●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.319 ●▲■

発行日:2025年325日(
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■

発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com



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●▲■ 日本のウイスキー」の近未来を考えるための6つの情報ピース(断片)

   ● 1:パリ・サンフランシスコ・アムステルダム・関空の
     空港免税店で売られる日本ウイスキーとその価格
   ● 2:ウイスキー輸出:23年24年と2年連続減少(財務相貿易統計)
   ● 3:「国産高級ウイスキー、2割下落」(日経新聞2月4日
● 4:「中国ブランド40か所、日本産ウイスキーに続け」(日経新聞2月26日
● 5:「米関税強化、蒸留酒大手300億円減益も」(日経新聞2月16日
● 6:「トランプ氏、EUワインに関税200%
EUが米国ウイスキーへ追加関税なら」
(日経新聞3月14日

text = 喜多常夫

ご紹介情報●1▲ 「FOODEX 2025」、ありがとうございました!
ご紹介情報●2▲ 「美酒は良樽から」 ウイスキーの樽はオークバレルにお任せください!
ご紹介情報●3▲ ウイスキーのT-Top栓、「アモリム・トップ・シリーズ」


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●▲■ 1:パリ・サンフランシスコ・アムステルダム・関空の
   空港免税店で売られる日本ウイスキーとその価格

「日本酒」は、日本の空港免税店でしか売られていないが、
「日本製ウイスキー」は、いまや世界中の空港免税店で販売されている。

昨年2024年、アメリカ出張やヨーロッパ出張のとき、
パリ・サンフランシスコ・アムステルダム・大阪(関空の4つの国際空港
空港免税店で売られている「日本ウイスキー」(※)
携帯カメラで撮影して、販売価格を記録しておいた。

  ※日本で製造されたウイスキーで、以下の種類に分けられる
     ●「ジャパニーズウイスキー」(の基準を満たす商品)
     ▲「ジャパニーズウイスキー」ではないが、日本法では「ウイスキー」
■日本法ではウイスキーではないが、アメリカ法では「ウイスキー」

分析可能な資料にするために、
店頭で売られている「すべて」の日本ウイスキーブランドを撮影した。
(空港免税店で商品撮影するのは、多くの国でOK)
関空ではバラバラの棚にたくさんのブランドがあるのですべての撮影は結構大変だが、
パリ・サンフランシスコ・アムステルダムでは、2つか3つの棚にまとまっているので
それほど大変ではない


撮影した価格をエクセルに入れて、高いものから価格順にして、
写真とともに資料にまとめました。


  ●▲■  アーカイブ資料
「日本ウイスキー watching
in パリ・サンフランシスコ・アムス・大阪の空港免税店」 (全12ページ)
https://kitasangyo.com/pdf/archive/world-alcoholic/jpn-whisky2024.pdf



以下にアーカイブ資料の分析ダイジェストを記します。


●▲■ パリ・シャルルドゴール空港 CDG @2024年3月 ●▲■

  ■最も高い日本製ウイスキー:「倉吉18years」・・・ 241ユーロ(\39,765)

  ■日本製ウイスキーのブランド数:6社
松井酒造(x4種)、ニッカ(x7種)、サントリー(x3種)、
戸河内・Sakurao B&D(x2種)、あかし・江井ヶ嶋酒造(x3種)、
山桜・笹の川酒造(x2種)

■日本製ウイスキーの種類:21種

  ■21種を価格順に並べたときメディアン(中央値)の商品
●10位・サントリー碧AO・・・72ユーロ(\11,880)
       ●11位・あかし緑ラベルJapanese Single Malt・・・67ユーロ(\11,055)


●▲■ サンフランシスコ国際空港 SFO @2024年2月 ●▲■

  ■最も高い日本製ウイスキー:「倉吉18years」 ・・・US$425(\63,750)

  ■日本製ウイスキーのブランド数:6社
松井酒造(x1種)、(ニッカなし)、サントリー(x5種)、
MARS・本坊(x3種)、あかし・江井ヶ嶋酒造(x2種)、
神息・KAMIKI(x1種)、鬼侍・四季酒造(x1種)、

