●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.161 ●▲■
     発行日:2011年11月14日(月)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

酒ブック紹介

●▲■「酒場本」の3冊(国際派、モダン派、伝統派)
  「Drinking Japan」「今宵も一杯」「居酒屋百名山」

●▲■「酒造業」の4冊(社会学、経営学、人類学、お子様)
  「ウスケ・・」「ワインビジ・・」「産業集積地の・・」「子供の・・」

                  (text = 喜多常夫)

ご紹介情報●1▲ZALKIN社のキャッパー「TMシリーズ」
ご紹介情報●2▲ネジ山の見えないキャップ「スマートスクリュー」
ご紹介情報●3▲eアカデミー「キャッピングの実務知識」

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「酒場本」「飲み歩き本」
というのは愛すべきテーマである。

先日AMAZONから、
酒関連として自動配信で勧めてきた書籍の中にも、
「酒場本」の新刊書が2冊もあった。

 「東京『駅近』居酒屋名店探訪」
  (浜田信郎ほか著 東京書籍 1,365円 2011年7月発行)
   都内の駅から徒歩5分以内の「駅近」居酒屋紹介。

 「吉田類の酒場放浪記〈4杯目〉」
  (吉田類著 TBSサービス1,575円 2011年7月発行)
   BSで放送中の同名番組の書籍版。シリーズ4冊目!だそう。

「酒場本」は、MOOK本、地域限定本等含めると、
たぶん年に何十冊も出ているのだろう。

 

今回は、そんな「酒場本」ジャンルから、
国際派、モダン派、伝統派の3冊ご紹介します。

 

 ●▲■その1:国際派
  「Drinking Japan」
  (クリス・バンティング著 
    タートルパブリッシング 2,415円 2011年発行)

これは傑作、名著である。
英文だが、英語不如意でも写真で十分楽しめる。

表紙の写真は、
   紙面一杯の真っ赤な赤提灯
   数珠を首に巻いて合掌する坊主風?の酒場親父

ページを繰ればこんな写真、
   上野公園の「ぎっしりブルーシート」のお花見
   酔って路上でぶっ倒れている若者
   酒場で盛り上がるサラリーマン
   社員旅行を慰安旅行といった時代の宴会の余興

日本人としてはやや恥ずかしい。
しかし、
外国人の視点で日本の飲酒文化を的確にとらえている。

 

筆者は日本駐在のジャーナリスト。
清酒、焼酎、泡盛、ウイスキー、ビール、ワインの各ジャンルで、
100店舗くらいの酒場を紹介。
東京中心ながら、
大阪、京都、鹿児島、那覇、広島なども掲載がある。

掲載されている居酒屋の一つ、
東京・汐留の「しんばし光寿」(地酒バリエーションがウリ)
に行った時に、お店の人にこの本を見せたら、
「初めて知りました」とのたまう。

スポンサーシップなしで、
個人の体験・ネットワークで書いたものなのだろう。

たとえば大阪なら、普通は、
キタやミナミ(=ターミナル)の店を紹介しそうなものだが、
掲載されているのはターミナルは皆無。
京橋、日本橋、玉造、十三、江戸堀など、
大阪人にとっても「ディープな」場所の店ばかりであるのも興味深い。

 

本書に掲載されている店で、個人的に行ったことのあるのは、

  大阪の誇る日本ワイン専門「ミッシェル・ヴァン・ジャポネ」
   鹿児島で女将と百種以上の焼酎が有名な「焼酎天国」
   東京・渋谷のカップ酒バー「ブリ」と「ブチ」

など。
全方位(酒類全般)で酒好きのツボを押さえているなあ、と感心。

 

この本で「そんな店もあるのか」と驚いたのは、
京都で外国人が営む日本酒バー「よらむ」。
先日、実際にいってみたのだが、ここにも感心した。

7〜8席しかない小さなお店。
2008年の「宗玄」自家貯蔵(!)古酒と「サケに合うチーズ」、
「鷹勇」と「豆腐よう」(沖縄の豆腐発酵食品)など、
絶妙な組み合わせで、お酒の楽しみを再発見した気持ちになった。

