●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.173 ●▲■
発行日:2012年11月12日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■「サケ・焼酎の国際化を考える上での
Tidbits(マメ知識)」●▲■
<焼酎編>
■「甲乙混和焼酎」:国内シェア7%、国際シェア2%
■「スコッチ」:ブレンデッド71%、シングルモルト8%
(text = 喜多常夫)
ご紹介情報 ●1▲ 新型びん「スリム300」
ご紹介情報 ●2▲ 新型びん「AJP175」
ご紹介情報 ●3▲ 新型びん「ボルボー180」
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前回の<清酒編>に続き、今回は<焼酎編>です。
※醸造協会誌7月号に掲載された拙稿
「成長期にあるSakeとShochu」
の一部に、加筆・修正したものです。
前回の<清酒編>の最後は、合成清酒の輸出
(合成清酒の輸出量は清酒輸出の約3%。
輸出された場合、清酒も合成清酒も「Sake」?)
と、合成清酒の国内市場
(合成清酒は日本国内で清酒の約7%もの出荷量)
のことを書きました。
「清酒における合成清酒」で連想するのは、
「焼酎における甲乙混和焼酎」。
今回は甲乙混和の
国内シェアと海外シェアを推定してみます。
●▲■ 国内市場における本格・連続・混和のシェア ●▲■
国税庁の公表する統計には「甲類」「乙類」だけがあって、
「甲乙混和」は存在しません。
「甲乙混和」に関する以下の分析スキームは、
正しいのかどうか確証がないのですが、
少なくとも傾向はつかめると思うので書きすすめます。
(誤りなどご指摘いただければ幸いです。)
国税庁の課税移出の確定値は、
まだ2011年度分が公表されていませんので、
データがそろっている2010年の分析とします。
■甲乙混和焼酎の2010年の推定販売量は
業界誌などによれば7万KL程度=約38.9万石。
■甲乙・乙甲混和の平均比率を仮に「甲:乙=8:2」とすれば、
7万KLの内訳は
「甲類分が5万6,000KL、本格分が1万4,000KL」。
■国税庁による国産焼酎の2010年度の課税移出は
「甲類焼酎40万1,051KL、本格焼酎50万9,548KL」なので、
「甲乙混和を除いた純粋な甲類:34万5,051KL、
甲乙混和を除いた純粋な本格焼酎:49万5,548KL」
となるのだと思います。
■これ以外に輸入焼酎があります。
「輸入甲類焼酎: 6万6,118KL、輸入乙類焼酎: 528KL」
(輸入焼酎にも甲乙混和があるけれどここでは捨象します。)
■以上から2010年度の日本の推定焼酎マーケットシェアはこんな具合。
●純粋・単式蒸留焼酎 495,548 KL 275.3万石 50.7%
●甲乙混和焼酎 70,000 KL 38.9万石 7.2%
●純粋・連続蒸留焼酎 345,051 KL 191.7万石 35.3%
●輸入・単式蒸留焼酎 528 KL 0.3万石 0.1%
●輸入・連続蒸留焼酎 66,118 KL 36.7万石 6.8%
Total 977,245 KL 542.9万石 100%
[コメント]
国産混和焼酎のシェアは、
韓国焼酎に並ぶ水準となっていることがわかります。
混和焼酎が近年クローズアップされるようになったのは、
大手が参入したこと
価格訴求製品(廉売競争)になる可能性
が理由だと思いますが、
スーパーなどで実際の商品を見る範囲では、
幸い、清酒紙パックのような低価格状態にはなっていませんね。
●▲■ 輸出市場における本格・連続・混和のシェア ●▲■
やはり2010年の分析とします。
(2011年は福島原発事故の影響があるので、
2010年のほうが輸出の一般傾向を読み取りやすいこともあります。)
■国税庁によれば輸出免税数量は
2010年度:甲類0.10+乙類1.39=合計1.49万石
■財務省貿易統計によれば
2010年:焼酎輸出1.33万石(財務省は甲乙の区分なし)
■「どのくらいの甲乙混和焼酎が輸出されているか?」
についての記事や情報を見かけた事はありませんが、
海外の日本食レストランのメニューで実際によく見かけます。
国税庁・財務省のデータをベースに、
「個人的直感(!)」で
2010年の輸出品のシェアを推測するとしたらこんな具合。
●純粋・単式蒸留焼酎 1万2,300石 約92%
●甲乙混和焼酎 300石 約2%
●純粋・連続蒸留焼酎 700石 約5%
Total 1万3,300石 100%
[コメント]
海外の日本レストランでは、
サケだけでなく、
焼酎の品ぞろえに力を入れるところが増えています。
本格焼酎に混じってメニューに甲乙混和がある場合、
単に「芋Shochu」、「麦Shochu」と記載されていて、
「連続蒸留と単式蒸留の混和」という説明はないのが通例です。
私の体験した範囲では、
本格焼酎と値段が変わらないケースがほとんどだけれど、
外国の方から見てわかりやすい、
何らかの区分が必要ではないかと思います。
なお混和焼酎は日本製だけではありません。
ベトナムでは、
乙類焼酎と甲乙混和焼酎の両方がつくられています。
●▲■ (参考)スコッチのモルトとブレンデッド ●▲■
本格焼酎、混和焼酎を考えるための参考として、
世界市場でより長い歴史のある
英国のスコッチウイスキーにおける、
「シングルモルト」と「ブレンデッド」を見てみましょう。
■<基礎知識>
モルトウイスキーはポットスチル(単式蒸留機)でつくる。
ただし、焼酎と違って2回蒸留が通例。
「シングルモルト」とは同一蒸留所のモルトのみの商品。
銘柄としては、ラフロイグ、マッカラン、ボウモアなど。
