●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.169 ●▲■
発行日:2012年7月23日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

 

●▲■ (続)ビール産業:日本編
「脱ビール」と「脱日本」 ●▲■ 

●■ 「フラッグ」ブランドの海外委託生産の拡大
●■ 日本製の輸出先1位は韓国、対前年比57%増!
●■ 日本の地ビールとアメリカのクラフトビール比較

                    (text = 喜多常夫)

 

ご紹介商品●1▲「PP 30S-PMX」シートライナーと同一規格
ご紹介商品●2▲「30STD・PPキャップのバリエーション」
ご紹介資料●3▲オールアルミの「スマート・スクリュー」

 

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続、ビール産業のお話。
前回は世界のビール産業でしたが、今回は日本のビール産業。

 

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  フランスで飲んだキリン:ドイツ製
フランスで飲んだアサヒ:チェコ製
フランスで飲んだサッポロ:日本製

  韓国で飲んだサッポロ:カナダ製
韓国で飲んだキリン:日本製と中国製
韓国で飲んだサントリー:日本製

  台湾で飲んだサントリー:中国製
台湾で飲んだアサヒ:中国製と日本製

  ブラジルで飲んだキリン:アメリカ製

  ニューヨークで飲んだキリン:アメリカ製

 

以上は、この2〜3年の海外出張で、
日本レストランで食事をした時のビール体験です。

 

因みに清酒も、こんな具合。

  韓国で飲んだ月桂冠:アメリカ製と日本製
ドイツで飲んだ大関:アメリカ製と日本製

 

10年ほど前までは、
海外で飲む日本のビールはたいてい日本製だったけれど、
この数年の間に、
委託生産、または海外自社生産の拠点が随分増えました。

 

ビールの場合、日本企業だけでなく、
世界の有力企業が消費地に近い醸造所で委託生産をしています。
日本で売っているバドワイザーやハイネケンも、
日本国内で生産していますね。
(キリンが生産・販売を受託)

ワインやサケと違って、ビールは単価が安く、
輸送コスト比率が高い上、鮮度管理の問題もあって、
現地生産が有利なのでしょう。

 

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ビールの国内需要が毎年減る中で、
日本の大手ビール4社の経営戦略は、
「脱ビール」と「脱日本」。
(「ビール」や「日本市場」にも勿論注力されていますが、
大きな戦略としては「脱ビール依存」と「脱日本依存」)

 

その「脱日本」に関して言えば
「海外企業の買収」がいつも大きく取り上げられますが、
「自社ビールの世界市場でのブランド力アップ」も、
大きな柱となってきているようです。

 

近頃、気をつけて新聞をみていると、
大手ビールメーカー4社が自社の「フラッグ」ブランドを、
海外生産委託する記事が結構、頻繁に載ります。
(注:各社のフラッグ・ブランドは:
一番搾り、スーパードライ、サッポロ・プレミアム、プレミアムモルツ)

ただ、新聞記事はたいてい断片的。
大手4社の一覧資料はないものかと探しましたが、
どうにも見つからないので、
読みかじったことやウェブで調べたことを書きだしてみました。
(素人調査故、不備があるかもしれません、御容赦の程)

 

■キリンICHIBAN(一番搾り)
<委託生産>
ドイツのヴァイヘンシュテファン醸造所
ロシア・カリーニングラードのイワンタラノフ社
英国のウェルズ&ヤング社
アメリカ西海岸のアンホイザーブッシュ(AB)社のLA工場
アメリカ東海岸のAB社のバージニア工場(2012年から)
<海外自社工場>
中国の麒麟?酒(珠海)有限公司

 

■アサヒ・スーパードライ
<委託生産>
チェコのスタロップラーメン社
英国のシェパードニーム社
ロシア・モスクワのバルチカ社
カナダのモルソン・カナダ社
タイのブンロート社(2011年から)
マレーシアのカールスバーグ・マレーシア社(2011年から)
<海外自社工場>
中国の北京?酒朝日有限公司

