●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.208 ●▲■
発行日:2015年6月17日(水)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

 

●▲■ サケwatching in香港 その1 ●▲■

  ●■日本酒の輸出先、金額で2位、単価で1位
●■「一人当たりサケ消費量、世界一!」
●■酒バー・スーパー・デパートでの日本酒観察
●■ビール価格に見る「酒税無しのインパクト」

 

                 text = 喜多常夫

 

ご紹介情報●1▲ 広島の「全国醸造機器用品展示会」に出展
ご紹介情報●2▲ Z&Nの炭酸ガス測定器具+BQSLのデジタル測定器
ご紹介情報●3▲ K2ガラスびんカタログ

 

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5月に香港に行った。
1995年以来、ちょうど20年ぶりの訪問。

 

  1995年は英国領だった。
到着は、九龍(香港中心地)のすぐ横に突き出た「啓徳空港」。
世界一スリリングといわれた空港。

「100万ドルの夜景」、ビクトリアハーバーのネオンサインは
日本企業の広告が多かった。(ヒサヤ大黒堂の「ぢ」の巨大ネオンも!)
ただし、飛行機離着陸の安全のためネオンサインは明滅禁止。

「タイガーバーム・ガーデン」の見学と
「ペニンシュラホテル」のアフタヌーンティーやショッピングが定番観光。
日本酒の売り場は「ヤオハン」を見学した。

 

その後、1997年に英国から中国に返還され、
一国二制度の下で大きく経済発展した。

 

  2015年5月。
降り立ったのは九龍や香港島から30分ほど離れた広い新空港。
ビクトリアハーバーのネオンは日系でなく、韓国系・中国系企業が主流。
飛行場が離れたのでネオンサインは明滅可能になったうえ、
毎晩、観光客向けにレーザービームのショーがあって夜景は益々きれいに。

  「タイガーバームガーデン」は閉鎖。
「ペニンシュラホテル」のアフタヌーンティーは相変わらず定番で、
アーケードの高級ブティックの顔ぶれもあまり変わらないが、
東京のマルビルのように旧館とインテグレートされた高層階ができた。

  「ヤオハン」や「三越」はなくなり、
生き残った「そごう」もいまや現地資本100%。

 

「20年の香港の成長ぶり」、そして、
ビクトリアハーバーの日系企業ネオンの減少や
日系デパート撤退などを見ると、
「日本の影響力の低下」を感じる。

その一方、
「日本レストランの増加」や
「日本酒の浸透ぶり」には驚かされた。

 

 

 

●▲■日本酒の輸出先、金額で2位、単価で1位

 

香港は、人口720万人(2014年)。
95%くらいが中国人、在留邦人は2万5,000人。

面積は1,104 km2で、
札幌市と同じくらい、あるいは沖縄本島より少し小さい。

このように少ない人口・小さな地域でありながら、
香港は2014年の日本の清酒輸出先として
金額で2位(18億2,800万円。アメリカの41億2,800万円につぐ)
数量で4位(9,000石。アメリカ、韓国、台湾につぐ)である。

 

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量で4位、金額で2位という事は、
非常に高い清酒を買ってくれているということ。

2014年の財務省貿易統計から
「1.8リットルあたり輸出単価」を計算してみると、
「サケ輸出主要5カ国」の数字は以下。

 

  香港:              2,040円
アメリカ:          1,712円
中国:              1,088円
韓国:                734円
台湾:                659円

 

香港はアメリカ以上に高いサケを買ってくれている。感謝&謝々。
2,040円は、日本国内平均単価の数倍だろう。

サケ輸出主要5カ国だけでなく、
「2014年に日本製の清酒を500石以上輸出した20カ国」
(米国、韓国、台湾、香港、中国、カナダ、シンガポール、
タイ、オーストラリア、ドイツ、英国、ベトナム、
イタリア、オランダ、マレーシア、ブラジル、フランス、
フィリピン、ニュージーランド、ロシア)
の中で見ても、
香港向け輸出単価は1位である。

(輸出量が少ない国・地域ではもっと高い単価もある。
たとえば、マカオ向けは150石程度しか輸出していないが、
「1.8リットルあたり輸出単価」は4,891円!である。)

 

 

 

●▲■「一人当たりサケ消費量、世界一!」

「年間1人当たり日本製の清酒消費量」、世界ベスト10は以下の如し

  1位・香港:                 0.222リットル
2位・シンガポール:        0.083リットル
3位・台湾:                 0.074リットル
4位・韓国:                 0.064リットル
5位・マカオ:               0.048リットル
6位・ニュージーランド:     0.022リットル
7位・オーストラリア:       0.014リットル
8位・アメリカ:             0.014リットル
9位・カナダ:               0.014リットル
10位・オランダ:            0.013リットル
(財務省貿易統計を、各国の2014年の人口で割り算して算出)

