●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.300 ●▲■

発行日:2023年3月28日(火)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■

発行:きた産業株式会社 
https://kitasangyo.com



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< 目 次 >------------------

●▲■ 「酒類製造免許の数」で見る、日本の酒類産業

●新潟↓、鹿児島→、山梨↑、福岡→、長野↑、東京↑
●2000年(コロナ)以降、酒類製造免許の数が急増
●コロナは、酒類製造免許の多様化に貢献?

text = 喜多常夫


ご紹介情報●1▲ 「ガラスびんアワード2023」の機能賞に「グリーンキャップ」
ご紹介情報●2▲ 「FOODEX2023@東京ビッグサイト」出展ブログ
ご紹介情報●3▲ デザイン・レファレンス・ブック「スパークリングのSake・ワイン」


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お酒は、酒類ジャンルごとに特定地域に集中する傾向がある。

世界レベルで見れば、
ボルドーやナパのワイン、スコットランドやケンタッキーのウイスキーなど。
日本レベルでも然りで、
「集中県」(生産者数の多い県)が形成される傾向がある。



●■「清酒」の集中県1位
新潟90社
(2022年1月時点の当社調査による数
因みに、2位:長野83社、3位:兵庫71社)


●■「本格焼酎・泡盛」の集中県1位
鹿児島110社
(2022年1月時点の当社調査による数
因みに、2位:沖縄48社、3位:宮崎:37社)


●■「ワイン」の集中県1位
山梨98社
(2022年8月時点の当社調査による数
因みに、2位:長野61社、3位:北海道61社)


●■「醤油」(お酒ではないが)の集中県1位
福岡92社
(今月、東京で行われていたFOODEX展示会に出展されていた、
全国醤油工業協同組合のブースで伺った数字
因みに、2位は福島58社、3位は広島47社のようだ)



以上の4つは「伝統」醸造業の範疇だが、
以下の2つは「新興」醸造業で近年形成された集中県の事例。



●■「シードル」の集中県1位
長野92社
(2021年8月時点の当社調査による数
因みに、2位:北海道19社、3位:青森15社)

シードル自体は伝統酒だが、
「クラフト的シーダリー」急増による3つの集中県の出現は近年の話。
現在シードルを自社生産・委託醸造している約200社のうち、
ほぼ9割は21世紀の新規参入者である。


●■「クラフトビール」の集中県1位
東京91社
(2022年12月時点の当社調査による数
因みに、2位:神奈川41社、3位:北海道36社)


地ビール免許解禁直後から、醸造所数最多は常に北海道だった。
しかし、2015年に東京が、次いで2016年に神奈川が、
「一気抜き」で北海道を抜き去り、首都圏で急激に増加した。
(根拠資料は、以下の3ページ参照:
https://kitasangyo.com/pdf/craftbeer/craftbeerstatistics.pdf )

クラフトビールは、東京が集中県(都)1位になった史上初のお酒ジャンルだろう。
(室町時代、京の洛中には300軒以上の清酒蔵元があったそうで、
当時の日本の首都である洛中が、たぶん全国一の蔵元集中地域だった。
ゆえに、「首都が集中1位であるお酒」という意味では、史上2度目か。)

東京のクラフトビール醸造所の数は、たぶん
2024年には鹿児島の焼酎蔵元数110(県別で最多の酒造所数)を上回る。
2030年代には、室町時代の洛中の300軒以上に並ぶかもしれない。



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「集中県」といっても、事情はそれぞれ違う。

冒頭タイトル部分で
「新潟↓、鹿児島→、山梨↑、福岡→、長野↑、東京↑」
と書いた。

新潟は、1990年代から清酒蔵元数1位の県だが、
1990年代は100社以上あった蔵元が、
今は90社程度に「減った」、、、という意味で「↓」と付記したもの。
鹿児島の焼酎と福岡の醤油は「近年概ね変化なし」と思うので「→」、
山梨のワイン醸造所数は近年は漸「増」、
長野のシードルと東京のクラフトビールは急「増」なので、「↑」と付記した。


「集中県1位」が「主産地」(生産量最多の県)と同じ場合もある
(たとえば、山梨はワインの集中県であり主産地でもある)
が、違う場合も多いことも指摘しておく。
(たとえば、清酒の主産地は兵庫、本格焼酎の主産地は宮崎)
しかし、「集中県」は「主産地」よりむしろ魅力的である場合が多い。
ブランド数が多いことは愛好家にとっては重要な要素だし、
ツーリズムでも有利である。


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「集中県」の形成には、歴史、文化、原料などさまざまな個別事情があるが、
「ある地域に集中することはプラス効果がある」という点は共通している。

夏の海岸で2軒の屋台のアイスクリーム屋さんがアイスクリームを売る時、
2軒が離れるより、近くに並んで屋台を構えるほうが、たくさん売れるのだそう。
この例えが適切かどうかは怪しいが、
お酒も、同じ地域に同じ酒類が集まると市場自体が拡大し、
技術やマーケティングでも切磋琢磨してレベルもあがっていくのだろう。



アメリカのワシントン州はボーイング社など重工業もあるが、
お酒を州の重点産業にして優遇策をとっている。
州内に多くのクラフトビール、クラフトディスティラリー、ワイン醸造所があることが、
全米で最も人気のある州の構成要素となっているのは間違いない。


(以上の文章は、当社発行の「酒うつわ研究」誌・最新号の
「お酒STATISTICS」に書いた文を元に、加筆・修正したものです。)


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日本のお酒は、
『「総量減少」の中で「多様化」』が進む。

