●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.194 ●▲■
     発行日:2014年5月13日(火)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ アメリカ・ポートランドにて
クラフトビール「再」沸騰中! ●▲■

  ●▲■ 世界で最もブルワリーが多い都市:市内に53ヶ所!  
   ●▲■ 2日で6つのブルワリーをハシゴ+ウィラメットVのワインも少々
   ●▲■ 2014年3月31日現在の地ビール醸造所210箇所のリスト

                  (text = 渡邊 拓也)

ご紹介商品 ●1▲ アメリカ・メヒーン社のビールびん充填機
ご紹介商品 ●2▲ 半自動ビール充填機「BF(ビアフロイント)」
ご紹介情報 ●3▲「ビールと窒素ガス、および窒素・炭酸混合ガス」

 

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日本では2010年代に入って、地ビールが好調です。

販売数量を大きく伸ばされるメーカーも多く、
また新規ブルワリーオープンの話もしばしば耳に入ってきます。

当社ではびんや王冠といった資材のほかに、
充填機で多くの地ビールメーカー様にお世話になっています。

自社製(ルーツ機械研究所製)の
「BF(ビアフロイント)」がベストセラー機ですが、
アメリカ・メヒーン社製充填機もご使用いただいています。

今年2月、そのメヒーン社(ワシントン州パスコ)の訪問のついでに、
アメリカクラフトビール界のメッカといってもいい
オレゴン州ポートランドに立ち寄り、
クラフトビール事情を見て、その「熱」を感じてきました。

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実は私は元々クラフトブルワーの端くれ、
ビール醸造の勉強のために1994年から2000年の間に
何度かポートランドを訪れています。

20代後半の色々な思い出が詰まった街を
14年ぶりに再訪することになり、
興奮半分、不安半分。

とりあえずは、当時大変お世話になった友人のB氏
(私が醸造研修させてもらったブルワリーの当時のヘッドブルワーで、
現在はシカゴの有名ブルワリーのブルーマスター)の紹介で
市内の有力ブルワリー5社に見学の受入れをお願いしました。

ポートランドは
ビアタウンと呼ばれるほどクラフトブルワリーが密集した街。
ダウンタウンを少し歩けば醸造所に出くわします。

オレゴンビアギルドのウェブサイトによると、
ポートランド市内に53ヶ所のブルワリーがあり、
世界中で最もブルワリーが多い都市とのこと。

人口約58万人ということですので、
(地元ネタで恐縮ですが)兵庫県西宮市と芦屋市をあわせたぐらい。

面積的にはその3倍くらいありますが、
例えば都市部から離れたブドウ産地に
多くのワイナリーが密集しているのとは全く違って、
それなりの規模の都市部に一体化して
多くの醸造所があるのが面白いところです。

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かつてはダウンタウンの真ん中に
Weinhard Breweryという大きなビール醸造所があり、
街中にビール仕込み特有の香りが漂っていたのを覚えています。

ビール会社間の買収等を経て、1999年には醸造終了、
2000年から跡地の大規模再開発が行なわれ、
2002年には古い醸造所建物を生かしながら、
オフィスビルやパプが立ち並ぶ魅力ある区画になっています。

さらに隣接する元の倉庫街(かつては、治安が良くないから
夜は一人で歩くなと言われました)は
ブルーパブやこれまた流行のコーヒーショップのほか、
ギャラリーやインテリアショップなどが軒を連ねる
おしゃれな区画に生まれ変わっています。

 

歴史を俯瞰してみると、
1980年代から90年代前半のポートランドは、
クラフトビール産業の基礎を支えてきたといっても過言ではありませんが、
90年代終わりから2000年代には低迷、ブルワリーの再編も進みました。

それが2010年代に入り息を吹き返し、
いまクラフトビールが<再>沸騰中!なのです。

 

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●▲■ Deschutes BreweryとBridgeport Brewing ●▲■

訪問一日目はパールディストリクトと呼ばれる地区にある
オレゴンを代表するブルワリー2社へ。

最初はDeschutes Breweryのブルーパブ。

この会社は本拠地がオレゴン州南部のBendという街で、
1988年創業後順調に規模を拡大し、
いまでは全米5位の出荷量を誇ります。
2008年にポートランドにブルーパブをオープンし、人気を集めています。

さすが「大手」クラフトブルワリーのブルーパブ、
ドイツ・Kaspar Schulz社製2.5KLシステムが堂々鎮座、
設備にはお金がかかっています。

意外にもドライホッピング(発酵タンクやそれ以降で
ホップを投入して強い風味をつける手法)には消極的で、
ホップバック(麦汁にホップを浸すための専用容器)で
しっかりホップ風味をつける由。

近くにアメリカを代表するホップ産地を有するポートランドでは、
ペレットではなくホールホップを贅沢に使用できるのが強み。

私が通っていたころは
ホップはなんと言ってもカスケード種が人気でしたが、
ヘッドブルワーのBenは最近流行りつつある
シトラやモザイクという種類が気に入っているとのこと。
知らない間にホップの種類もすごく増えていました・・・。