 

因みに日本は、年間1人当たり清酒消費量が約4.4リットル。
(2014年の313万石:56万KLを1億2,700万人で割った数字)

香港からメインランド中国への日本酒の流出(再輸出とハンドキャリー)は
かつては2~3割といわれたが、今は1割以下だろうと聞いた。

仮に2割、3割が流出していたとしても、
一人当たりのサケ消費量は、
香港が圧倒的世界一である。(日本以外で)

香港の人たちが
大変多くのサケを消費してくれているのがわかる。

 

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余談ながら、、、
香港に限らず、
「小さな国が大きなマーケット」であるのは興味深い。

 

一人当たりサケ消費が2位のシンガポールは、
人口540万人(2012年)。在留邦人は3万1,000人(2013年)。
面積は710km2で、新潟市、あるいは奄美大島と同じくらいの小国。

それでいて2014年の清酒輸出先として、
金額で5億1,200万円(6位)、量で2,500石(7位)。

 

一人当たりサケ消費が10位のオランダは、
人口1,690万人(2015年推定)。在留日本人6,300人(2011年)。
面積41,526 km2で、九州より少し小さいくらいの小国。

それでいて2014年の清酒輸出先として、
金額で1億1,900万円(14位)、量で1,200石(14位)。

 

 

日本酒に限ったわけでなく、
ボルドーワイン、シャンパン、シェリーなどでも
香港、シンガポール、オランダ、ベルギーといった小さな国・地域が
大国と伍して、あるいは大国以上に、大きな役割を果たしている。

 

  小国の人は大酒飲みである、、、

ということは勿論ないので、
一度分析してみたい興味深いテーマである。

 

 

 

●▲■酒バーや日本レストランで日本酒観察

 

「香港で日本酒を楽しむならここ」と複数の人に奨められたお店が
「SAKE BAR GINN(吟)」。

セントラル(中環)の繁華街、ランカイフォン(蘭桂坊)の
とあるビルの4階にあるのだが、看板を出していない。

全日空の8時間延着で香港空港着が夜11時。
尋ねに尋ね、最後は店に2回も電話して
深夜2時頃ようやくたどり着いた。

六本木並みに騒然としたランカイフォンにあって、
しっとりと落ち着けるお店。

幸い週末は3時まで営業。
20年ぶりの香港の初日の夜、
「真澄」「蓬莱泉」「天狗舞」「七田」の4種を、
和の肴で堪能しました。

 

香港では、サケを頼む人は、
ワインと同じように720mlびんでオーダーする人が多いと聞くが、
グラスでいろいろな種類を飲むのはワインにないサケ独特の楽しみ。

なお、後で知ったが、「吟」でお会いした、
オーナーでマスター(正確にはミストレス)の日本女性は
「酒サムライ」。
ニューヨークでも日本酒のお店の経験がある方で、
サケメニューの充実振りはすばらしい。

 

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「吟」のほか、2つの日本レストランでサケを楽しんだこと、
そのほか、3泊2.5日の短期間の滞在だったが、
日本ビール、日本ウイスキーなどを観察した写真レポートは
下記を参照ください。

 

   ●▲■ アーカイブ資料 ●▲■

「サケ、日本ビール、日本ウイスキーwatching in香港」(7ページ)
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/sake_hongkong_2015.pdf

 

 

 

●▲■スーパーとデパートで日本酒の価格観察

 

<シティー・スーパー>

かつてスーパーでは、ヤオハンが香港で一番有名だった。
ヤオハンは日本の東証や香港証券取引所に上場していたが、
中国への返還直後に経営破綻。今はない。

現在、日系ではイオンが10店舗以上を展開するが、
今回はサケ売り場が充実しているという現地資本の店を観察。

「シティー・スーパー」は、
日本でいれば紀ノ国屋、成城石井、いかりスーパー、
アメリカで言えばWhole Foods、
といった感じのハイクラススーパー。
香港内で20店舗を展開。

ハーバーシティーというショッピングモール内の店舗に行ったのだが、
酒類売り場における日本酒の占有面積はとても大きい。
扱い銘柄もとても豊富。
日本酒は流通を通さず、自社で輸入するそう。
(香港は、サケの輸入や流通に認可やライセンスが要らない。)

 

価格を観察すると以下の如し。
(訪問した2015年5月現在、HK$1=約\17)

 

<1.8Lびん>
伯楽星 HK$1,500
獺祭・2割3分 HK$1,180
獺祭・3割9分 HK$610
久保田・萬寿 HK$1,060
久保田・碧寿 HK660

<720mlびん>
久保田・翠寿 HK$460
南部美人初搾 HK$410
七田純米吟醸 HK$205
蒲原・山田錦 HK$220

 

