●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.141 ●▲■
    発行日:2010年 5月28日(金)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

 

------------------< 目 次 >------------------

 

●▲■ 酒類の王冠・キャップの歴史 ●▲■
1900年東京麦酒、1900年江井ヶ嶋酒造、1912年麒麟麦酒
1900年コカコーラ、1913年ティーチャーズ、1926年ホワイトホース

●▲■「パテントで見る、王冠・キャップ産業の120年」●▲■
嗚呼、王冠・キャップ製造業者は、18年で18社廃業
アルコール飲料産業も「ガラパゴス気味」では、、、?

               (text = 喜多常夫)

 

ご紹介アイテム●1▲汎用デザインの王冠・キャップリスト
ご紹介アイテム●2▲スパークリング資材やノマコルク
ご紹介アイテム●3▲醸造所にお勧めする殺菌・洗浄剤

 

 

 

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まず、「酒類の王冠・キャップの歴史」について。 

まとまった資料は見たことがないので、
色々な文献・資料で読みかじったことを、
記録の意味で、一度書いておきたいと思っていました。

 

  ●■ビール・清酒の王冠コルクの歴史

 

日本のビールで王冠を初めて採用したのは、
1900年の東京麦酒(のちに大日本麦酒−アサヒ・サッポロの前身―に合併)。

清酒で王冠を初めて採用したのは、
1900年の江井ヶ嶋酒造と、1901年の白鶴酒造。
(因みに江井ヶ嶋酒造は当時、自社製壜工場で一升壜を生産されていた)

それ以前の壜詰めのビールや清酒はコルク栓でした。

 

世界で初めて王冠を採用したのは、
アメリカのビール(メーカー不詳)で時期は1890年代中ごろ。
アメリカのコカコーラが王冠を採用したのは1900年なので、
日本の使用開始(1900年=明治33年)は随分早いといえるのではないでしょうか。

因みに麒麟麦酒は当時のイギリス嫌いのドイツ人技師が反対したため、
ずいぶん遅れて1912年の採用だそうです。
(日本への王冠の特許はイギリスから出願されて、
王冠製造も、関東大震災までイギリス人が横浜で行っていた)

 

清酒はその後、一升壜が主流となった。
量が多くて一度に飲めないが、王冠では再栓(リシール)ができない。
そこで、「複式王冠」と称して、
替栓が入っているタイプが戦前から使われだして、今に至ります。

 

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「王冠コルク」(英語でもCrown Cork)というぐらいで、
コルクは王冠・キャップと縁が深い。
今ではプラスチックがコルクにとってかわりましたが、
その時期も記録しておきます。

 

ビールの王冠は、
1980年代は、王冠の裏は「圧搾コルク・ディスク」だった。
それが、順次ポリエチレンのインシェルモールドに代わって、
最後にサントリーが1993年に代わって、
大手4社の王冠すべてがプラスチックライナーになりました。

その後も数年前まで、
ビール以外でコルクディスク王冠が僅かに残っていましたが、
筆者の知る限り今ではついになくなりました。

清酒の一升壜のコルク替栓は、
1970年ごろ、月桂冠がプラスチック成型品に切り替えたのが嚆矢。
21世紀にはいっても、
剣菱、呉春、一の蔵などがコルク替栓を一部で使用していましたが、
今では一升壜用コルク替栓はなくなったと思います。

 

 

  ●■ワイン、ウィスキーのコルクの歴史●■

 

コルクといえばワイン。

日本の720〜750mlのワイン壜では、
コルク栓(コルク粒を再合成したものを含む)がいまだ主流だけれど、
全世界をみるとワイン壜全体の6割くらい。

90年代半ばに出現した合成コルク(プラスチック)が、
いまやすでに世界シェア2割強。
アルミキャップも21世紀にはいって急増でシェア1割強。

ビールや清酒では姿をほぼ消したコルクですが、
ワインのコルク減少は2010年現在進行中、というわけです。

 

ウィスキーの栓は、
日本でも世界でもスクリューキャップが多いけれど、
コルク栓(つまむ部分の付いた所謂「傘つきコルク栓」、
英語では「Tトップコルク」)も結構あります。

