▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.172 ●▲■
発行日:2012年10月18日(木)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■「サケ・焼酎の国際化を考える上での
Tidbits(マメ知識)」●▲■
<清酒編>
■日本酒の推定シェア:韓国11%、米国20%、ブラジル5%
■海外の「サケ類似商品」、日本の「合成清酒」
(text = 喜多常夫)
ご紹介情報 ●1▲ デザインアーカイブ「一升壜口規格のびん」
ご紹介情報 ●2▲ 後殺菌対応の一升壜王冠とPPキャップ
ご紹介情報 ●3▲ 炭酸ガス飲料の試作に「タンサン・ロボ」
なお、<焼酎編>は、次回以降に書く予定
■「甲乙混和焼酎」と「ブレンデッドウイスキー」
■「ソジュ」vs「焼酎」 ■海外におけるOEM焼酎
■チャイナ・リスク、など
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「Enjoy Japanese Kokushu 國酒を楽しもう」プロジェクト
が業界で話題になっています。
「必要に応じて日本ビール(地ビール?)、日本ワインも含めて」
と但し書きがついているけれど、重点は、
「清酒・焼酎・泡盛の国際化」
のようです。
サケ・焼酎の国際化を進める上で、
考慮すべきでは、と思う断片情報を書きだしてみます。
今回は<清酒編>。
※醸造協会誌7月号に掲載された拙稿
「成長期にあるSakeとShochu」
の一部に、加筆・修正したものです。
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●▲■ 韓国の清酒市場の分析 ●▲■
日本以外の多くの国の貿易統計・酒類統計では、
清酒は「その他の醸造酒」に含まれるので、
清酒のみの輸出入や生産量を特定できません。
しかし韓国は、統計上で清酒(チョンジュcheongju)を
区分して扱っている珍しい国。
以下は、大韓酒類工業協会や韓国税関による数字です。
■韓国で2011年に製造された清酒:
●韓国国内向け: 12万7,039石
●輸出向け: 3,000石
[コメント]
韓国は日本以外で世界最大の清酒生産国。
といっても韓国で清酒を製造するのはほぼLOTTE酒類のみ。
したがって13万石はLOTTEの2011年の清酒生産量となります。
(日本1位の白鶴の2011年の生産量が23.7万石。
LOTTEの13万石は、日本でいえば6位と7位の間。)
なお、以上は公式統計の数字だけれど、
韓国の酒類関係者に聞いた2011年の清酒製造量は16万石。
■韓国が2011年に輸入した清酒の内訳:
●日本から 1万7,110石
●アメリカから 2,330石
●ベトナムから 261石
[コメント]
韓国とアメリカのFTA発効にともない、
アメリカ製清酒の韓国への輸入は今後さらに増えるでしょう。
また韓国からアメリカへの輸出も増える可能性が高い。
一方、竹島問題にともなって、
日本から韓国への清酒輸出、さらには、
韓国における清酒消費自体に影響がでることも懸念します。
■韓国産と輸入を合算した2011年の韓国の清酒市場
約14.7万石における生産国別シェアは:
■1位・韓国製: 86%
■2位・日本製: 11%
■3位・アメリカ製: 2%
■以下ベトナム製ほか:1%
[コメント]
日本清酒の輸出先第2位の韓国では、
日本清酒のシェアは11%。
自国産清酒のシェア(86%)が最も高い国です。
(以下、自国製清酒のシェアが高い国トップ3は、
ブラジル80%+、アメリカ78%。後述。)
■なお、韓国が2011年に輸出した清酒の量は次の通り:
●中国に 1,218石
●日本に 592石
●アメリカに 311石
●その他の国に 727石
[コメント]
2011年に日本が中国に輸出した清酒は2,080石。
韓国の1,218石は日本の6割にも相当。
日本について言えば、
2011年に輸入された清酒は約2,000石で、
韓国の他に中国、オーストラリア、ベトナムから入っています。
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●▲■ アメリカの清酒市場分析 ●▲■
日本清酒の輸出先第1位(量、金額とも)はアメリカ合衆国。
アメリカには「清酒」だけをとりだした統計はありません。
