●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.188 ●▲■
     発行日:2013年12月2日(月)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ アメリカのサケ市場、現在・過去・未来 ●▲■

  ●▲■ 数字で見るアメリカのサケ市場+焼酎市場
   ●▲■「アメリカのサケ生産、100年の歴史」+「2050年予測」
   ●▲■(おまけ)「世界にはこんなサケもある」

                  (text = 喜多常夫)

ご紹介情報 ●1▲サケびん口対応キャップ「AZK」の汎用デザイン品
ご紹介情報 ●2▲ねじ山のないスマートな外観「スマートスクリュー」
ご紹介情報 ●3▲PPキャップのバリエーション・・・「スプリットなし」

 

 

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    ●▲■ 数字で見るアメリカのサケ市場

前回、「サケ&焼酎ウォッチング@サンフランシスコ」を書きました。

サンフランシスコに行ったのは、
醸界タイムズ社主催のアメリカサケ事情見学ツアーに参加したもので、
団体で「米国宝酒造」を見学したほか、
単独でレンタカーを借りて「米国月桂冠」も訪問しました。

どちらも年間3万石以上を生産する大工場ですが、
アメリカ市場にあわせた細やかな取り組みをされていて感心しました。

 

「3万石以上」といえば、
日本の清酒メーカーの石数ランキングで15位くらい。
とても大きい。

しかも、中期的にはさらに生産が増える要素がある。
なにしろ、、、

アメリカの日本食レストランの数は:

  ▲1990年代:3,000〜4,000店
   ■2011年: 14,000店
   ●2013年: 17,000店以上(20,000店越えという見方も)

日本食ブームで、2010年代に入って増加が加速中です。

それになにより「絶対数」が多い。
世界の日本食レストランは2011年現在の推定で30,500軒だそうですが、
半分はアメリカにある勘定です。

そして、アメリカ人の特徴は、
「日本食レストランに入ってサケをオーダーする比率が高い」こと。

ヨーロッパでは、日本食レストランは繁盛していても、
ビールや白ワインを飲む人が多く、サケ需要は少ない。
(ただ、日本ワインの「甲州」はチャンス大かも)
それに対しアメリカでは、
サケをオーダーする人がとても多いと感じます。

アメリカにおけるサケ需要は、
短期的にはアップダウンの波があるにせよ
中期的に確実に拡大すると思います。

 (なお、「米国宝酒造」「米国月桂冠」は、
   日本国外で世界2位と3位の生産規模。
   世界1位のサケ工場は韓国のロッテ酒類で、
   2012年は12万石以上を生産。これは日本で7位くらいに相当。
   銘柄は「清河(チョンハ)」、「白花寿福(ペカ・スボク)」など。)

 

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前回も書きましたが、アメリカのサケ市場11万石強(2012年)。
その内訳は:

  ■アメリカ製が約9万石(80%弱)
   ●日本製が2万石強(ほぼ20%)
   ▲韓国製などが推定で数千石(2〜3%程度)

一方、アメリカ製のサケの仕向け先は:

  ■アメリカのサケ製造者5社の合計生産量10万石強(2012年)
   ●うち、アメリカ国内向けが約9万石(90%弱)
   ▲うち、欧州・韓国・カナダ・ブラジルなどへの輸出が1万石(10%強)

アメリカはサケ単独の統計がないので上記はいずれも私の推定ですが、
大きくは外れていないと思います。

 

余談ながら、今話題のTPPでサケの貿易が自由化されると、

  ●日本製サケの世界への販路が広がるだけでなく、、、
   ■米国製サケもシンガポールや豪州で売りやすくなる
   ▲海外製サケが日本に入りやすくなる

という効果もあるでしょう。

TPP交渉(環太平洋経済連携)の地球の反対側で、
TTIP交渉(環大西洋貿易協定、アメリカとEU)も始まっているので、
日本が知らないうちに、
サケを含む「その他の醸造酒」が自由化される可能性だってあります。
そうすれば米国製サケはEUでもさらに売りやすくなる。

韓国とアメリカのFTA(自由貿易協定)は発効済みなので、
米韓のサケの相互流通はすでに増加しているのだと思います。

TPPやTTIP、FTAといった経済環境変化が、
アメリカのサケ製造会社に好影響を与えることもありえますね。

 

 

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    ●▲■ 数字で見るアメリカの焼酎市場

、、、についても、書いておきます。

アメリカのSoju(焼酎を含む)市場は、約3万6,000石(2012年)。
(注:Sojuとは韓国の焼酎のことで、ほとんどが連続蒸留)

その内訳は:
   ■日本製焼酎が2,400石(約7%)
   ●韓国製Sojuが3万2,500石(ほぼ90%)
   ▲アメリカ製が100石前後(<1%)
   ▼ベトナム製、中国製などが数百石(2〜3%程度)