高級ウィスキー、高級ワインほどコルク栓が多い。
筆者はコルクに愛着を感じる者なので、
ウィスキーやワインではコルクが消滅しないことを祈っています。

 

英国のウィスキーでは栓の歴史が残っています。

「傘つきコルク栓」は1913年にティーチャーズが、
「スクリューキャップ」は1926年にホワイトホースが、
それぞれ世界で最初に使ったのだそう。

英国の資料では、ウィスキーに限定せず、
「スクリューキャップを世界で初めて使ったのがホワイトホース」
となっている場合が多い。

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日本ウィスキーの始まりは1929年発売のサントリー白札ですが、
写真で見る限り、傘つきコルク栓のように見えます。

 

因みに、
長寿商品の「サントリー・オールド」のキャップの変遷は次のごとし。
1950年発売時は傘つきコルク栓→金属スクリューキャップ
→ステルキャップ→プラスチック・スクリューキャップ(現行)

ウィスキーではないですが、他の長寿商品の事例も書いておきます。

「ワンカップ大関」
1964年発売時は全面ディスク・ライナー入りアルミキャップ
→環状ライナー・ティアオフキャップ→リングタブキャップ(現行)

「オロナミンC」
1965年発売時は王冠→28mmPPキャップ
→アルミのマキシキャップ→スチール製のマキシクラウン
→プラスチックタブのマキシキャップ(現行)

 

時代とともにキャップは変わる、です。

 

 

 

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  ●■王冠JIS規格と、フランスのシャンパン王冠●■

 

かつて王冠にはJIS規格がありました。
1957年に制定され1994年まで存続。

 

これも失われてしまう情報だろうからウェブに記録しておきます。
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/capping/JIS_CROWN_CAP_1957_94.pdf

 

当社もかつてJIS表示認可工場として王冠を製造していましたが、
いまやISO9001の認可工場。

余談ながら、、、
王冠規格はなくなったものの、
いまも実に様々なJIS規格が存在し増え続けているようです。
けれど、「ISO規格」はほとんどの人が知っているでしょうが、
いまや「JIS規格」の名を知らない人もいるのではないでしょうか。
ガラパゴス化を懸念、、、。

 

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王冠JIS規格には5種類の規格が定められていました。
1種が一升壜用の30mm王冠、2種が29mm王冠、
3、4、5種がビールやジュースに使われる普通サイズ(27mm王冠)。

かつて主に醤油用に2リットル壜(見た目、一升壜に似ている)があって、
30mmの一升壜と区別するために壜口が29mmだった。
これに合うのがJISの2種王冠だったのですが、
日本では消滅しました。

一方、現在のフランスのシャンパン壜は
最終的にはシャンパンコルク(マッシュルーム型のあれ)を打栓するのですが、
壜内二次醗酵のエージング期間中は王冠を打栓する。
このシャンパン王冠が29mmで、
フランスやイタリアなどで今も普通に使われるし、
CETIE(ヨーロッパの壜・キャップの規格)に記載されています。

ヒダの数も、
シャンパン王冠とJIS2種王冠は22個で同じ。
(王冠のヒダは奇数がいい、という俗説がありますがこれは偶数)

 

1957年にどういう経緯で、
29mm王冠や30mm王冠がJIS規格で採用されたのかは知りませんが、
29mmはフランスの規格を持ってきたのかも??

 

 

    ●■王冠・キャップ産業の120年●■

壜のフタ、すなわち王冠・キャップ産業が、
いつ始まったかご存知でしょうか?

当社を含め、
世界の王冠・キャップ産業のルーツは、
アメリカ人、ウィリアム・ぺインター氏の発明にあります。感謝。

 

ちょうど120年前、1890年6月にぺインターが出願した特許、
「ボトルシーリング・デバイス」がいわゆる「王冠」の基。
1892年2月に米国特許No.468,258として成立しました。

 

同年ペインターは、王冠(Crown)の名を冠した会社
「Crown Cork & Seal Company, Inc.」で王冠製造を開始しました。
王冠は炭酸ガスを保つことのできる画期的な壜栓として、
ビール会社に採用され、アメリカから世界に広まりました。

