●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.195 ●▲■
     発行日:2014年6月10日(火)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

     お知らせ:きた産業、ルーツ機械研究所は、
例年出展していた6月の「FOOMA(国際食品工業展)」に今年は出展せず、
    10月の「東京パック(国際包装展)」に出展予定です。

 

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ イタリアのマルサラ訪問記:
       「英国なかりせば、
           世界の酒精強化ワインはなかった」 ●▲■

  ●▲■ トリビア1:禁酒法時代も許可された酒、
マルサラ
   ●▲■ トリビア2:1950〜1960年代、米国ワインの1/5、
               NZワインの4/5が酒精強化だった!
   ●▲■ トリビア3:2010年代、
               日本酒の平均酒精強化度は30%!?
   ●▲■ トリビア4:シャンパン、
               門出のリキュールは酒精強化?

                  (text = 喜多常夫)

ご紹介商品 ●1▲ ワインの「亜硫酸測定器」(フランスLDS社製)
ご紹介商品 ●2▲ ワインの「卵形コンクリートタンク」
ご紹介商品 ●3▲ 「汎用カートン」のご案内

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2013年暮れにイタリアのシチリア島に行く機会があって、
西岸の港町、マルサラに立ち寄りました。

シチリアは、
長靴(イタリア半島)が蹴っている地中海の島。

マルサラは、
シチリア島西端の港町の地名であり、
「世界4大酒精強化ワイン」のひとつの名前でもある。
   (注:酒精強化ワイン=蒸留酒を添加するワイン。
    英語では、フォーティファイドワイン。)

といっても、
「3大」(シェリー、ポート、マデイラ)が有名なのに比べ、
「4大」にしたときに加わるマルサラは、
少なくとも日本ではさほど知名度がない。

酒類食品統計月報という業界誌から
2013年の日本への輸入量を引用すると、

  シェリー: 14,240c/s(=128KL)
   ポート: 23,890c/s(=215KL)
   マデイラ: 17,750c/s(=160KL)
   マルサラ: 261c/s(=2KL)

他の3種に比べ、マルサラは桁違いに少ない。

そんな知名度や輸入量から推して、
小さな会社を想像しつつイタリアのマルサラを訪問したのですが、
豈(あに)はからんや、かつて訪れたことのある、
スペインのゴンザレスビアス(シェリー酒最大手)、
ポルトガルのサンデマン(ポート酒最大手)に勝るとも劣らない、
巨大で美しい醸造所と貯蔵庫でした。

 

マルサラ酒の最大手、1833年設立のフローリオ社を見学しました。
クルマ好きの人は、シチリア島で行われていた有名な自動車レース
「タルガ・フローリオ」をご記憶の方もいると思いますが、
そのスポンサーだった会社。

海に面した貯蔵庫はアイラ島のウイスキーを思い出させる。
貯蔵中は潮風の影響も大きいでしょう。

中に入れば巨大な空間で、とても美しい貯蔵庫。
壁が分厚くて床が地面なのは、
シェリーのボデガと同じ(一定温度・高い湿度のため )。

エージングは、
「500L樽」(酸化的環境)か
「超大型オークバット」(非酸化的環境)かで、
酸化の度合いを変えてバリエーションを作るのは、
他の酒精強化ワインと共通のようです。

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先述のようにスペインのシェリーと、ポルトガルのポートも、
その昔、行ったことがあるので、
望外なことに、これで3つの酒精強化ワインを訪問しました。
(マデイラは未踏。いつか行きたい。)

そこで、改めて3種の酒精強化の歴史を調べてみたのですが、
すべてが「イギリス由来」なのですね。
古い順に書くと、以下のごとし。

 

●▲■ スペインのヘレス(シェリー)

