●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.248 ●▲■
発行日:2019年2月22日(金)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ 「ジン」 2018年の日・英の状況
■▲ 英国ではジンがとても伸びている
■▲ 日・英の輸出比較:日本は「ジン」が「焼酎」を追い抜く
■▲ 日本酒「1/50」、日本ウイスキー「1/45」に対し、日本ジンは「1/40」
■▲ 「ジン」「ウイスキー」「焼酎」の輸出仕向け先の分析
●▲■ (おまけ)日・英のボタニカルの傾向チェック
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ 4ヘッドの半自動充填機「サケ・フロイント」
ご紹介情報●2▲ 2ヘッドと6ヘッドのビール充填機「メヒーン」
ご紹介情報●3▲ ガラスびん、フランスの「Verallia」の製品カタログ
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●▲■ ジンの英国情報・「消費統計」編
アメリカをはじめ世界の多くの国で蒸留酒ブーム、クラフト蒸留酒ブームであるが、
英国では蒸留酒の中で「ジン」が突出していて、
この数年、「ジン・ルネッサンス」と言われる。
イギリスは、酒類の民間統計(ニールセンなど)が、
On-trade(バーやレストランで飲む)
Off-trade(小売店で買って家で飲む)
とで区別して出てくる。
イギリス人は、ご存知の通りビールは「外飲み」派が多くOn-tradeが多い。
だが、蒸留酒は「家のみ」が多いようでOff-tradeの方が多い。
ジンの2018年11月までの1年間のOn-tradeの販売
販売量:93,000hl、同期比+52%(!!!)
売上高:11.43億ポンド、同期比+22%(!)
ジンの2018年9月までの1年間のOff-tradeの販売
販売量371,000hl、同期比+38%(!!)
売上高:7.92億ポンド、同期比+47%(!!!)
ジンの本場で、もともと相当大きな市場サイズがある英国にして
前年同期比「52%」と「38%」の量の伸びとは、驚きの数字だ。
金額でも、On-tradeは初めて10億ポンド(=約1,400億円)超え達成、
On、Off合わせた国内全体が20億ポンド超え目前、だと話題になっている。
(日本のバレンタインデーで天然ピンク色のチョコが話題になったが)
英国では「ピンク・ジン」の流行も、総需要を押し上げているそうだ。
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●▲■ ジンの日本情報・「生産統計」編+「生産者数」
一方、日本はどうか。
日本洋酒酒造組合の統計ページによる、ジンの2018年暦年の実績
販売量:12,245hl、同期比+4%
4%という伸び率は、英国と比較してはもちろん、
昨今の新製品ラッシュの状況から見ても意外と少ない印象。
5年前の2013年と比べても+5%でしかない。
ただし、これは日本洋酒酒造組合の組合員の移出量の統計で、
数多くの組合員以外のジン参入者や、
輸入ジンの増加を考慮すれば、国内需要の伸び率はもう少しは多いだろう。
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ご存知の通り、この3年ほど、続々と
ジンの新規参入者、新製品が相次いでいる。
知っている限りの情報で書くと、、、
●大手
サントリー、ニッカ
●新規参入者
京都醸造所(「季の美」)、アルケミエ、紅桜醸造所
●焼酎生産者
本坊酒造、京屋、小正醸造、高田酒造場、佐多宗二商店、
明利酒類、秋田県発酵工業、合同酒精、濱田酒造
●泡盛生産者
まさひろ酒造、瑞穂酒造
●清酒(&クラフトビール)生産者
中国醸造、宮下酒造、日新酒類、黄金井酒造、
白河銘醸、木内酒造、福徳長
●梅酒・薬用酒生産者
中野BC、養命酒
●海外で作って日本に持ってくる
日本ビール
他にもありそうだし、今後の新規参入者もあるので
元々大手1・2社の状態から、この3年で30社ほどになるのだと思う。
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●▲■ ジンの英国情報・「生産者数」+「輸出統計」編
一方、英国の生産者数はどうか。
英国では2016年に45、2017年には49もの
新蒸留所(ただし、ジン以外含む)が開設されたそう。新規参入ラッシュ。
2010年に英国全体で116だった蒸留所数が、
2017年には315まで増えたそう。
2010年は「ほとんどスコットランド(=ほぼ、ウイスキー蒸留所)」だったが、