「ブレンデッド」は、連続蒸留器で作ったグレーンウイスキーに
モルトを混ぜたもので、いわば甲乙混和に近い。
ジョニーウォーカー、オールドパー、シーバスリーガルなど。
ただ、ブレンデッドは
「モルト65:グレーン35が目安」(Wikipedia)
だそうで、「甲乙混和」より「乙甲混和」に近いのかもしれません。
「乙甲混和」とはピンとこない方も多いかもしれませんが、
乙の混和比率50%以上の製品のことで、
鹿児島酒造「初光」、生協ブランド「麦の友」など、
いくつかのブランドがあります。
■<歴史>
ウイスキーがアイルランドから英国に伝わったのは
定かではないけれど12または13世紀といわれています。
その後数百年間、ウイスキーは当然ながら単式蒸留でした。
また、英国のローカルなアルコール飲料でした。
1830年代に連続式蒸留機「コフィー・スチル」が登場し、
安価で大量生産できるグレーンウイスキーが誕生。
1860年に「異なるウイスキーを混ぜてはならない」という法律が
廃止されてグレーンとモルトを混ぜたブレンデッドが公式に誕生。
(因みに、焼酎について同様に書くとすれば、、、
シャムから琉球、そして九州に伝わったのは
同じく定かではないけれど15または16世紀。
連続蒸留器が英国から輸入された19世紀末に新式焼酎(=甲類)が誕生。
混和焼酎がいつ誕生したのかは調べきれませんでしたが、
少なくとも戦後は商品として常に存在していたようです。
それが近年クローズアップされるようになったのは、
大手が紙パックで参入して価格訴求製品になる可能性がでてきたから。)
スコッチウイスキーでは初期のころ随分争いがあって、一時は
「グレーンやブレンデッドはスコッチウイスキーではない」
とする判決が下った裁判もあったそうですが、
王立委員会が20世紀初頭に
「グレーンおよびブレンデッドもスコッチウイスキーである」
という結論を出して、そのまま現在に至っています。
戦後、アメリカ向けの輸出が好調だった時代、
ブレンデッドが世界のスコッチ市場を牽引。
輸出では1990年代前半には約95%をブレンデッドが占めていたけれど、
近年はシングルモルトが増加している。
(以上、主にWikipediaから)
■<直近のシェア>
英国のスコッチウイスキーの2011年の輸出は
金額で42.25億ポンド(=約5,400億円)、量の内訳は:
●壜入り・ブレンデッド 2億5,277万LPA 71%
●壜入り・シングルモルト 2,805万LPA 8%
●バルク、その他 7,315万LPA 21%
Total 3億5,396万LPA 100%
(スコッチウイスキー協会による)
(LPA はlitres of pure alcoholで、純アルコール換算の意。
総輸出の3億5,396万LPAは
アルコール40度・700ml壜換算で12億6,400万本に相当。)
壜入り・シングルモルトは、
量では8%ですが、金額では18%をしめていて、
この数年、漸増傾向にあります。
[コメント]
焼酎と同じく、スコッチも、
連続蒸留、単式蒸留ともウイスキーであることを許容しています。
ブレンデッドはある意味、甲乙混和に似ています。
もともとウイスキーは単式蒸留品でしたが、
この100年間を俯瞰すれば、
ブレンデッドがあれえばこそ、
世界市場にスコッチウイスキーが浸透したといえます。
100年以上が経過して、
品質向上と嗜好の多様化によって
シングルモルトが脚光をあびるようになった、という構図です。
本格焼酎の場合でも、
世界戦略の上で甲乙混和を味方にする、
という方法もあり得るのでしょうか。
そういえば、合成清酒に関してもこんな記述もあります。
「戦後の清酒の大進歩をご存じの方ならば、
合成酒こそは清酒の大恩人であると感謝されて然るべき」
(坂口謹一郎酒学集成「うま酒の値打」)
(text: 喜多常夫)
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さて、情報紹介です。
●▲■ ご紹介情報 その1:K2ディビジョン ●▲■
新型びん「スリム300」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/SLIM300.pdf
「スリム」シリーズに「500」、「375」のほか、
新しく「300」が加わりました。
「酒うつわ研究」(当社PR誌)最新号掲載の
「シーナズウォッチング」でも、
スリム壜の人気が一番でした。
●▲■ ご紹介情報 その2:K2ディビジョン ●▲■
新型びん:食品用の「AJP175」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/ajp175.pdf
ツイストキャップ口の食品用のびんですが、
お酒で人気の「アート150」と同じカタチ。
塩麹とお酒
ピクルスとワイン
ジャムとリキュール
など、食品とお酒のセット販売にも好適です。
●▲■ ご紹介情報 その3:K2ディビジョン ●▲■
新型びん「ボルボー180」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/Bor_Beaux180.pdf
ワインのボルドー型をミニチュアにしたカタチ。
キャップは使いやすい30mmスタンダードです。
新製品のガラスびんは、
きた産業営業部にお問い合わせください。
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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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