●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.286 ●▲■
発行日:2021年12月27日(月)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com

------------------< 目 次 >------------------


●▲■ 年末恒例、2021年の 〇 X

■清酒とウイスキーの輸出の急成長と、中国依存度
   ■輸出専用清酒免許どぶろく醸造所=クラフト・サケ醸造所?
■ガラスびんの(キャップも)大幅減、アルミ缶の大幅増


●▲■ 年の瀬のご挨拶

                            text = 喜多常夫


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年末恒例の「今年1年の 〇X」は、2005年にはじめて17年目。
今年も、その時期になりました。

独自の視点で、お酒・アルコール飲料業界の2021年を振り返って、

〇=マル:よかった
×=バツ:NG
△=サンカク:今一歩
!=ビックリ:驚いた
     ?=ギモン:評価がむつかしい/分かれる

を書きます。企業名は敬称略で失礼します。



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●▲■ コロナ2年目でもますます「〇」、
日本酒と日本ウイスキーの輸出

財務省貿易統計の素早さにはいつもながら驚くが、
2021年11月までの輸出実績がすでに公開されている。
コロナ前2019年→コロナ1年目2020年→コロナ2年目2021年を並べると、、、

   ■ ウイスキーの輸出
2019年:194億円 → 20年:271億円 → 21年11月まで:432億円
   ■ 清酒の輸出
2019年:234億円 → 20年:241億円 → 21年11月まで:358億円


ウイスキーは「コロナ、どこ吹く風」、2020・2021と続伸で、〇。
清酒はウイスキーに一気抜きされたけれど、コロナ2年目は大きく回復で、〇。

今や、ウイスキー・清酒とも輸出先の圧倒的1位は中国になった。
その中国向けを抜くとここまで減る。ウイスキー・清酒の差も縮まる。

   ■ ウイスキーの輸出(中国向けを除く)
2019年:169億円 → 20年:191億円 → 21年11月まで:277億円
   ■ 清酒の輸出(中国向けを除く)
2019年:184億円 → 20年:183億円 → 21年11月まで:265億円

中国向け好調は○だが、中国一国に大きく依存するのは「△」か「?」だろう。
仮に中国と香港が(台湾も?)一体になるようなことがあれば、さらに依存率が極端になる。
ウイスキー・日本酒に限らず、多くの産業・多くの国に共通する課題ではある。



ウイスキー・清酒とも輸出先2位はアメリカ。
コロナ1年目の2020年は、ウイスキーは増、清酒は減。
コロナ2年目の2021年は、ウイスキーはさらに増、清酒は急回復。
アメリカのSAKE消費は日本食レストラン依存度が高いが、
コロナ2年目でネット販売や自宅SAKE消費が増えているとすれば、〇だ。


輸出先3位は、ウイスキーがフランス、清酒は香港で、
これらもコロナにもかかわらず順調。ありがたい。


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ジンと焼酎の輸出も見ておく。

   ■ ジンの輸出
2019年:22.8億円 → 20年:17.4億円 → 21年11月まで:27.6億円
   ■ 焼酎の輸出
2019年:15.6億円 → 20年:12.0億円 → 21年11月まで:14.7億円


ジンはこの数年で急成長。リッターあたり単価も焼酎より高い。〇である。
焼酎は(前回書いた通り来年以降の2-3年は期待するが、現状では)△~×だろう。


海外市場で「日本ブランド」が強くなるのは〇だが、
2021年の輸出金額(=「海外の人気度」)が、

ウイスキーは清酒の1.2倍
ジンは焼酎の1.9倍

だと思うと、個人的にはフクザツ、、、「△」であるなあ、と思う。



今やウイスキー製造者は60以上、ジン製造者は70以上もあって、さらに増加中。
しかし、清酒は1,000蔵以上、本格焼酎(主業)は300蔵以上。
ウイスキーとジンの輸出の大部分はサントリーとニッカであるとしても、
「1社当たり輸出」、あるいは「輸出効率」は圧倒的な差であるといえる。


ただ、ウイスキーとジンの急増ぶりは少々心配な面もある。
玉石混淆は世の常としても、「日本ブランド」力への影響もあるだろう。
地ビール醸造所が2000年まで急増し、その後10年閉店が相次いだことも想起する。



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●▲■ 2021年の「!」
清酒の輸出専用免許・街中どぶろく醸造所


「輸出専用免許」が設けられた2020年には取得者がいなかったが、
2021年5月に初の取得、そして現在までに5社が取得。 

●福島県只見の「ねっか」
●秋田県男鹿半島の「稲とアガベ」
●新潟市の「ラグーンブリュワリー」
●東京・浅草の「木花之醸造所」
●島根県出雲の「台雲酒造」

輸出免許とは別に、どぶろく醸造所をつくる動きも活発。
「どぶろく特区」とは違って、その他の醸造酒免許で街中や地方に設立するもの。
10社近くあると思うが、上記に数を合わせて5社を書くと、こんなところがある。

●福島県南相馬市の「haccoba(はっこうば)」
●埼玉県飯能市の「やまね酒造 赤沢醸造所」
●福岡市の「LIBROM」
●千葉県茂原市の「ドレイコ カヤマ醸造所」
●東京・兜町に来年開業予定の「平和どぶろく兜町醸造所」
(和歌山の平和酒造、12月15日の日経新聞)