2017年は「イングランド地方の数がスコットランドの数に近づいた」そうだ。
「イングランドの蒸留所の増加=ジンの参入者が多い」、ということだろう。
The Gin Guildの、ごく最近の2019年1月のネット記事によれば、
「最新の英国全土の蒸留所ライセンス数は
419(ウイスキーなど他の蒸留酒も含む)。
うち、約280がジン蒸留を行っているとみられる」そう。
過去の記事など読み比べると、英国のジン生産者は、
この3年ほどで90~100増えて、約280になった模様だ。
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英国では、老舗のメジャーブランドのロンドン・ジンだけでなく、
様々なブランドのクラフト・ジンが世界に輸出され、外貨を稼いでいる。
確報ではないが、2018年(暦年)の英国のジンの輸出は
5.67億ポンド(=約800億円)、同期比+7%だそう。
個人的観測だが、ジン(やスコッチウイスキー)の輸出は
ブレグジットの影響を最も受けにくい範疇の英国製品だと思う。
今後ますます注目されるのではないか。
(以上の英国の各種情報の出所)
WSTA、HMRC、The Gin Guild ほか
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●▲■ ジンの日本情報・「輸出統計」編
日本はどうか。
昨年年末のメルマガで、酒類の輸出に関して
「2018年は、ジンの輸出が、焼酎の輸出を追い抜くだろう」と書いた。
財務省貿易統計の2018年(暦年)の実績が出たので、
実際の数字を確認すると、以下のごとし。
2018年の日本からの酒類の輸出金額順
1位「清酒」:222.3億円
2位「ウイスキー」:150.0億円
3位「ビール」:128.7億円
4位「リキュール」(梅酒が多い):56.7億円
5位「ジン」:19.9億円
6位「しょうちゅう」(本格焼酎がほとんど):15.6億円
嗚呼、果たして予測通り、焼酎はジンに追い抜いかれてしまった。
焼酎はこの数年、低迷を続けている。
5年前と比べるても、▲6%(減少!)である。
一方、ジンは2016年に初めて独立した分類コードがついたので、
5年前の輸出額は不明だが、せいぜい1千万円内外と仮定して、
5年で実に200倍(!!)である。
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日本のジン輸出・約20億円は、
英国の2018年のジン輸出5.67億ポンド(約800億円)の「1/40」。
個人的感想としては、すごくいいポジションにつけていると思う。
日本酒輸出・約220億円は、
フランスの2018年のワイン輸出88.9億ユーロ(約1兆1,000億円)の「1/50」。
日本ウイスキー輸出・約150億円は
スコッチウイスキーの2018年の輸出47億ポンド(約6,800万円)の「1/45」。
長年海外市場を開拓してきた、日本酒、日本ウイスキーに比べて
日本のジンは、たった2年ほどで世界市場で一定の地保を築いた、といえる。
(フレンチワインとスコッチの2018輸出金額の出所)FEVS、SWA
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●▲■ 日本情報・「蒸留酒の輸出状況の分析」
2018年の日本の蒸留酒3種の輸出先を見てみる。
「ジン」の19.9億円の輸出先
1位オランダ:7.7億円(全体の39%)
2位オーストラリア:5.4億円
3位シンガポール:1.4億円
4位アメリカ:1.3億円
5位英国:1.1億円
6位フランス:0.9億円
(以上6位までで全体の84%)
「ウイスキー」の150億円の輸出先
1位アメリカ:41.6億円(全体の28%)
2位フランス:27.8億円
3位オランダ:14.8億円
4位台湾:13.0億円
5位シンガポール:12.5億円
6位中国:11.7億円
(以上6位までで全体の81%)
「しょうちゅう」の15.6億円の輸出先
1位中国:4.8億円(全体の31%)
2位アメリカ:3.9億円
3位タイ:1.1億円
4位韓国:0.9億円
5位ベトナム:0.8億円
6位香港:0.8億円
(以上6位までで全体の80%)
ジン・ウイスキーと、しょうちゅうでは、仕向国のタイプが違うのがわかる。
同じ蒸留酒でも日本ウイスキーやジャパニーズジンがこれだけ伸びるのは、
「飲むシーン・場所」が世界中に存在するからだろう。
ウイスキーやジンは、日本製でも英国製でも世界中にあるバーで飲まれる。
(焼酎も、ジンやウォッカ並みのアルコール度数40度以上のものを作って、
バーで飲むようにプロモーションすれば伸びる?)
