●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.292 ●▲■
発行日:2022年6月29日(水)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com
-----<<< お知らせ >>>-----
このたび、きた産業は、大阪(本社)工場と奈良工場で、
FSSC 22000(食品安全システム認証)を取得しました。
食品のパッケージを製造する企業として、
食品の安全性にかかわる様々なリスクを低減し、
より安全・より高品質の、キャップやPETボトルをお届けしてまいります。
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●▲■ 脚光を浴びる「醗酵」関連企業・増える「小さな醸造所」
●お酒の特区は276(どぶろくやワインのほか、焼酎特区4、清酒製造体験特区5)
●特区の酒造所はビジネスとして成り立つか? 補助金の原資は??
●利益追求は必ずしも目的でない・地域への貢献をめざす
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ FOOMAで1番人気=「たまご型コンクリートタンク」
ご紹介情報●2▲ FOOMAで2番人気=環境にやさしい「グリーンキャップ」
ご紹介情報●3▲ FOOMAで3番人気=自動タックラベラー「ニネットAUTO」
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最近、お酒や醗酵の話題がメディア素材として流行っているようで、
新聞記事、テレビ番組でずいぶん見かける。
関心が高まるのはありがたい。
「日本の酒類・醗酵産業は(今、全体としては苦戦しているが)、
ある意味で、自動車・電気電子・IT産業などより国際競争力のある、
日本にとって高い付加価値の21世紀産業」、
というのが私の持論。
(「醗酵」でなく「発酵」と書くのが普通になったが、私は前者の方が自然。
連想で書くのだが、「クエン酸」は昔は「枸櫞酸」と書いたのだという事を、
坂口謹一郎さんの本を読み返していて知った。)
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●▲■ お酒の特区は276
先週末の6月25日の日経新聞に、
データで読む地域再生
「酒」特区 活気も醸す
全国の認定醸造所10年で1.7倍
という特集記事が全国版で掲載され、
各地の地方版で独自の関連記事(地域のワイン、どぶろく、梅酒など)が掲載された。
子細なことで全体の論調に影響することではないのだが、
新聞記事には
「2003年のスタートから21年11月時点で全国274カ所」
とああったが、公開されている国税庁の資料
「構造改革特別区域法による酒税法の特例措置の認定状況一覧」
(令和3年11月認定分まで)
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/30/03/01.pdf
を見ると、じつは「全国276カ所」が正しいようだ。
また、北海道地方版にはランキングも書いてあって
「(北海)道の酒特区11件、全国7位(山形の11件と同率)」とあるが、
正しくは、山形は12件で、島根の12件と同率全国6位となるので
「道の酒特区11件、全国8位」が正しいのだと思う。
47都道府県で最も多いのは長野で26特区。
45の都道府県で何らかの特区があるのに、
滋賀と沖縄は「特区ゼロ」というのも目を引いた。
「特区の数」は276だが、
「特区の酒造会社の数」は、新聞記事には
「20年度末で300カ所を上回り、10年前の1.7倍」
とだけあって、正確な数の記載はなかった。
「開店休業」状態もありそうだし、実数の把握は難しいのかもしれない。
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全国版記事には、酒の種類ごとの認定数の表があって、
■どぶろく特区 178
■果実酒特区 99
■リキュール特区 82
■しょうちゅう特区 4
■醸造用アルコール特区 1
■日本酒の製造体験特区 5
とある。以上の合計は369。
例えば、1つの特区でどぶろくとワインを同時に取得するなど
2つ、3つ、あるいは4つの免許をとるケースもあるので、
免許認定数合計の369は、特区総数の276より多くなる。
178、99、82もある、どぶろく、ワイン、リキュールは調べるのを割愛して、
数の少ない特区だけ確認してみた。
■「焼酎特区」 4というのは:
●静岡県三島市の「箱根西麓・三島焼酎特区」
●愛知県碧南市の「醸造のまち碧南焼酎特区」
●三重県多気町の「多気町ほろよい焼酎特区」
●鹿児島県三島村の「みしま村芋焼酎特区」
(注:詳しくは知らないのだが、
「特産品焼酎免許」(たとえば福島の米焼酎「ねっか」)と、
「焼酎特区」は違うようだ。)
■「醸造用アルコール特区」 1というのは:
●東京都青ヶ島村の「青酎特区」
(余談ながら、最近「発酵大国にっぽん」というTV番組を見て初めて知ったこと:
青ヶ島の焼酎は麦麹なのだが、島特産の「オオタニワタリ」という植物の葉を麦に被せ、
