●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.124 ●▲■
     発行日:2009年 2月19日(木)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 酒類の相似性 ●▲■

●■「清酒・三増酒・合成酒」「ビール・発泡酒・第三のビール」
▲■第三のビール:「麦芽を僅かに使う」と「麦芽を使わない」

   + ビール四方山話(韓国のビール)

               (text = 喜多常夫)

ご紹介アイテム●1▲「ザルキンのキャッパー」
ご紹介アイテム●2▲ラボ用のLN2滴下付き缶づめ機「BRX」
ご紹介アイテム●3▲小規模生産用・ラボ用のビール充填機「BF-IIIR」

 

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●■「清酒・三増酒・合成酒」

「三増酒(三倍増醸清酒)」という用語を知らない方が
今や多いのではないか。
2007年9月まで税区分上「清酒」カテゴリーだったが、
法律改正で清酒ではなくなった。

第二次世界大戦の米不足、物資欠乏の中で、
清酒供給を続ける技術として醸造試験所によって開発されたのが
アルコールを添加して元の清酒の3倍まで増量する「三増酒」。

それ以前に、日本統治下だった満州で清酒を造るとき、
現地の水が硬水でうまく醸造できないことなどへの対応として、
アルコールと糖類を添加する方法が用いられたのが
三増酒の原型だった、というのも聞いたことがある。

 

一方、「合成清酒」は、
清酒と独立した税区分カテゴリーとして存在し、
今も相当量(おおむね清酒の1割くらい)が消費される。

1920〜30年代に開発され広まった「理研酒」が有名。
(世界初のビタミンB1単離で有名な、鈴木梅太郎博士の発明)

これは米を全く使わない純合成の酒。
「理研酒は日本酒に非ず、
日本酒に似てより衛生的なる現代的"天の美禄"なり」と、
米を使わない科学の産物であることをアピールしていたそう。
(坂口謹一郎「日本の酒」より)

一方、当時から米を使う製造法もあって、
現在市販されている合成清酒は、
僅かに米が使われているものが多い。
(米の使用量5%以下と定められている。)

 

三増酒・合成酒の開発動機は、
「物資欠乏の中で清酒供給を続ける」
または、
「貴重品である米を使わない清酒風酒製造技術」
だった。

 

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●■「ビール・発泡酒・第三のビール」

2001年登場の「発泡酒」、
2003年登場の「第三のビール」の開発動機は、
「酒税を節約し価格を安くする」
ことであって、三増酒・合成酒とは意図が全く異なる。

が、出来上がった商品コンセプトは、
三増酒・合成酒に似ているように思う。

「麦芽使用量」を少なくしたのが発泡酒で、
「米使用量」を少なく(=アルコール添加)したのが三増酒。

かつて合成酒に「米を使う」「使わない」があったように、
第三のビールにも「麦芽を使う」「使わない」がある。

「麦芽を使う」:
発泡酒に蒸留酒を添加する方式で、
「リキュール」区分のもの。
クリアアサヒ、サントリー金麦など。

「麦芽を使わない」:
大豆やエンドウのたんぱくでつくる方式で、
「その他の醸造酒(発泡性)」区分のもの。
キリンのどごし<生>、サッポロドラフトワンなど。

時代も、目的も、酒類も異なるが、
相似性を感じる。

 

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●■「第三のビール」が一番伸びている!

サントリーの「ゼロナマ」(発泡酒)、サッポロの「Beer Fine」(ビール)
は2008年に生産中止となった。

新聞報道によれば、
キリンの「ザ・ゴールド」(ビール)、アサヒの「新生3」(第三のビール)
も2009年中に販売を打ち切るそう。

どの製品もずいぶんテレビCMを見た記憶があるけれど、
日本市場は誠に競争激甚で、かつ縮小傾向。

 

コンビニで標準的な350ml缶の価格を見ると
  ビール215円
  発泡酒160円
  第三のビール140円

350ml缶あたりの酒税は
  ビール77円
  発泡酒47円
  第三のビール28円

以上を引き算して、350ml缶を無税の状態にしたら
  ビール138円
  発泡酒113円
  第三のビール112円

この数字をみたらビールが一番儲かるんじゃないか、
と素人は思うのだが、原価構成は知る由もない。
ひょっとしたら第三のビールが一番もうかるのかな?