■日本製ウイスキーの種類:13種

  ■13種を価格順に並べたときメディアン(中央値)の商品
●6位・サントリー「響」・・・US$155(\23,250)
●7位・あかしJapanese Blended・・・US$130(\19,500)


●▲■ アムステルダム・スキポール空港 AMS @2024年11月 ●▲■

  ■最も高い日本製ウイスキー:「サントリー山崎12年」・・・ 319.9ユーロ(\52,784)

  ■日本製ウイスキーのブランド数:8社
松井酒造(x1種)、ニッカ(x4 種)、サントリー(x4種)、
戸河内・Sakurao B&D(x3種)、あかし・江井ヶ嶋酒造(x1種)、
山桜・笹の川酒造(x2種)

      MARS・本坊(x1種)、Ichiro’s・ベンチャーウイスキー(x1種)、
神息・KAMIKI(x1種)

■日本製ウイスキーの種類:18種

  ■18種を価格順に並べたときメディアン(中央値)の商品
●9位・Ichiro’s Malt & Grain・・・84.9ユーロ(\14,009)
 
9位・ニッカ「余市」・・・84.9ユーロ(\14,009)


●▲■ 大阪・関西国際空港 KIX @2024年11月  ●▲■

  ■最も高い日本製ウイスキー:「倉吉31years」 ・・・20万円

  ■日本製ウイスキーのブランド数:20社(※3月は17社だった)
松井酒造(x5種)、ニッカ(x2種)、サントリー(x5種※)、
MARS・本坊(x1種)、あかし・江井ヶ嶋酒造(x1種)、
三郎丸・若鶴(x2種)、白鶴(x1種)、
六甲山ウイスキー(x1種)、桜尾・Sakurao B&D(x2種)、
新里・新里酒造(x1種)、AMAHAGAN・長濱蒸溜所(x1種)、
京都ウイスキー(x3種)、Golden Horse・東亜酒造(x1種)、
千代むすび(x1種)、神路・伊勢萬(x1種)

      黄桜(x1種)、くら・ヘリオス酒造(x2種)
      遊佐蒸溜所(x1種)、嘉之助ウイスキー(x2種)、
神戸蒸溜所(x1種)

  ■日本製ウイスキーの種類:35種(※3月は25種だった)

  ■25種を価格順に並べたときメディアン(中央値)の商品
●17 位・ニッカ 宮城峡 Grande・・・\10,000
  ●18位・京都シングルモルトウイスキー・西陣織ラベル・・・\7,500

※「20社、35種」は関空の2024年11月の観察記録。
関空は8カ月前の2024年3月にも写真を撮っていて、このときは
「17社、25種」だった。
日本製ウイスキーのブランドはさらに増えるが、これ以上は棚の確保が困難?

(注:羽田の免税店でも撮ったのだが、すべてのブランドを撮り切れず、
恣意的になってしまいそうで資料からは割愛。
成田には2024年11月に「高級酒専門店」が開業したそうだが、
成田の利用チャンスがなく、まだ見たことがない。)


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なお、資料末尾には、プレミアムウイスキーや酒類を販売する
東京・お台場にある「Vintage Stock Tokyo」の写真も収載。
撮影は今月、2025年3月。
高価な商品の事例はこんな感じ。

  ●サントリー山崎25年 ・・・177万円
  ●サントリー山崎MIZUNARA bottled in 2014 ・・・88万円
  ●サントリー響 30・・・ 83万円
  ■十四代(清酒)・・・33,000



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●▲■ 2:ウイスキー輸出:23年24年と2年連続減少(財務相貿易統計)


日本ウイスキー輸出の過去5年の推移を示す。

<日本のウイスキー輸出>
■2020年 271億円(前年比+39%)
■2021年 461億円(前年比+70%)
■2022年 561億円(前年比+21%)
■2023年 501億円(前年比▲11%)
■2024年 437億円(前年比▲13%)

