●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.276 ●▲■  
発行日:2021年6月11日(金)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com



------------------< 目 次 >------------------

●▲■ (周年記念企画の連載)「酒類業界の30年を振り返る」 

<日本酒・Sake編>
■ 30年で生産量は1/3・蔵元は1,000減、品質は向上・価格は低下
■ 「びん燗火入れ」する蔵元の増加、現在250社程度
■ 厳しいルールがブランド価値を高める

text = 喜多常夫


ご紹介情報●1▲ お酒のびん詰機「SF(サケフロイント)」
ご紹介情報●2▲ ピュピトルの「専用架台」
ご紹介情報●3▲ 醸造所の「ホース巻き」


●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■



2021年は、当社が大阪で創業して105周年、東京に出て100周年。
周年記念で「酒類業界の30年を振り返る」と題した連載を始めました。

前回と前々回は「ビール編」を書きました。
今回は「日本酒・Sake編」。


放言をお許しいただき、個人的視点で書きます。




●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ 




>>>30年を振り返る・日本酒・Sake編<<<



●▲■ 清酒の国内市場 ●▲■


「1990年からの2020年の30年」が本稿の趣旨だが、
清酒については1980年代(40年前)の本のことから書くことにする。


今は忘れられてしまったが、こんな本が酒類業界で物議をかもした。
「ほんものの酒を!」
(1982年、日本消費者連盟編、三一書房)
告発シリーズ、といった体裁の新書版の本で、
シリーズには、自動車、化粧品、健康食品などの告発本もあった。


書架から取り出して改めて読んでみると、こんなことが書いてある。

▲大手ブランド各社の「桶買い比率」はこれこれ、自社製造の酒はとても少ない
▲普通酒のほとんどは「三増酒」で、これこれ(ここでは略)の材料を混ぜる
▲三増酒はもはや「清酒」でなく「合成清酒」だ
▲添加アルコールが2/3なら、原料表示は主原料の「アルコール」から書くべきだ
▲アルコール添加清酒は、その添加割合をラベルに表示すべきだ
▲アルコールの原料は輸入される廃糖蜜由来であることを消費者は知らねばならない
▲歴史的に清酒はすべて純米酒だったが、いまは純米は100本に1本
▲「特級」「一級」「二級」の区分は品質の差ではない、税収の区分だ



清酒だけでなくウイスキーやビールについても実社名入りで書かれていて
当時は相当刺激的だったが、今読めば妥当な指摘だと思うことも多い。

40年前(80年代)に続く30年前(90年代)も、似た状態だった。


- - - - - - - - - - -


そして、この30年の変化は、こんな具合。



●▲■清酒生産量の30年の推移(国内向け+輸出)

1990年   794万石
2000年   559万石
2010年   336万石
2020年※  243万石
(※2020年は確定データ未公表なので推定。
因みに、1%弱の2万石強がスパークリング清酒と思う)



●▲■清酒製造場数の30年の推移(「主たるもの」が清酒)

1990年   2,435場
2000年   2,152場
2010年   1,736場
2020年※  1,550場
(※2020年は未公表なので推定。
実際に清酒醸造を行ったのは1,200場以下だと思う)



すなわち、30年で、
清酒生産量が1/3になり、蔵元は約1,000場減った。





一方で、30年で、
「ほんものの酒を!」が指摘した事の多くは結果的に是正され、
清酒の平均品質は大いに上がった。


■30年前は、普通酒が90%以上だったと思うが、
今は、「純米・吟醸・本醸造」:「普通酒」=45:55くらい。

■30年前は、精米歩合はたぶん80%弱程度だったと思うが、
今は、平均精米歩合が63-64%。

■30年前は、高齢の季節杜氏が多く、清酒産業の先行きが危ぶまれたが、
今は、若いオーナーやファミリーが、自ら杜氏を務めるケースが半数近い。
(東京農大の貢献は極めて大きい)

■30年前、もちろん山田錦はあったが
「YK35」(山田錦、協会9号、35%精米)は「鑑評会用」だった。
今や、「YK35」は「市販酒用」スペックとなり、
山田錦や五百万石以外に各地で独自の酒造好適米が開発され、
ワインにならって「テロワール」戦略を標榜する。

■30年前、「びん燗火入れ」を市販酒に使う会社はなかった(と思う)。
ところが今は、多くの有名ブランドが採用する。
「びん燗火入れ」(ボトル・パストライズ)は、いわばレトロ技術。
海外のビール産業では今もパストライズは商業生産で一般的だが、
日本では最後まで続けていたキリンラガーがパストライズをやめたのが1996年。
ところが清酒では、21世紀に入って酒質や香りの追求のために復活した。


●▲■ 「びん燗火入れ」を行う蔵元数の30年の推移

1990年      0?
2000年    10社程度
2010年    60社程度
2020年   250社程度
(当社の「びん燗対応キャップ」の販売実績などからの推定。
市販酒用にびん燗する蔵元の数で、鑑評会用は含まない)



以上のような変化は、品質向上の努力の証左と言えるだろう。



- - - - - - - - - - -



ところが、これほど品質はあがったのに、清酒の価格は下がった。

価格の推移の情報は持ち合わせていないので、
価格と大きく相関する、紙パック比率を書いておく。
2010年以降、50%前後で推移していたが、
コロナが紙パックに追い風となって、2020年はシェアを増やした。