大手各社が、ビールよりむしろ第三のビールに力を入れて、
消費者の嗜好も、「第三のビール好き」が増えていくのは、
個人的にはなんとなく怖い。

三増酒を、
半世紀を経た後にようやく「清酒」カテゴリーから外したのは、
清酒長期減退の潜在要因を取り除こうとしてのこと。

「発泡酒」「第三のビール」は、
税法のカテゴリーこそ最初からビールとは違うが、
同じようなこと(ビール長期減退の潜在要因)
にならなければいいのだが。

 

それと、
外人さん(表現が古いが)と話すとき、
発泡酒「low malt beer」はなんだか理解してくれそうだけれど、
(第三のビールはどういうべきか知らないのだが)
「no malt beer」とか
「beer taste alcoholic beverage」とか言うと、
なにそれ?と言われそうで、
面映ゆいこともある。
別に世界スタンダードに迎合したいわけではないけれども。

因みに、合成清酒は、
国税庁や財務省の輸出入統計には、
「Synthetic Sake」や「Sake compound」と表記されている。
(Syntheticは合成、compoundは複合や調合、という意味)
あまり飲みたいとは思えないネーミング。

 

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いや、逆に、
日本カルチャーの生み出した産物や、
異形の日本独自規格が、
長い間に熟成され、救世主になることもある。

たとえば、日本自動車産業保護の産物で、
かつて世界には通じなかった「軽自動車」規格が、
いまや不可欠な役割を果たしているように。

第三のビールや合清酒の技術も、
そうなる時がやってくるのかもしれないですね。

技術論としては、
「税金対応」も「原料不足」も
アルコール飲料の技術進歩に欠かせなかった
ファクターと言えるのでしょう。

 

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▲■ビールの四方山話

今回のメルマガはビールの話題だったので、
ビールの四方山話をひとつ。

 

2月6日の日経新聞一面トップ記事で、
「アサヒ、韓国2位のOBビール買収検討、LOTTEと共同で」
とあった。

韓国の2大ビールメーカーのHiteビール、OBビールは、
ともに創業1933年を謳っている。

韓国に初めてビール工場ができたのは日本統治下の時代。
(1910年から1945年まで、日本は韓国を併合していた。)

1933年に、朝鮮総督府の免許を得て、
「朝鮮麦酒」(旧大日本麦酒−現アサヒ・サッポロ−が出資)と、
「昭和麒麟麦酒」(麒麟麦酒が出資)が同時に設立された。

第二次世界大戦後、
「朝鮮麦酒」はCrownビールをへてHiteビールに、
「昭和麒麟麦酒」はOBビールに引き継がれたそう。

 

アサヒが買収を検討しているOBビールの前身は
キリンの設立だったことになる。

誠に四方山(よもやま)話の域を出ないエピソードだが、
時代はめぐる、だなあと思ってご紹介した次第。

 

               (text = 喜多常夫)

 

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さて、きた産業の商品の紹介です。

●▲■ ご紹介アイテムその1:ROOTSディビジョン ●▲■
「ザルキンのキャッパー」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/Zalkin_brochure.pdf

このたび、ザルキン社のキャッパーを
扱うことになりました。

フランスのザルキン社は、
キャッピングマシンの世界2大メーカーの一つ。
キャッパー単体の販売のほか、
モノブロックに組み込むロータリーキャッパーとして
クロネス、KHS、セラックなどに採用されています。

既存機器のオーバーホールや、
スペパーツの供給も承ります。

 

●▲■ ご紹介アイテムその2:ROOTSディビジョン ●▲■
ラボ用の液体窒素滴下装置付き缶づめ機「BRX」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/BRX_jpn_.pdf

大手ビールの研究所のほか、
アイルランドのギネスビール研究所にも採用されています。

「BRX」の姉妹機として、
「ボトル缶・PETボトル」バージョンの「BRZ」も開発中。
陽圧缶や、薄肉PETボトルの商品開発のために、
特にお勧めします。

 

 

●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■
小規模生産用・ラボ用のビール・炭酸飲料充填機「BF-IIIR」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/BF3R.html

全国の地ビール醸造所、
大手ビールの研究所、
発泡清酒・リキュールの充填用、
などで多くの実績があります。

小規模生産やラボ用に最適です。

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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