●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.280 ●▲■  
発行日:2021年8月17日(火)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com


------------------< 目 次 >------------------

●▲■ (周年記念の連載)「酒類業界の30年を振り返る」 

<ワイン編>
■ プロローグ:「フィロキセラ」・「火落ち菌」・「コロナウイルス」の共通点?
■ 「醸造所の増加の30年@長野&北海道」 = 「温暖化の30年」
■ 30年前に「甲府で飲んだ甲州ワイン」&「鹿児島で飲んだ芋焼酎」
■ 「日本ワイン」の認知は、わずか10年前のこと


text = 喜多常夫


ご紹介情報●1▲ 機械設備アーカイブズ(「ワイン」と「スパークリング」)
ご紹介情報●2▲ DIEMMEの「除梗破砕機」と「ブドウ搾り機」
ご紹介情報●3▲ 他社では販売していない! 醸造所アイテム、5品
★ホース巻き取り収納 ★ポンピングオーバー散液ヘッド
★ワイン液引き抜きヘッド ★ピュピトル架台 ★樽のトッピング


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2021年は、当社が大阪で創業して105周年、東京に出て100周年。
周年記念で「酒類業界の30年を振り返る」と題した連載を書いています。

ネットで調べた事ではなく、自分の体験として振り返る30年の変遷。
今回は「ワイン編」。




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●▲■ プロローグ:「フィロキセラ」・「火落ち菌」・「コロナウイルス」


本論の前に、コロナ禍で思う事を書きます。


もし、「ワインの30年」ならぬ、「ワインの300年」を書くとしたら、
最大のトピックスは「フィロキセラ(ブドウ根アブラムシ)」だろう。
19世紀の終わりにヨーロッパから拡まり、
世界中に蔓延して20世紀初頭までブドウ樹を枯らし続けた。

はるか離れた日本でも、
1882年にアメリカ経由で東京の官営三田育種場に初出現。
その後国内で蔓延、何百キロも離れた播州葡萄園や、
主産地の山梨で、膨大な数のブドウ樹を枯らした。

シャンパーニュのボランジェに行ったとき、
壁に囲まれた小さな自社畑がフィロキセラから免れた、と聞いた。
ニュージーランド南島でも、被害にあわなかったブドウ畑を見た。
(ニュージーランドは今も入国の時、靴の裏に土がないか厳重に検査される)
フィロキセラでは、例外的に感染を免れた場所もあったようだが、
コロナは地球全体、隅々にまで行き渡る勢いだ。

境界を厳重に管理している国や孤島でも感染者がでるのは不思議だが、
「人間が棲むところ、必ず外界と交流あり」、という事なのだろう。

フィロキセラの場合は、耐性のあるブドウ品種があることがわかって、
それを台木にして、ワイン用のブドウを接ぎ木する方法を見出せた。
コロナの場合でも、世界には耐性のある人類もいそうに思うが、
人間は接ぎ木ができない。。。
いまのところ、ワクチン接種しかない。



フィロキセラ(「昆虫」)は、世界的蔓延や被害が落ち着いた今も、
いなくなったわけではない。
庭の片隅に耐性のないブドウ樹を植えておくと、
どこからともなくとりついてブドウ樹を弱らせるようだ。

清酒の火落ち菌(「細菌」)も、ある蔵や地域で何十年も発生していなくても、
いなくなったわけではない。
パストライズ(火入れ)しないと火落ちが発生する。

同じように、
コロナ(「ウイルス」)も、パンデミックが終息したのちも存在し続けるだろう。
治療薬ができても、ワクチンを打ち続けねばならない、という事かもしれない。


現状、2回接種ではデルタ株には効果が確実ではないようだ。
確実な方法が早く確立されることを望むものである。




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>>>30年を振り返る・ワイン編<<<

●▲■ ワイン醸造所数増加と温暖化の30年


この30年で、
日本の伝統酒、日本酒蔵元の数は概ね2/3に減ったが、
海外由来の酒、ワイン醸造所の数は概ね3倍に増えた。


●■全国のブドウのワイン製造場数(概数)

1990年 約140(推定)
2000年 約150
2010年 約190
2020年 約380(30年で2.7倍)
(1990~2010年の数は、果実酒免許保有者の数と相当異なるが、
このデータの出典は、きた産業による継続調査「ワイナリーリスト」
https://kitasangyo.com/Wine/Winery-List.html
ed.1=2002年版~ed.15=2020年版による。1990年は推定。)



380のうち最も多いのは山梨県で95。
ただ、ワイン県山梨では、過去30年で数がそれほど変わっていない。
総数が増えた2大要因は、長野と北海道である。


●■長野県のブドウのワイン製造場数

1990年 15(推定)
2000年 16
2010年 23
2020年 54(30年で3.6倍)


●■北海道のブドウのワイン製造場数

1990年 7(推定)
2000年 9
2010年 36
2020年 49(30年で7倍)


長野と北海道の増加は、人的要因や行政要因もあるが、
「温暖化」が最も大きい要因と考える。


30年前、積雪の多い北海道でブドウを育てるのは大変難しかった。
「セイベルxxxx番」というハイブリッド種や、
山ブドウを掛け合わせた独自の耐寒品種が主流で、
ヴィニフェラ種(ワイン品種)はほとんどなかったと思う。
長野のメルローも、冷害が繰り返しあったと聞く。


