●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.18 ●▲■
    発行日:2003 年1月22日(水) 
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:喜多産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

------------------< 目 次 >------------------
●▲■阪神大震災から端を発し、火鉢の灰に思う
●1▲「酒の温故知新、古き日本酒を愛(め)でる」(再録)

●▲■ご紹介アイテム
 ●2▲「シャトー・マルゴーではragazziniチューブポンプ使用」
 ●3▲「ragazziniのチューブポンプ」と、その技術資料
 ●4▲「オーストラリアHypac社のバスケットプレス」

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記憶は風化しつつありますが、先週1月17日で阪神大震災から8年。
私は、被害のひどかった西宮市(灘の清酒で有名)在住です。

自宅は一部損壊ですみましたが、2Kmほど離れた実家は全壊。
幸い一人暮らしの母は無事で、母の安全を確保した後、数週間かかって
全壊の実家から家具や思い出の品など持ち出せるものは持ち出しました。
古い家なので、陶器製、鉄製、木製など各種の火鉢もありました。
灰は家屋崩壊の埃が混じってしまって捨てざるをえず、火鉢だけもちだして、
その後長らく放置していました。

あれから数年、最近ふと「火鉢を使ってみよう」と思い立ちました。
火鉢で餅を焼いたり、燗酒をしたらさぞ旨かろうと。

震災以来しまってあったなかで、絵柄の良い陶器製火鉢(子供のころ、居間の
炬燵(こたつ)の横で使っていた懐かしい火鉢)を取り出し、、、さあ困った。
灰はどこに行けば手に入るのか。いろいろな店に尋ねましたが、どこにも無い。
まだ火鉢が現役、と思う田舎(失礼)の知人にも聞きましたが、やはり無い。
五徳(炭火の上の輪型の台。震災の時うっかりこれも捨てたので)は
ようやく入手しましたが、灰はどこにも売っていない。
ただ、年配の人に聞くと「藁灰(わらばい)がいい」とのこと。
昔は田んぼの藁を燃やしてできた灰がどこででも入手できたから、
それで火鉢や囲炉裏の灰など充分にまかなえたのでしょう。

結局、兼業農家の知人に頼んで藁灰をつくってもらいました。
膨大な量の稲藁を燃やしてもらって大きなダンボール箱3杯。
さあこれで火鉢が楽しめる、と思ったのが2001年暮。
しかしいざ3杯分の灰を入れてみると、それほど大きな火鉢でもないのに
量は火鉢半分ほどにしかならない。
灰はいくらでも体積が沈んでいくものなのですね、知らなかった。
前の冬は、それでもその火鉢で楽しみました。

この冬、稲刈り後に再度藁を燃やしてダンボール箱3杯を作ってもらい、
今度こそ適当な量の灰が火鉢に入りました。
火鉢の炭火で焼いた餅は、焦げ加減といい脹れ加減といい一味違う。
湯煎(ゆせん)の燗酒も、なぜかまろやかで旨く感じる。

だいいち、、、
「チンという 音にせかされ 席を立つ」(電子レンジの一句)
という無粋な仕事をしなくてすむ。
火鉢にあたりながら少し試しに飲んで、まだぬるいもうちょっと、
また試し飲んでは、そろそろか、、、と上燗になるまでに
1-2勺減ってしまうのが欠点ではあるが、心豊かな儀式である。
「古(いにしえ)の 食生活は 豊かなり」
と感心しつつ、今年の正月は連日火鉢を楽しみました。

お酒と「灰」、、、最近「灰に謎あり」(小泉武夫著)を読みました。
醸造学の小泉教授の著作だけあってお酒と灰の関係に詳しい。
この本によると、かつては1)「清酒直し灰」(酸敗した酒を灰で中和し、
救済する)、2)「灰持(あくもち)酒」(灰でアルカリ性にして
パストラなしで日持ちさせたり、赤酒を造ったりする古式清酒醸造法)、
3)「種麹の製造」(灰の中のカリウムが麹の増殖によく、一方灰の
アルカリが麹以外の微生物をおさえ、麹菌の純粋培養によい)
など、灰は酒造業にずいぶん関係があったようです。

