●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.114 ●▲■
      発行日:2008年5月12日(月)
■お酒・アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

  ------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 「壜内二次醗酵清酒」と「壜内二次醗酵ワイン」の違い
●▲■  ガス入り清酒にもエージングの効用?
●▲■ 「壜内二次醗酵ビール」のような売り方??
                     (text = 喜多常夫)

 

ご紹介アイテム●1▲ガス入りのお酒のための
「パイロットプラント」と「カーボネーティング・ストーン」
ご紹介アイテム●2▲ガス飲料の品質管理に「エアテスター」
ご紹介アイテム●3▲量り売りのお酒・ワインの樽充填に「ケグメイト」

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先月末に、日本醸造協会さんの清酒製造技術セミナーで
講師をさせていただいた。

2日間のセミナーで、場所は東京・王子の北とぴあ。
麹に関する講演、イネや酵母に関する講演などが主だったが、
私の演題はちょっと異色で「ガス入りの清酒、設備と技術」。

 

「ガス入りの清酒」、、、
といってもピンと来ない方が多いかもしれないが、
デパートの清酒売り場にいけば、意外とたくさん種類がある。

製法別に4つに分類して、商品例を列記してみよう。

 

1)「壜内二次醗酵」の薄にごり・ガス入り清酒の例
  - すず音(一ノ蔵)
  - 蜃気楼(賀茂鶴酒造)
  - ぷちぷち(末廣酒造・福島)
  - 月うさぎ(梅乃宿酒造・奈良)
  - ちょぴっと乾杯(花の舞酒造・静岡)
  - ねね(五橋・酒井酒造・山口)

 酵母がのこるので薄にごり。温度をかけて醗酵を止めるのが通例。
  アルコール度数は5〜7%が多く、高くても10%程度。
  いま特に、このカテゴリーがブームの感があり、
  記載した以外にも20くらいは商品があるのではないか。

 

2)「タンク内二次醗酵」のガス入り清酒の例
  - ZIPANG(月桂冠)
  - 星の流れ(黄桜)
  - 花泡香(大関)

 例示した3点のアルコール度数は、すべて6〜7%。
  にごりの製品もあるが、清澄(にごりなし)をウリにする例が多い。
  飲むと、とてもバランスの取れた清酒である。

 

3)「タンク内ガス添加」のガス入り清酒
  - にごり系やクリア系など多くの事例がある
  - 山形では、県を挙げて研究開発されているそう

 二次醗酵に比べてガス添加はイメージがよくないという先入観からか、
  積極的に公表している例が少ないので、ここでは商品名を書いていない。
  が、じつは結構多く商品化されているし、美味いものが多い。
  二次醗酵のようなプロセスに縛られないので、
  アルコール度数や品質設計を自由にできるメリットは大きい。

 

4)1〜3以外。活性濁りや、リキュール区分などの例
  - 月の桂にごり酒(増田コ兵衞商店・京都)
  - 五郎八(菊水酒造)
  - さざめき(白鶴酒造)

 もろみを粗漉しして充填する活性にごり酒は、
  ガス入りが主意図ではないかもしれないが、相当なガス量がある。
  清酒の税法に縛られないリキュール区分で挑戦する商品も興味深い。

 

炭酸ガスと清酒は、結構、相性がいいものだ。
飲むと、どれもおいしい。

日本食ブームの欧米で、
「スシは好きだがサケはちょっと、、、」という欧米人に、
大いにアピールできる潜在力を秘めていると思う。

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ガス入り清酒は、実は随分昔から商品化され、研究されている。

事情通なら、1960年代に「パンチメイト」という共通名称で
ガス入り清酒を販売していたことをご存知だろう。

 

また、たとえば、日本醸造協会の検索サイト
http://www.jozo.or.jp/i.kennsaku.htm
で、「発泡清酒」というキーワードで検索すると、

 - 1973年12号「本格発泡清酒の製造」大塚謙一・戸塚昭・伊藤政光
  - 1976年7号「発泡清酒(サケ・ムスーについて)」大塚謙一

など、30年以上前の研究発表が出てくる。
(「ムスー」mousseuxとはフランス語で「スパークリング」の意。
因みに、こんな古い醸造協会誌も在庫があれば実費で買える!)

 

大塚謙一さんご本人にそのときの話を伺ったことがあるのだが、
「クリアな発泡清酒が造りたかった。
壜内二次醗酵を試したが、
清酒酵母はシャンパンのように壜の中でうまく落ちないので、
タンク内二次醗酵を選んだ」とおっしゃっていた。

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シャンパンをはじめとする、
壜内二次醗酵のスパークリング(ガス入り)ワインは、
いま世界的なブームである。

フランスのシャンパンの総生産量は3億数千万本だそうだが、
世界需要に供給が追いつかず、
単位面積当たりのブドウ収量制限を緩和したり、
原産地呼称で定めたブドウ畑を拡大する動きがあって物議をかもしている。

日本でもシャンパンの輸入量は近年二桁の伸びで、
2007年には900万本を超えたそう。
日本は世界6位のシャンパン輸入国であるうえ、
シャンパン以外のスパークリングも好調である。

