●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.243 ●▲■
発行日:2018年7月23日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ 「クラフト蒸留所」観察@シアトル
▲● アメリカのクラフト蒸留所は1,589箇所(!)
●■ 12年で「クラフト蒸留所数は25倍(!)」
「クラフトビール醸造所は4.5倍」「ワイナリーは2.5倍」
■▲ 「酒類産業の州」ワシントン州政府のクラフト優遇策は大成功
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ ラベラー&ワインキャップシューラ―「エッセンシャル」
ご紹介情報●2▲ スパークリングワイン・清酒に「ジロパレット(動壜機)」
ご紹介情報●3▲ サケびん口用新型キャップ「AZK」「JST」の汎用品(ed.2)
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日本では、
2010年頃から「ウイスキー」ブームになり、
2016年頃からは「ジン」もブームで、参入者が相次いでいる。
一方、アメリカでは、
2010年頃から「クラフト蒸留所」がブームである。
(クラフト蒸留所=ジン、ウォッカ、ウイスキーなどを製造する小規模蒸留所)
5月にアメリカ西海岸にいったとき、
WA(ワシントン)州のシアトルでクラフト蒸留所を見てきたので
今回はそのレポート。
まず先に、統計データを見ておきます。
●▲■「クラフト蒸留所」「クラフトビール」「ワイナリー」の軒数 ●▲■
<アメリカの「クラフト蒸留所」の軒数>
■2005年 60箇所
■2010年 204箇所(5年で約3.5倍!)
■2015年 1,163箇所(10年で約20倍!!)
■2017年 1,589箇所(12年で約25倍!!!)
(出所:American Craft Sprits Association、2017年は8月現在)
<アメリカの「クラフトビール醸造所」の軒数>
■2005年 1,447箇所
■2010年 1,813箇所(5年で約1.2倍)
■2015年 4,588箇所(10年で約3倍)
■2017年 6,372箇所(12年で約4.5倍!)
(出所:Brewers Association)
<アメリカの「ワイナリー」の軒数>
■2005年 4,925箇所
■2010年 6,851箇所(5年で約1.4倍)
■2015年 1万0,736箇所(10年で約2倍)
■2017年 約1万2,000箇所(12年で約2.5倍!)
(出所:Wine Institute、2017年の数字は未だ出ていないので
2016年の1万1,496からの類推した概数)
「クラフトビールが6,000軒超え」はよく話題になるけれど
「クラフト蒸留所が1,500軒超え」はあまり知られていないのではないか。
日本で実動している清酒蔵元は1,400軒程だろうから、それより多い。
「クラフトビール:12年で約4.5倍」も凄いが
「クラフト蒸留所:12年で約25倍」という増加率は驚異的である。
今回調べてみて初めて知ったのだが、
「ワイナリーは約1万2,000軒」もあるのにも驚いた。すごい数だ。
「ワイナリー:12年で約2.5倍」は蒸留所やビールに比べて低いが、
増加の一途であるのは同じ傾向。
(ただ、ワイナリーはブドウ栽培が基本なので、
総数の約4割、5,000軒弱がCA州に集中する点はビールや蒸留酒と違うが。)
クラフトワインという言葉はないが、
「クラフト」的なブテック・ワイナリーが増加の主因だと思う。
アメリカの酒類産業における
「クラフト」セグメントの「成長力」あるいは
「破壊力」がうかがえる。
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日米比較も書いておこう。
<「クラフト蒸留所」の軒数>
■2017年アメリカ 1,589箇所
■2017年日本 約30箇所
<「クラフトビール醸造所」の軒数>
■2017年アメリカ 6,372箇所
■2017年日本 約300箇所
<「ワイナリー」の軒数>
■2017年アメリカ 約1万2,000箇所
■2017年日本 約300箇所
(日本の数字の出所:きた産業の蓄積データによる概数
クラフト蒸留所は、大手以外のウイスキー、ジン、ラムなどの
蒸留洋酒の製造者の概数で、焼酎・泡盛は含まない)
日本は、アメリカと比較して、
▲クラフト蒸留所は 1/50
▲クラフトビール醸造所は 1/20
▲ワイナリーは 1/40
と、愕然と少ない。
日本でも大きな成長余地がある、とも見えるが、
今後の日本のクラフト政策にも依存するだろう。
●▲■ WA州の「クラフト蒸留所」政策 ●▲■
本題のシアトルのあるWA州では、
ちょうど10年前の2008年に、小規模蒸留所優遇策である
「クラフト・スピリッツに関する法律」が承認された。
一般蒸留免許は年間免許料2,000ドルなのに対し、
クラフト蒸留酒免許は年間免許料100ドル。
