●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.266 ●▲■
発行日:2020年11月17日(火)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ コロナの清酒輸出への影響
■ 清酒の輸出予測:10.3万石(対前年比▲26%、▲3.5万石)
■ アメリカは、金額では、輸出先1位でなくなる
■ 1位香港、2位中国、3位アメリカ、4位台湾、5位韓国
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ 清酒にも! ピュピトルの専用架台(移動式)
ご紹介情報●2▲ 充填量をデジタル設定、マニュアル充填機「サケフロイント」
ご紹介情報●3▲ ねじ山の見えないキャップ、「スマートスクリューZ」
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先週、某所で日本酒の国際化について話す機会があって、
直近の輸出実績を調べた。
興味深い状況だったので、今回はその話を書きます。
●▲■ コロナの清酒輸出への影響
こメルマガを書いている時点で、財務省貿易統計では、
2020年9月末まで(=3Q分まで)の輸出実績が公表されている。
清酒輸出の、
直近9カ月の数字と、前年の同期の数字を拾うとこうなる。
輸出量
(2019年1Q-3Q実績)=10.43万石
(2020年1Q-3Q実績)=7.73万石
(2020年1Q-3Q実績)/(2019年1Q-3Q実績)=▲26%
輸出金額
(2019年1Q-3Q実績)=171.9億円
(2020年1Q-3Q実績)=146.7億円
(2020年1Q-3Q実績)/(2019年1Q-3Q実績)=▲15%、
量で26%減、金額で15%減。
この減少は、ほぼ「コロナの影響」と言っていいと思う。
●▲■ 2020年清酒輸出の予測
仮に「4Qは2019年と同じ比率を維持する」という仮定で、
(2020の年間予測値)
=(2020年1Q-3Q実績)x(2019の年間実績)/(2019年1Q-3Q実績)
という算式で予測を試みると、こうなる。
輸出量
2019年実績 13.8万石
2020年予測 10.3万石 (対前年比▲26%、▲3.5万石)
輸出金額
2019年実績 234億円
2020年予測 200億円 (対前年比▲15%、▲34億円)
世界レベルで見ると、コロナの影響は4月ころから(1Qは通常)だった。
2Q・3Qだけでこれだけ落ちたと考えると、
通年ではさらに落ちる可能性もある。
一方、4Qで回復する国もあると考えれば、
通年ではもう少しよくなる可能性もあるかもしれない。
しかし、個人的には、
この予測値は、概ね妥当ではないかと考えている。
●▲■ アメリカの状況
輸出先トップのアメリカ向けの、3Qまでの減り具合はどうか。
輸出量
(2019年1Q-3Q実績)=2.73万石
(2020年1Q-3Q実績)=1.94万石
(2020年1Q-3Q実績)/(2019年1Q-3Q実績)=▲29%
輸出金額
(2019年1Q-3Q実績)=51.5億円
(2020年1Q-3Q実績)=33.2億円
(2020年1Q-3Q実績)/(2019年1Q-3Q実績)=▲35%、
という具合で、アメリカの減り方は、世界平均の減り方より多い。
「大統領選の混乱」や「西海岸の山火事」も多少は影響あるだろうが、
「コロナ感染世界一」が圧倒的要因だろう。
●▲■ 5大仕向け地のランキング予測
「清酒の5大仕向け国」について、
前掲の算式で2020年予測値を出し、順番に並べるとこうなる。
2020年予測・量の順位
1位アメリカ 2.55万石(前年比▲29%)
2位中国 2.17万石(前年比▲24%)
3位香港 1.29万石(前年比+20%)
4位台湾 1.28万石(前年比+3%)
5位韓国 0.55万石(前年比▲66%)
●「韓国」は、
2018年は、2位で2.97万石も輸出していたのに、
2019年は、3位で1.62万石(前年比▲45%、▲1.35万石)、
2020年予測は、5位で0.55万石(前年比▲66%、▲1.07万石)。
2年で2万5,000石が消えた格好。
いうまでもなく、
2019年8月からの「日本製品不買運動」と、
2020年4月からの「コロナ」のダブルパンチの結果である。
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次に金額の順位。
2020年予測・金額の順位
1位香港 51.9億円(前年比+32%)
2位中国 46.8億円(前年比▲6%)
3位アメリカ 43.6億円(前年比▲35%)
4位台湾 13.5億円(前年比▲0.3%)
(5位シンガポール 8.7億円(前年比+1%))
6位韓国 6.4億円(前年比▲53%)
この順位にはとても驚く。
●「香港が金額1位」を疑う人も多いと思う。
だが既に3Q(9月末)の時点で、香港は金額1位になっている。
(注:香港38.8億円、中国32.0億円、アメリカ33.2億円)
しかも香港は「前年比+32%」! 驚かされる。
(注:香港の2019年3Q=29.5億円、2020年3Q=38.8億円)
コロナだけでなく、
中国の強硬路線に反対する民主化デモの渦巻く中、
清酒輸出(=清酒消費?)が伸びるのは不思議であるが、事実である。
●「中国」は、日本酒に限らず多くの消費財で、その存在感が高まるばかり。
21世紀に入って、中国では何度か日本製品・日本企業の排斥があったが、
今後はそのようなことがおこらないことを祈らねばならない。
●「アメリカが金額3位」は衝撃的。