 14世紀に英仏関係が悪化して、
  イギリスではフランスワインが入手しにくくなった。
  その[イギリス]へ輸出するためにヘレスのワインが発達。
  酒精強化は船の輸送に耐えるようにその頃=14世紀に始まった。
  (他に、1600年頃から、という説も。)
     ↓
  なお、酒精強化以外で有名な2大特徴、
  「ソレラシステム」の始まりは19世紀半ば。
  「産膜酵母」の利用の始まりは、調べた範囲では不明。
     ↓
  因みに、スコッチでシェリー樽貯蔵が始まったのは、
  英国でシェリー消費が多く、空樽が豊富だったから。
  「風が吹けば桶屋」的な因果関係ですね。

 

●▲■ ポルトガルのポルト(ポート)

 17世紀末、英仏関係が悪化して 
  イギリスがフランスワインの輸入を禁止。
  その穴埋めとして[イギリス]へ輸出する事で
  ポルトのワインが栄えた。
  (すなわち、シェリーと同じことが3世紀後に起こった。)
  酒精強化はその頃=17世紀末からという説が有力。
     ↓
  なお、ポートが今のような
  「甘口(醗酵途中で酒精強化)」になったのは19世紀初頭。
  糖度の高い収穫年に偶々できた甘いワインが、
  [イギリス]でよく売れたから、甘くするのが定着したそう。

 

●▲■ イタリアのマルサラ

 18世紀大航海時代、
  [イギリス]の貿易商ウッドハウスという人が、
  嵐を避けて偶々マルサラに寄港し、その白ワインに注目。
  長い航海に耐えるようアルコール添加したのが始まり。
  (「シェリーのやり方を真似た」というのがスペインの主張。)
     ↓
  なお、ウッドハウスの会社が現在はフローリオ社に引き継がれている。
  フローリオがマルサラの元祖ということになる。

 

4大酒精強化ワインで残る一つのポルトガルのマデイラも、
歴史的にイギリスと縁が深いそう。
スペイン、ポルトガル、イタリアのすべての酒精強化ワインが、
イギリス由来とは!

  イギリスなかりせば、
      世界の酒精強化ワインはなかった。

考えてみると、
ボルドーワインにしてもイギリスの影響なしには語れない。
ワイン産業全体の歴史にイギリスがいかに貢献したか、
改めてその圧倒的影響力に感心します。

  イギリスなかりせば、
   (=イギリス人がワイン好きでなかったなら)
       世界のワイン産業はなかったでしょう。

 

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なお、マルサラ、シェリー、ポートの訪問記録など、
写真資料にまとめています。

 ●▲■ アーカイブ資料 ●▲■
酒精強化ワイン(マルサラ、シェリー、ポート
          +マラガも少々)見学の記録(7ページ)

http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/marsala.pdf

 

 

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以下、酒精強化がらみのトリビア(雑学)を4つ書きます。

 

 ●▲■トリビア1:「薬」として販売 ●▲■

フローリオで聞いた興味深かった話。

禁酒法時代、アメリカで「薬」として販売したそうで、
(薬用酒のような感じだと思います。)
なんと、継続して売ることが許可されたそう。

なかなか高等なテクニック、やりますね!
今もマルサラではアメリカ向けがとても多いそうです。

今や酒類産業の歴史書になってしまった、
坂口謹一郎博士の「世界の酒」にも、
  「シェリーは多くの国で薬局方に取り上げられている」
              (1950年代の話)
とあります。

マルサラやシェリーなど今日ある世界的酒精強化ワインは、
そんな営業テクニック?で、
世界の販路を確保してきたのかもしれないですね。

 

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 ●▲■ トリビア2:
      アメリカのシェリー、日本のポート ●▲■

シェリーやポート以外の酒精強化ワインの近代史を、
まとめて書いた文献は見たことがありませんが、
つい50年〜60年ほど前までは、
酒精強化ワインは世界中でポピュラーであったようです。

 

●▲■ 1950年頃の「アメリカン・シェリー」

「アメリカなどでも自国産のシェリーの新法をはじめて、
  全米の葡萄酒生産量の5分の1を越える盛況である。
  そのほか南アフリカでも四、五万石、
  オーストラリヤでもほぼ同量の石数が出来るという話である」
   (坂口謹一郎博士の「世界の酒」から)