このクラウンコルク社は120年たった今も、
王冠・キャップや缶をつくるグローバル企業として健在です。 
http://www.crowncork.com/

「王冠―Crown」とは、
王様が頭にかぶる王冠に似ていたからつけられた名前。
それまで蓋という英語は、Closure、Seal、Stopperなどでしたが、
19世紀末からCrownが使われるようになりました。

その後、
プラスチックキャップ全盛の現代に至る120年の変遷、
どうして「キャップ(帽子)―Cap」と呼ばれるようになったか、
日本独自の一升びんデラックス王冠の歴史、

、、、などは下記参照。全32ページの大作です。

 

「パテントで見る、日本と世界の王冠・キャップ産業の120年」
http://www.kitasangyo.com/Archive/cap_cork/20milestone_patents.html

 

 

 

  ●■日本では18年で18社淘汰、世界も再編の嵐●■

 

上記資料は昨年(2009年)に編集したのですが、その文末に、

 「1992年の王冠組合40周年記念誌に、
王冠・キャップ製造業社として56社を掲載した。
17年たった2009年現在、うち17社が倒産、廃業または製造停止」

と書いています。

まさに今月(2010年5月)の話ですが、
神戸の王冠・キャップ製造の老舗、T社が倒産(自己破産)しました。

これで、18年で18社なくなった勘定。
業界に身を置く者にとって恐ろしい話ですが、
「1年1社が淘汰」のペース(ジンクス?)は維持されています。

 

およそ工業製品で、
120年間同じ基本形態のまま、しかもこれほど単純な構造のものが、
世界中でつくられ続けているものはどれほどあるでしょうか?
「王冠」はそれに該当する例外的な工業製品です。

 

一方「キャップ」としては様々な新形状が開発され、
王冠・キャップ産業は発展してきましたが、
その裏には「絶対個数の拡大」、という前提条件がありました。
しかし日本では、すでに酒類はじめ多くの分野で総量減少局面。

 

日本のキャップ産業はご多分にもれず、
「ガラパゴス現象」気味で特殊環境であるとは思います。

しかし、世界のキャップ産業を見ても、
2008年にアルコア社のキャップ部門が買収されてCSIとなり、
今年はアルキャン社のパッケージ部門(ワインのステルヴァンキャップを製造)が、
オーストラリアのアムコー(AMCOR)に買収されるなど、再編の嵐。

 

今後も淘汰や嵐が続くのは間違えない。

当社は皆さんのお役にたつ、積極的な役割を果たすことで、
なんとしても生き残っていきたいと思います。

 

 (注:「ガラパゴス現象」:日本企業の技術やサービスが、
世界市場の動向や技術標準とは無関係に
日本市場の中だけで独自に進化、特殊化してしまうこと。
アルコール飲料産業も「ガラパゴス気味」では、、、?)

 

                    (text=喜多常夫)

 

 

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さて、ご参考情報の紹介です。

 

 

今回は王冠の話でしたので、汎用デザインの王冠・キャップリストから。

●▲■ ご紹介アイテムその1:KKディビジョン ●▲■

汎用デザインの王冠・マキシキャップ
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/hanyocap_CR_ed03.pdf

汎用地ビール王冠と脱酸素王冠
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/O2_Scavenger.htm

汎用デザインの一升壜用王冠(全3ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/KK_hanyo_ed10.1.pdf

清酒・焼酎・泡盛のPPキャップ(全2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/PP_hanyo_s_ed07.pdf

カラー無地のPPキャップ(全2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/PP_hanyo_c_ed07.1.pdf

 

 

 

シャンパン王冠、合成コルクの話題もあったので、次にその情報。

●▲■ ご紹介アイテムその2:K2ディビジョン ●▲■

スパークリングワインの資材リスト(全2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/champagne_shizai_wop_0804.pdf

合成コルク「ノマコルク」(全14ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/classicplus_jpn_091104.pdf

「ノマコルク」が紹介されました。「読売新聞2010年5月5日の記事」
http://www.kitasangyo.com/zantei/yomiuri20100505.pdf

 

 

ケース単位の対応で、こんなものも販売しています!

●▲■ ご紹介アイテムその3:K2ディビジョン ●▲■

醸造所にお勧めする殺菌・洗浄剤(全3ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/chemical/sanitizer_WOP_ed05.pdf

 

 

 

 

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