ジンの輸出先トップがオランダ(ウイスキーでも3位)というのは、
意外に思われるかもしれないが、
これはサントリーのヨーロッパ向け輸出経路の影響だろう。
2014年のビーム買収以降,オランダのアムステルダム港経由であると聞く。
すなわち、ジンの輸出の多くはサントリーの「ROKU・六」だと推定される。
今や、世界中の空港免税店に、
「ビーフィーター」や「ゴードン」などの名門ロンドン・ジン、
「シップスミス」や「モンキー」などのクラフト・ジンと並んで
「ROKU・六」が並ぶ。
ただ、その他の銘柄の日本のジンもいくつか並んでいることも多いし、
欧米各国の蒸留酒専門店では日本のクラフトジンが人気のようだ。
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●▲■ ジンのおまけ情報・英国の「ボタニカル」編
長くなるが、ジンの話題を続けます。
ボンベイサファイア、ゴードンズ、タンカレ、ギルビー、など
「12の有名英国ジンブランドのボタニカル」を一覧にした表があったので、
ジン情報の一環として引用しておきます。
(引用元)"Brewer & Distiller" Vol.14 Issue 4, 2018 April
ジュニパーベリー:(12ブランド中)12が使用=(使用率)100%
コリアンダー:12が使用=100%
柑橘類のピール:11が使用=100%
アンジェリカ:10が使用=92%
オリス:8が使用=67%
リコリス:7が使用=58%
Cassia:5が使用=42%
アーモンド:5が使用=42%
カルダモン:2が使用=17%
シナモン:2が使用=17%
ナツメグ:2が使用=17%
きゅうり:2が使用=17%
以下は1ブランドのみ使用のボタニカル
黒コショウ、ベイリーブ、レモングラス、
ブルーベリー、ハイビスカス、ラベンダー、ほか
使用ボタニカル数:最低4種、最高10種、平均7.3種
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●▲■ ジンのおまけ情報・日本の「ボタニカル」編
比較で、「日本の12のジンのボタニカル」をチェックしてみたのが、以下です。
(サントリーを含む様々なブランドで、全ボタニカルを明示している12サンプル、
実物のラベル表示や、ネット情報で集計したもの)
ジュニパーベリー:(12ブランド中)11が使用=(使用率)92%
かぼすやミカンなど日本の柑橘(ユズ以外):10が使用=83%
ユズ:9が使用=75%
山椒:7が使用=58%
レモン、ライムなど:7が使用=58%
緑茶・日本茶:6が使用=50%
しょうが:5が使用=42%
しそ:4が使用=42%
オレンジピール:4が使用=33%
桜(花と葉):4が使用=33%
ヒノキ(木片、樹皮):4が使用=33%
コリアンダー:4が使用=33%
以下は3~1ブランドが使用するボタニカル
クロモジ、ゴーヤ、どくだみ、牡蠣殻、
杉、シークワーサー、パイナップルピール、きゅうり、ほか
使用ボタニカル数:最低4種、最高17種、平均8.3種
12のサンプル以外で使われていた、特徴あるボタニカル
昆布、切り干し大根、蕗の花、ニガヨモギ、ほか
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日・英でボタニカルが相当違うのが、改めてよく分かった。
日本に「ラベルに『ジン』と書かれているのに、
ジュニパーベリーが入っていない製品」(?)もあるのには驚いた。
「ホップの入っていないビール」のようなものである。
(余談だが、『「ジュニパーベリーを入れたビール」と、
「ホップを入れたジン」は、どちらもおいしい』、とどこかで聞いた。)
日本のジンは、
「和のボタニカル」が重要な特徴になっているほか、
牡蠣殻
など、ボタニカルではないものがあるのもユニーク。
ビールの副原料で新しく加わった、
味噌、鰹節
も候補だろう。
さらに、焼酎で許容される原料の、
カボチャ、シイタケ、ゆり根、ネギ、
レンコン、ほていあおい、紅花、銀杏
なども、結構よさそうだ。
「和のボタニカル」、「ジャパニーズ・ジン」は大きなポテンシャルがあると思う。
text = 喜多常夫
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さて、商品紹介です。
●▲■ ご紹介情報 その1 ROOTSディビジョン ●▲■
4ヘッドの半自動充填機「サケ・フロイント」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/sake_freund.pdf
手元のタッチスクリーンから、充填量をデジタルで指定。
ノズルごとに異なる充填量の指定も可能。
小ロット多品種に最適。
今までにない、マニュアル充填機です。
ジンの充填にも最適です。
「サケ・フロイント」のビデオ(58秒、2018年FOOMA展示会で撮影)
https://www.youtube.com/watch?v=5TJOvJFWihw
●▲■ ご紹介情報 その2 ROOTSディビジョン ●▲■
2ヘッドと6ヘッドのビール充填機「メヒーン」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/Meheen.pdf
ロータリー機に比べて圧倒的なコストパフォーマンス。
最近、小規模なクラフトビール醸造所で、
2ヘッド(330mlびんで時間500-600本程度)の導入が増えています。
「6ヘッド」のビデオ(1分15秒、日本のクラフトビール醸造所にて)
https://www.youtube.com/watch?v=wFZ7KZARuOU
●▲■ ご紹介情報 その3 K2ディビジョン ●▲■
ガラスびん「Verallia」の製品カタログ
https://fr.verallia.com/en/catalogue
フランスの「ヴェラリア」(旧社名「サンゴバン」)は、
世界のガラスびん製造、世界3位。
ワインびんでは、O-I(オウエンス・イリノイ)社とならぶトップシェア。
当社では、ヴェラリアのびんを定期的にコンテナ単位で輸入。
お客様には1パレット単位でデリバリーいたします。
ワインびんのほか、清酒や焼酎にもご採用いただいています。
上記サイトで、お好みのガラスびんを見つけてください。
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http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/
2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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