なお、香港で缶詰されている
「Small Sake」という缶詰め清酒
http://www.smallsake.com/
を見たかったのだが、
「去年このスーパーの店頭で見かけた」という人もいたが、
今回は発見できなかった。

 

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<そごうデパート>

かつて香港には、日系デパートとして
大丸、松坂屋、そごう、三越、伊勢丹、東急、西武があったが、
今はすべて撤退。
そごうと西部が現地資本となって名前は残る。

 

「そごう(崇光)」デパートは
コーズウェイベイのランドマークとして古くからお馴染み。
名前も場所も昔どおりだが、今は100%現地資本。

ちょうど、30周年特売セール(崇光30周年特价)の最中で
とてもにぎわっていた。
日本酒売り場は、日本の一般的なデパートより
面積・品揃え・冷蔵設備とも充実していると思った。

価格は以下の如し。

 

<1.8Lびん>
東光純米大吟醸  HK$725
玉乃光純米大吟醸  HK$658
龍力 HK442

<720mlびん>
田酒純米大吟醸 HK$1,468
小鼓そごう30周年ボトル HK$1,088
而今 HK$398
春鶯囀 HK$240
春鹿純米超辛 HK$148
白雪純米昭和之酒 HK$132

 

香港までの輸送費用を含んでこの価格。
高価なサケばかりピックアップしてしまったが、
日本と同等、あるいは安い場合もあるそうだ。

 

香港では、
ワイン、ビール、清酒などアルコール度数30%以下の酒類は
関税も酒税も消費税も、税金はなにもかからない。

清酒が安いかどうかは微妙な部分もあるが、
ビールの価格を見れば、酒税無しのインパクトが良くわかる。

 

 

 

●▲■ビール価格に見る「酒税無しのインパクト」

 

スーパーやコンビニ(セブンイレブンが街中にある)で見た
日本ブランドの缶ビールの価格は以下の通り。
(幅のあるのは、安いほうがスーパー、高いほうがコンビニ)

 

<日本製350ml缶>
キリン・ラガー HK$9~10
スーパードライ HK$9~10
オリオン HK$13
サントリー・プレモル HK$14

 

<日本外の生産の330ml缶>
*生産国の表示がないが、たぶん中国製やベトナム製
キリン一番 HK$9~10
スーパードライ HK$8.5
(スーパードライは店によって日本製と日本外の双方がある)
サッポロ・プレミアム HK$10

 

<(参考)海外ブランドの330ml缶>
ハイネケン HK$7~8
カールスバーグ HK$7~8

 

HK$1=17円で換算すると、
HK$10の缶ビールは170円である。

日本製を香港まで輸送して、日本より安い。
中国製やベトナム製も日本製と似た価格。

 

香港では、
7年前の2008年2月から、
アルコール度数30%以下の酒類に対する税金をすべてなくした。

 

お酒への課税をやめたのは、
「短期的な税収減」があっても、
世界のワインセンターになることで
「中長期の大幅税収増」を目指した戦略だったそう。

日本の政治家も是非チャレンジして欲しい、
大胆な判断である。

その税制改革の恩恵を日本酒も受けているわけだが、
そのあたりについては、次号のメルマガにて。

(香港のメルマガ、続く)

                 text = 喜多常夫

 

 

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さて、情報紹介です。

 

●▲■ ご紹介情報 その1:ブログ ●▲■

5月27‐28日、広島の「全国醸造機器用品展示会」に出展
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/d/20150529

 

全国の清酒関係者のかたたちが集まる
広島の「全国新酒鑑評会」にあわせて行われた展示会。

当社は、

●半自動卓上カウンタプレッシャ充填機「BF4」
(→「生産性向上設備投資促進税制」認定実績機!)
●発泡飲料試作の「TAN3 ROBO(タンサンロボ)」
(→「生産性向上設備投資促進税制」認定実績機!)
●タックラベラー「NINETTE AUTO(ニネットオート)」
●新型キャップ「AZK」「JST」「Smart Screw 7」

などを展示しました。

特に「NINETTE AUTO」は好評をいただきました。
YouTubeで動画をご覧いただけます。
https://youtu.be/cO0Hu96D9rQ

 

 

 

●▲■ ご紹介情報 その2:ROOTSディビジョン ●▲■

Z&Nの炭酸ガス測定器具+BQSLのデジタル測定器
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/Zahm&Nagel-Airtester.pdf
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/gas/BQSL_DGV1.pdf

スパークリング清酒やリキュールの品質管理に不可欠。
ガス飲料の測定器の事ならご照会ください。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その3:K2ディビジョン ●▲■

K2ガラスびんカタログ(全20ページ)
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/K2glassbottle_ed1009.pdf

 

日本酒、本格焼酎、
ワイン、クラフトビールなどの
ガラスびんなら、
きた産業にお任せください。

 

 

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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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