 

■サッポロ・プレミアム
<委託生産>
アイルランドのギネス社
オーストラリアのクーパーズ・ブリューイング社(2011年から)
<海外自社工場>
カナダのスリーマン社
ベトナムのサッポロ社(2011年生産開始)

 

■サントリー・プレミアムモルツ
<委託生産>
(現時点では、海外の委託製造はないと思います。
日本製プレミアムモルツの輸出をアジア、アメリカ等に拡大中。)
<海外自社工場>
(中国の三得利酒(上海)などの自社工場では、
中低価格製品を生産する戦略で、
プレミアムモルツは生産していないと思います。
なお、前回メルマガに書いたとおり、
中国では青島ビールと合併事業を予定。)

 

各社とも、フラッグ・ブランドで、
世界シェアの一角に食い込む戦略でいるのが判ります。

 

(追記:恐縮ながら素人の感想を書かせていただくと、、、
委託生産のビールを海外で実際に飲んでみると、
各社とも生産国(工場)によって味が違うし、
オリジナルの日本製とも相当味わいが違うように感じます。
今後の展開の上で少々気にかかるところです。
バドやハイネケンは、委託製品でも
生産国による味の差が少ないように思います。)

 

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海外委託、海外生産が増えている一方で、
日本からのビール輸出も2011年は前年比で30%も増えました。

国内需要が減るなかで、
工場稼働のための当然の成り行きかもしれません。

 

●2011年のビールの「輸出」のトップ3:
(財務省貿易と受けによる、以下同じ)

  1位韓国               13,128KL (対前年比 57%増!)
  2位台湾               5,618KL (対前年比 67%増!)
  3位アメリカ           2,793KL (対前年比 17%増)

 全輸出量              31,000KL (対前年比 30%増)
       

輸出先圧倒的1位はお隣の韓国。
日本のビール輸出量の約40%(!!)は韓国向けです。

今、大手ビール4社は日本製の輸出ターゲットを
韓国、それに台湾に狙い定めているようです。
(実際には日本製以外に中国製なども導入して、
価格や品ぞろえで幅を持たせる戦略)

 

韓国、台湾は日本から至近距離であるうえ、
世界のビッグ4
−ABインベブ、SABミラー、ハイネケン、カールスバーグ−
の影響が少ない、まれな国であることも幸いしています。

 

なお、韓国では日本ビールのブームのほかに、
ご存知の通り清酒もブーム。

●参考までに2011年の清酒の「輸出」のトップ3:

  1位アメリカ           22,620石 (対前年比 10%増)
  2位韓国              15,710石 (対前年比  9%増)
  3位台湾               9,330石 (対前年比  2%増)

 全輸出量              77,900石 (対前年比  2%増)

              (注:1石=180リットル)

清酒の全輸出量7万7,900石の約20%(!)は韓国向けです。
「3.11」がなければ韓国向けはもっと伸びたでしょう。

 

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●さて一方、2011年のビールの日本への「輸入」統計をみると、、、

  1位韓国               11,821KL (対前年比766%増!!)
  2位メキシコ           6,348KL (対前年比  9%増)
  3位アイルランド       4,865KL (対前年比  3%増)

 全輸入量              42,000KL (対前年比 44%増)

 

こちらも韓国が1位。
韓国は大手流通のPBビールのほか、
「HITE」など自社ブランド名でも入るようになりました。
(メキシコは「コロナ」、アイルランドは「ギネス」)

「韓国と日本、お互いのビール輸出入はともに1位、
量もきっ抗していて、なかなか良かった」
、、、と思うとアニハカランヤ。

 

●2011年の「麦芽発泡酒」の日本への「輸入」はこんな具合。

 

  1位韓国               166,700KL (対前年比 42%増)
  2位タイ               15,489KL (対前年比117%増)
  3位台湾                 4,646KL (対前年比 60%増)

 全輸入量              194,000KL (対前年比 48%増)

 

