●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.305 ●▲■
発行日:2023年8月16日(水)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ 成長する世界の高級品と高級酒のマーケット
● 「投資」か「自家用」か、、、「飲んじゃう」のもアリ
● 世界の高級酒市場は15兆円、うち、日本酒類のシェアは?
● 「日本酒」と「シャンパーニュ」の市場サイズや構造の比較小論
text = 喜多常夫
ご紹介商品●1▲ Design Ref. Book 「ガラス栓VINOLOKのご採用事例」
ご紹介情報●2▲ ウイスキー、ワイン、清酒・焼酎でキャップをご採用いただいた事例
ご紹介情報●3▲ 日本酒のモロミ搬送に! Ragazziniのチューブポンプ
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●▲■ 高級品を買う動機:「投資」か「自家用」か
先月、仕事で、フランス人と1泊2日を共にすることがあった。
夜、一緒に食事をしたとき、四方山話が自慢話になって、
「最近、アストンマーチン(英国の高級スポーツカー)を買ったよ」、
と、スマホの画像を見せられた。
十数万ユーロ(2,000万円前後)の買い物だったそう。
この方は、60歳男性、ボルドー在住、ワイン関連資材会社の営業マネージャだが、
オーナー家ではないし、アストンマーチンを乗り回す給料とは思えない。
聞けば、
「これはインヴェストメント(投資)、
1年ほどで売却すれば、フランスでは購入額より高く売れる」、
とのこと。
この前の車もアストンマーチンで、売却益があって、味を占めたそうだ。
高級品の市場は、
富裕層の「自家用」目的ばかりではない。
準富裕層(?)の「投資」目的も結構あるのだなあ、と思った。
●▲■ 高級品を買う動機:「飲んじゃう」ため
20年ほど前の話だが、
香港のお酒のオークションの話で、
「最近、中国人富裕層が入札に参加するようになったが、
彼らは高価なワインやウイスキーを落札したら、すぐ飲んじゃう」
と聞いたことがある。
(返還後ではあるが、香港でワインが無税になる2008年よりは以前の話)
欧米からのオークション入札参加者は、
そもそも投資目的のプロ(転売目的や、値上がり期待)が多いし、
自家用で入札する富裕層も、落札したらまずは自分のセラーに入れて、
しかるべき飲むタイミングを待つのが一般的だろう。
20年前は中国経済が急成長し、富裕層が産まれ始めたころ。
そのころの中国のお金持ちは、高価な美酒を投資対象などと思わず、
事業に成功したお金で落札したのだから、「飲んじゃえ」、という事だったのだろう。
今はそんな人は稀だと思うが、
冷静に考えると、投資目的よりむしろ、
「落札したら飲んじゃえ」、のほうが、潔いと感じる。
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●▲■ 世界の高額酒類の市場サイズの推定
7月31日の日経新聞に、高級ブランドに関する一面特集記事があって
「世界のラグジュアリー市場は1.4兆ユーロ」と、でていた。
今の為替レートで円換算すると約200兆円。
日本の2022年のGDPが550兆円なので、いかにも巨大である。
ラグジュアリー産業のダントツトップはLVMH(モエ・ヘネシー・ルイヴィトン)だが、
その時価総額はトヨタ自動車の約2倍、とも書いてあった。
高級品は「なくても困らないモノ」、、、は言い過ぎかもしれないが、
「巨大な砂上の楼閣」産業のようにも感じる。
フランスでも似た考えの人は多いようで、
最近も市民デモ隊がLVHM本社になだれ込んだというニュースもあった。
LVMH側は「こんなたくさん納税し、たくさん雇用して、社会貢献している」
と声明を出したそうだが、、、やはり考えさせられる。
戦争、感染症、気候変動、自然災害、人口問題などなど、
世界の窮状を考えると、高級品に現(うつつ)を抜かす場合ではない。
が、高級品は成長産業である。
記事には高級品の世界市場1.4兆ユーロの内訳グラフがでていたが、
多いもの順に書けば:
1位:高級車
2位:ラグジュアリー商品(宝飾品、時計、高級バッグなど)
3位:高級ホスピタリティー(高額ホテル、会員制クラブなど)
4位:高級酒類(高級ワイン、高級ウイスキーなど)
5位:高級グルメ
6位:高級家具
7位:アート
8位:プライベートジェット・ヨット
(データ出所:Bain & Company)
各ジャンルの数字表記はなかったが、
グラフのスケールから読み取ると、概ね以下のような規模:
1位の高級車 5,500億€程度 (=80兆円強)
4位の高級酒類 1,000億€弱程度(=15兆円弱)
高級車の平均価格を仮に「1台1,000万円」とすると、
80兆円は8万台相当。
1,000万円越えの車は日本だけで優に年間数千台は売れているだろうから、
世界だとそのくらいだろうな。。。
高級酒の平均価格を仮に「1本1万円」とすると、
15兆円は15億本相当。
高級酒の代表であるシャンパーニュの2022年出荷量「3.26億本」
(CIVC=シャンパーニュ協会の統計)
を尺度に考えると、世界で年間15億本は妥当そうだ。。。
●▲■ (ちょっと寄り道)シャンパーニュと日本酒の比較小論
因みに、、、
CIVCの公表する2022年のシャンパーニュ出荷額と出荷本数
63億ユーロ(約9,900億円)÷ 3.26億本(約2.4万KL)
で算出したシャンパーニュの平均工場出荷額は、
「750mlびん1本あたり19.3€(約3,000円)」
店頭価格は工場出荷の2~3倍だろうから、