2324年と2年連続減少している。
700ml(ウイスキーの標準的容量)当たりの単価も
2023年2,753円→2024年2,707円と低下。

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ウイスキーと並ぶ「酒類輸出の柱」である日本酒も観ておく。
ウイスキーと日本酒で、日本の酒類輸出総額の2/3程度

<日本酒輸出>
■2020年 241億円(前年比+3%)
■2021年 402億円(前年比+66%)
■2022年 475億円(前年比+18%)
■2023年 411億円(前年比▲14%)
■2024年 435億円(前年比+6%)


ウイスキー輸出は23年減・24年減の2年連続減だが、
日本酒輸出は23年減から24年増と反転。

2020年に、ウイスキー輸出は、日本酒輸出を抜いたが、
2024年は437億円と435億円でほぼ並んだ格好。
個人的観測だが、2025年は日本酒が抜き返す可能性が高いと思う。

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因みに、スコッチウイスキーの輸出や、
アメリカンウイスキー(バーボンなど)の輸出は以下のような数字。

<英国のスコッチウイスキー輸出>
■2023年 56ポンド(前年比▲10%)
         =約1兆0,640億円 @1ポンド=190円
■2024年 54ポンド(前年比▲4%)
=約1兆0,260億円 @1ポンド=190円


<アメリカのアメリカンウイスキー輸出>
  ■2023年 14ドル(前年比+9%)
          =約2,100億円 @1ドル=150円
■2024年(ウイスキーのみの公表データがまだない)

スコッチの輸出も減少傾向、
アメリカでは
国内のバーボンブーム終焉の様相に加え、
2025年のカナダの「アメリカウイスキー不買運動」の影響は大きいはずだが、
まだまだ彼我の規模の差は歴然としている。




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私は、SNSやネットでなく、紙の新聞とTVで情報を得る旧世代で、
気になる新聞記事は切り抜いて残す、というアナログ派
以下の4つの情報ピースは、最近の切り抜きから。



●▲■ 3:「国産高級ウイスキー、2割下落」
(日経新聞25年2月4日

<記事の要約>

 二次流通(ブランド品の買取・販売会社のこと)各社によれば、
 長らく高値が続いてきた国産ウイスキーが
 2024年半ばから下落が始まり、最盛期から2割近く下がった。

 「山崎18年」のバイセルの平均販売価格
   2022~23年 10万9,700円
   2024年前半 14万8,000円
   2024年後半 12万0,800円

 中国の景気低迷が大きな要因で
有力な販路だった中国向けバイヤーから
「以前のような値段では買い
らい」と言われる。

 「ウイスキーは蒸留から3年は寝かさないと売れない。
 流通価格が下がれば、新規参入組は投資資金が回収できず
 厳しい状況になる」(キングラムリカー)



●▲■ 4:「中国ブランド40か所、日本産ウイスキーに続け」
(日経新聞25年2月26日

<記事の要約>

 中国でウイスキー産業が勃興している。
 世界で高いブランド力を築いた日本ウイスキーに続くことを目指す。

 クラフトビールで成功した「熊猫精醸(パンダブリュー)」は
 ビールで得た資金でウイスキーを始め、現在2,000個近い樽で貯蔵中。

 同社薫事長は、「ウイスキーの味の7割を決める樽は、
 欧米から輸入したワインやバーボンの樽で、
最も高いものは約3万元(約62万円)のものを
使用、
 これにもうすぐ日本産の樽も加わる」、と語る

 中国の蒸留所(計画中・建設中も含む)は40カ所23年時点)。
 設計ベースの蒸留能力は8万KL(ALC100%換算)
  (注:日本で標準的なALC40%換算にすれば20万KL相当。
     日本のウイスキーの移出数は17万KL程度なので、日本全体より多い

 中国ウイスキーが本格流通するのは数年後の見通しだが、
日本ウイスキーに対してインパクトを持つだろう。




●▲■ 5:「米関税強化、欧州勢身構え
蒸留酒大手300億円減益も」
(日経新聞25年2月16日

<記事の要約>

 蒸溜酒大手のディアジオは北米が売上高の4割を占める。
 英国から「ジョニーウォーカー」など、メキシコからテキーラ
 カナダからカナディアンウイスキー、アメリカに輸出している。