ビールと1桁違う。
ものすごい量が入ってきているんですね。
大手流通の店頭にある韓国製PB製品の露出率を考えると、
合点のいく数字と言えます。

 

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以上のような、日本のビール産業事情を、
PPT資料にまとめてみたのが以下です。

●▲■ ご紹介情報 アーカイブ資料 ●▲■
ビール業界の動向#2「日本マーケット」編(全18ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Beer_Ind_2.pdf

資料の12〜14ページには、冒頭書いた
ドイツ製、アメリカ製のキリン
チェコ製、中国製のアサヒ
などの写真を収録しています。

歴史に興味のある方には、
「ビール産業の歴史」のパートに、
大日本麦酒の資料による
「本邦麦酒会社工場所在地」地図も収録しています。

 

なお、資料の最初のAcknowledgementに書いていますが、
この資料は、2012年4月20日JBA総会での発表のために
作成しだしたもの。

当社は大手ビール各社、多くの地ビール醸造所の皆様に
お取り引きいただいています。
このような資料を作成したのは、
皆様にお取り引きいただいているが故で、
改めてビールのお取引各社に感謝の意を表します。

 

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さて、日本ビール産業を語る上では、
地ビールのことも触れておかねばなりません。

 

1995年に小規模なビール醸造が許可になって17年。
その歩みと、現状についてまとめたPPT資料もつくりました。

●▲■ ご紹介情報 アーカイブ資料 ●▲■
ビール業界の動向#3「地ビール」編(全8ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Beer_Ind_3.pdf

 

当社独自集計では
2011年末時点の地ビール醸造所は206箇所。
おおざっぱに言えば、
約200社が現在日本で活動しています。

一方、2011年の地ビール生産量は(3万KL弱と言う人もいますが)
2万KL程度ではないかと推定します。
したがって1社平均の出荷量は
約2万KL/約200社=約100KL/社。

日本の地ビールは一時の低迷を脱して、
近年はやや増加基調。

厳しい経済環境で価格の安い第三のビールが伸びる一方、
プレミアムビールが一定の人気を獲得しているのと似た意味で、
地ビールの価格と個性ある味わいを、
受け入れる市場ができつつあるといえるでしょう。

 

資料にはアメリカのクラフトビール事情も掲載しています。
2011年のクラフトビール醸造所の数は1938か所、
生産量は135万KLだそうで、1社平均は約700KL/社です。
第二次ブームのような様相。

 

アメリカの状況を見ていると、
日本の地ビールも、90年代に続く、
第二次ブームがくるような予感がします。

 

             (text: 喜多常夫)

 

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さて、商品のご紹介です。

 

●▲■ ご紹介商品 その1:KKディビジョン ●▲■
「PP 30S-PMX」シートライナーと同一規格のPM・PPキャップ
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/30STD_PMX.pdf

30mm STDサイズのPPキャップには、
「シートライナー仕様」と「PM(ポリエチレン・モールド)仕様」
の2種類がありますが、両者は全高が0.4mm違うため、
切り替えにはキャッパーなどの調整が必要でした。

「PP 30S-PMX」は「シートライナー仕様」と同じ高さなので、
基本的にキャッパー調整なしで切り替えが可能です。

 

 

●▲■ ご紹介商品 その2:KKディビジョン ●▲■
「30STD・PPキャップのバリエーション」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/binkan_gas_PP_ed4.pdf

 

清酒のびん燗殺菌に対応するPPキャップ、
スパークリング清酒・リキュールに対応するPPキャップ、
などもラインナップしています。

資料2ページ目には、
スパークリング飲料を後殺菌した場合の圧力表を掲載しています。

 

 

●▲■ ご紹介商品 その2:KKディビジョン ●▲■
オールアルミの「スマート・スクリュー」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/smart_screw_ed02_2.pdf

 

オールアルミ製なので、リサイクルしやすい。
ねじキャップですが、ねじ山のないスマートな外観。

「特濃金」「シャイニーゴールド」など、
ケース単位で出荷可能な汎用品を準備しています。

 

 

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