●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.89 ●▲■
    発行日:2006年 12月15日(金)
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com


------------------< 目 次 >------------------

●▲■シャンパーニュ視察報告
       その製造工程を見る@2006

  ●▲シャンパーニュ製造方法概略
  ●▲伝統と機械化
  ●▲シャンパーニュの実像
                        (Text=渡邊拓也)

ご紹介資料  ●1▲「びん内二次発酵スパークリングワインの
                   製造設備や資材について」
ご紹介アイテム●1▲「ジャイロパレット」
ご紹介アイテム●2▲「シャンパン壜の圧力ゲージ」

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ようやく大阪でも冬らしくなってきました。

先月末にフランス・ボルドーへ出張してきたのですが、
現地の方によると今年は彼の地も異常に暖かいそうで、
実際、コートが必要ないほどでした。
地球規模で季節がずれている感じで、やはり少し気持ち悪いですね。

ボルドーへは、ワイン機器・資材関係の大きな展示会、
VINITECHの視察が主目的でしたが(その模様はまた別の機会に)、
折角の渡仏を利用して、シャンパーニュ地方へも足を伸ばしました。

というのも、
その地方名を名に冠する発泡性ワイン、シャンパーニュと
同様な製法で造るびん内二次発酵方式のスパークリングワインが
このところ国内ワインメーカーさんから注目を浴びていて、
当社でも専用機器や資材の本格的な取扱いを開始。
やはり本場シャンパーニュ地方でのシャンパーニュ製造の実際を
この目で見て学ぶことが不可欠と考えた次第です。

というわけで、
巷でのシャンパーニュ露出度が極大化するクリスマスシーズン、
今回は、シャンパーニュ視察報告をさせていただきます。

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●▲シャンパーニュ製造方法概略

ボルドーから北東へ700km強、シャンパーニュ地方はエペルネへ。
ロワール川を渡り、パリの外縁を右に折れ、6時間以上の車での移動。
車に乗せてくれたのは当社の現地取引先のM氏。
彼の会社はエペルネにあり、彼自身シャンパーニュ業界を知悉した人物。

ご参考までに、簡単にシャンパーニュの製造工程を書きますと、、、

● 元になるワイン造り(ブドウの圧搾と一次発酵)

● アサンブラージュ(ワインの調合)

● びん内二次発酵と熟成
  ※ワインに、リキュール(ワイン+ショ糖+酵母等)を添加
   密封したびん内で二次発酵、長期熟成

● ルミュアージュ
  ※びんを徐々に回転・倒立させてびん口にオリを集める。
   伝統的にはピュピトルと呼ばれる木製の台を使用した手作業。
   現在はジャイロパレットという自動機が主流。

● デゴルジュマン(ディスゴーギング)&ドサージュ
  ※びん口を凍らせた後、栓を抜いてオリを飛ばし、
   甘味調整のリキュールを加える。

● コルク打栓&ワイヤリング
  ※シャンパンコルクを打栓し、ワイヤーフードで留める。

あとは出荷前にキャップシュールとラベルを貼って箱詰めという流れです。

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●▲伝統と機械化

さて、今回最初に訪問したのは、エペルネから5kmほど北にある
比較的小規模なメーカー。とはいえ、ジャイロパレットはもちろん、
デゴルジュマン以降の自動ラインも2つ稼動しており、
機械化がかなり進んでいる印象。(下の資料のその1)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/champagne_2006.pdf

この時期もちろん圧搾等の前工程は見られませんが、
クリスマス需要のために製造ラインはフル稼働状態。
教科書からの知識として知っていた製造工程が目の前で展開。
機械の動きからしばし目を離せませんでした。

またジャイロパレットについては頭では理解していましたが、
実際に室内で10台以上が並んで稼動している様は衝撃的でした。

詳しくは資料をご参照下さい。

続いて訪れたのは、その製品を日本でもしばしば目にする、
かなりの規模のメーカー。地元栽培農家らの協同組合がベースで、
その工場は業界最大級です。(上の資料のその2)