お酒業界と切っても切れない麹業は室町時代に始まったとのことですが、
当時から現在にいたるまで特別な木灰を蒸米に添加した状態で、
お酒の種麹を作っているということ。なんだか不思議な気がします。

また、2)の「灰持酒」のほうは現在でも入手できます。
昨年11月の私のメルマガで「坂口謹一郎先生と古い麹菌で作ったお酒」
というテーマで使った資料ですが、以下を開けてみてください。

●▲■ ご紹介アイテムその1:参考情報 ●▲■
(参考資料)「酒の温故知新、古き日本酒を愛(め)でる」(再録)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Onkochishin.html

写真右下にある「赤酒」(瑞鷹(株))と「地酒(じしゅ)」2種
(本坊酒造(株)と東酒造(株))は木灰を添加する古式製法のお酒で、
ラベルの原材料表示にも「木灰」が記載されています。
甘味が強く料理用中心ですが、鹿児島や熊本で広く愛用されています。

我家の今年の正月のお屠蘇は「地酒(じしゅ)」でした。
少し色もついていて、ポートかマディラか甘口シェリーのような味わい。
高級食材店に「肉のマディラソース煮込み」や「オムレット・マディラソース」
などが売っていますが、「肉の赤酒煮込み」や「オムレット・地酒ソース」
のほうが、コクと旨みがありそう。

なお、坂口謹一郎先生のスペイン訪問記(「世界の酒」)に
「シェリーを造るとき、足で踏み潰したぶどう果汁に、
焼いて砕いた石膏土(石灰分)を加えていた」
という記述があります。これは50年前の話で、
現在のシェリーでそんなことはしていないとは思いますが、
なんだか共通の知恵を感じます。

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さて古き日本酒からワインに話が飛びますが、今回のご紹介アイテム。

昨年暮に、ワイン設備展示会を見るためにボルドーに行ってきました。
この機会にと有名なシャトー・マルゴーの見学を申し込んだところ、
幸運にも私一人だけでゆっくりと醸造所を案内してもらうことができました。
そのシャトー・マルゴーで当社が代理店をしているワイン用ポンプを発見。

●▲■ ご紹介アイテムその2:参考情報 ●▲■
(参考資料)「シャトーマルゴーではragazziniチューブポンプ使用」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Rotho_Pump.html

除梗破砕したぶどうを優しく送るためにイタリアragazzini社の
「チューブ(Rotho)ポンプ」を使っています。
下記が日本仕様のカタログや資料です。ご検討ください。

●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■ 
「ragazziniチューブポンプ」(2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Rotho_Pump.html

「チューブポンプと他のポンプの技術比較」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Rotho_Pump.html


ボルドーの展示会でのトピックスをもうひとつ。
昔ながらのバスケットプレス(ぶどうを搾る機械)に、
ハイテク装備を搭載したものに注目が集まっていました。

●▲■ ご紹介アイテムその4:ROOTSディビジョン ●▲■ 
「オーストラリアHypacのバスケットプレス」(2ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/brewing/Hypac_BasketPress.html

当社はオーストラリアのHypac社のバスケットプレスを紹介しています。
イタリア物に満足できないオージーのワインメーカーのために作った機械。
ご検討ください。  (text:喜多常夫)


追記:
今回は「灰」について書きました。
私事ですが、私の父方の遠い祖先は伊吹山麓で石灰山を持って、
代々「灰屋梅村甚兵衛」を襲名していたようです。
もちろん石灰業は逼塞(ひっそく=没落)したわけですが、
当時「灰屋(はいや)」は非常に儲かる商売だったようです。
木灰(きばい)ではなく石灰(いしばい−せっかい)業ですが
木灰も石灰もむかしは同じ目的で使われるケースが多かった由。

喜多産業は石灰を利用した「お燗機能付き容器」も製造していますし、
灰には何かご縁を感じます。灰についてはまた調べてみようと思います。
もしなにか情報がありましたら、
kita@kitasangyo.com
にご連絡いただければ幸いです。

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