●50%以上の原材料がWA州製であること、
●年間生産量15万proof gallon以下(AL50度換算で約568KL以下)
●自社製の酒は直売できるが、他社製の酒は販売不可
●製品(壜製品など)を売ることはできるが、飲ませるのは別免許
●試飲は1人2オンス(約60ml)まで
などを満たす必要があるが、
基本的には非常に参入しやすくなった。
「100%WA州原料」にせず、
「50%以上」にしたのもミソだろう。
その結果2010年頃から参入が相次ぎ、
現在106箇所が営業中、というのが今までの経過。
わずか10年の出来事である。
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WA州の106箇所は
CA州の148箇所、NY州の123箇所についで多いそうだ。
WA州は「ワイナリー」数や「クラフトビール」数でも全米2位。
「クラフト・サケ醸造所」だってある。
(去年暮れに「Cedar River(杉川)」が閉店したが、
「タホマ富士」が生産開始。これについてはまた書きます。)
WA州は、
ボーイング、アマゾン、マイクロソフトなど、世界に冠たる
●「ハイテク産業の州」。
スターバックス、タリーズ、シアトルズベストなど、世界に冠たる
●「コーヒーの州」でもある。
そして、実はさらに、
●「酒類産業の州」でもあるのだ。
ただし、特別な大手酒類企業がWA州にあるわけではない。
数百社のクラフト酒類企業群が牽引する「酒類産業の州」である。
■「大手酒類企業主導」=「20世紀型」
■「クラフト酒類企業群主導」=「21世紀型」
といえるのかもしれない。
或いは、国・体制・経済状況によっても事情は違う。
■中国の酒類産業、たとえばビールは、現在、
「大手酒類企業」に集約化されつつある局面
■アメリカの酒類産業は、現在、
「クラフト酒類企業群」に分散化しつつある局面
日本はどうだろうか。。。
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シアトルで、駆け足で回った5箇所のクラフト蒸留所について、
特徴をまとめてみます。
●▲■ カッパーワークス(COPPERWORKS)
①創業:2013年
②創業者の前職:クラフトビールのブルワー
③ロケーション:シアトル中心部
有名な観光地「パイクプレースマーケット」から徒歩すぐ
④蒸留器:スコットランドのフォーサイス社製
「ポットスチル」2基+ジンの「超小型ポットスチル」1基
+ウオッカの「カラムスチル」1基の計4基
(注:カラムスチル=Rectifying Column Still
銅の筒の中に精留板を何枚も置いた構造の連続蒸留器)
⑤製品:モルトウイスキー、ジン、ウォッカ
●▲■ ウーラ・ディスティラリー(OOLA DISTILLERY)
①創業:2010年
②創業者の前職:ビジュアルアーティスト
③ロケーション:シアトル大学近く
有名なクラフトビールの老舗「エリシアン」のごく近所
④蒸留器:米国製
3KL「スチル」1基+「カラムスチル」1基
⑤製品:バーボンウイスキー、ジン、ウォッカ、ほか
●▲■ ウーディンヴィル・ウイスキー(WOODINVILLE WHISKEY)
①創業:2010年
②創業者の前職:飛行機パイロットが学生時代の友人と共同で創業
③ロケーション:シアトルから車で30分ほどの、ウーディンヴィル
小さな地域にワイナリーが100軒も密集する街
④蒸留器:ドイツのKothe社製
5KL「ポットスチル」1基+「カラムスチル」2基、合計3基
⑤製品:バーボンウイスキー、ライウイスキー、ジン、ウォッカ
●▲■ フリーモント・ミスチフ(FREMONT MISCHIEF)
①創業:2009年
②創業者の前職:漁業関係(祖先がウイスキーを造っていた)
③ロケーション:シアトル中心部から北へ5kmほどのフリーモント
運河沿いで、雰囲気の良いロケーション
④蒸留器:ドイツのArnold Holstein製
(たぶん)「ポットスチル」1基+「カラムスチル」2基、合計3基
⑤製品:ライウイスキー、ジン、ウォッカ、アップルブランデー
●▲■ バッチ206ディスティラリー(BATCH 206 DISTILLERY)
①創業:2012年
②創業者の前職:音楽関係
③ロケーション:シアトル中心部から北へ3kmほど
幹線道路沿い、お隣はクラフトビール醸造所
④蒸留器:ドイツのKothe社製
1KL「ポットスチル」1基+「カラムスチル」2基、合計3基
⑤製品:バーボンウイスキー、ジン、ウォッカ、ラム
5軒を巡った感想としては、、、
「どれもが違う製品」であることに驚いた。
各社それぞれ10~15種くらいの製品を販売しているが、
概ねすべてが、ウイスキー、ジン、ウォッカの範疇のもの。
にもかかわらず、5軒とも、各製品とも、
他と違うオリジナル性のあるキャラクターに仕上げてある。
そしてもうひとつの感想は、、、
5軒とも予想以上に「立派な蒸留器」を備えているのに驚いた。
日本と違って補助金などない(と思う)し、
クラフトというには不釣合いな設備投資額だろうと思われたが、