この規模のメーカーになるとブドウは収穫地近くで圧搾し、
果汁をタンクローリーで運び込んで仕込むとのこと。
巨大なステンレスのジャケットタンクが林立する発酵室、
高速で稼動する充填ライン、デパレに活躍するロボット、、、
なんとなくビール工場を見学しているようです。

しかし一般見学コースにも含まれる工場奥の一室へ行ってびっくり、
広いフロア一面に首を傾けて並ぶジャイロパレットの列、列、列。
160台あるこのフロアの下にはさらに180台が鎮座。
驚きを通り越して、痛快ですらあります。

さらに、地下のセラーでは熟成中のびんが床に直置きで積まれていて、
一角にはなんと40万本(!)
これを積むのはさぞかし大変だろうと思いきや、なんと専用のロボットが。
それでも大変な作業には違いないが、こんな機械があることが凄い。

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●▲シャンパーニュの実像

今回はそのあとランスにある超有名ブランドのセラーに行きましたが、
そこは基本的にツーリスト向けの見学コース。
製造工程云々より、シャンパーニュの歴史や伝統に触れることができました。
ただ、一般見学コースとは別の一角にある製造棟を見てM氏が一言、
「ほら、あそこにジャイロパレット用のケージが置いてある。」、、、

残念ながら今回は自社ブドウのみで製造しているような
本当に小さな規模の造り手に会うことはできませんでしたが、
シャンパーニュ産業全体という意味では、製造の近代化・機械化が
かなり進んでいると明確に感じました。

もちろん、今でもピュピトルを何台も並べて、
手作業でルミュアージュを行なっているところもありますし、
独特の「栓抜き」で王冠を飛ばしたあと親指でびん口を押さえて
デゴルジュマンを行う職人さんもおられます。

しかし、シャンパーニュの大多数が、伝統的な製造方法に
うまく機械を取り入れて造り出されている、というのが実像です。
シャンパーニュ独特の美しい泡、豊かな風味を得るには、
とんでもない手間がかかる、
でも、できるだけ効率よくその非効率な製造工程をやっていこう。
そんな気概と創意工夫が感じられます。

「シャンパーニュ大手では、売上の30%を広告宣伝費にかける」、
という話を聞きました。
シャンパーニュの華やかで高級なイメージは、そのような派手なPR
によって支えられている側面があります。

一方で、「自分たちは、伝統的な方法で、ユニークで品質の高いものを
造っている」、という自負を業界全体が共有し、結束して世界市場に
シャンパーニュを広げている点も見逃せません。

一度見たぐらいでは理解不能な、ノウハウの塊のようなその製造方法は
文字通り奥が深く、勉強すべき点は尽きませんが、
産業としてのシャンパーニュにも色々と参考になる点がある、
そんな思いを強く持ちました。

最後に、印象に残ったM氏の一言を。
「なんだかんだ言っても、良いシャンパーニュは、
良いワイン・良いブドウがあってこそ。」

                       (Text=渡邊拓也)

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さて参考資料と当社商品のご紹介です。

●▲■ ご紹介情報その1:e-アカデミー●▲■
「びん内二次発酵スパークリングワインの
         製造設備や資材について」ed.3 ダイジェスト
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/wine/bottle_fermented_sparkling_wine
.pdf

シャンパーニュ方式でのスパークリングワイン製造に必要な機器や資材に
関する参考資料です。

●▲■ ご紹介アイテムその1:ROOTSディビジョン ●▲■
「ジャイロパレット」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Gyropalette_wop.pdf

業界スタンダードとも言うべき自動ルミュアージュ機。
シャンパーニュではもちろん、イタリア、スペイン、アメリカ等々、
世界中で使用されています。

ちなみに、当社では先日この機械を輸入いたしまして、
国内初お目見えとなりました。

年間数千本以上の製造をご検討の場合には、ご一考の価値ありです。


●▲■ ご紹介アイテムその2:ROOTSディビジョン ●▲■
「シャンパン壜の圧力ゲージ」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/ChGauge.htm

シャンパン壜に合わせた内圧測定器具です。
発酵中や打栓後の内圧を測定するための専用ゲージで、
スパークリングワインの品質管理に不可欠です。

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