アメリカは21世紀に入って一貫して金額・量とも輸出先1位であったのが、
コロナの影響で、香港、中国に追い越され、こういう状態に。
ただアメリカは、コロナ収束後は回復が期待できる国だと思う。
●「台湾」は実は、アメリカ1位時代の前、1990年代は清酒輸出先圧倒的1位だった。
台湾では、世界に先駆けて90年代に日本食・日本文化ブームがあって、
日本酒だけでなく、サントリー・オールドなども大量に輸出された。
ところがその後、台湾国内で清酒製造が始まって日本酒の輸出が激減。
その結果、日本酒需要が増え続けるアメリカに抜かれ、
韓国・中国・香港にも抜かれ、近年は5位が定位置だった。
が、韓国の後退で、2020年は金額・量とも4位に。
コロナの影響が少ない国であることもあって、今後期待できる。
●「韓国」は、量では5位だったが、金額では6位までランクを落とす。
ただ、減少はこのあたりで収束し、2021年は少しは回復すると期待する。
●「シンガポール」はコロナの影響が少ないこともあって、
初めて金額5位に食い込んだ。(量では6位)
シンガポールは、日本酒の輸出先として期待できる国である。
「清酒の5大仕向け国」と従来は称していたが、今後は、
「清酒の6大仕向け国」としてシンガポールを含める時代が来るかもしれない。
●▲■ コロナ禍の影響が大きい国、少ない国
「影響が少ない国」
=「3Q時点で金額の落ち込みがほとんどない、または増加」
「影響が大きい国」
=「3Q時点で金額の落ち込みが▲35%以上」
と仮に定義すると、
既に述べた通り「清酒の5大仕向け国」では、、、
影響が少ない国=香港、台湾
影響が大きい国=アメリカ、韓国
5大国以外で、主だった国を見ると、、、
影響が少ない国=シンガポール、マレーシア、オランダ、オーストラリアなど
影響が大きい国=ベトナム、ブラジル、英国、フランスなど
2021年以降の輸出戦略を考えるうえで、
国別のコロナの影響度を考慮することは重要だろう。
加えて、それぞれの国の個別事情も考えねばならない。
世界各国の政治・宗教・気候・民族などの諸問題は風雲急を告げている。
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英国・ロンドンの中心部、ピカデリーサーカス近くにある
「酒蔵」という日本食・日本酒のお店から、定期的にPRメールが届く。
▲10月14日のメールでは、
「酒蔵は3月から閉店していましたが、ラーメン業態で明日から再開。
北海道から九州まで全国のラーメンを楽しめます。来店歓迎!」
▲11月3日のメールでは、
「5日からロンドンを含むイングランド地方をロックダウン、
という政府方針を受け、店内での飲食は不可になりました。
でも、デリバリーとテイクアウトはOK。」
▲そして11月11日のメールでは、
「残念ながら、デリバリー、テイクアウトもできなくなりました。
(政府方針が変わらなければ)12月3日には再開予定。
クリスマスのテーブルの予約をお待ちしています。
各種カップ酒と、日本各地のラーメンを準備しています。」
「酒蔵」は、美味しい和食と、様々な日本酒銘柄を出していた店だが、
客の滞留時間短縮を考え、ラーメンとカップ酒にしたのだろうと推測する。
が、それも再開1か月もしないうちに、再ロックダウンで中断。
ロックダウン下でも宅配便は利用可能らしいが、
レストランで宅配するわけにもいかない。
こんな状況を聞くと、
日本酒輸出は、当面は耐え忍ばねばならないのだろう、と思う。
text = 喜多常夫
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さて、商品紹介です。
●▲■ ご紹介商品 その1 ROOTSディビジョン ●▲■
清酒にも! ピュピトルの専用架台(移動式)
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/rack_stand.pdf
清酒でも、びん内二次醗酵のスパークリングで
ピュピトル(動びん用のボード)を利用される蔵元が多い。
移動できるので、とても便利。
●▲■ ご紹介商品 その2 ROOTSディビジョン ●▲■
充填量をタッチパネルで設定、「サケフロイント」
http://www.kitasangyo.com/pdf/machine/sake_freund.pdf
充填量変更はボタン操作のみ。
小ロット対応、びん品種の変更に柔軟に対応できます。
●▲■ ご紹介商品 その3 KKディビジョン ●▲■
ねじ山の見えないキャップ、「スマートスクリューZ」
http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/smart_screwz.pdf
キャップ下端のエッジを完全にカバーした「Z」に、
順次移行中です。
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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」
http://www.kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/
2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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西日本担当:大阪営業部
tel.06-6731-0251 mailto:osaka@kitasangyo.com
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