●▲■ 1960年後半のニュージーランド

「ニュージーランドのワインの5分の4はアルコール強化されている」
   (ヒュー・ジョンソン「The World Atlas of Wine」第1版から) 

●▲■ 1910−1920年代の日本の「赤玉ポートワイン」

日本でも事情は似ているが、シェリーではなくポート。
サントリーの前身、寿屋の創業期、
1907年に発売した赤玉ポートワインがとてもよく売れた。
それで得た資金で1924年に日本初のモルトウイスキー工場、
山崎蒸溜所をつくった、というのはよく語られるところ。

なお、「ポート」の名前はなくなったが
「赤玉スイートワイン」として今も継続する100年以上の長寿商品。

(余談ながら、きた産業は創業当初(戦前)、
  ポルトガルからコルクを輸入していたのですが、
  同時に赤ワインも輸入していて、寿屋の鳥居さんに
  赤玉ポートワインの原料用に買ってもらっていたと聞いています。)

半世紀前は世界中で、
酒精強化ワイン、あるいは
甘味果実酒が、大量に作られていたのです。

現在ではワインを飲む側の食生活や嗜好が変化して、
各国のワイン産地では普通のワイン生産が主流になり、
一方フォーティファイドワインはこの半世紀で、
シェリー、ポート、マデイラ、マラガなどに集約されたのでしょう。

 

 

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 ●▲■ トリビア3:日本酒のアルコール添加
    普通酒は「ダブル・フォーティファイド・サケ」? ●▲■

話は変わりますが、
清酒のアルコール添加について書きます。

国税庁の発表によれば、
平成24酒造年度の清酒醸造に使われた原料用アルコールは、
2万8,070KL(AL100%換算)だそうです。

清酒の生産量を、330万石・平均AL15%と仮定したら、
その総アルコール量は8万9,100KL(AL100%換算)。

  2万8,070KL ÷ 8万9,100KL =約30%

単純な割り算でいいのかどうかわかりませんが、
平均すれば清酒のアルコール分のうち、
約30%が醗酵由来でなく添加されたアルコールとなる計算。

およそシェリーやポートなどフォーティファイドワイン並み、
または、それ以上のアルコール添加です。

なお、約30%というのは現代=2010年代の実態で、
1990年代や2000年代前半はもっと高かったはずです。

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「三増酒」が国内の日本酒需要を減退させた一因だという事は、
多くの業界関係者の認めるところでしょう。
(三増酒:水や糖類で希釈した醸造アルコールで約3倍に増量した清酒)

「三増酒」は、戦争中に考案されたものが60年以上続き、
2006年にようやく廃止になりました。が、今も、
「二増酒」までは認められれているのが現状。
(二増酒は一般述語ではないが、約2倍増量の意味で使用)

特定名称酒以外のいわゆる普通酒は、
全国平均の実態としてはほぼ「二増酒」に近いでしょう。

普通酒のアルコール添加の問題は、
今後、日本酒が世界マーケットに広がっていく上で、
大きな影響があると思います。

特定名称酒である、
吟醸サケや本醸造サケに於けるアル添は、
海外のサケ通の間にそれなりに認められたと思います。

江戸時代からの柱焼酎の伝統、というバックボーンもある。
しかし、とはいえ、世界の一般的な認識や、
それに基づく酒税法は、醸造酒へのアル添は、
フォーティファイド・ワインを例外として、否定的傾向。

アルコール添加に関して、

  「純米(アルコール無添加)サケ」
   「少しアルコールを添加したサケ(本醸造など)」
   「ダブル・フォーティファイド・サケ(普通酒)」

に区分されてしまう国内の現状を前提には、
世界でのブランド価値を維持するのは難しいように思います。

(「少しサケを添加したシンセティック・サケ(合成清酒)」は、
さらに状況を複雑にしますが。)