「葉の裏の麹菌を移す(!)」のが伝統手法なのだそう。画像を見て驚いた。
ネットでみると「葉が枯れていくときの熱を利用」と書いている資料もあって
実際の、葉の麹菌の活用度合いはわからないが、いずれにせよ非常に変わっている。)
■「日本酒の製造体験特区」 5というのは:
●北海道深川市・上川郡上川町の「北の大地の清酒製造体験特区」
●新潟県佐渡市の「佐渡・学びの日本酒特区」
●愛知県設楽町の「設楽のドうまいコメで酒づくり体験特区」
●奈良県大和郡山市の「元気城下町(やまとこおりやま)清酒製造体験特区」
●大分県宇佐市「宇佐のうまい酒 製造体験特区」
上記はそれぞれ、以下の酒造企業が運営に携わる。
■上川大雪酒造(帯広畜産大などでも産学連携実績)が、拓殖大学内に設ける
■尾畑酒造(「真野鶴」)が、廃校を利用した「学校蔵」を運営
■関谷醸造(「蓬莱仙」)が、道の駅で「ほうらいせん酒造り体験工房」を運営
■中谷酒造(中国の天津中谷酒造が主力)が、商店街で醸造所を開設
■三和酒類(焼酎「いいちこ」、清酒「和香牡丹」)が、複合施設「虚空乃蔵(こくうのくら)」に新設
●▲■ 特区酒造所はビジネスとして成り立つか? 補助金の原資は??
特区の酒造ビジネスは、多くの場合、単独で利益が出るようには見えない。
日経新聞の記事には
「秋田県大館市のどぶろく特区では地元の温泉街が町おこしで
醸造を検討したが、設備投資に踏み切れないまま。」
と書かれていた。
どぶろくを造って年間数千本売ったとしても、
清酒製造体験で年間千人の有料清酒造り体験する人がいたとしても、
とてもペイするとは思えない。
(実際は、少なくとも立ち上がりは年間数百本、年間数百人だろう。)
しかし、新しいどぶろくファン、清酒ファンを生み、
場合によっては、清酒蔵の後継者や海外の清酒製造者を輩出するきっかけになるだろう。
また、清酒製造体験では、運営企業のブランドイメージに大きく貢献する。
そして、もちろん「地域の活性化」に貢献する。
ゆえに、地方行政の援助や補助金があるので、成り立つ側面がある。
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<特区免許>は、
地方行政も巻き込むことによって資金的・社会的ハードルが下がる点を考えると、
ある意味で効率的なシステムのように見えるが、
誕生の背景には、「日本は既存の酒造免許制度を根本から変えられない」、
という事情があることは認識しておかねばならないと思う。
ビールは年間2,000KLが60KLに変わってクラフトビールができたが、
清酒免許や焼酎免許は変えることが出来ず、新規免許は出しにくい、
ゆえに様々な例外規定(特区免許、輸出専用免許、特産品免許、、、)をつくった、
というスキームである。
本来なら、例外規定を設けるより、根本的改定を行うのが、正論だと思う。
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<補助金>についても、危惧する点はある。
(酒類に限った話ではないとは思うが)
近年の酒類産業の新規設備は、補助金依存が非常に多い。
地方で様々な「補助金」があるうえ、コロナも補助金増の理由になった。
補助金の一例として「もの補助」(もちろん、酒類以外が大部分)を見ると、
2021年2月締切の9次までの採択結果として、
「1万9,341件(社)の案件に、1,591億円」を交付となっている。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/saitaku.html
割り算すれば、「平均823万円を1.9万社に配った(!)」格好になる。
かつても「第三セクター」全盛時や、「ウルグアイラウンド農業補助金」などで
様々な公的資金が使われたが、こんなに多くはなかった。
どれもきちんと審査されていてコロナ給付金のような不正受給はないと思うが、
採算や回収が度外視されているのではないかと感じる案件、
将来の継続性が懸念されるような案件もあると感じる。
国の施策による様々な交付金・助成金・補助金の総額や累計は、
コロナ対応もあってこの3年ほどで巨額になっている。
その原資の多くは、将来世代(若い皆さん)のツケになるのだと思うと、
補助金依存度の高さを危惧するものである。
●▲■ 利益追求は必ずしも目的ではない
「特区の小規模な酒造会社」は、
同じくこの10年で増加が著しい、
「クラフトビール醸造所」、「小規模ワイン醸造所」などと似た側面がある。
「規模拡大や利益追求を第一目的としない、
やりがい、地域活性化、ライフワークバランスを目指す」
といった考え方が基本にある。
「クラフト」経営や「小規模」経営は、
日本だけでなく世界でも大きな潮流になっている。
消費者側も、日本を含む先進各国では、
既存の大量生産ブランドや有名ブランドに満足せず、
クラフトブランドを求めている人たちが生まれている。
<クラフト・小規模のキーワード>
●利益追求、規模拡大は必ずしも目的ではない
●働きがい・誇り・喜び、今までにないことへのチャレンジ
●大手ブランドにはない品質・味わい・商品設計
●地域と共生、地域活性化への貢献
●都会の会社や高収入の職業からの転職も多い
●より良い品質のための投資は必ずしも回収を考えずに行う