この醸造所としては年間220kl程度の生産量だそうですが、
本拠地から運んでくるビールと合わせても
併設パブに来るお客さんの需要に追いつかず、相当忙しい状況。

訪問したのは木曜日の昼過ぎでしたが、
結構な数のお客さんが入っていました。
一体どんな人たちなんだろう。

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続いて訪問したのが
ポートランドを代表するブルワリーの一つBridgeport Brewing。

古くからアメリカのクラフトビールに触れている方ならおなじみの醸造所ですね。
今年で創業30周年、ちょうど記念製品を発売中です。

ここは何度かのリノベーションを繰り返しながらだんだんと生産規模を拡大して、
また併設パブレストランも充実させて、
街の1ブロックを占める観光スポットにもなっています。

80バレル(約10kl)の仕込システムで、
その脇に置いてある大きなホップバックが目を引きます。

古い設備も大事に使いながら
さらなる設備のリノベーションを行なっているそうですが、
好調なセールスを受けて非常に忙しく、
現在なんと週に20バッチの仕込をこなしているとのこと。
タンクマネージメントはパズルを解くような感じでしょうね。

地元スーパーの酒売り場でも存在感の大きい両社、
醸造現場はもちろんですが、併設パブレストランの繁盛ぶりも特筆もので、
単なる醸造所を越えた存在になっている感。

これらの会社はクラフトビールとしては品質管理面にもかなり力を入れていますが、
それでも昔ながらの手造り感は強く残っていて、
マーケットにも多くの製品を流しながら、
クラフトビールとしての付加価値をうまく表現できていると思います。

 

●▲■ Lucky Labrador+Cascade Brewing Barrel House
       +Alameda Brewing+Hop Works Urban Brewery ●▲■

訪問二日目は市内を貫くウィラメット川の東岸エリア。
官公庁や大学、オフィスビル、高級ホテル等が並ぶ西岸と比べると、
東岸はより庶民的な雰囲気。
小さな工場や商店が点在する住宅地ですが、
まさに小規模で個性的なブルーパブの宝庫で、
ポートランドのクラフトビール文化を理解するためには訪問は必須です。

最初のアポの前に、近くにたまたまあったブルーパブLucky Labradorへ。
11時過ぎに入るとすでに先客が3組。
カウンター奥の大きな黒板には手書きのフードメニューが所狭しと並び、
ビールはゲストビールとシードルも入れると16種類がオンタップ、
タップも手造り感満点の一点もの金属細工品。
いかついスタッフのルックスもあって
早速本場のブルーパブの迫力に圧倒されますが、
ビールはパイント5ドル弱、フードメニューも大体7ドル前後と、
庶民的な価格がうれしい。
もちろんスタッフの対応はきわめてフレンドリーです。

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続いてアポをとっていたCascade Brewing Barrel Houseへ。
ここは知る人ぞ知る的な鬼才ブルワー・Ron Gansbergの醸造所で、
オーク樽で熟成させた酸味の強いサワービールで有名。

写真撮影NGの彼自慢のセラーには何百ものオーク樽が並べられ、
個性的なビールが造られています。
それらの香りや味はもはやビールというカテゴリーでは収まらない
独特の複雑さを持っていて衝撃的。

万人に受け入れられるものではないのも事実ですが、
そこに感じられる本物感には強い説得力があります。
ビール業界の方だけではなく、
他の酒類業界の方にも是非体験いただきたいビールです。
運がよければ、セラーの中で「樽出しビール」を
次々にテイスティングさせてもらえるかも。

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次に訪問したのはAlameda Brewing。
1996年創業の小さなブルーパブでしたが、
順調に販売を伸ばしてついに醸造所を新築、さらなる増産を図っています。
ヘッドブルワーのCarstonによると、
クラフトビール人気の高まりにつれてホップの調達もだんだん難しくなっていて、
基本的には予約制だし、新しい品種などは小規模ブルワリーには回ってこない、
とのこと。
産地に近いポートランドでもこうですので、
遠い州などではもっと苦労しているのかもしれません。

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最後はHop Works Urban Brewery。
幹線道路沿いの典型的な都市型ブルーパブ。
原材料はオーガニックにこだわっていて、
テイスティングセットは10種類のビールが丸いトレーに合わせて並ぶ面白い演出。
パブレストランも盛況でしたが、
裏手の醸造所入り口にある立ち飲みカウンターにも人が来ていて、
子供連れで来てケグ入りビールを持ち帰る人も。

また、ここはポートランドでは珍しくアルミ缶入り製品もラインナップ。
独自のブランディングへのこだわりが感じられます。

 

この日は4社でビールをテイスティング
(といってもワインの場合と違ってもちろん全部飲みます)
させてもらって、さすがに身体にこたえましたが、
個性的ではあるけれどきちんと造られているポートランドのビールは
どれもおいしく、久しぶりにたくさん飲んでしまいました。