「総量減少」は、
主に長年のメジャーだった清酒やビール類で進行。
しかし、例えば、
清酒の中の「大吟醸」や「輸出清酒」、
ビール類の中の「クラフトビール」など、
市場サイズは小さいが「量的拡大トレンドにあるサブカテゴリー」もある。

「多様化」の影響で、
同じく市場サイズは小さいものの「量的拡大トレンドにあるカテゴリー」もある。
例えば、「日本ワイン」、「シードル」、「クラフトウイスキー」、「クラフトジン」など。


『「総量減少」の中での「多様化」』は、
酒類製造免許の保有状況に顕著に影響する。
前述した「集中県」も、酒類製造免許の保有者数の分布状況である。

以下、さらに免許の「数」を切り口に、日本の酒類産業を観察してみる。


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各地の国税局は、管轄地域の新規の酒類製造免許取得者を毎月公表している。
また国税庁は、1年分の全国の取得者をまとめた表を公開している。
それらの資料をエクセルにコピーして、いくつかの切り口でソートし、
新規酒類製造免許の傾向を観察してみた。


▲■「新規の酒類製造免許」の取得者数

(ウイスキー、スピリッツ、ビール、発泡酒、果実酒、リキュール、
清酒、焼酎、その他の醸造酒など、
全ての酒類についての新規の「酒類製造免許」の合計数。
「試験免許」「もろみ」「酒母」「移転」「相続」「法人なり等」の数は除く。
したがって「新たにそのお酒を生産しようとする者の数」に近いと考えられる。)


2017年=120
2018年=206
2019年=162
2020年=270
2021年=265
2022年=298

■コロナ前(2017-2019)3年平均=163
■コロナ後(2020-2022)3年平均=278(1.7倍 !)

2020年以降、
「新たに酒類製造免許を取って酒類産業に新規参入する者」
「持っていなかった酒類の製造免許を追加取得する既存の酒造業者」
の数がとても増えていることが分かる。



▲■酒類製造免許の「移転」と「事業譲渡」の数

(ウイスキー、スピリッツ、ビール、発泡酒、果実酒、リキュール、
清酒、焼酎、その他の醸造酒など、
全ての酒類について「移転」または「事業譲渡」が行われた「酒類製造免許」の総数。
これは、「従来オーナーが場所を移して、あるいは新オーナーが新しい経営で、
酒造業を再構築・再スタートしようとする数」に近いと考えられる。)


2017年=18
2018年=19
2019年=38
2020年=61
2021年=58
2022年=37

■コロナ前(2017-2019)3年平均=25
■コロナ後(2020-2022)3年平均=52(2.1倍 !!)

2020年以降、
「新しい場所で新設備を設けて再スタート」
「苦戦あるいは休止していた免許を新オーナーが買い取って新経営をスタート」
などのケースが急増していることがわかる。



▲■酒類製造の「試験免許」の数

(ウイスキー、スピリッツ、ビール、発泡酒、果実酒、リキュール、
清酒、焼酎、その他の醸造酒など、
全ての酒類について、新規に取得された「試験免許」の総数。
取得者が大学や教育機関などの場合はその酒類の教育を、
取得者が民間企業や工業試験所の場合はその酒類の商業化の検討を、
目指していると考えられる。)


2017年=53
2018年=31
2019年=38
2020年=45
2021年=95
2022年=34

■コロナ前(2017-2019)3年平均=41
■コロナ後(2020-2022)3年平均=58(1.4倍 !)

2020年以降、
「酒類製造を教育カリキュラムに取り入れる学校」
「酒類製造に向けて研究に取り組む企業や研究機関」
が増えていることがわかる。



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国や地方行政の「補助金政策」の影響がとても大きいと思うが、
以上3つ(新規免許、移転や事業譲渡、試験免許)とも、
「2020年以降」=「コロナ以降」、顕著に増加している。

コロナ感染の3年間は、
お酒の生産量に与えた「マイナスの影響」は極めて大きいが、
酒類製造免許の数や多様化には「プラスの影響」があったといえるかもしれない。

免許数が増えることを単純にプラスと評価することはできないが、
個人的には悪くない方向性だととらえている。

(次回メルマガに続く)

text = 喜多常夫



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さて、情報のご紹介です。



●▲■ ご紹介情報 その1  ●▲■
「ガラスびんアワード2023」の機能賞に「グリーンキャップ」
https://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/e/1acc2e0f85e2fd763550e7ffb34985f3

日本ガラスびん協会が主催する「ガラスびんアワード2023」で、
「グリーンキャップ」(イタリア・Guala Closuresの新製品)をご採用いただいた、
「アルカンヴィーニュ・シャルドネ2021」が「機能賞」を受賞しました。

ワイン用の30x60サイズのスクリューキャップは、
通常はびん口にアルミの筒状部分が残りますが、
本商品は筒状部分を手で回すと簡単に取り外せて、
資源リサイクルに大きく貢献、というのが授賞理由です。





●▲■ ご紹介情報 その2  ●▲■

「FOODEX2023@東京ビッグサイト」出展ブログ
https://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/e/86ba56b1a8a6532c4958492f140af90f
https://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/e/20b13c4ea32afccfe05a31601e0a1d50

多くの方がまだマスクをつけながらでしたが、
全体の来場者数や当社での面談数は、ほぼコロナ前水準に戻りました。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。





●▲■ ご紹介情報 その3  ●▲■
デザイン・レファレンス・ブック「びん内二次醗酵のスパークリングワイン」
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/DRB23_sparkling-wine.pdf 
デザイン・レファレンス・ブック「シャンパンびんのスパークリングSake」
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/DRB23_sparkling-s.pdf 

当社が、
二次醗酵やガス添加などの醸造設備
シャンパンびん・シャンパンコルク・ミュズレなどの資材
を納入させていただいた商品事例の写真集です。




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