●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.176 ●▲■
     発行日:2013年 1月29日(火)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ サケ & 日本ビール watching in フランクフルト
   ●■「アジア食材店」には米・日・中・韓の4カ国の清酒
   ●■中国製、銘柄なしの「清酒」もある
   ●■ドイツ製「キリン」、チェコ製「アサヒ」

               (text = 喜多常夫)

ご紹介情報 ●1▲「酒うつわ研究」のバックナンバー
ご紹介情報 ●2▲キャッパー調整なし、「PMX」PPキャップ
ご紹介情報 ●3▲ネジ山のない「スマート・スクリュー」

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昨年暮れ、ドイツのフランクフルトに2晩泊まった。

南ドイツの小都市、フライブルグに行く仕事だったのだが、
フライブルグには空港が無い。
フランクフルトまで空路、そのあと鉄道となる。
なので、往きと還りにフランクフルト駅前ホテルに各1泊したもの。

フランクフルトは、
パリ、ロンドンに並ぶ欧州のハブ空港の都市。
日本人になじみ深い都市である。

限られた時間だったけれど、
フランクフルトのサケや日本ビールを観察してきた。

 

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●▲■ part 1「アジア食材店」編
     :米国製・日本製・中国製・韓国製の4カ国のサケ

欧米主要都市には「日本食材専門店」が増えたが、
それ以上に「アジア食材店」が多い。

フランクフルト中央駅の地下街や駅周辺にも、
韓国・中国などの食材を販売する専門店が何軒かある。
どのお店も韓国的または中国的な雰囲気、そして独特の臭い。
主要顧客は非日本人だと思われるが、
近ごろは日本食材も必ずおいている。

今回、2店舗のアジア食材店を観察したところ、
4カ国のサケ(清酒)が売っていました。
以下、そのレポート。

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まず1 軒め。
販売するのは食品が主だが、アルコール飲料の棚も結構広い。
アジア各国のビールやスピリッツに並んでサケもあった。

中びんは
   ●「松竹梅」750ml
   ●「大関」750ml
   ●「チョーヤSAKE」750ml
の3種。全て? 8.50也。

「松竹梅」と「大関」は、カリフォルニア製。
「チョーヤSAKE」は日本で壜詰めされたものではないけれど、
「made from Japanese rice」とあるので、
日本製の清酒を欧州で壜詰めしたものでしょう。

小びんは
   ●「チョーヤSAKE」250ml
   ●「清酒・SAKE」300ml
の2種。価格は両方とも? 3.99也。

「清酒・SAKE」は銘柄がない。
ラベルに「清酒・SAKE」としか書いていない。

日本では、
宮内庁に献上するお酒が自社ブランドを隠して
「清酒」表示のみのラベルをする(していた?)のを知っているけれど、
一般商品ではありえないですね。

その「清酒・SAKE」なる商品は、
ラベルが「富士山、鶴、着物姿の女性」という日本的イラスト、
原材料表記も日本語(漢字・ひらかな・カタカナ)だけれど、
よーく観察すると、どうやら中国製。
製造者名はないが、ロゴマークから、
浙江省の紹興酒メーカー「鄭萬利醸酒」が製造している模様。
オランダのアジア食品流通会社向けに供給しているらしい。

しかも、
表ラベルの日本語の原材料は
   ▲「米・米こうじ・醸造アルコール・糖類」
だけれど、裏ラベルのドイツ語とオランダ語表記では
   ▲「reis, wasser, weizen」
   ▲「rijst, water, tarwe」、
訳すと「米、水、小麦」!?

どちらが正しいのか、、、直感的には、
ドイツ語表記(小麦入り)が正しいのではないかと思いました。

買って飲んでみたのですが、、、
う〜んんん、サケというより蒸留酒???

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次に2軒目。
サケ売り場には、同じくカリフォルニアの
   ●「松竹梅」
   ●「大関」
がある。この店は「チョーヤSAKE」はなかった。

けれど、このお店はどうやら韓国系らしく、
レジの後ろにずらりと
   ●「白花寿福」(韓国のロッテ酒類の清酒)
の一升壜が並んでいました。

以上まとめると、私が見た2軒のアジア食材店では、
   ■「米国製サケ」
   ■「日本製を現地壜詰めしたサケ」
   ■「韓国製サケ」
   ■「中国製サケ」
があった。けれど、残念ながら、
   ●「日本で壜詰めされたサケ」
はありませんでした。

そんな顛末を、
写真資料にまとめてアーカイブに収録しています。
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/sake_beer_Frankfurt_2012.pdf

 

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●▲■ part 2「デパート・中華レストラン」編
      :米国・韓国・中国製のサケが多いドイツ?

パリ、ロンドンなどの大型デパートの酒類売り場では、
今やジャパニーズ・サケを数銘柄おいている事が珍しくないけれど、
フランクフルトはどうか?

