●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.314 ●▲■
発行日:2024年6月10日(月)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ お酒の法則、第3回 「21世紀1Qの3法則」
● 21世紀1Q法則1 「クラフト化の法則」
● 21世紀1Q法則2 「プレミアムセグメント拡大の法則」
● 21世紀1Q法則3 「NO-LO化の法則」
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ 「FOOMA 2024に出展」のブログ
ご紹介情報●2▲ ノンガス飲料充填機 「SF(サケ・フロイント)」
と「WGF(ウイスキー/ジン・フロイント)」
ご紹介情報●3▲ カウンタープレッシャ充填機 「BF VI(ビア・フロイント)」
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1月のメルマガvol.309で、
「お酒の基本3法則」
● 基本法則1 「先進国における伝統酒逓減の法則」
● 基本法則2 「グローバル化に伴う酒類多様化の法則」
● 基本法則3 「アルコール摂取量減少の法則」
を書いて、続いて、2月のメルマガvol.310で、
「20世紀4Q(第4四半期=1976年から2000年)の3法則」
■ 20世紀4Q法則1 「プロダクトライフサイクルの法則」
■ 20世紀4Q法則2 「大手ブランドシェア拡大の法則」
■ 20世紀4Q法則3 「低価格は市場を縮小させる法則」
について書きました。
さらに続けて「21世紀1Q(2001年から2025年)の3法則」
を書くつもりが、他の話題になってしまって途切れていました。
忘れないうちに書くことにします。
お酒の法則、第3回です。
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●▲■ 21世紀1Q法則1 「クラフト化の法則」
2001年(21世紀1Q始まりの年)と、
昨年2023年末(1Q終わり間近)の数字で「クラフト化」を検証します。
●●日本の「ウイスキー蒸溜所・生産者」の数
2001年末:約15か所 → 2023年末:約100か所+準備中20か所以上
<約8倍>
(出所:きた産業+さまざまなネット情報)
<参考>「2017-23年の7年間の新規ウイスキー製造免許数」
→ 110か所
(出所:国税庁「酒類等製造免許の新規取得者名等一覧」からカウント)
■■アメリカの「クラフト・ディスティラリー」の数
2001年末:(推定)28か所 → 2023年8月:2,753か所
<約100倍>
(出所:American Craft Sprits Association)
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●●日本の「クラフトビール醸造所」の数
2001年末:300か所 → 2023年末:805か所
<2.7倍>
(出所:きた産業)
■■アメリカの「クラフトビール醸造所」の数
2001年末:1,487か所 → 2023年末:9,761か所
<6.6倍>
(出所:Brewers Association)
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●●日本の「ブドウのワイン醸造所」の数
2001年末:約120か所 → 2023年末:約430か所
<3.6倍>
(出所:きた産業+国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況」)
■■アメリカの「ワイン醸造所」の数
2001年末:3,175か所 → 2023年末:17,502か所
<5.5倍>
(出所:TTL List of Permittees, Bonded Wine Producers)
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▲▲世界(日本以外)の「クラフトSAKE醸造所」の数
2001年:0か所 → 2023年:45か所程度
<∞(無限)倍>
(出所:きた産業)
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より長い、100年・200年のスパンで、
以下のような酒類産業:
「日本のビール」、「日本の清酒」、「九州南部の焼酎」
「アメリカのビール」、「ケンタッキーのウイスキー」
「スコッチ・ウイスキー」、「アイリッシュ・ウイスキー」
の酒造業者の「数」をみると、以下の3つのフェーズがあります。
1)19世紀~20世紀1Qころまで=<多数>の酒造業者の時代
:小規模なものが町々、各地域に出現
2)20世紀2Qころから~4Q=酒造者数が<減少>の時代
:技術進歩・資本集約・国策などで規模拡大と集約化
3)21世紀1Qから=酒造者数が増加に転じ再度、<多数>の時代
:クラフトが「スタイル」になり、一定の「産業」となる
上記は世界平均で、国や酒類によって「ずれ」はあります。
たとえば、クラフトの最先端を行った「アメリカのビール」の
3)のフェーズは、上記より早い20世紀4Q後半から。
でも、世界の酒類全体で見ると、3)は21世紀1Qからと言えるでしょう。
また、「日本の清酒」、「九州南部の焼酎」は、
1)2)は当てはまりますが、3)のフェーズに至っていません。
が、免許制度などの事情が変われば、
(21世紀2Qから?)3)の段階に入ると考えます。
(あるいは、特段の参入制限のない「日本の醤油産業」のように、
1)2)はあって、3)がないのかもしれませんが。)
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初期には、「マイクロ」・「都市型」・「地XXX」などと呼ばれていたものも、