 

「壜内二次醗酵清酒」と「壜内二次醗酵ワイン」を比べてみよう。

 1.アルコール度数:「5−7%」vs「12−13%」
  2.ガス量:「(実測)2−4.5 CO2-GV」vs「5-5.5 CO2-GV」
  3.熱殺菌:「壜殺菌必要」vs「熱履歴なし」
  4.清澄度:「薄にごり」vs「クリア」
  5.エージング:「あまりしていない」vs「1.5年以上(シャンパン)」
(6.価格:「数百円〜千数百円」vs「数千円〜1万円以上」)

「6.価格」は別としても、
同じ壜内二次醗酵でも技術的にずいぶん違う。

「3.熱殺菌」や「4.清澄度」あたりを何とかしたい、
と思っておられる清酒関係者のかたも多いのではないか。

下記は、当社のシャンパンに関する資料。
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/wine/b.fermented_ed4.2a.pdf

シャンパンは特殊な製造方法だし、酒税法の限定もあるので、
そのまま清酒に適応できるとは思わないが、
なにかのヒントにしてもらえるかもしれない。

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しかし、
ここで言いたいのは「5.エージング」のことなのだ。

実は偶々手元に、
「5年以上置いておいた壜内二次醗酵清酒」があり、
それを、「同一銘柄で今年製造されたもの」と飲み比べてみた。

意外や、5年以上エージングしたほうが、
口当たりは独特の個性ある味わいで+、香りも+、甘さも上品
と、今年製造されたものより随分よかった。

シャンパンのようなクリスピーやトースティー、というわけではなく、
色も若干褐色を帯びて、味も長期貯蔵清酒に近い性格だが、
深みが出て、なめらかで、エージングの効果が明らかにあると思った。

シャンパンのシャンパンたる所以は、
二次醗酵によるガス添加(壜詰め後せいぜい数週間で終了)より、
むしろ、二次発酵終了後のエージングである。

通常品で1.5年以上、ビンテージは3年以上のエージングが、
シャンパンのルールとして定められている。

酒類のエージングには、「樽熟成」、「びん熟成」などもあるが、
この場合の熟成は「酵母入り熟成」であり、
長い月日を経て酵母がアミノ酸に分解され、独特の味わいになる。

エージングは、製品を長期に寝かす(在庫する)ことになるので、
そう簡単にできるものではないと思うが、
壜内二次醗酵ではベルギービールの事例もある。
清酒と同じく酵母は取り除かないし、熟成を待たずに出荷するが
賞味期間は5年程度として、
長期熟成に耐えることをアピールしている例がある。

エージングには、
ガス入り清酒の新しい可能性があるのではないか。

                    (text = 喜多常夫)

 

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当社は「ガス入りのお酒」の製造、充填機、包装資材について、
豊富な実績とノウハウを持っています。

「カーボネーティング・ストーン」による方法のほか、
「びん内二次醗酵」、「タンク内二次醗酵」についてもサポートいたします。

ワイン分野で、
シャンパン方式スパークリングについて豊富な実績を持っています。
シャンパン法にならったびん内二次醗酵清酒についてもご照会ください!

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さて、当社商品のご紹介です。

 

●▲■ ご紹介アイテムその1:ROOTSディビジョン ●▲■

ガス飲料の試作装置、「パイロットプラント」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/PilotPlant.html

タンク内ガス添加のための「カーボネーティング・ストーン」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/CarbonatingStone.html

さまざまな酒質、甘さ、アルコール度数のお酒に対して、
どのくらいのガス添加量が最適かを試すために、
パイロットプラントが最適。

カーボネーティング・ストーンは、
タンク内で優しく炭酸ガスを付加する装置。
新ジャンルのガス入り清酒にチャレンジすることも可能。

 

●▲■ ご紹介アイテムその1:ROOTSディビジョン ●▲■
ガス飲料の品質管理に「エアテスター・ピアーシングデバイス」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/ZN_airtester.html

市販のガス入り清酒を測定すると、
ガス含有量が随分バラついているものが多いように感じます。

一定の炭酸ガス量であることは、ガス入り商品の第一歩。
できればヘッドスペースのエア(酸素+窒素)量も管理したい。

エアテスターやピアーシングデバイスで抜き取り測定し、
製品品質の一定化を図ることをお勧めします。

 

●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■

量り売りのお酒・ワインの樽充填に「ケグメイト」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/keg_mate.pdf

ルーツ機械研究所製の、重量計測式の樽充填機。
品質保持のため、窒素または炭酸ガス雰囲気で充填。

量り売り用や蔵元直送のワイン、清酒、焼酎を、
ステンレス樽に詰めるのに最適です。

4種類の充填量を記憶するので、
「20リットル樽に10リットル充填」など、
配送先の実需に合わせてきめ細かい対応ができます。

清酒・ワインに向くよう内面を酸化皮膜処理をした
お酒スペックのステンレス樽も販売しています。

 

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http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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