●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.253 ●▲■
発行日:2019年7月19日(金)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ グローバル・トップ3のシェア
有機ELパネル97%、紙おむつ52%、ケチャップ43%、自動車33%
●▲■ 日本のお酒企業トップ3(またはトップ2)のシェア
ウイスキー70%、梅酒60%、ワイン50%、本格焼酎36%、清酒29%
●▲■ 世界のお酒企業トップ3(またはトップ2)のシェア
ビール50%くらい、サケ30%くらい、ワイン5~6%くらい
text = 喜多常夫
ご紹介情報・YouTube版
●1▲ 「小規模ワイン醸造者向けスターター設備」
●2▲ 2,500cphの清酒・焼酎・ワインの缶詰機「TRON9-3」
●3▲ 新型ビール充填機、卓上の「BB」と、3ヘッドの「HEX3-1」
●4▲ スクリューキャップのワインのヘッドスペース置換装置「ELVAjet」など
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先日の日経産業新聞に、
いろいろな商品の「2018年世界シェアトップ3」の紹介記事があった。
シェア集中度の高いものから低いものへ、いくつか抜き書きすると、こんな具合。
●●有機ELパネル:
1位:サムスン(韓)83.3%
2位:LGディスプレー(韓)12.7%
3位:BOE(中)1.1%
■■■TOP3の世界シェア=97.1%
●●紙おむつ:
1位:P&G(米)25.5%
2位:キンバリークラーク(米)19.0%
3位:ユニ・チャーム(日)7.8%
■■■TOP3の世界シェア=52.3%
●●ケチャップ:
1位:クラフトハインツ(米)30.5%
2位:ユニリーバ(オランダ・英)8.6%
3位:カゴメ(日)4.2%
■■■TOP3の世界シェア=43.3%
●●自動車:
1位:VW(独)11.3%
2位:ルノー・日産・三菱(仏・日)11.2%
3位:トヨタ(日)11.0%
■■■TOP3の世界シェア=33.5%
●●粗鋼:
1位:アルセロールミタル(ルクセンブルグ)5.3%
2位:宝武(中)3.7%
3位:日本製鉄(日)2.7%
■■■TOP3の世界シェア=11.7%
調査品目74品目で、2018年にシェアトップが交代したのは
10品目(造船、一般医薬品、パソコンなど)だそう。
(以上、日経産業新聞、2019年7月8日の記事から)
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「はて、我々の業界はどんな感じだろうか」、、、と思って、
業界紙などで報じられる範囲(推定値含む)でまとめてみることにした。
ただし、「グローバルシェア」ではなく「日本シェア」である。
また、TOP3のほか、TOP2とした場合もある。
同じく、シェア集中度の高いものから低いものへ並べてみた。
●●ウイスキー:
1位:サントリー
2位:ニッカ(アサヒ)
*X=TOP2の2018年生産量=10万8,073KL
*Y=2018年のウイスキーの課税移出数量=15万2,650KL
*(参考)洋酒酒造組合の統計=14万8,502KL
■■■TOP2の日本シェア=X/Y=70.8%
輸入品も含めた2018年の日本のウイスキー市場は17万8,522KL(Z)。
したがってサントリー・ニッカは輸入品を含めても、X/Z=60%のシェア。
なおウイスキーは、2018年に6,208KLも輸出されているが、
これはサントリー・ニッカがシェア80%以上だろう。
●●梅酒(「非発泡性」の梅酒):
1位:サントリー
2位:チョーヤ
3位:メルシャン
*X=TOP3の2018年生産量=1万9,600KL
*Y=2018年の洋酒酒造組合統計の非発泡性梅酒=3万2,428KL
■■■TOP3の日本シェア=X/Y=60.0%
「洋酒酒造組合員以外の梅酒」も多いけれど、
TOP3は「発泡性梅酒」も強いので、
非発泡性+発泡性でのTOP3のシェアは60%以上になると思う。
●●ワイン:
1位:メルシャン
2位:サントリー
*X=TOP2の生産量=6万1,451KL
*Y=2018年のワイン(国産)の課税移出数量=12万2,009KL
■■■TOP2の日本シェア=X/Y=50.0%
輸入も含めた2018年の日本のワイン総市場は36万1,388KL(Z)。
したがって、TOP2のシェアはX/Z=33.8%というべきかもしれない。
2018年の日本のワイン総市場(国産+輸入)は、