しかも、
シェリーやポートはブドウ由来の蒸留酒を添加しますが、
日本酒は、米由来でない工業生産的アルコールを添加する場合が多い。
(最近は米由来の本格焼酎と原材料に明示している清酒もありますが)

醸造に関しては素人ながら、世界の市場常識からすれば、
「二増酒」も禁止して、
「0.1増酒」上限くらいにすべきだと、私は思います。

 

 

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 ●▲■ トリビア4:
    シャンパンのアルコール添加(門出のリキュール) ●▲■

シャンパンではデゴルジュマンの後、「門出のリキュール」を加えますが、
ちょっと前の書物には「蒸留酒を混ぜて作る」と書いてあります。
よく考えれば、これもアルコール添加。

しかし、、、

 「基本的にはリザーブワインにショ糖を溶かしたものであるが、
   古くは「エスプリ・ド・コニャック」を代表とする
   蒸留酒が配合されていることが多かった。」

 「近年では(中略)蒸留酒を用いる企業は
   少なくなってきている。」
   (「アサンブラージュ」恩田匠、醸造協会誌2014年3月号)

以上の通り、最近は蒸留酒を用いない方向のようです。
伝統的手法であったとしても、
世界のいろいろな規制や時流に対応して、
蒸留酒を使わなくなったのだと推察します。

ちょっと似た話ですが、シャンパンは原料として、
ブドウ以外に大量の蔗糖(たいていサトウ大根由来)を使います。
(補糖用、二次醗酵用、門出のリキュール用の3段階で使用)

現時点ではシャンパンのラベルを見ても、原料表示はありません。
しかし、近い将来、他の飲料と同じように、
すべての原材料を明示する時代が来たとき、
シャンパンに「ブドウ、サトウ大根」などとは書きたくない。

従って、ブドウ由来の蔗糖を利用するところも出てきています。

 

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シャンパンのこの話を日本酒に当てはめて考えれば、

   「添加アルコールは米由来の蒸留酒にする」

あるいは、

   「アル添そのものをなくしていく」

ということに相当するでしょう。

日本の事情だけではなく、
世界の要請を読みとって変えていくことが必要だと思います。

2〜3年前の韓国のマッコリ酒のブームは、
戦後の米統制以来続いていた「非米原料マッコリ」を、
戦前の本来の「米原料マッコリ」に戻した影響であったことも、
参考にすべき事例です。

 

                  (text = 喜多常夫)

 

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さて、商品紹介です。

 

●▲■ ご紹介商品 その1:ROOTSディビジョン ●▲■

ワインの「亜硫酸測定器」(フランスLDS社製)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/SO2_analyzer.pdf

亜硫酸測定を簡単に、きわめて短時間に行うことができる。

滴定をシリンジとステップモーターで行う機構で、
他社の亜硫酸測定機にくらべ正確な測定が可能。

デモ機もあります。

フランスLDS社の測定器は、
世界のワイン醸造所、研究所で使用されています。

 

 

●▲■ ご紹介商品 その2:ROOTSディビジョン ●▲■

ワインの「卵形コンクリートタンク」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/concrete_egg.pdf

通称、「コンクリートエッグ」。

ボルドー、ブルゴーニュはじめ、イタリア、アメリカなどの銘醸地で
多く採用されているのをご存知の方も多いと思います。

「角がまったくない内部空間」が
醗酵にも熟成にも独特の効果を生みます。
コンクリートによるマイクロオキシジェネーション効果や、
温度変化の少なさもポイントです。

小型の6.7ヘクトリットルをお勧めしています。

 

 

●▲■ ご紹介商品 その3:K2ディビジョン ●▲■

「汎用カートン」のご案内
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/daiko_carton.pdf

関連会社の大晃印刷が手がける汎用カートンのラインナップ。

「花よりカートン」「飛んでカートン」など、
人気のアイテムをご紹介します。

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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