今では、ほぼ「クラフト」という名称に集約された感があります。
ワインは「クラフト」とは称していませんが、
増加する小規模なワイン参入者の多くには、
クラフトムーブメントに通じる要素があると考えます。
21世紀1Qの25年間で、
日本とアメリカのクラフト酒造所は、全体平均として、
「数」で5倍程度
「市場規模」で2-3倍程度
になったというのが、私の「感覚的イメージ」です。
ヨーロッパやアジアについて数字での把握は出来ていないのですが、
クラフト・小規模が許容される国での拡大の様子は、
概ね似たイメージのように思います。
クラフトの増加は、
「大手ブランド・大量生産品へのアンチテーゼ」
であるとともに、
「現代社会・デジタル社会の反動」
「人間らしい生活・つながりのある働き方への回帰」
という背景もあると感じています。
次の四半世紀=21世紀2Qでは、
クラフト酒造所の数の増加はサチュレートするように思いますが、
クラフトの量的・金額的市場サイズはもう少し拡大すると思います。
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●▲■ 21世紀1Q法則2 「プレミアムセグメント拡大の法則」
酒類の全体市場が縮小する中で、
「プレミアムセグメント」が拡大傾向であることは、
21世紀1Qの大きな特徴と考えます。
「価格の二極化」、という表現もよく使われますが、
「価格の安い商品」は、
量的市場サイズが大きいとはいえ「縮小傾向」なうえ、
価格は相対的にさらに低下傾向
「価格の高いプレミアム商品」は、
量的市場サイズは大きくはないが「拡大傾向」であるうえ、
価格帯はさらに高くなる傾向
であるように思います。
近年、プレミアムセグメントをさらに
「スタンダードプレミアム」、「スーパープレミアム」、「ウルトラプレミアム」
(1本が「2‐3,000円」、「5,000円前後」、「1万-数万円」のイメージ)
に区分する場合も多いですが、3区分とも拡大傾向にあると思います。
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例として、プレミアム酒類の代表格、「シャンパーニュ」をみてみます。
(日本のシャンパーニュの平均価格は750ml・1本5,000円以上)
■●21世紀以降のフランスから日本へのシャンパーニュ輸出量
2001年:356万本 → 2022年:1,657万本
<4.7倍>
(出所:CIVCシャンパーニュ委員会
2023年実績は本稿時点で未発表なので2022年)
21世紀1Qは、リーマンショックやコロナで前年比減も何回かありましたが、
通してみると約5倍に増加していて、
「日本に確固たるシャンパンの市場が形成された四半世紀」
であるといえます。
高級品であるシャンパンの市場が、
「バブル景気」の「20世紀4Q」
よりもむしろ、
「日本経済低迷」の「21世紀1Q」
に形成されたことは、
「プレミアム」市場のある種の特性を示していると思います。
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日本に輸入されるシャンパンの多くは「日本人需要」ですが、
「インバウンド(旅行者)需要」の面でも、
「安い酒より高い酒が売れる」、とはよく言われるところです。
清酒でみれば、
Sake Hundred、TAKANOME、Heaven Sakeなど
「1本1万円以上」の商品が一定の市場を確保した感がありますが、
これらのプレミアムサケは、
「インバウンド需要」や「海外需要」だけでなく
「日本人需要」でも一定の市場を確保しています。
「日本ワイン」が21世紀1Qに売れるようになったのは、
もちろん飛躍的な品質向上がありますが、
輸入ワインに対して日本ワインが価格競争力がない中でも、
(さらに言えば、日本経済が低迷する中でも)
高い価格を許容する日本人需要ができたことが背景にあります。
市場サイズが縮小する酒類産業にとって、
プレミアムセグメントは活路になっています。
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英国のスコッチウイスキー、メキシコのテキーラ、中国のビールなどを見ても
プレミアムセグメントがけん引役となっていて、これは世界的傾向です。
アメリカや中国の景気後退の影響で、
足元ではプレミアム品の売上減があるかもしれないけれど、
(LVMHの2024年1Qは売上減、と先日の新聞報道にあった)
プレミアムセグメントが一定の市場サイズとなったことは
21世紀1Qの日本と世界の酒類産業の特徴と言えると考えます。
金額による市場サイズで、
「20世紀3Q ・4Qのプレミアムセグメントは、酒類市場の5%以下」
だったものが、
「21世紀1Qには、酒類市場の10%程度がプレミアムセグメント」
になる(なった)、
というのが私の「感覚的イメージ」です。
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●▲■ 21世紀1Q法則3 「NO-LO化の法則」
NO-LOとは、
NO and LOw alcoholic beverages(ノー・ローアルコール飲料)のこと。
NO alcoholic beverages:
ノンアルコールビールは20世紀からあるけれど、
21世紀1Qに急拡大しました。
21世紀になってからの日本のノンアルコールの市場の変化:
●■ノンアルコールビールの市場サイズ
2001年:(推定)1.5~3万KL → 2022年:27万KL程度
<9倍~18倍>
●■ノンアルRTD+ノンアルワインテイストの市場サイズ
2001年:(推定)<0.1万KL → 2022年:7万KL程度
<数十倍~百倍以上>
(出所:過去の日経新聞の記事
+サントリー「ノンアルコール飲料レポート2023」)
日本におけるノンアルコールのエポックは以下の通り