白眉の古酒セレクションと、
イスラエル生まれのご主人、ヨラムさんとの
カウンター越しの会話(完璧な日本語)も楽しく、
誠に心和むひとときだった。

 

さらに本書には、
清酒、焼酎、泡盛、日本ウイスキー、日本のビール等の
歴史や製造プロセスに関する簡単な解説もあるが、
これも写真が美しく、説明も簡にして要を得たもの。

在留外国人やツーリストだけでなく、
我々日本人サケのみにも大いに参考になる一冊であった。

 

 ●▲■その2:モダン派
  「今宵も一杯」
  (友田晶子著 阪急コミュニケーションズ 
            1,785円 2011年7月発行)

雑誌「Pen」に連載された記事をまとめたもの。
100種のお酒と、その酒が飲める100軒の店の紹介。

普通、酒場本は「お店紹介ありき」だが、
この本は、お酒銘柄の紹介が先にあって、そのあとに
その酒が飲める店(主に東京)を紹介する、というスタイル。

紹介銘柄は、こんな感じ。

清酒・焼酎・和酒
   土佐宇宙酒(清酒)
   兼八(焼酎)
   カリー春雨(泡盛)
   達磨正宗十年古酒(清酒)
   浦霞・大吟醸
   大七・生?梅酒
         など
ウイスキー
   イチローズモルト
   余市12年
   ブラントン(バーボン)
   モンターニュ・ド・ランス(フランスのウイスキー)
   モンキーショルダー(スコッチ)
                 など

各種の海外のお酒
   マール・ド・ブルゴーニュ(フランスのマール)
   ヴァルドランス(フランスのシードル)
   マッコリ(韓国)
   ピンガ(ブラジルの蒸留酒)
   ゴディバ・チョコレートリキュール(ベルギー)
   ノチェッロ(イタリアのリキュール)
   リモンチェッロ(イタリアのリキュール)
                    など

そして、ここでは銘柄記載を割愛するけれど、
ワインに関して一番多くの紙幅が割かれていて、
そのほとんどが知らない銘柄の紹介なのである。

未体験のお酒がまだこんなにある!
一度は飲んでみなくては!
と「酒飲み意欲」をかき立てられた一冊。

 

 ●▲■その3:伝統派
  「居酒屋百名山」
  (太田和彦著 新潮社 1,575円 2010年2月発刊)

伝統派、あるいは正統派の酒場本。
本のタイトル(「百名山」)もいい。

小説新潮の連載をまとめたもの。
著者はグラフィックデザイナーで、本書以外にも酒場本を多数執筆。

本の帯封紹介に曰く、
  「酒場訪ね歩きがライフワーク。
   日本全国、いい酒いい人いい肴を探し求めた、
   居酒屋探求二十年の集大成。
   時間を変え時季を変え、通い続けた特選百軒」

誠にうらやましいライフワークである。

 

たとえば、
当社(東京支店)の最寄り駅、神田にある「新八」は、
本書で百名山の一つに選ばれる栄に浴している。

いつもサラリーマンで賑わっていて、
満席で入れない時もあるのが難点ではあるが、
席の密度感も、調度も、酒も、肴も、誠に「居酒屋らしい居酒屋」である。

その「新八」に関する本書の紹介はこんな具合。

 「うまい、何度?」「44度です」
   こんな店主との会話と、この店の燗酒がすばらしいこと。
  全国の地酒数十種を置くが、
   特に「神亀」は全種をそろえる日本唯一の店であること。
  「神亀」吟醸原酒の燗は46度にしてから、
   8%割り水して42度にすること。
  その割り水は上原先生(醸造技師、故人)と実験して
   「先に水、後に酒」にしたこと。
  肴は百種を超えるが、鮟肝(あんきも)が特に旨いこと。

一見(いちげん)客はもちろん、
常連客でもなか知りえない事情が書かれていて、
お店を訪ねるのが楽しみになる。

一方、20年という探訪期間が長かった故もあってか、
京都で紹介されている某店を訪ねると、
観光客向け居酒屋に変貌していて少々がっかりした場合もあったが、
百名山の半分くらいは踏破してみたいものである。

 