6,000~9,000円が世界のシャンパーニュの標準的な価格。
「1本1万円超え」シャンパンは、標準よりやや高いが、相当本数あるだろう。
(余談ながら、日本は一時、「ドンペリが世界で一番売れる国」だったそうだ。
ドン・ペリニヨン:小売価格1本数万円、ナイトクラブで飲めば10万円)
同じように書けば、、、
国税庁の公表する「酒類製造業及び酒類卸売業の概況」から
2020年の清酒酒製造業者の売上金額合計と売上数量合計
2,906億円 ÷ 42.2万KL(※)
で算出した、日本酒の日本国内の平均工場出荷額は、
「720mlびんで496円(=1.8Lあたり1,240円)」(※※)
※ 「令和3年調査分」(調査対象2020年暦年)の表22の合計欄から。
「令和4年」以降は形式が少し変わってサブタイトルも「アンケート」に変わり、
合計欄がなくなったので、2020年が、最新(で最後?)の数値。
清酒とシャンパーニュの数字を比較すると、
総数量は15倍以上なのに、総金額規模が1/3以下とは、誠に寂しい。
※※ 日本酒の出荷の半分は紙パックなので、
実際には「1.8Lあたり1,240円」よりもっと安いような気もするが。
店頭価格を工場出荷の2~3倍とすれば、
1,000~1,500円が日本における720ml清酒の標準的な価格。
故に「1本1万円超え」清酒は、多くはないと思う。
比較論の参考に「総生産量に占める輸出比率」も付記しておく。
シャンパーニュ: 58%(2022年)
日本酒: 9%(2022年)(※※※)
※※※ 2018-20年は5%だったが、21年7%、22年9%と急伸。
輸出増もあるが、国内出荷が減った影響が大きい。
●▲■ 世界の高額酒類市場における日本のシェアは、0.1%以下?
高級酒として思いつくものを書きだしてみると:
シャンパーニュのモエシャンドンやドンペリ(=LVMH)
コニャックのヘネシー(=LVMH)
マルゴー、ラツール、ペトリュス、ロマネコンティ、ガヤなどのスティルワイン
ヴィンテージ物のシェリー、ポート、マデイラなどのフォーティファイドワイン
高価なスコッチやバーボンなどのウイスキー
オークションで取引される年代物のワインやウイスキー、、、
こう書いてみると、高級酒類マーケット15兆円の中身は、
フランスが圧倒的、英、伊、スペイン、ポルトガル、米などが続く、という勢力図。
日本製酒類のシェアは極僅か、、、
たぶん0.1%(150億円)以下だと思う。
それでも近年、ジャパニーズウイスキーは世界的人気で高価なものが増えているし、
オークションで数百万円で取引されるジャパニーズウイスキーもある。
ウイスキーを中心に日本製高級酒類は少しづつ世界で認知されつつある。
先述の日経新聞の記事では、
日本酒の「Sake Hundred」にも触れられていた。
(委託生産による、1本数万円~10万円以上のサケブランド)
「なくても困らない」、「砂上の楼閣」的ではあっても、
「高級化」(ブランド化・プレミアム化)は、お酒企業の基本戦略の一つである。
最後に、高価な酒類を集めてみた写真資料を載せておきます。
●▲■アーカイブ資料:
シーナズ・ウォッチング「値段の高いお酒」(「酒うつわ研究 2023年V」掲載資料)
https://kitasangyo.com/pdf/archive/siennas-watching/SUR_2305_sw.pdf
text = 喜多常夫
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さて、当社情報のご紹介です。
●▲■ ご紹介情報 その1 :K2ディヴィジョン ●▲■
Design Reference Book「ガラス栓VINOLOKのご採用事例」
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/DRB23_vino-lok.pdf
VINOLOKをご採用いただいた、
清酒、焼酎、ウイスキー、ジン、ワインなどの商品事例です。
VINOLOKはチェコの製品です。
●▲■ ご紹介情報 その2 :K2ディヴィジョン ●▲■
ウイスキー・ジンでキャップをご採用いただいた事例
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/Whisky-cap.pdf
ワインでキャップ・栓をご採用いただいた事例
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/wine-cap.pdf
清酒・焼酎でキャップ・栓をご採用いただいた事例
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/sake-cap.pdf
「自社製」+「世界中からの選りすぐり」で、最強のポートフォリオ。
お酒のキャップ・栓は、きた産業にお任せください。
●▲■ ご紹介情報 その3 :ROOTSディヴィジョン ●▲■
日本酒のモロミ搬送に! Ragazziniのチューブポンプ
https://kitasangyo.com/Products/data/brewing/ragazzini-sake.pdf
ワインではすっかり定番になった、ラガツィーニのチューブポンプ。
固形分をつぶさない搬送システムは、清酒でも酒質に大きく貢献します。
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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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