前と今とでは、街の風景はそれほど変わっていないが、
社会や経済は相当違っていた。

1991年の日本は、アメリカに次ぐ経済大国。
80年代のバブルを引きずっていて
「BMWは六本木のカローラ、ベンツは白金のサニー」などと言った。

一方で、90年代の長期不況=「失われた10年」に突入していく頃。
有名大企業の経営破綻や、
生き残りのため、ライバル同士や財閥系列を越えた企業統合が始まった。

総人口は1億2,000万人強で今とほぼ同じ(正確には100万人ほど多い)。
だが、30年前の人口構成は今と全く違った。丸めていえば、、、
19歳以下の未成年:1,000万人多い
20~64歳の主要就労(=主要飲酒)人口:1,000万人多い
65歳以上の高齢者:2,000万人少ない

●消費税は3%、逆に法人税は高くて実効税率約50%(今は約30%)。
●ネットやメールはビジネスで使われていない。仕事机にPCがなかった。
●携帯電話:今でいうガラケーが出始めたころ。持つ人はとても少なかった。
●夜8時・9時まで働く人が多くて、「24時間戦えますか」が流行語。

●EUは未だできておらず、仏・独・伊はフラン・マルク・リラだった。
●中国は今と異なり、訪れると貧しい市民生活や劣悪な衛生状態を目の当たりにした。
●日韓関係は、戦後の長いトンネルを抜け、ようやく良好になり始めたころ。
●海外でSakeを飲むのは駐在員や日系人で、現地の人の需要は僅かだった。

そんな30年前から、コロナ渦中の現在までの流れを、
ビール編、清酒編、焼酎編、ワイン編、ウイスキー編、、、
など、酒類ごとに分けて書くことにします。

時々、個人的な10年後=2030年予測も、付け加えます。


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>>>30年を振り返る・ビール編<<<

●▲■ 大手ビール編 ●▲■

●▲■「ビール」の出荷量の30年の推移:

1990年 635万KL
2000年 552万KL
2010年 292万KL
2020年 187万KL(30年で▲71%)


●▲■「ビール類」の出荷量の30年の推移:

1990年 635万KL
2000年 717万KL
(ビール552+発泡酒165)
2010年 581万KL
(ビール292+発泡酒99+第三191)
2020年 450万KL(30年で▲29%)
(ビール187+発泡酒59+第三204)

10年後の2030年の「ビール類」総量の予測はむつかしいが、
「ビール類+RTD」総量では550万KLくらいではないかと思う。
(注:RTDは2020年現在、150万KLくらい)


日本のビール産業の30年の大きなエポックはこの2つだろう。

■1994年:サントリーが「発泡酒」の「ホップス」を発売
■2004年:サッポロが「第三のビール」の「ドラフトワン」を発売

ビールではないのに「第三のビール」とは表現として不適切で、
業界では「新ジャンル」と通称するが、
日経新聞など多くのメディアは「第三のビール」を継続使用している。

他の先進国に類例のない(と思う)
「発泡酒」や「第三」が日本に誕生したのは、
「お酒には価格弾力性がある」という観念からだと思う。

「価格弾力性」:
製品の価格変動によって需要・供給が変化する度合い
10%値下げしたとき需要が10%増えたら、価格弾力性は「1」
10%値下げしたとき需要が5%増えたら、価格弾力性は「0.5」

安価にして量を売ろう、という考え方は、
特に「第三」の発売で、その傾向が顕著だった。
(ビールの酒税が高すぎるのも問題だったが、
「酒税が安いジャンルに行く」という手法も問題だったと思う)

確かに2020年、価格の安い「第三」が発売後16年で、
ついに、価格の高い「ビール」を量で追い越した。
コロナ禍による家飲みシフトの影響も大きいが、
2020年にビールの減税があったにもかかわらず、である。

しかし、ビール類全体の30年の量の推移を俯瞰的に眺めると、
「平均価格を下げると5年以内に全体量は減る」
という傾向(あるいは、法則)があると考える。
安価な商品で量を支えることは、
そのお酒ジャンル全体の価値観を毀損する面があるのだと思う。




■「ウイスキー」が1990年代に大幅減税で価格が安くなると、
高級感をなくして売れなくなり、その後20年低迷を続けた事
■「清酒」で経済酒の紙パックのシェアが増えるのと歩調を合わせて、
半世紀にわたってじわじわ数量が減っている事
も、「価格を下げることが全体量を減らした事例」だと考える。

■「本格焼酎」はウイスキーと逆に増税で高くなったが
1990~2000年代に販売増を続けた事
  (本格焼酎も紙パック比率は高いが経済酒ではない)
は、「価格が上がっても市場を拡大できる事例」だと思う。

お酒には「コモディティー的要素」以外に「文化的側面」がある。
コモディティー商品は、「正の価格弾力性」であるのが普通だが、
お酒は、「中・長期的に負の価格弾力性」があると考える。

確かに「価格の安いものの量」は増える(売れる)のだが、
一方で「全体の量」を減らす、という意味で「負の価格弾力性」。



2020年の「ビール類」全体の数量は450万KLだったが、
もし「発泡酒」や「第三」が発売されなくて、「ビール」のみだったとしても、
2020年の数量は同じ450万KLだったのではないか、、、
あるいは、RTDにとれらる分が少なくて、
今より多い500万KLあったかもしれない、、、と思う。



「発泡酒」や「第三」は素晴らしい技術であり、
開発された、あるいは、開発されている方々に対しては
ご無礼を言って大変申し訳ありませんが、門外漢の私見です。
ご容赦ください。