これらの事は業界では〇×の評価が分かれるところだと思うが、
私としては2021年の「!」であり、「〇」でもあるとしておきたい。


上記の5社+5社=10社は免許は違うが、
ほぼ「クラフト・サケ醸造所」というくくりになると思う
今後、この形態は増えていくだろう
サケ開業ウイスキー開業より、資金的に楽であろう事もある。

2021年現在、海外の「クラフト・サケ醸造所」は約40か所に達しているが、
日本でも40くらいはできて自然だと思う。

清酒メーカーを含む一般的な企業は、利益追求や拡販が目的。
しかしクラフトは、必ずしも利益や拡販が第一目的ではないように見える。
このことはクラフトの強みで、世界的に増えてい原動力だと思う。




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■ COVID-19も大きく影響
びんの大幅減「×」、缶の大幅増「!」、アルミ圧延の再編「!」


2021年は、GIノンアル」、「補助金多発などなど、印象に残ることが様々あるが、
ここではお酒業界に関係する、「容器事情」の激変を書いておきたい。


ガラスびん大手の石塚硝子が、姫路工場の閉鎖を発表したのは驚きだった。
日本のガラスびん需要は年々落ちていたが、コロナでさらに大きく落ち込んだ。

閉鎖されれば日本のガラスびん供給力は1割くらい減る。

当社はワインびんをヨーロッパから輸入しているのだが、
あちらでは落ち込んでいたガラスびんの需要が2021年に一気に急拡大し
ガラスびんメーカーは各社ともフル稼働、供給制限のようなことになっている。
国によってこんなに違うのは不思議だが、とにかく日本ではガラスびんは減る一方。


「ガラスびんは重い、ゆえにグリーンでない」、
という記事が何度か新聞に載ったことも、今年の記憶として残る。


一方、家飲み需要でビールやRTDを中心にアルミ缶は急拡大。
清酒・焼酎では「紙パック」だが、大きな流れは「缶」である。

アメリカでも、クラフトビールだけでなくワインの一部までびんから缶にシフトして、
アルミ缶の生産が間に合わない状況らしい。
アメリカでは、脱プラ(脱PETボトル)もあって、「缶」の需要が強い。

15年前、アメリカのクラフトビールの人たちに、
「日本はクラフトビールの缶がある」、というと、
「缶は大手ビールのマスプロ容器。クラフトはびんよ」といわれたが、
時代で価値観は変わるものである。


缶が悪いわけではないが比率が上がりすぎるのは△な面もある。
清酒、焼酎、ワイン、ウイスキー、ビールなどあらゆるお酒にとって
ガラスびんは重要なパッケージ。
他の容器形態よりプレミアムの位置づけとなっている。
ガラスびんここまで減るのは、お酒の先行きにとって心配・・・×である

「ガラスびんがグリーンでない」という論調も正しいとは思わない。
環境を考えれば、
洗って再利用できるガラスびんの特性を見直す必要もあると思う。


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びん・缶に比べると子細なことだが、キャップのことも書いておく。
当社のコア事業はお酒のびんのキャップ
ガラスびんに完全比例して減るので大変苦戦を強いられている。

当社のキャップはアルミ板をプレス加工した製品が多いのだけれど、
2021年は「青天の霹靂」があった。
「アポロ」というアメリカの投資ファンドが、
日本の5位と4位のアルミ圧延メーカーである、
昭和電工三菱マテリアルのアルミ部門を買収した。
1
月と11月の別々の買収発表だが、統合するのだと思う。

影響がどうなるのかは今後の様子を見なくてはならないが、
アルミ板価格はさらに厳しくなることを覚悟しなくてはならない。

アルミだけでない。
他のキャップ原材料であるスチールプラスチック、塗料値上がりし、
一部の資材は、品不足で予定通り入荷しないという
かつてない事態になっている。

ガラスびんとキャップは原材料など背景は違う点が多いが、
どちらも難しい状況が加速した2021年だった。

2022年は、ガラスびんもキャップも値上げせざるを得ない状態ですが、
なんとか、皆様のお役にたつことを考えていきたいと思います。



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今年も押し詰まりました。暮れのご挨拶を申し上げます。

 

   

https://kitasangyo.com/2022message/message_2022.html
(↑「クリスマス&年賀のカード、それに、年末年始の休日のご案内」)


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2021年は、実に様々なクライシスがありました。
地球レベル
で見れば、
     洪水、土石流、竜巻、酷暑、山火事、噴火、地震、、、
国レベルで見れば、
     ミャンマー、香港、中国、アメリカ、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ
など様々な困難や危機は、今も続いています。
しかし一言で
2021年を表現すると、「コロナ感染、2年目」だと思います。

来年2022年はコロナ感染、3年目」になりそうな雲行きです。

困難が予測されますが、会社の社会的価値を高めることに努め
皆様のお役に立つ企業を目指してまいります。

2022年も、なにとぞ宜しくお願いいたします。

きた産業株式会社 代表取締役 喜多常夫




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