●ワークライフバランス、チームワーク、夫婦の仕事、家族経営
<既存の一般企業・大手資本のキーワード>
■売上・利益の拡大を目指す
■投資は回収しなければならないもの
■生産効率や原価低減が重要
■規模の経済が成立しなくなって、新しい戦略が必要
■大手酒類企業は中堅クラフトを取り込む戦略を有力視
■地域よりグローバルを考えねばならない
両者の経営哲学は相いれないように見えるが、
既存の一般企業側(既存の清酒蔵、焼酎蔵、ワイン醸造所など)でも、
若手経営者を中心に、クラフト的価値観の経営が増えている。
「クラフトの時代」「小規模経営の時代」はどう展開するのか、
ブームでなく本流になるのか、
2020年代の推移に注目するところである。
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話が冗長気味になるが、特に清酒の場合、
「魅力的なポートフォリオ」として参入される方も増えていることも付記しておきます。
たとえば、新潟県は日本で一番清酒蔵元が多い県。
30年前は100社以上あったが今は80社程度。(数字は概数、以下も同じ)
80社のうち20社は、この30年で新オーナーになった。
(清酒会社、焼酎会社、酒販会社、運輸会社、流通会社、食品会社、公営競技会社など)
多くは日本酒に魅力を感じて経営難の蔵元を引き継いだもので、
もちろん出荷量を増やそう・利益を出そうと取り組む方もいるが、
当面は出資した資金の回収を度外視されている方は多いと思う。
20減って80になったのは残念だが、
もし20の新オーナーがいなければ、60になっていたのかもしれない。
伝統ある既存の酒造所が新オーナーに引き継がれて維持されることは、
クラフトや小規模生産者増によって酒造所の数が増えることと同じく、
有意義な事だと思う。
かつて、「効率の悪い中小企業は淘汰され、
少数の大企業に集約され、全体数が減るのが経済の必然」、
と見えた時代もあったが、今は社会の価値観が変わった。
「酒造所がたくさんある」こと自体が、
日本の酒類産業の大事なポテンシャルであると考える。
text = 喜多常夫
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6月7~10日、東京ビッグサイトで開催されたFOOMA展示会には
多くの皆さんにご来場いただき、ありがとうございました。
今回は、FOOMAの当社ブースで人気だったアイテム3つをご紹介します。
●▲■ ご紹介情報 その1 ROOTS情報 ●▲■
FOOMAで1番人気=「たまご型コンクリートタンク」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/wine-beer/eggtank-2202.pdf
展示会では多くの皆さんが足を止めて眺めていました。
思わず表面に触ってみる人も多数。
「中はステンレス?」と尋ねる方もいましたが、もちろんすべてコンクリート製。
ワイン用ですが、清酒・焼酎関係者のみなさんも興味を持たれていました。
●▲■ ご紹介情報 その2 KK & K2 & ROOTS情報 ●▲■
FOOMAで2番人気=環境にやさしい「グリーンキャップ」
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/greencap.pdf
スカート部が取り外せる、環境にやさしい30x60キャップ。
焼酎や清酒に30x44も対応可能。
展示会のYouTube動画:
https://youtu.be/ljI0RPr9KrE
FOOMAではイタリアの「ペシェ」のキャッパーで実演。
https://kitasangyo.com/pdf/machine/seamer-capper-labeler-etc/PESCE_capper.pdf
新酒鑑評会と同時開催の「広島展示会」でもスイスの「手回しキャッパー」で実演しました。
https://kitasangyo.com/pdf/machine/seamer-capper-labeler-etc/SERTALU.pdf
●▲■ ご紹介情報 その3 ROOTS情報 ●▲■
FOOMAで3番人気=自動タックラベラー「ニネットAUTO」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/seamer-capper-labeler-etc/NINETTE_labeler.pdf
超コンパクト、コストパフォーマンスに優れたタックラベラー。
展示会のYouTube動画:
https://youtu.be/T6HLDLPBFQE
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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」
https://kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/
2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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