●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.226 ●▲■
発行日:2017年1月30日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

●▲■ ペアリングによるお酒需要喚起の可能性

  ●■「ワイン・ペアリング」体験(クラフトビール含む)
●■「サケ・ペアリング」体験(日本ウイスキー含む)

                      text = 喜多常夫

ご紹介情報●1▲ きた産業のウェブサイトをリニューアル
ご紹介情報●2▲ 「K2ガラスびんカタログ」(ページをめくる方式に)
ご紹介情報●3▲ ガラスびん通販サイト「うぇぶ・びん屋」

 

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  「(サントリーが、東南アジアのある)和食店で
ハイボールと、から揚げをセットで販売してもらったところ、
注文数が1日数杯から百杯を超えるまでに増えた」
※日経新聞、1月28日(土曜)

 

『ビールの次、東南アジアの陣』
というタイトルの記事で、
「ビールから、ワインやウイスキーにシフトしている」
「ベトナムでさえビールのシェアが低下しはじめた」
という変化を伝えるのが趣旨なのだが、
上記のハイボールのエピソードは、
「食事との組み合わせ提案でお酒の需要を喚起できる」
という事例としても読み取れる。

から揚げとウイスキーの組み合わせ(「ペアリング」)提案である。

 

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「ワイン・ペアリング」または
「ワイン&フード・ペアリング」
という言葉をご存じだと思います。

一般的には、
様々な食事・食材と、それに合うワインの組み合わせのことで、
「マリアージュ」という人もいます。

 

最近、レストランのメニューに
「ワイン・ペアリングX,XXX円」と書かれている事があります。

フレンチやイタリアンの中~高級レストランでは、
「2人でボトル1本のワイン」を頼むのが普通ですが、
ここでいうワインペアリングとは
「料理一皿一皿に合うおすすめワインがあらかじめ決めてあって、
一皿につきグラス1杯(といっても、数十ml)が提供される」
という方式です。

 

日本は、
「お弁当文化」(ご飯+おかず数種が1箱に詰まっている)があって、
ご飯やおかずを、行ったり来たり、好きなように食べるのが普通。
高級和食店でも、
少量盛り付けのお皿が、一度に何皿か並ぶ場合がある。

一方、フランスなどヨーロッパの多くの国は、
「一皿一皿出てくる」文化。
出てくる順に食べざるをえないし、
基本的には一皿を食べ終わらなくては次の皿にいけない。
オードブルを少し残しておいて、次の肉料理と一緒に食べる、
なんていうことは、基本的にはしない。

 

ヨーロッパの場合、国にもよりますが、
一般的に量が多いので、
アントレ(オードブル)1皿
プラ(メイン料理)1皿
デセール(デザート)1皿
の3皿をアラカルトで、それにワインをボトル1本で頼んで、
おなかいっぱい、満足満足、という場面を多く経験してきました。

が、最近、ヨーロッパでも、
特にミシュランに取り上げられるようなシャレたお店で、
日本料理並みに「量を少なく」して、
その代わり「皿数を多く」するレストランを見かけます。
そんなお店でワイン・ペアリングを設定している場合が多い。
例えば、
「料理5皿・ワイン5種(杯)」
といった感じです。

 

 

昨年暮れ、仕事でチェコとフランスに行ったのですが、
以下、その時経験したペアリングの話、2題。

 

 

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●▲■ プラハで「ワイン・ペアリング」(クラフトビール含む)

 

チェコの首都、プラハで、
ちょっと高級なレストランで夕食をとりました。
このレストランのディナーは、
アラカルトはなくて、ムニュ(定食コース)のみ。
月ごとに中身は変わるけれど、
「6皿コース」または「11皿コース」からの2択。

 

注文したのは
「ムニュ(6皿コース)」2,450czk(11,000円)と、
「ワイン・ペアリング(6皿コース用6杯)」1,350czk(6,100円)。
ミシュランで取り上げられる店だけあって、高価格設定。
(1czkチェココルナ=約4.5円で換算
チェコはEUに加盟しているがユーロではない)

なお、アルコールがだめな向きには
「ジュース・ペアリング」もあって550czk(2,500円)。

 