2002年:飲酒運転の厳罰化(何度目かの罰則強化)
2006年:福岡で飲酒運転により子供3人が死亡、社会認識がさらに変わる
2009年:キリンが「0.00%」を発売、市場サイズが1年で倍増、6万KL越え
2012年:各社のノンアルビールのほか、ノンアルRTDも増えて、20万KL越え
2022年:2012年以降伸び方は落ち着いたが、「10年で1.4倍に」*
*サントリー「ノンアルコール飲料レポート2023」のコメントから
日本だけみると、上記のようなエポックがあってこそのノンアル拡大に見えますが、
特段のエポックがない欧米でも、
21世紀1Qにノンアルコール市場は大きく拡大しました。
ノンアル商品の大部分は今も「ビールテイスト」ですが、
RTD・ワイン風味、さらには、清酒・焼酎・シードル・ウイスキー風味まで
様々な商品が出て、一定の市場になっています。
ノンアルは、
21世紀1Q前半には、運転、妊娠・授乳中、休肝日といった
「飲みたいけれど飲めない、代わりに我慢して飲む」
需要でした。
しかし21世紀1Q後半には、
「アルコールは飲みたくない、ノンアルを愉しんで飲む」
需要が新しく形成されました。
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LOw alcoholic beverages:
ビールではAL3.5%のアサヒドライクリスタルが身近になりました。
(注:一般的なビールはAL5%)
アサヒビールの場合、3.5%を低アルコールの一つの目標基準としているようです。
AL度数9%などの高アルコールRTDは今も根強い人気があるけれど、
消費者動向もさることながら、メーカー側が低アルコール化を進めている。
直近では、大手各社はRTDのAL度数を下げる方向に動いています。
ビールの世界トップの AB InBevでは、
「2025 年までにノンアルコール・低アルコール製品が、
AB InBev のビールの少なくとも20%を占めるように」
という「グローバル・スマート・ドリンキング・ゴール」を設定しています。
目標年の2025年は来年です。
NO-LOは、日本だけでなく世界の動きです。
そしてNO-LO化は、21世紀2Qも拡大すると考えてよいでしょう。
(当社文献から、NO-LOに関連した資料)
Sienna’s Watching 2021年5月 「ノンアルコール・低アルコールの観察」
https://kitasangyo.com/pdf/archive/siennas-watching/SUR_2105_SW.pdf
Sienna’s Watching 2012年5月 「数字系のお酒、健康系のお酒」
https://kitasangyo.com/pdf/archive/siennas-watching/SUR_1205_sw.pdf
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1月、2月、今回の3回のメルマガで、
「お酒の基本3法則」
「20世紀4Qの3法則」
「21世紀1Qの3法則」
という、合計9つの法則を抽出してみました。
9つの法則は私の考えた個人的分析ですが、
酒類産業の今後を考える上で役に立つと思います。
(将来の事はわかりませんが、21世紀2Qの法則の一つには、
「世界市場で<ローカルなお酒>だったもののうちのいくつか、
具体的には、米の酒、アガベの酒、麹の酒が、
<グローバル酒類化>する」
があるのではないか、、、と考えます。全く個人的予測ですが。)
text = 喜多常夫
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さて、当社情報のご紹介です。
●▲■ ご紹介情報 その1:ブログ ●▲■
「FOOMA 2024に出展」のブログ
https://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog
先週、6月4日から7日まで、東京ビッグサイトで
FOOMA(食品機械)展示会に出展していた様子です。
●▲■ ご紹介情報 その2:ROOTS ディビジョン ●▲■
ノンガス飲料の半自動充填機、
「SF(サケ・フロイント)」と「WGF(ウイスキー/ジン・フロイント)」
https://www.kitasangyo.com/pdf/machine/SF_WGF.pdf
FOOMA展示会で展示して、ご好評いただきました。
「流量計式」と「重量計式」で、ほとんどのノンガス酒類に対応します。
●▲■ ご紹介情報 その3:ROOTS ディビジョン ●▲■
半自動カウンタープレッシャ充填機 「BF VI(ビア・フロイント・6)」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/BFVI.pdf
クラフトビールや研究所などで300台以上のご採用実績がある「BF」。
新型流量計を採用、シリーズ6に進化しました。
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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」
https://kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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●▲■ブログもやっています!「スローなブログ」
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/
2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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