前年比96%(前年割れ)だったが、
2/3を占める輸入が93%だったのに対し、
1/3の国産は103%と増加したそうだ。
なお3位以下大手のサッポロ、アサヒ・サントネージュ、マンズは1万KL以下で
「TOP2突出構造」であるのがわかる(2社は各3万KL超え)。
さらに書けば、国税庁の
「2017年度(平成29年度)の国内ワイン製造の概況」によれば
2017年度に生産・出荷実績のあるのは303場で
うち284場(94%)が300KL以下。
「多数の小規模業者+少数の中規模業者+TOP2」、という構造である。
ただし、「日本ワイン(日本のブドウのワイン)」の生産量で見ると、
少し違った構図になるだろう。
●●本格焼酎:
1位:霧島酒造
2位:三和酒類(いいちこ)
*X=TOP2の生産量(2018年の決算年度分)=15万9,800KL(89万石)
*Y=2018年の本格焼酎の課税移出数量=44万1,823KL(245万石)
■■■TOP2の日本シェア=X/Y=36.2%
芋焼酎というカテゴリーで見ると霧島酒造は47%程度、
麦焼酎というカテゴリーで見ると三和酒類は36%程度になる。
●●清酒:
1位:松竹梅
2位:白鶴
3位:月桂冠
*X=TOP3の2018年の国内出荷=14万2,232KL(79万石)
*Y=2018年の清酒の課税移出数量=49万5,083KL(275万石)
■■■TOP3の日本シェア=X/Y=28.7%
2018年、TOP3社はいずれも前年比減だったけれど、
白鶴より松竹梅の減少度合いが低かったので
16年ぶりにシェアトップ交代となった。
清酒は、その輸出の好調ぶりが話題になるところだが、
2018年の輸出量のTOP3社は、白鶴、月桂冠、白鹿だそうだ。
松竹梅は、海外生産(米国と中国、後述)に力を入れているよう。
そのほか、
●「クラフトビール」のTOP3
●いま急成長の「ジン」のTOP3
なども興味あるところで、
たぶん、それぞれ、「10~15%」、「70~80%」だろうと思うが、
検証データを持ち合わせていません。
5社(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ、オリオン)で
98%くらいを占める「ビール類」については割愛。
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「我々の業界はどんな感じだろうか-その2」として、
たとえば、パッケージ資材も気にかかる。
●ガラス壜TOP3(日本山村硝子、東洋ガラス、石塚硝子)
●お酒の紙パックTOP2(凸版印刷、大日本印刷)
のシェアは、それぞれ、「80%くらい」と、「90%以上」だろう。
醸造原料のシェア、
●酒米業者TOP3(?、?、?)
●清酒麹業者TOP3(?、?、?)
●ワインやビールの酵母業者TOP3(?、?、?)
なども興味があるところですが、門外漢故、知見を持ち合わせていません。
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以上、「日本のシェア」の話だったが、
「グローバルのシェア」についても少しわかっているので書いておきます。
●●ビール@世界:
1位:AB InBev(ベルギー)
2位:ハイネケン(オランダ)
3位:カールスバーグ(デンマーク)
■■■TOP3の世界シェア@2018年=50%くらい
中国の「華潤(SNOW)」を3位とする資料もあるが、
グローバルブランドではこの3社で違いない。
3社とも欧州の小国に本拠があるのは、偶然ではないように思う。
世界の大手ビールは、
21世紀に入って、シェア拡大のための「再編ドミノ」(買収の連続)だった。
日本のビールは、グローバル市場での存在感が高いとは言えなかったが、
最後の大型再編案件、
2016年のAB InBevによる2位のSAB Miller買収によるドミノ現象もあって、
アサヒやキリンは最近、世界ランキングを上げたようだ。
●●ワイン@世界:
1位:E&J Gallo(米)
2位:Constellation Brands(米)
3位:The Wine Group(米)
■■■TOP3の世界シェア@2018年=5~6%くらい
4位がTreasury Wine Estate(豪)、
5位がConcha y Toro(チリ)だそう。
ワイン生産量はフランス、イタリアなど欧州勢が多いけれど、
企業として生産量が多いのは非欧州勢(ニューワールド)になっている。
ビールTOP3の50%に比べて、ワインのトップ集中率は断然低い。
ワインは、無数(世界で数万、または10万以上?)のブランドで