小量づつ、6皿のコースは、
アントレ(オードブル)風が4皿
プラ(メイン料理)1皿
デセール(デザート)1皿
合計6皿で、それぞれにワイン1杯がつく。

1回の食事で、
「赤白取り合わせて、個性の違うワイン数種を飲む」のは、
「ボトル1本、食事はワイン1種で通す」方式と違って、新鮮な体験。

居酒屋で色々な日本酒銘柄を楽しむのに似ているとも思った。

料理の皿は順次取り換えられるが、
ワイングラスはそのまま置いておいてくれるので、
違う料理との相性も試せる。

周りのテーブルを見ると、
大人数のグループはボトルで何本かとっていたが、
カップルのテーブルはほぼ、ワイン・ペアリングを頼んでいるよう。

メニューに「ワイン・ペアリング」を設定することで、
このお店のワイン販売量は、確実に上がっているように見えました。

 

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ふむふむ、料理はおいしいし、ワインはよくマッチしておるなあ、、、
皿ごとの料理とワインの説明(英語)も上手だなあ、、、

と、5皿の料理と5杯のワインまで楽しんだ後、
最後の6皿目のデザート。

これは選択式になっていて、
「スモークの羊チーズ・アルニカ・パスタ」というのを選んだら、
ペアリングはワインでなく、なんと
クラフトビール。おどろいた!

出てきたブランドは
「マテュシュカ(PIVO MATUSKA)」と言って、
マルティン・マテュシュカさんがつくるクラフトビール。
90年代に日本で地ビール醸造の指導をしたことのある人で、
今やチェコでは有名なクラフトビールの作り手。

「ワイン・ペアリングにしてビールも登場」という、
意外な展開に感心しました。
デザートにとてもよくあった、おいしいビールでした。

 

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チェコは「一人当たりビール消費量」が圧倒的世界1位の国。
「キリンビール大学」情報によれば、
チェコ:142.4リットル(2015年)で、日本の3.4倍!

人口は日本の1/10以下なのに
クラフトビール醸造所は日本と同じ300軒くらいある。

なるほど、ビールも出すべきだ、と思いました。

 

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プラハのビール事情と、
このレストラン(「デギュスタシオン・ボヘミアン」)での体験について、
写真資料にまとめました。レストラン体験は3ページです。

●▲■アーカイブ情報「ビールwatching in チェコのプラハ」
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/world-alcoholic/beer_watching_in_Prague.pdf 

 

なお、アサヒビールさんが
現在スーパードライを委託している「スタロプラーメン」
このたび傘下に収める「ピルスナー・ウルケル」
の工場の写真なども収載(2014年訪問時の記録の転載)。

 

 

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●▲■ パリで「サケ・ペアリング」体験(日本ウイスキーを含む)

パリは、日本人シェフのレストランがとても多い。
日本料理もあるけれど、フレンチも多い。

セーヌ川左岸にある「SOLA(ソラ)」は、
日本人シェフ吉武さんのミシュラン星付きのフレンチ。

チェコの店と同じでアラカルトの設定はなく、
その日の食材によるシェフお任せのムニュ(定食コース)のみ。
ディナーは98ユーロ(12,000円)。
(昨年暮れのレート、1ユーロ=約123円で換算)

料理は、価格に十分見合う味と演出。
もちろん立派なワインリストがあってワインと楽しめるのだけれど、
このお店の特徴は「サケ+フレンチ」を楽しめること。
サケのリストがあるほか、
リストに書いていないサケ銘柄もストックしていて、
ソムリエール(日本人女性)がワインもサケもアドバイスしてくれる。

そして「デギュスタシオン・サケ」の設定がある。
「デギュスタシオン・サケ3種」45ユーロ(5,500円)
「デギュスタシオン・サケ5種」70ユーロ(8,600円)

デギュスタシオンとは、利き酒、味見、のような意味。
「ワイン・ペアリング」ならぬ「サケ・ペアリング」で、
フレンチの皿に合わせたサケがワイングラスでてくる 。

 

7組が座れる地階席は、適度な狭さで、
他の客の言葉も断片的に聞き取れる。
その夜の客は、
フランス語2組、英語2組、ドイツ語1組、中国語1組、
そして当方の日本語という、国際的客層だったけれど、
皆さん、シェフが日本人であることを承知なせいか、
なんとワインよりサケのほうが多数派。
「デギュスタシオン・サケ」が少なくとも3組。
メイン料理は赤ワインだけれど、アントレはサケの組もいました。