サケと同じく、アメリカはSojuの公表統計がない(と思う)ので、
上記は韓国と日本の輸出統計からの推定です。

「アメリカ製」というのは、
オレゴンのSak?One社やNYのTyKu社が
Shochu(焼酎)製品を出していることをさしています。
これらはベトナムや日本からのOEM調達のようですが、
便宜的に「アメリカ製」としたもの。

なお、日本製焼酎の2,400石は、
たぶん95%以上が本格焼酎で、
その多くが「Soju」表記で販売されています。

 

 

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●▲■「アメリカのサケ生産、100年の歴史」+「2050年予測」

        ■■ 2013年現在 ■■

現在、アメリカに「サケ製造会社」は5社。
すべて西海岸にあります。

  ●Ozeki Sake (USA) 「大関」
   ●Takara Sake USA 「松竹梅」
   ●Gekkeikan Sake USA 「月桂冠」
   ●Sak?One 「桃川」「Moon Stone」
   ●Yaegaki Corp of USA 「八重垣」

ほかに「マイクロ・サケ・ブルワリー」が6社。

  ■Artisan Sakemaker 「OSAKE」
   ■Nipro Brewery Co Ltd 「keyope」
   ■Ontario Spring Water Sake 「泉」
   ■moto-i 「moto-i」
   ■Texas Sak? Company 「Whooping Crane」
   ■Blue Current Brewery
   (注:6社のうち1社は停止、1社は商業生産に至らず、
    との噂も聞きますが、一応すべてリストアップ。)

最初の3社がカナダ、
後の3社がアメリカです。

「サケ製造会社」5社+
「マイクロ・サケ・ブルワリー」6社=
合計11社のサケ製造者が、
現在、北米で活動していることになります。

 

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        ■■ 1998年 ■■

15年前には「マイクロ・サケ・ブルワリー」など存在せず、
以下の7社の「サケ製造会社」がありました。

  ●Ozeki Sake (USA) 「大関」
   ●Takara Sake USA 「松竹梅」
   ●Gekkeikan Sake USA 「月桂冠」
   ●Japan America Beverage Co 「桃川」
   ●American Pacific Rim 「カリフォルニア生一本」
   ●Kohnan Inc 「白山」
   ●Hakushika Sake USA 「白鹿」

Japan America Beverage社は現在のSak?One社に、
American Pacific Rim社は現在のYaegaki社に、
それぞれ受け継がれています。

ナパヴァレーの入り口にあった「白山」と、
コロラド州ゴールデンにあった「白鹿」は、
2000年〜2003年に撤退されました。

「白山」は南九州コカコーラと本坊酒造が設立したもの。

「白鹿」のあったコロラド州は内陸部。
他のすべてのサケ製造会社が西海岸であるのに、
コロラドとは珍しいように感じますが、
実は終戦後すぐには、
コロラド州デンバーに清酒工場があったそうです。
(ゴールデンとデンバーはそれほど離れていない。)

 

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  ■■ 1950年ころ(第二次世界大戦の後、数年後) ■■

  ■Honolulu Sake Brewery and Ice Co Ltd 「宝娘」「宝正宗」
   ■Fuji Shuzo 「富士正宗」
   ■Nichi-Bei Shuzo 「国粋」
   ■Denver Seishu Jozo 「ロッキー正宗」
   ■Denver Sake Jozo 「白峰」

最初の3社はハワイ、
後の2社はコロラド州デンバーの会社です。
「Denver Seishu Jozo」は「伝馬清酒醸造」。

デンバーには、
1910年代から多くの日系人労働者がいたほか、
戦争中は日系人強制収容所(Japanese internment camps)があったそうで、
そういった人たちが終戦後に清酒造りを行ったのでしょう。

今と違って、この時代のサケはほぼ100%日系人向けだったはずです。

 

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   ■■ 1938年ころ(第二次世界大戦の直前) ■■

  ■Honolulu Sake Brewery and Ice Co Ltd 「宝娘」「宝正宗」
   ■Fuji Shuzo 「富士正宗」
   ■Nichi-Bei Shuzo 「国粋」
   ■Hiro Shuzo「東郷正宗」
   ■Maui Shuzo 「日の出正宗」
   ■Kashu Seishu Jozo 「高砂」
   ■San Francisco Seishu Jozo 「高砂」

最初の5社はハワイ。
「Honolulu Sake Brewery」はオアフ島ホノルルにありました。
「Hiro Shuzo」はハワイ島ヒロに、
「Maui Shuzo」はマウイ島に、あったのだと思います(名前から)。