成り立つ産業である。
●●SAKE(サケ)@世界:
1位:松竹梅
2位:白鶴
3位:月桂冠
*X=TOP3の2017年の世界出荷量=96.4万石
*Y=2017年の世界全体の推定サケ市場サイズ=319万石
■■■TOP3のシェア@2017年=X/Y=30%程度
(注:これのみ2017年のデータ。2018年にアップデートできていない。)
サケ(清酒)の世界シェア、といってもピンと来ないかもしれないが、
日本TOP3と世界TOP3は同じブランド。
TOP3社の米国や中国の子会社の製造量と、
3社の日本からの輸出量を合計すると、11.3万石程度。
これに3社の日本国内出荷量(傘下の会社分含む)を足すと、
96.4万石(X)となる。
一方、海外消費のサケの総量は、
韓国LOTTE、台湾TTL、ブラジル東麒麟など、海外で製造される清酒に、
日本から輸出される量を足して、43.8万石程度と推定。
これに日本国内分を加え、世界のサケ市場は319万石(Y)となる。
サケのTOP3は、日本でも世界でもほぼ30%のシェアだが、
日本シェアより世界シェアの方が若干高いと言える。
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シェアをとるために利益が犠牲になる場合もあるけれど、
シェア拡大は、企業にとって売上に並ぶ経営目標である場合が多い。
一定のシェアは生き残りの条件とする見方もある(ランチェスター法則など)。
ただ、一般的な工業製品と違って、
シェアがごくわずかでも、魅力あるお酒であれば事業を継続していけるのは
酒類企業の特徴かもしれません。
企業経営者から見ると、シェア(規模)は魅力があるけれど、
消費者の視点で見た場合、お酒という嗜好品は、
大手ブランド(シェア集中)だけでなく、たくさんのブランドがあることが、
愛好家を惹きつける要素の一つであることは事実でしょう。
清酒、焼酎、ワイン、ウイスキーなどは非常に多くのブランドがあって、
飲んでも飲んでも、飲んだことのないブランドが残されていることが、
お酒を愛する人の楽しみでもあります。
スコットランドのウイスキー蒸留所の数が100強であるのに対し、
清酒に1,000以上、本格焼酎に300以上のブランド(蔵元)があることは、
グローバルな視点で見て、「日本の酒類産業の強み」でしょう。
(余談ながら米国では、クラフトビール醸造所が7,450社(@2018年)、
クラフト蒸留所が1,835社(@2018年)と、驚くべき軒数になっている。)
text = 喜多常夫
参照資料:
酒類食品統計月報、醸界タイムズ、酒販ニュース
国税庁統計、洋酒酒造組合統計、財務省貿易統計
Brewers Association統計
American Craft Sprits Association統計
その他いろいろなネット情報
当社独自の推定
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7月9日~12日のFOOMA展示会では、
多くの皆様にご来場いただきありがとうございました。
今回のご紹介情報は、展示会場で撮影したYouTubeビデオです。
●1▲ 「小規模ワイン醸造者向けスターター設備」
https://youtu.be/jC3m90502wM (1分49秒)
小型のワインタンクと、手回し(!)メンブランプレスです。
●2▲ 2,500cphの清酒・焼酎・ワインの缶詰機「TRON9-3」
https://youtu.be/tA85iIhRVWM (59秒)
清酒用アルミ缶でデモ運転を行っている動画です。
●3▲ 卓上のビール充填機「BB」と缶巻締機「ハンドシーマー」
https://youtu.be/fnEWJaWO7Jk (1分56秒)
3ヘッド充填のビール充填機「BF HEX3-1」
https://youtu.be/D68KQFkJ4T0 (47秒)
どちらも、FOOMA2019で初披露の新製品です。
●4▲ ワインのヘッドスペース置換装置「ELVAjet」と「スクリューキャッパー」
https://youtu.be/laXyZL7Yn70 (1分05秒)
手回し(!)スクリューキャッパーの動画もあります。
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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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