実は当方は、
リストに飲みたくなるサケ銘柄がいくつかあったので、
「デギュスタシオン・サケ」は選ばず、
サケ銘柄を指定して飲んだのだけれど、
周りの席の「デギュスタシオン・サケ」の状況を観察。

 

料理は
アントレ(オードブル)が4皿
プラ(メイン料理)魚と肉で2皿
デセール(デザート)1皿
合計7皿。
各皿の量は日本的に少量で快適。
それにサケ5杯がつく。

サケボトルをもってきてラベルを見せながら、
フランス語か英語でサケのキャラクターを説明、
ワイングラスにサケをついでくれる。

皆さん、とても興味深げに、
サケとフレンチの相性を楽しんでいるように見えました。

このお店のサケ販売量は、
パリの多くの日本料理店より確実に上だろうと思いました。

 

食事の時、ワインはボトル1本を頼む文化のあるヨーロッパでは、
和食店でもサケをボトル1本で頼んでいるのを見かける。
しかし、いいサケのボトルは概して高価だし、
当たり外れのリスクもあるだろう。

ボトル単位で頼む必要がないサケ・ペアリングは、
和食は好きだがサケ銘柄が分からないであろう大多数の人にとって、
非常にうまく機能する売り方だと思います。

 

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6皿の料理を楽しんだ後、最後の7皿目は、
アーティスティックな盛り付けの、洋風のデザート。

どんなサケをペアリングするのだろう、、、と見ていたら
サケならぬ「ニッカウイスキー余市」を出していました。

フランスにおける日本ウイスキー人気も背景にあるにせよ、
「サケ・ペアリングにウイスキーが登場」という、
意外な展開に驚くとともに、
なるほど、うまい組み合わせだなあ、と感心。

日本ウイスキーの代わりに、
本格焼酎にもチャンスがないものか、、、とも思いましたが。

 

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このサケ・ペアリングの見聞録と、
パリのサケ(日本酒)と日本ウイスキーの情報を
写真資料にまとめてあります。レストラン体験は4ページです。

●▲■アーカイブ情報「サケ&日本ウイスキーwatching inパリ2016」
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/sake-watching/sake_whisky_Paris_2016.pdf 

 

資料では、
2016年、パリに新しく開業したサケ販売店
「メゾン・デュ・サケ」、
過去から継続的にレポートしている
「メゾン・デュ・ウイスキー」
「イセ」
について、店頭の状況を紹介しています。

また、日本ウイスキーと並ぶ人気の、
台湾ウイスキー「KAVALAN」の状況もレポートしています。

 

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ペアリング=食事との組み合わせは、ワインだけでなく、
日本酒や焼酎などさまざまな酒類で研究されています。

たとえば日本でも、、、
料理は同一の懐石料理で、その料理に合う、
サケ・ペアリング
ワイン・ペアリング
焼酎・ペアリング
ビール・ペアリング
の4コースを設定、なんていう方法もありえます。

または、たとえば、、、
新潟サケ・ペアリング
福島サケ・ペアリング
山形サケ・ペアリング
から選べる、なども楽しそうです。

 

メニューで「ペアリング」を提案する手法は、
低減傾向の酒類需要を、
再喚起できる可能性があると思いました。

                      text = 喜多常夫

 

 

 

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さて、情報紹介。

 

●▲■ ご紹介情報 その1 ●▲■
「きた産業のウェブサイトをリニューアル」
http://www.kitasangyo.com

本当は100周年の昨年に実施する予定でしたが、
遅ればせながら1月16日に新サイトに切り替え。

 見やすく、
検索しやすく、
アカデミック情報を充実、
を主眼にリニューアル。
相変わらず素人作のアイコンやサムネール多数で恐縮しますが、
是非ご活用ください。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その2:K2ディビジョン ●▲■
「K2ガラスびんカタログ」(44ページ)
http://www.kitasangyo.com/ebook/

ちょっと今風な、
「ページをめくる感覚」のカタログに変えました。
一度ご覧ください。

 

 

●▲■ ご紹介情報 その3 ●▲■
ガラスびん通販サイト、「うぇぶ・びん屋」
http://web-binya.online-store.jp/i-shop/top.asp

きた産業のガラスびん通販サイトです。
K2ガラスびんを中心に、1ケース単位で出荷します。

ワイン樽用の「ガラス製バング」や「ワインシーフ」など、
マニアックなアイテムも販売。

 

 

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