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その他の、ビールの30年を振り返ってのエポック:

●ランキングの入れ変わり:
半世紀にわたって圧倒的シェア1位だったキリンを、
アサヒがスーパードライで抜き去ったのは20年ほど前、
そして、また逆転したのが2020年。
サントリーがサッポロを抜いたのは10年ほど前。
激変した自動車業界や家電業界と比べても、
ビール業界の競争の激しさは、勝るとも劣らない30年だった。

●「0.00」のノンアルコール:
キリンが0.00を出したのが2009年。
それまでもノンアルコールはあったが、これは画期的だった。
今や、ビール業界にとって0.00はなくてはならない商品。
「1社が新製品を出すと、3社が追従する」
という業界体質を定着させた商品でもあるように思う。



30年を振り返っての〇と×
×:「発泡酒」と「第三のビール」を低価格品として販売したこと
〇:「0.00」のノンアルコール



長くなるので、今回はここまでにします。
「日本ビール4社のグローバル化」もこの30年のエポックですが、
それは次回、「世界のビール編」の中で書くことにします。

清酒編、焼酎編、ワイン編、、、なども、順次書く予定です。

text = 喜多常夫



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●▲■ 「きた産業105周年」「東京での事業100周年」ご挨拶 ●▲■ 


きた産業は、1916年5月に喜多鐵之助商店として大阪で創業。
2021年で「創業105周年」です。

創業5年目の1921年に東京市中央区日本橋小伝馬町に出張所を開設、
すぐに現所在地の千代田区岩本町(小伝馬町の隣、当時は神田材木町)に移りました。
創業者の喜多鐵之助は滋賀県近江八幡の出身。
小伝馬町駅(今は東京メトロ、昔は都電の電停)付近には、
近江商人の東京店が多かったのが、この場所を選んだ理由だと聞きました。
(滋賀銀行の東京支店も小伝馬町にある)
東京大空襲で建物を消失し、板橋区に移った時期もありましたが、
今日まで100年、継続的に東京で事業を行っています。
2021年は「東京での事業100周年」にもあたります。

105年と100年のご愛顧に心から感謝いたします。
今後より一層、皆様のお役に立つ企業を目指します。 

★「きた産業105周年」「東京で100周年」のご挨拶のカード
http://www.kitasangyo.com/company/105card.pdf  


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「きた産業 メルマガニューズ」のクロニクルに、
5年前の100周年に書いたメッセージが残っています。


★「100周年(2016年)」に書いたメッセージ:

「長く事業を続けられたこと」
酒造業界を主要な取引先としたことが
きた産業が100年を迎えられた大きな理由だと思う。
日本酒蔵元はその8割が創業100年以上の老舗で、
世界一の長寿DNAを持つ産業。
焼酎・泡盛・梅酒・ビール・ワイン・ウイスキー・・・なども、
日本の酒造会社は一代でなく、長く事業を継続する会社が多い。
当社もその影響をうけて、長く事業を続けさせていただいている。
酒造業の皆様を得意先とさせていただくことに心から感謝しています。

「業界と社会が必要とする企業」
であるのか否か、こそが会社が存続する要(かなめ)。
皆様のお役に立つ企業を目指し、精進していきます。@100周年



その後5年で進歩できたのか、、、忸怩(じくじ)たる思いもありますが、
皆様のお役に立つ企業を目指す気持ちは変わりません。

コロナ禍で厳しい105周年を迎えましたが、
4つの戦略を標榜しています。


戦略1:酒類業界のサプライヤーとして「輝き方」No1の企業の実現
戦略2:他社との差別化を徹底し、会社のブランド価値を高める
戦略3:モノを作る製造業としての体質を強化(FSSC取得準備中です)
戦略4:「多様な事業分野」と「独自ノウハウ」の総合力やシナジーを発揮する

4つの戦略が、きた産業の「企業文化」となることを目指し、
お客様と社会から愛され、お客様と社会から必要とされる企業を目指します。
これからもよろしくお願いいたします。

2021年5月 代表取締役 喜多常夫




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さて、商品のご紹介です。


●▲■ ご紹介情報 その1  ROOTSディビジョン ●▲■ 
ルーツ機械研究所のラボ用ビール缶詰機「Beer Radix」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/Beer_RadixIV_J.pdf     

日本の複数の大手ビールの研究所のほか、
ギネスビール研究所(ダブリン)、ミラー・クアーズ研究所(ミルウォーキー)でも
ご採用いただいています。

地ビールでも商業生産用に使われています。以下の動画はその事例。
https://www.youtube.com/watch?v=C8MRvftyt7I  



●▲■ ご紹介情報 その2 ROOTSディビジョン ●▲■ 
ルーツ機械研究所の2000CPH缶ビール充填機「G-TRON 12-3」
https://www.youtube.com/watch?v=Tx-RFUxkrFw 

上の動画は、デパレからのコンプリートライン、2020年の納入事例です。

カタログはこちら。
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/G-Tron.pdf  




●▲■ ご紹介情報 その3 KKディビジョン ●▲■ 
窒素ガスのインライン添加サーバー「Ni-Tronサーバー」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/gas-lab/Nitron_server.pdf 

DIC社のホローファイバー・メンブランをドラフトタワーに内蔵。
タップから抽出直前に、ビールやコーヒーの液中に窒素ガスを添加します。
炭酸ガスの添加も可能。

これは展示会での動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=Z8DPReCZPZM 


窒素・炭酸・酸素など、お酒とガスの事なら、きた産業!
ウェブサイトで、資料集を公開しています。
http://www.kitasangyo.com/e-academy/n2-o2-co2-gas.html 




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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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