「米国清酒酒造組合」でもあれば統計を出しそうですが、
競争維持のため同業者組合などは作れないそうで、
全体としての生産量や輸出量は把握しにくい。
しかし、アメリカにある
清酒メーカー5社、マイクロ・サケ醸造所2社は
各社とも比較的オープンで、
おおよその数字を公表したり、聞けば教えてくれたりします。
以下は、その数字を総合した筆者の推定です。
■米国で2011年に製造された清酒:約10万石
●米国国内向け 9万石
●輸出向け 1万石
[コメント]
アメリカのセンサス(輸出統計)では、清酒は、
「その他の醗酵飲料 FERMENTED BEVERAGES NESOI」
に含まれてしまって統計上の輸出先は不明ですが、
1万石の仕向け先は韓国、ブラジル、EUなどです。
日本向けはありません。
■米国に2011年に輸入された清酒:
●日本から 約2万3,000石
●その他の国から 約3,000石
[コメント]
日本からの数字は日本の貿易統計で分かりますが、
その他の国からの約3,000石は「感覚的」推定です。
韓国、中国などから輸入された米の醸造酒で
アメリカで「サケ」として販売されているのが、
その程度ではないかと考えます。
(もっと、ずっと多いかもしれませんが。。。)
■以上から、2011年のアメリカの清酒市場
約11.6万石におけるのシェアは:
■アメリカ製: 78%
■日本製: 20%
■韓国製ほか: 2%
[コメント]
日本清酒の輸出先第1位のアメリカ合衆国は、
日本清酒のシェアは20%。
自国産清酒のシェアが78%。
韓国も然りですが、
「自国産清酒があってこそ日本からの清酒輸出が伸びた」
という構図が読み取れます。
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●▲■ ブラジルの清酒市場分析 ●▲■
ブラジルには「東麒麟」という清酒ブランドがあります。
三菱の岩崎家が戦前に創業した事業に起源を持ち、
現地で圧倒的なシェアを持つ伝統のブランドです。
ブラジルの清酒市場に関する統計はないと思います。
以下は、関係者の話を総合した筆者の推定。
■2011年のブラジルの推定清酒市場2万石弱。そのシェアは:
■ブラジル製: 80%+
■日本製: 5%程度
■アメリカ製など: 10%−
[コメント]
2011年は日本にとって例外的な年で、
ブラジル向け清酒輸出は原発事故で激減。
前年に1,500石あったものが500石になりました。
日本清酒のシェアは2010年の15%程度から、
2011年は一気に5%程度に落ち込みました。
なおブラジルでは、ディアジオが2010年ごろから清酒に参入。
海外から調達した清酒で、
「純・大地」という自社ブランドで販売しています。
■サンパウロではこんな「サケ類似品」も売っている:
▲「HAYABUSA Saqu?(隼サケ)」
(原材料:サケ(SAQUE)、エチルアルコール、砂糖)
▲「Sake OKINAWA(サケ沖縄)」
(原材料:米発酵アルコール、エチルアルコール飲料、グルコース)
[コメント]
(実物写真は醸造協会誌7月号に掲載)
表ラベルは「サケ」と書かれているけれど、
原材料がサケや米発酵アルコール。
日本基準では清酒ではないように思います。
いわば「サケ類似品」。
昨年、サンパウロを訪問した折に
実際に飲むチャンスがあったのですが、
明らかに一般的な清酒と異なる味でした。
日本酒ファンとしては「サケ表示はやめてほしい」
と思いたくなるものでした。
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●▲■ 日本の合成清酒 ●▲■
一方、、、日本の清酒も純米酒ばかりでなく、
醸造用アルコールや糖類を添加するものがあるわけだから、
ブラジルの「サケ類似品」と原料の大枠において大差ない、
ともいえるかもしれません。
日本には合成清酒もあります。
日本の清酒と合成清酒の市場を見ておきましょう。
公開されている直近の国税庁統計から数字を拾ってみます。
■平成22年度(2010年4月〜2011年3月)の
日本国内の清酒、合成清酒の市場は:
●清酒: 334万8,417石
●合成清酒: 24万4,855石(清酒の約7%)
■平成22年度(2010年4月〜2011年3月)の
清酒、合成清酒の輸出免税数量(≒輸出量)は、
●清酒: 7万8,561石
●合成清酒: 2,183石(清酒の約3%)
[コメント]