●▲■清酒の紙パック比率 30年の推移

1990年    14%程度
2000年    40%程度
2010年    51%程度
2020年    50~55%
(酒類食品統計月報の情報などから、当社が推定)



合わせて、1.8Lびんの数も書いておく。

●▲■清酒で使われた一升びんの数 30年の推移

1990年   5億3,000万本
2000年   2億4,000万本
2010年   1億0,000万本
2020年      5,200万本
(清酒用のみの数字で、焼酎用・醤油用などは含まない
新壜+回収壜、2020年は当社の推定)


当社は、お酒の1.8Lびん用王冠の製造が主業で、
10年ごとに半減する状況にとても苦戦しているが、
近年は1.8Lびん用王冠(冠頭・替栓やAZKなど)をつかう
720mlびん・300mlびんが新しい潮流になっているのはありがたい。
びんの減少より、王冠の減少度合いは、若干ではあるがましである。



●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■  



●▲■ 厳しいルールが価値をつくる ●▲■



異論もあると思うが、
清酒産業のこの30年のエポックは以下の2つだと考える。


〇:「特級」「一級」「二級」の級別廃止:1992年
〇:「三増酒」をやめた:2006年


級別廃止については、特に直後は「×」だという主張も多かったが、
今となっては「〇」だと思う。
特級清酒の酒税は、二級清酒の5倍以上(!)だった。


「三増酒-67%が添加由来(!)」廃止はもちろん大きな「〇」。
だが、問題は残る。
今も、普通酒の多くは増醸酒、いわば「二増酒」として存続している。



話がそれるが連想を2つ書く。

●2021年4月から発効した「ジャパニーズウイスキー」の貯蔵期間は、
「3年以上」となったが、議論の過程で「2年以上」の意見もあったと漏れ聞く。
各社それぞれの事情があるが、厳しいルールが全体のブランド価値を高める。
日本ウイスキーは3年ルールになってよかった。
(スコッチは3年、アイリッシュも3年、バーボンは2年、コニャックも2年)


●びん内二次醗酵スパークリングにはエージング期間のルールがある。
「シャンパーニュ」の最低ラインはノンヴィンテージの15カ月以上(ヴィンテージは36カ月以上)
一方、後発のイタリアの「フランチャコルタ」は最低18カ月以上。
最低ラインをシャンパーニュより厳しくしている。
その結果、フランチャコルタはプレミアムのスパークリングとして、
グローバルマーケットで、シャンパーニュに伍した価格で販売される。
(因みに、日本のびん内二次醗酵スパークリングにはエージング期間のルールがない)



「三増酒」はNG、「二増酒」まで残す、というときも、様々な議論があったと思う。
業界の意見をまとめるのはとても難しく、妥協せざるを得ないのかもしれない。
ただ、厳しいルールは、初期の痛みがあっても
5年先、10年先には成果を生み始めるものだ。



清酒は、高い品質、伝統的価値、文化的価値を主張すべき。
そのためには、業界の妥協でなく、
「100年通じるルール」、「世界が見ておかしくないルール」にすべきだと思う。


、、、というのが私の意見だが、反対意見もある。
次回は、それについて書きます。

text = 喜多常夫




●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■






さて、商品のご紹介です。



●▲■ ご紹介情報 その1  ROOTSディビジョン ●▲■ 
清酒・焼酎・ジンなどの4ヘッド半自動びん詰機「SF(サケフロイント)」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/sake_freund.pdf

充填量は、タッチパネルからデジタル入力。
充填量は電磁流量計でノズルごとに制御。
重量計制御による「SF-W」も近日発売予定。





●▲■ ご紹介情報 その2 ROOTSディビジョン ●▲■ 
ピュピトルの「専用架台」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/rack_stand.pdf

びん内二次醗酵のピュピトルを載せるステンレス製の台。
床をきれいに掃除、あるいは水洗いできます。
当社が製作しています。





●▲■ ご紹介情報 その3 KKディビジョン ●▲■ 
醸造所の「ホース巻き」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/MODULO.pdf

醸造所のホースを巻き付けてコンパクトに収納。
床に置かずに清潔に保管、残留液を自然に排出。
HACCP対策にも。




●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■




●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。

__________________________

●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」

http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。

__________________________




●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■



紹介商品に関するお問い合わせは、営業部まで。
西日本担当:大阪営業部
tel.06-6731-0251 mailto:osaka@kitasangyo.com
東日本担当:東京営業部
tel.03-3851-5191 mailto:tokyo@kitasangyo.com



__________________________


●本メールがうまく表示されない場合  ●登録内容の変更や、
配信停止希望の場合  ●メルマガに関するご意見・ご要望など、
は、メールアドレス:mailto:info@kitasangyo.com まで 。
__________________________



このメルマガは、「ご登録いただいたお客様」、
及び「当社営業担当で登録させていただいたお客様」に、
お届けするサービスです。
ご要望があってもお届けできない場合がございます。




発信専用アドレスから送付しております。このアドレスに返信
いただきましても回答できませんので、予めご了承ください。


__________________________


記載された記事を許可なく転送・複製・転載することを禁じます。
Copyright 2002-2021. Kita Sangyo Co., Ltd. All rights reserved.
きた産業株式会社 ニューズレター担当:企画・開発グループ



__________________________