居酒屋は日本の文化であると思う。

いまや
「日本全国の駅前に、画一メニュー・低料金の居酒屋チェーンがある」
と言っても過言でないが、
個人的には、居酒屋文化の方向性として危惧するものである。

日本の「居酒屋文化」の神髄は、
百名山のような居酒屋によって守られているように思う。

 

 

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次に、酒造業に関する4冊。
人類学、経営学、社会学、子供向け、と銘打ってご紹介します。

 

 ●▲■その1:(ワインメーカーの)人類学的分析
  「ウスケボーイズ」
  (河合香織 小学館 1,680円 2010年10月発行)

ワイン関係の方はご存じの通りだが
「ウスケ」とは浅井宇介(元、メルシャンの技術者。故人。
著作「ワインつくりの思想」は若いワイン技術者のバイブル)のこと。

浅井宇介に心酔した、

  岡本英史(山梨のボーペイサージュ)
   城戸亜紀人(長野のKidoワイナリー)
   曽我彰彦(長野の小布施ワイナリー)

の3人が、それぞれ自分自身のワインを造るに至った、
ノンフィクション、すなわち「実話」である。

かつ、3人はもちろん、それ以外の登場人物の名前も、
(現在、大手ワイン企業在籍者も含めて)全て「実名」である。

3人の学生時代には、
   カロリーメートだけの夕食で食費を切り詰めて
    いいワインを飲んだこと。
   山梨大学卒業前のフランス旅行では、
    3人のうち一人が床に寝る、
    食事はパンとチーズ、という貧乏旅行なのに、
    ワインだけは高いものをかって飲んだこと。
   旅行から帰れば研究室に机がなかったこと。

自分でブドウ畑を営むようになってからは、
   食事代もままならない状況で、あるいは
    精神安定剤を飲みながら、ブドウ畑の仕事をしたこと。
   結婚や離婚のことも赤裸々。

失礼ながらハチャメチャな、
でも、
驚くべきワインへの情熱の実話である。

「ワインで息子がおかしくなったと母は何度も嘆いた」
というフレーズが出てくるが、
「ワインには確かに人を狂わせるなにかがある」
と改めて思う。

「小学館ノンフィクション大賞」も受賞している、
誠におもしろい一冊。

 

 ●▲■その2:(ワインの)経営学的分析
  「ワインビジネス」
  (リズ・サッチら著 横塚弘毅・小田滋晃ら訳
         昭和堂 3,990円 2010年10月発刊)

「夢」や「情熱」を持ってワイン造りに挑む人は多いが、
そういう人たちに、
「ビジネス」としての情報を提供する本は無かったのではないか。

本書は、具体的な切り口で
「ビジネス(≒金もうけ)」としてどうなのかを紹介している。

たとえば

 カベルネをX年寝かしてXX本詰めた場合の、
   ブドウ原価、資材原価、労働費、貢献利益率。
  カベルネとジンファンデルを植えた場合の
   農場コスト、収穫コスト、固定的コストの差。
  ブドウ畑を開設した場合の、
   ブドウ樹、灌漑設備、トラクター、圧搾機の耐用年数。

など。また、

 流通や卸売業者の状況
  インターネット、直営ショップによる直接販売
  ワインツーリズムについて
  資金調達の手法
  労働問題や人材開発
  アメリカにおける法規制

 

経営的・専門的な内容だけに通読には骨が折れるが、
ビジネスとして知っておくべき、
あるいは配慮すべき事項が網羅されている。

本書はアメリカ事情、アメリカの研究(ドル表示)であるが、
日本版、円表示の研究があればなあ、と思う。

また、酒類産業で新規参入があるのはワインぐらいかもしれないが、
清酒、焼酎、ビールなどについても
この種の経営分析本があってもいいのではないか、とも思った。

 

 ●▲■その3:(清酒の)社会学的分析
  「産業集積地の継続と革新
        −京都伏見酒造業への社会学的接近」
  (藤本昌代・河口充勇、著 文眞堂 
           2,370円 2010年4月発行)