日本は「清酒」とならんで
「合成清酒」を消費し、また継続的に輸出しています。
合成清酒とは、「アルコールに糖類、有機酸、アミノ酸
などを加えて清酒のような風味にしたお酒で、
日本酒の成分も数%混入されている場合が多い」(Wikipedia)
合成清酒は、国税庁の英文表記でSake Compoundとされていますが、
輸出されたものが海外でまさか「Sake Compound」と表示されるはずもなく、
たぶん「Sake」と表示されているのではないでしょうか。
もしそうであれば、
先述のブラジルのSakeやSaqu?も
許容されるべき存在と言わざるを得ないかもしれません。
外国では「サケ」に一定の定義やルールがない場合が多いので、
「サケ類似品」をルール違反とすることはできないのが実情です。
しかし何らかの手立てを打たねば、
日本酒の国際化の障害になる時期が来ると思います。
同時に、
日本の合成清酒や、アルコール添加についても、
世界で納得してもらえる基準、また、
国内外でも整合性のある基準作りが必要だと思います。
連想なのですが、、、
ヨーロッパのワインは長い長い歴史を経て、
EU共通の「厳格」な定義やルール(最新版は2008年発効)があって、
製造基準や表示基準に合致しなければワインと名乗れない、
また、ワインとして輸入もできないこと、
原材料表示の厳格化に伴って、
ヨーロッパのワインでは
添加する糖分を、テンサイ(サトウダイコン)由来のものでなく、
ブドウ原料由来にしようという動き(「純粋化」の動き)があること
(「原材料:ブドウ、サトウダイコン」と
ラベルに書かれたワインは売れないだろうから)
を思い出しました。
サケの世界価値を上げていくには、
犠牲をはらっても、
「厳格化」「純粋化(≒純米化?)」が必要かもしれません。
(text: 喜多常夫)
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さて、情報紹介です。
●▲■ ご紹介情報 その1:KK+K2ディビジョン ●▲■
パッケージデザインアーカイブ「一升壜口規格のびん」
http://www.kitasangyo.com/Archive/PDA/PDA_40_5.pdf
国内マーケットのほか、海外マーケットで
「サケらしいパッケージ」としての評価が定着してきています。
一升壜口規格のびんの商品企画なら、
お任せください。
●▲■ ご紹介情報 その2:KKディビジョン ●▲■
充填・打栓後に後殺菌するための「一升壜口規格の王冠」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/binkan_hiireKS_ed5.pdf
充填・打栓後に後殺菌するための「30mm STD PPキャップ」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/binkan_gas_PP_ed4.pdf
主に清酒を念頭に置いた、
温水シャワーで後殺菌するためのキャップです。
PPキャップはスパークリング清酒や
スパークリング・リキュールにも対応します。
●▲■ ご紹介情報 その3:ROOTSディビジョン ●▲■
炭酸ガス飲料の試作・小規模生産に「タンサン・ロボ」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/TAN3ROBO_50_30.pdf
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/TAN3ROBO_150_100_WOP.pdf
発泡飲料の試作・小規模生産のためのパイロットプラント。
30リットルから150リットルまで4機種。
0.4〜0.5MPaの高耐圧(第二種圧力容器)。
セラミックストーンによるカーボネーション。
炭酸ガス添加のことなら、
ラボスケールから量産設備までお任せください。
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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」
http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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