 ディアジオのCEOは、トランプ政権の関税が発動した場合、
 2025年6月期の営業利益で
約2億ドル(約310億円)のマイナス影響が出る見込み」と発言

 また、サントリーは長期化すれば値上げせざるを得ない
足元の対応では、例えば
メキシコであれば、
 テキーラを米国内に相当程度在庫を積み増している」と明らかにした。



●▲■ 6:「トランプ氏、EUワインに関税200%
EUが米国ウイスキーへ追加関税なら」
(日経新聞25年3月14日

<記事の要約>

 米国が鉄鋼やアルミニウム製品に対する追加関税を12日に発動、
 これに対抗してEUは
 停止していた米国産ウイスキーへの50%関税を復活させる考え。

 それに対しトランプ大統領は、「米国産ウイスキーへの関税をかければ、
EUからのワインやシャンパンに200%の関税を課すとの考えを示した。

  (注:先にスコッチウイスキーやアメリカンウイスキーの輸出金額を示したが、
     スコッチウイスキーの輸出先1位はアメリカ、
     アメリカンウイスキーの輸出先1位はEU、、、皮肉なことである。



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以上、ウイスキーに関して、6つの情報ピース(断片)

  1.空港免税店で販売される日本製ウイスキーのブランドと価格実態
2.日本からのウイスキー
輸出は2年連続
  3.高級ジャパニーズウイスキーの価格が24年末から下落
  4.中国でウイスキー事業への参入者が多数
  5.トランプさんの関税政策、ディアジオで300億円のマイナス要因
6.アメリカンウイスキーに50%関税なら、EUワインに200%関税で対抗


列記した
日本ウイスキーの近未来はなかなか難しい。

日本のウイスキーの潜在力はとても大きく、
今後、より大きな世界市場を獲得するのは間違いない
と考えるが、
日本のウイスキー自体
内在する課題は多いし、
世界の変化(特にアメリカと中国の変化)はネガティブに働く。

日本ウイスキーの輸出が1,000億円を超えるのは、少し前までは
「2030年頃」と思っていたが、様々な情報ピースを踏まえると、
「2035年頃」になるかもしれない。


text = 喜多常夫


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さて、当社情報のご紹介です。


●▲■ ご紹介情報 その1 ●▲■
  「FOODEX 2025」、ありがとうございました!
https://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog
(↑ 「きた産業のスローなブログ」)

3月11~14日、東京ビッグサイトで行われたFOODEXで、
当社ブースにお立ち寄りいただいたみなさん、ありがとうございました。




●▲■ ご紹介情報 その2  ●▲■
  「美酒は良樽から」 ウイスキーの樽はオークバレルにお任せください!
  https://taru.co.jp/
   (↑ 「有限会社オークバレル」のウェブサイト)

ワイン用のフレンチオークの「新樽」だけでなく、
バーボン樽、シェリー樽など、
ウイスキーや蒸留酒のための「古樽」も輸入しています。
世界のパートナーネットワークから調達する「良樽」で
酒類産業に貢献することがオークバレルの会社理念です。
(「有限会社オークバレル」は、きた産業のパートナー企業です)



●▲■ ご紹介情報 その3 :K2ディヴィジョン ●▲■
  ウイスキーのT-Top栓、「アモリム・トップ・シリーズ」
  https://www.amorimtopseries.com/en/
(↑ 「アモリム・トップ・シリーズ」のウェブサイト、英語)

ポルトガルのアモリム社は、世界トップの天然コルクサプライヤー。
そのT-Top栓部門が「アモリム・トップ・シリーズ」社で、
世界中の有名ブランドのウイスキー・ジン・コニャックの

T-Top栓を製造しています。

きた産業は日本代理店として、
ウイスキー・蒸留酒向けのT-Top栓を供給しています。







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●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

https://kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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