ドイツ最大のデパート、ガレリア・カウフホフのフランクフルト店で
広い酒類売り場を隅々まで探したけれど、、、
清酒は発見できず。
デパートは、まだパリ、ロンドン並みではありません。

しかし、当然ながらスシ・テイクアウトやスシバーはある。
カウフホフの地下の
「マルヤス・スシ」(ドイツで10店舗ほど展開)のメニューには、
「大関」など大手ブランドのサケがあった。

スシは、ドイツではファーストフードとして市民権を得ている。
スシバーや日本食レストランでなくても、
たとえばシーフード・ファーストフード店の
「ノルドゼー」(ドイツ中心に350店舗以上展開)の多くの店では
「スシ・テイクアウト専用ショーケース」がある。

が、ノルドゼー含め、
「スシはあってもサケはない」場合がほとんど。

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むしろ、「サケ」は中華料理店で見かける。

とある中華レストランの店外メニューを観察すると
   ▲「Sake 14% (warm)・・・5cl ? 2.5」
すなわち、
   ▲「お燗サケ、アルコール14%、50cc、250円強」
であった。(昨年12月時点では、? 1=100円くらい)

店には入らなかったのでどんなサケかは分かりませんが、
フランクフルトで「50cc・250円強」だと、
カリフォルニア製、あるいは韓国か中国製ではないか。

この店に限らず、中級〜大衆の中華・アジアレストランのサケは
日本製でない場合がほとんどだと思います。
また「清酒の定義から相当離れたもの」であるかもしれません。

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2012年7月号の「日本醸造協会誌」掲載の拙稿、
「成長期にあるSAKEとSHOCHU」の第4表に
以下のような推定を書いた。

 英+独+仏+蘭+伊(欧州のサケ消費トップ5カ国)の
  2011歴年の推定サケ消費量は:

  「日本製 5,000石」
    +
   「米国製・韓国製・中国製など 4,000石」
    =
   「合計 9,000石」

2011年は福島原発事故の影響のある特異年だが、
通常の年でも欧州5カ国の日本製清酒のシェアは
7割以下だと思う。
3割程度は、米国製・韓国製・中国製のサケだろう。

欧州における日本製でないサケの貿易実態を調べるのは困難で、
正確なことはわからないが、
米国製・韓国製・中国製などが欧州で最も多く入っているのが、
ドイツだと思う。
(日本は現在、清酒や焼酎の輸出入(HS)コードを設けるよう
各国に働きかけようとしているが、実現には問題が多いだろう。)

私の経験でいうとドイツは、
カリフォルニア清酒をヨーロッパで一番多く見かける国である。

また、過去の体験では、
B級ジャパニーズレストランに入ってサケを頼むと、
ちゃんと日本の銘柄(大関や白鹿など)が漢字でプリントされた
徳利で出てくるが、
銘柄を尋ねると「白花(ペカ=韓国の清酒)」だったりするのも、
ドイツ(やスペイン)が多かった。
(お店の人はまったく悪びれていない。そもそも漢字が判別できない。)

ジャパニーズサケのグローバル・マーケティングの上で、
解決していかねばならない問題は多いと感じます。

 

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●▲■ part 3 「A級日本レストラン」編
  :「菊水」「浦霞」「真澄」「八海山」「一ノ蔵」などなど

やはり、夜はうまい日本のサケを飲まねばなりません。

グーグル・マップで
「フランクフルト」+「日本食レストラン」で検索すると、
フランクフルト中央駅からおよそ2Km(徒歩)圏内に、
日本食を提供するお店が30軒ほどもでてくる。
(アーカイブ資料3ページ目に掲載)

しかし美味しいサケが楽しめる店は多くはないでしょう。
今回は事前にドイツ在住の方に「日本酒を楽しめるお店」を尋ねて、
教えてもらった2店を訪問。
どちらも中央駅から徒歩圏内だが、トラムや地下鉄のほうが便利。

 

1店目は「ふじわら」。
マイン川を渡った側にあるアットホームなお店。

一合(180ml)単位で飲めるサケ:
   「菊水の辛口」
   「久保田千寿」
   「真澄」
   「男山」
   「八海山」
   「一ノ蔵」など
価格は、? 9.5〜11。

720ml壜でオーダーできるのは:
   「月山」
   「浦霞」
   「獺祭」
焼酎は700mlか500ml壜で:
   「黒霧島」
   「一刻者」
   「いいちこ」

訪れたのは12月で、フランクフルトは氷点下。
まず熱燗、そして美味しい肴・和食を各種地酒で堪能しました。

いいお店でした。

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2店目は「鮨元(すしもと)」。
ウエスティンホテルの1階にある老舗。
寿司席のほか、鉄板焼きカウンターもある中規模のお店。

サケメニュー:
   「獺祭」
   「長龍・熟成酒」
   「八海山」
   「千駒」
   「出羽桜」
   「男山」
   「玉乃光」など

ただ、720ml壜売りの(一合単位ではオーダーできない)銘柄が
結構多くて、いろいろなサケを試したい者にはやや残念。

ワインは1本単位でのオーダーが基本ですが、
サケの場合は高級料亭でも、
少量(グラス・徳利・カラフェなどの単位)で、
いろいろな銘柄をオーダーできる。
それがワインにない楽しみだと思うので。