先般、醸友会の大阪支部の講演会で、
筆者二人の講演を聴いて、この本を知った次第。

「伏見はシリコンバレーと似ている」(!)
そう、講演でいわれて興味を持った。

本来、酒造業に向いているとはいえない制約的な条件下で、
日本を代表する酒造企業が伏見に出現した社会学的分析。

伏見酒造家の進取性を示す事例として、大手では

  月桂冠:業界に先駆けた四季醸造蔵
   黄桜:業界に先駆けたテレビCM
   宝酒造:業界随一の積極拡大志向

をあげている。
(私なら進取性として、月桂冠:防腐剤含まずの酒、
黄桜:地ビールとお台場サケ醸造所の挑戦
宝酒造:ビールへの参入と撤退、をあげるだろうか。)

綿密なインタビューや調査をしているので、
酒造業や伏見の近代史と現状を知る上で大いに参考になる。

 

個人的感想としては、
「灘と伏見」の競争、という切り口があってもよかったと思った。

「2大勢力」というのは、熾烈な競争で切磋琢磨して
結果的に両者のシェアを高めるもの。

例えはヘンかもしれないが、
酒類業界関係では「凸版印刷と大日本印刷」。

あるいは、
「北京と上海」「NYとカリフォルニア」、
「ボーイングとエアバス」「アメリカの民主党と共和党」
なども思い浮かぶ。

日本の2大勢力、灘と伏見は、
世界における日本酒2大銘醸地としての地位を向上させる、
長期的施策をとってもらいたいと思う。

ボルドーとブルゴーニュのように。

 

 ●▲■その4:子供向け
  「子供のためのお酒入門」
  (山同敦子著 理論社 1,575円 2009年2月)

ここまで、人類学、経営学、社会学、ときて、、、
この本を思い出した。紹介しておきたい1冊。

海外の酒類企業のインターネットサイトでは
飲酒年齢に達しているかまず確認して、
形式的には子供が見られないようにしているケースが多いが、
子供だってお酒産業のことを知っていい。

お父さん、お母さんが酒造業を営む場合もあるだろうし、
「大人になったら酒をつくりたい」
という夢だって捨てたものではない。
いや、「サッカー選手」「学者」「医者」と同じくらい、いい夢だ。

この本は本気で子供向けに書かれている。
平易な文体、漢字には全て読み仮名が振ってある。

「そもそもお酒ってなに?」から始まって、

  清酒:秋田の浅舞酒造
   ビール:千葉の舞浜地ビール工房
   ワイン:山梨のボーペイサージュ(「ウスケボーイズ」で前掲)
   焼酎:鹿児島の佐藤酒造
   泡盛:沖縄の宮里酒造所

の作り手にインタビューしながら、
各酒類の製造プロセスを
写真と、漫画風の吹き出しキャプションで紹介。

横浜の君嶋屋さんのインタビューもおもしろい。

我々酒造関係の大人が読んでも、
他の酒類の事を改めて平易に概観できる一冊。

                 (text=喜多常夫)

 

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さて、情報紹介です。

 

●▲■ ご紹介情報 その1:ROOTSディビジョン ●▲■
ZALKIN社のキャッパー「TMシリーズ」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/ZALKIN_TM_WOP.pdf

フランス・ZALKIN(ザルキン)社のキャッパーは、
世界トップクラスのシェア。

「TMシリーズ」は、
1ヘッドで2000〜2500本/時の能力。
高速でマルチヘッドの「CAシリーズ」もあります。

また、半自動のマニュアル機「TM-3」
「TM-3ボトル缶用Wカム仕様」などもあります。
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/Zalkin_TM_3_ed02.pdf
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/Zalkin_TM-3_wcam.pdf

 

●▲■ ご紹介情報 その2:KKディビジョン ●▲■
ネジ山の見えないアルミキャップ「スマートスクリュー」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/smart_screw_ed02_2.pdf

30mmスタンダードPPキャップ口に合う、
メタルキャップ。

PPキャップのような側面のネジ山がないので、
高級感のあるパッケージ設計が可能です。

オールアルミでリサイクルにも有利。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その3:KKディビジョン ●▲■
eアカデミー「キャッピングの実務知識」
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/capping/capping_info.htm

当社のPR誌「酒うつわ研究」に連載している
メタルキャプのキャッピングに関する実務知識を、
eアカデミーで公開しています。

ワインコルクのコルカー、
ワインキャップシュールのキャップシューラーなどの、
特殊な打栓機の調整方法についても掲載。

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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