なにより、案内してくれたブルワー達もパブのスタッフも
みなオープンで親切な人ばかりで、
また彼らが楽しく仕事をしているのが伝わってきて、
こちらも気持ちよくなる、そんな訪問でした。

 

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以上の話は、この写真資料を見ていただくとわかりやすいと思います。

      ●▲■ アーカイブ資料 ●▲■

「アメリカ・ポートランド クラフトビール<再>沸騰中!」(4ページ)

   http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Portland_Beer.pdf

最後に、オレゴン州のワイン銘醸地、
ウィラメットバレー訪問の写真も掲載しています。

 

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今回久しぶりにポートランドのブルワリーを回って感じたのは、
やはりクラフトビールが非常に盛り上がっているということ。

これは、アメリカ全体で言えることのようですが、
やや過熱気味ではないかと思うほど、いい話ばかり聞こえてきます。

ただ、ポートランドにおけるクラフトビールは
単なるファッショナブルな飲み物などではなく、
市民の暮らしに完全に根付いていて、
食文化やライフスタイルに強く結びついた存在です。

これは1994年に私が初めて訪れ、
その後短い間ですがブルワーとして生活した際に強く感じたことで、
そして今回14年ぶりに再訪して、
あらためてそれがより発展している姿を目撃しました。

ある種のブームはしばらくすると沈静化するんでしょうが、
それでもこの地においては
クラフトビール文化がより熟成していくのだろうと思います。

 

日本の地ビールは1995年に産声を上げて20年目、
21世紀に入ってしばらくの厳しい時期を乗り越え、
いま再び脚光を浴び、ファンを増やしています。

アメリカ、特にポートランドの状況と
日本の状況を比較するのはフェアではないかもしれませんが、
地ビールが単にある地域で造られている珍しいビールという範疇を超えて、
豊かな食文化やライフスタイルの一端を担う存在として
より広く深く人々に受け入れられ、
次の10年、20年とさらに発展してもらいたいと願っています。

 

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最後に日本の地ビールリストをご紹介します。

      ●▲■ Beer People資料 ●▲■

「2014年3月31日現在の地ビール醸造所210箇所のリスト」

   http://www.kitasangyo.com/BEER/beer_index.htm

当社は、地ビール解禁の1995年から20年間にわたって毎年、
全国の地ビール・地発泡酒醸造所のリストを独自調査で維持してきました。

地ビール解禁以来20年間で、
    新規開業は382社
    閉店した醸造所は172社(=45%)
    差し引き現在操業中の醸造所は210社(=55%)
です。

最新版リストを公開しています。

                  (text = 渡邊 拓也)

 

 

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さて、商品紹介です。

●▲■ ご紹介商品 その1:ROOTSディビジョン ●▲■

アメリカ・メヒーン社のビールびん充填機
http://www.meheen.com/

きた産業のウェブサイトではないのですが、
メヒーンがウェブサイトやロゴを新しくしたのでご紹介します。
(英文ですが、PRODUCTSをクリックすれば充填機が見られます。)

日本には過去「4本ヘッド」のものが多く入っていますが、
現在は「6本ヘッド」が標準、今年から「2本ヘッド」も新発売。

ルーツ機械研究所は20年に渡って、
20台ちかくのメヒーン・ビールびん充填機を輸入販売し、
メンテサービスを行っています。

メヒーン機のことならお任せください。

 

ちょっと変わった機械では、
「タンクマネージャー」という、
タンク内の炭酸ガスレベル自動設定装置(Max.3GV)も作っています。

別の会社(Z&N社)の製品ですが、
より高いガスボリューム(Max.4GV)に対応する装置もあります。
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/ZN_carb_controlvalve.pdf

 

 

●▲■ ご紹介商品 その2:ROOTSディビジョン ●▲■

半自動ビール充填機「BF(ビアフロイント)」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/BFIV_wop.pdf

当社製の2本ヘッド充填機。
日本の地ビールでべストセラー。

大手酒類・飲料の研究所でのテスト充填用や、
清酒蔵元でスパークリング清酒充填としても、
多くご採用いただいています。

特殊な充填条件に合わせた設計変更対応もいたします。

 

●▲■ ご紹介情報 その3:KKディビジョン ●▲■

「ビールと窒素ガス、および窒素・炭酸混合ガス」
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/Gas/data/beer_LN2.pdf

ポートランドの写真資料3ページ目をよーく見ると、
Lucky Labrador Brewpubの黒板メニューに
「NITRO」(窒素入り)がありますね。

日本でも、
ビール分野での窒素ガス利用はますます広まっています。

きた産業は、
窒素ガス、ガスブレンダー、液体窒素滴下装置など、
多くの施工実績と長年のノウハウを持っています。
窒素ガスに関することならご照会ください。

 

 

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http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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