それが今では、北海道も長野も、
ヴィニフェラ種ブドウの栽培適地になりつつある。



世界的にも同じ。この30年で、
寒くてブドウ栽培が困難だった英国南部でブドウ栽培が始まり、
シャンパーニュ・スタイルのスパークリングワイン産業が誕生した。
一方、シャンパーニュでは温暖化でブドウ糖度が上がって、
「コトー・シャンプノワ」(ガス無しのワイン)の品質が上がってきたと聞く。



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30年前、
自前のブドウ園をもつワイン醸造所は少なかった。
ブドウを買ってワインを醸造するところが多かった。


ところが今、
特にこの10年で新しく開業したワイン醸造所の多くは、
まず、ブドウ樹を植えて自前のブドウを確保するところから始めている。
畑の主流は、「棚仕立て」から「垣根仕立て」になった。


30年前の日本では、
ワイン品種のC.ソービニオンやシャルドネなどほとんどなかったが、
今や日本のワイン醸造所のスタンダード品種である。
日本品種の甲州やマスカットベイリーAも、
品質や糖度が大きく向上した。




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●▲■ 品質変化の30年:甲州ワイン@甲府&芋焼酎@鹿児島


全国の酒造メーカーがお得意先なので、
全国各地を出張で回る。

かつて30年ほど前、(35年ほど前かもしれない、)
出張先で飲んだ酒の中で、
甲府で飲んだ甲州ワインと、鹿児島で飲んだ芋焼酎は、よくおぼえている。
個人的嗜好で恐縮だが、どちらもまったく「イタダケナイ」味だった。


ところが、
30年後の今、ワイナリー各社が造る甲州は、どれも素晴らしい。
味に適度な厚みがあって、世界に拡がる和食にもとても合いそうだ。

30年前の味を懐かしがる九州の焼酎愛飲家もいるだろうが、
芋焼酎もまた大きく変化して、飲みやすく、独特の魅力ある味になった。


味や品質が大きく進化した背景には、
造り手のパッションもあるが、なにより技術進歩が大きい。


日本のこの30年のワイン醸造技術の進歩は目を見張るものがあるが、
これは日本だけではない。
ニューワールドのナパ、南ア、オーストラリア、チリのワイン醸造技術は
30年前とは大きく変わった。
オールドワールドのボルドー、ブルゴーニュ、ピエモンテ、リオハも大きく進歩した。


日本のワイン技術の進歩は、
日本の醸造家・技術者の独自の開発や進化もあったが、
彼ら・彼女らが、世界のワイン技術を学び、
世界のムーブメントを十二分に取り入れたことが大きい。



浅井宇介さんはじめ、何人かのキーパーソンの存在も、
日本のワイン産業にとって幸いだった。

世界でも日本でも、ワインに人生をかける人は多い。
ワインには、人を夢中にさせる力があるのだと思う。


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2000年時点で日本には、「国産ワイン」という表現しかなかった。
国産と言いながら、多数派は輸入原料(濃縮果汁やブドウ)から造ったワインだった。
輸入原料のほうがむしろ、美味しいワインができた。

しかし、少数派の、国産ブドウとそのワインの品質は向上し続け、
21世紀になって「日本ワイン」という言葉が生まれた。
(日本ワイン=100%国産ブドウをつかって、日本で醸造したワイン)
業界として「国産ワイン」の中で「日本ワイン」を区別するようになったのは、
ごく最近、概ね2010年前後からだと思う。


今、新しくできるワイン醸造所のほとんどは
「日本ワイン」を造るために設立されている。
(都市型ワイン醸造所など、新スタイルも出てきているが
その場合でも国産ブドウ原料を使うものが多い)


日本ワインは、同等品質レベルの輸入ワインに比べ高価だが、
ワイン愛好家にとても人気がある。
日本ワインは、6次産業としても注目され、地域ツーリズムにも貢献し、
日本の酒類産業全体の重要なけん引役になっている。



(ワイン編は、次号に続く)

text = 喜多常夫





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さて、商品のご紹介です。





●▲■ ご紹介情報 その1  ROOTSディビジョン ●▲■ 

機械設備アーカイブズ(「ワイン」と「スパークリング」)
https://kitasangyo.com/archive/machine-archives.php?select_category=010010000


「機械設備アーカイブズ」は、当社の納入実績の写真資料。
ビール、ワイン、キャッパーなど、見たいカテゴリーを選ぶことができます。

上のリンクは、ワインとスパークリングを指定したもので、
22件の納入事例を紹介しています。





●▲■ ご紹介情報 その2 ROOTSディビジョン ●▲■ 
DIEMMEの「除梗破砕機」と「ブドウ搾り機」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/kappa.pdf
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/diemme-p.pdf


DIEMMEはワイン醸造機器の世界トップブランドの一つ。
日本でも多くの実績があります。ワイン設備ならお任せください。





●▲■ ご紹介情報 その3  ROOTSディビジョン ●▲■ 
他社では販売していない! ユニーク醸造所アイテム、5品

★醸造所のホース巻き取り収納 →HACCP対策に
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/MODULO.pdf
★ポンピングオーバーのスプレッダー →全体に均等に散液
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/LOTUS.pdf
★サクションワンド →種子・皮を残してワイン液を引く抜く
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/Suction.pdf
★ピュピトルの専用架台 →移動式でとても便利・床面を清潔に保てる
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/rack_stand.pdf
★樽のトッピング器具 →「じょうろ」から「ガス押し」まで
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/Topping_devices_ed05WOP.pdf





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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

https://kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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