当方は、升酒(一合)を何杯か、
それに唯一の小壜、「浦霞」300mlも頼んで、
北海の魚であろう、美味しいお寿司をつまみました。

なお、「浦霞」の裏ラベルには
   「ウエノ・グルメ」
の表示。この会社は選りすぐった日本酒を販売されている
ドイツの有力サプライヤーです。

2つのお店とも、
サケ好き・焼酎好きを満足させる取りそろえ。
ドイツにしてこのような銘酒が楽しめるのは、
誠にありがたいことです。

 

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●▲■ part 4 「日本ビール」編
     :ドイツ製「キリン」、チェコ製「アサヒ」

フランクフルトでは、
「キリン一番」をメニューに載せている日本レストランが多い。
壜のラベルには「ヴァイヘンシュテファン醸造所製」と明記され、
「ドイツ製」であることをアピールしています。

「鮨元」でいただいた「キリン一番」は美味でした。
この店は壜ではなく、樽生の「キリン一番」。
卓上には、キリンのPR立て札があって、
  「Fom vass」
   (=樽だし)
  「Gebraut nach dem deutschen Reinheitsgebot」
   (=ドイツ純粋法に従って醸造)
と書いてある。
ドイツのビール党にもアピールしていました。

 

一方、「アサヒ・スーパードライ」もがんばっている。
壜のラベルには「チェコ製」としか書いていなくて、
委託先は記載していませんが、
スタロップラーメンという会社で委託生産していると聞いています。

日本レストランの店頭では、かわいらしい
「アサヒ・スーパー・ドライ招き猫」をよく見かけましたが、
多くの店でアサヒを扱っているよう。

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「キリンICHIBAN(一番)」は、現在、以下で委託醸造している。
   ●ドイツ・ミュンヘンのヴァイヘンシュテファン醸造所
   ●ロシア・カリーニングラードのイワンタラノフ社
   ●英国・べドフォードのウェルズ &ヤング社
   ●アメリカ・ABの西海岸LA工場と、東海岸のVA工場

「アサヒ・スーパードライ」は以下で委託醸造している。
   ●チェコのスタロップラーメンStaropramen社
   ●英国のシェパードニーム社
   ●ロシア・モスクワのバルチカ社
   ●タイのブンロート社
   ●マレーシアのカールスバーグ・マレーシア社
   ●カナダのモルソン・カナダ社

素人が調べた範囲で、誤謬もあるもしれないが、
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Beer_Ind_2.pdf
の11ページに、キリン、アサヒ、サッポロ、サントリーの
海外展開一覧を掲載しています。

清酒の場合の国際戦略は、
  1. 日本からの輸出
  2. アメリカや中国の自社工場で生産
の2種が基本。

ビールの場合の国際戦略は、
  1. 日本からの輸出
  2. ベトナム・カナダ・中国・ブラジルなどの自社工場生産
  3. 現地の有力企業に委託生産
の3種があって、1より2、3が有力な手法になっている。

いずれにせよ、この5年ほどで、
日本ビールは急速に世界中で飲めるようになってきたのは、
うれしい限り。

ただ、その味わいが日本で飲む同一銘柄と相当な差があるのは、
今後、なんとか克服してもらいたいところです。

                  (text = 喜多常夫)

 

 

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さて、情報紹介です。

 

●▲■ ご紹介情報 その1 ●▲■

「世界のサケ・ショーチュー・ウメシュ」酒うつわ研究、2010年版
http://www.kitasangyo.com/Archive/SUR/sienna_pdf/SUR_1002_SW.pdf

メルマガ本文に、
カリフォルニアの清酒のことがでていました。

カリフォルニア清酒をはじめとする
世界の清酒・焼酎・梅酒に関する「シーナズ・ウォッチング」です。

当社情報誌「酒うつわ研究」の
「シーナズ・ウォッチング」のバックナンバーは、
ホームページに収録しています。
http://www.kitasangyo.com/Archive/SUR/SUR-BackNumber.html

 

●▲■ ご紹介情報 その2:KKディビジョン ●▲■

キャッパー調整なしで変更可能、「 PMX 」PPキャップ
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/30STD_PMX.pdf

従来の「インシェルモールド」30S PPキャップは、
一般的な「シートライナー」30S PPキャップに比べて
全高が0.4mm低いため、変更にはキャッパー調整が必要でした。

「 PMX 」30S PPキャップは、
インシェルモールドなのにシートライナーと同じ全高。
キャッパー調整なしに乗り換え可能。

シートライナーに比べて密封性が高く、
しかも価格は安価です。

*「インシェルモールド」:溶融したポリエチレンペレットを
キャップ内で型押し成形して密封材とする手法。

 

●▲■ ご紹介情報 その3:KKディビジョン ●▲■

ネジ山のない「スマート・スクリュー」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/smart_screw_ed02_2.pdf

ネジ山のない、スマートな外観。
プラスチックではなく、オールアルミ。金属の素材感。
酒類業界で多く使われている30スタンダード口に適合。

プレミアム商品、輸出向けにどうぞ。

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」

http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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