順調に事業を行っている証拠でもあるだろう。
記載の通り創業者の前職は、
ブルワー、音楽関係、パイロット、アーティスト、漁業関係
と様々。
これだけ多彩な人材をひきつけ、
これだけの設備投資やオリジナル製品を生み出したということは、
クラフトを育成しようというWA州政府の戦略は、
大成功といえるだろう。
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以上の5軒のクラフト蒸留所については以下の資料に写真を掲載しています。
冒頭記載の統計データも図表で掲載。
●▲■ アーカイブ情報 ●▲■
アメリカ・シアトルのクラフト蒸留所 (全9ページ)
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/world-alcoholic/craft-distilleries.pdf
当方、蒸留は素人ながら、設備屋なので、
蒸留器については多少具体的に記録しています。
蒸留器は米国製・ドイツ製・英国製などさまざまだけれど、すべて銅製。
「スタートアップでステンレスの手作り蒸留器でやっていた時代は、
大量の銅コイルを蒸気通路において蒸留した」、という話も聞いた。
日本では「ステンレス」蒸留器も使われているが、
「銅」釜であることは大事なのだろう。
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訪問したうちの1軒、
ウーディンヴィル・ウイスキー社は、
去年、2017年にモエ・ヘネシーに買収されたそうだ。
近年、世界的に、
「大手ビール」が「クラフトビール」を買収するのが盛んだが、
「大手蒸留酒」も「クラフト蒸留所」を買収する時代に入ったのだろう。
「クラフト」の定義は難しくなっていく。
text = 喜多常夫
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さて、商品紹介です。
●▲■ご紹介情報 その1 ROOTSディビジョン ●▲■
タックラベラー「ESSENTIAL」
ワインに最適:オプションのキャップシューラ―つき
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/seamer-capper-labeler-etc/NINETTE_labe
ler.pdf
フランスCDa社製。
「ESSENTIAL(エッセンシャル)」は、
日本で一番多くご使用いただいている「ニネットAUTO」の上位機種。
前回メルマガでもご紹介しました、
前回はカタログが間に合っていなかったので、再度ご紹介しておきます。
「エッセンシャル」のビデオ(52秒、2018年FOOMA展示会で撮影)
https://www.youtube.com/watch?v=qxQv9Qw7Rjw
「ニネットAUTO」のビデオ(48秒、2015年広島醸造機器展示会で撮影)
https://www.youtube.com/watch?v=cO0Hu96D9rQ
●▲■ご紹介情報 その2 ROOTSディビジョン ●▲■
スパークリングワイン・スパークリング清酒に
自動的に滓下げを行う「ジロパレット(動壜機)」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/for-sparkling-cider-and-brandy/gyropal
let_flyer.pdf
フランス・エノコンセプト社製。
伝統的(シャンパン)製造法のびん内二次醗酵スパークリングワインの
「ルミュアージュ(滓下げ)」を自動制御で行う機械。
手作業によるバラつきがなくなり品質が安定します。
255本収容「ジロコンパクト」のビデオ(74秒、2018年FOOMA展示会で撮影)
https://www.youtube.com/watch?v=gdkKQ88i588&t=6s
504本収容「ジロパレット」のビデオ(38秒、2017年FOOMA展示会で撮影)
https://www.youtube.com/watch?v=u-qezhaEH5I
●▲■ご紹介情報 その3 アーカイブ情報 ●▲■
サケびん口用新型キャップ「AZK」「JST」の汎用品カタログ(ed.2)
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/AZK_hanyo.pdf
順調にご採用先を増やしている「AZK」。
よりプレミアムな「JST」。
アルミ製に比べて安全性が高く、
グローバルマーケット向けとして位置づけています。
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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月の以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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