あとの2社はカリフォルニア州です。
「Kashu」加州とはカリフォルニア州のことです。

 

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   ■■ 1917年ころ(米国で禁酒法が
         施工される直前で、第一次世界大戦中) ■■

  ■Honolulu Sake Brewery 「宝島」「正宗」
   ■Hawaii Shuzo 「富士正宗」
   ■Hiro Shusei 「雲の峰」
   ■そのほか、
    ■シアトル、■サンフランシスコ、
    ■サンノゼ、■オークランド、■ロサンジェルス
    に1社ないし複数社のサケメーカーがあったそう。

2013年現在、サケ製造会社は5社ですが、
驚くことに、100年ほど前には、
10社以上のサケ製造会社がアメリカに存在したのです。

 

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       ■■ 2050年(の未来予測) ■■

  ●北米のサケ製造会社は11社
     その内訳は:
     ■西海岸に8社、テキサスに1社、東海岸に1社、カナダに1社。
     ■11社のうち、日本資本のサケ工場は8社。

  ●北米のマイクロ・サケ・ブルワリーは45社
     その内訳は:
     ■アメリカに33社、カナダに12社。
     ■45社のうち、日本人が醸造しているのは15社。

  ●アメリカのサケ市場47万石
     その内訳は:
     ■アメリカ製が約33万石(70%程度)
     ●日本製が11万石(23%程度)
     ▲韓国製などが3万石(6%程度)

、、、、というのが、
37年後のアメリカ市場の私の直感的(?)未来予測です。
数字が具体的すぎるかもしれませんが。

 

「日本食」と「サケ」のマーケットは、
どんどん現地化していくと思います。

その中で、
「メイドインジャパンのサケ=日本酒」のブランド価値を、
いかに高いものとして構築するか、
そのための長期ビジョンや基本戦略と、
短期の戦術が、我々に求められています。

また、「ジャパニーズ・ショウチュウ=本格焼酎」については、
韓国の「Soju」との差別化戦略が、
中期的には不可欠だと個人的には思っています。

 

 

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各年代のサケ製造会社を地図上にプロットした資料を作ってみました。

      ●▲■ アーカイブ資料 ●▲■

「北米のサケ醸造所と、その100年の歴史」(8ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Sake_US_history.pdf 

   ※お願い:アメリカの過去のサケ醸造所、
    特に1950年代以前に存在したサケ醸造所については、
    ほとんど情報がありません。情報や写真をお持ちの方、
    ぜひご連絡ください。- > info@kitasangyo.com

 

 

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●▲■ (おまけ)「世界にはこんなサケもある」

 

アメリカだけではなく、
ヨーロッパ、アジア、ブラジルなどを旅したとき見つけた、
あるいは、インターネットで偶々見つけた、
「日本では売っていないサケ」、「『?』なサケ」をまとめてみました。

 

      ●▲■ アーカイブ資料 ●▲■

「世界にはこんなサケ(清酒)もある」(19ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/least_known_sake.pdf

ブラジル、中国、韓国、台湾、香港、
アメリカ、カナダ、ドイツ、フィンランド、オランダ
の各国が登場します。

 

                (text = 喜多常夫)

 

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さて、情報紹介です。

 

●▲■ ご紹介情報 その1:KKディビジョン  ●▲■

サケびん口(一升壜口)対応キャップ「AZK」の汎用デザイン品
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/AZK_hanyo.pdf

従来の「アルミ製冠頭+替栓」を
「プラスチック製冠頭+替栓」にして、
開封時の安全性を大きく改善した新製品。
その独特のデザインも好評をいただいています。

1ケース単位で出荷可能な汎用デザイン品を準備しています。

 

●▲■ ご紹介情報 その2:KKディビジョン  ●▲■

ねじ山のないスマートな外観「スマートスクリュー」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/smart_screw_ed02_2.pdf

オールアルミ素材。
PPキャップと違って手指を怪我するリスクはほとんどありません。

1ケース単位で出荷可能な汎用デザイン品を準備しています。

 

●▲■ ご紹介情報 その3:KKディビジョン  ●▲■

「PPキャップのバリエーション・・・スプリットなし」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/PP_variations.pdf

「『天面刻印入り』PPキャップ」
「びん燗殺菌用の『耐熱PPキャップ』」
「スパークリングサケのための『耐圧・耐熱PPキャップ』」
のほか、
「輸出に『スプリットなしPPキャップ』」
の4つをご紹介している資料です。

アメリカ、英国、フランス、スペイン、ロシアなどの酒類のPPキャップは
「スプリットなし」で、開封後アルミのリングがびん口に残留するのが一般的です。
欧米向け輸出のために
「スプリットなしPPキャップ」を準備しています。

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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