●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.322 ●▲■
発行日:2025年8月25日(月)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ ワインの栓・キャップについて
● 日経新聞8月24日のジャンシス・ロビンソンさんの記事
「コルクとスクリュー、どちらが優秀?」
● スクリューキャップとマイクロアグロの問題点
● きた産業のポートフォリオ
■ノマコルク、■アモリム、■ステルヴァン、■グアラ、■ヴィノロック
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ 30x60キャップ:スカート部がとれる「GreenCap」、カットする「PEQI」
ご紹介情報●2▲ 30x60キャップ:汎用の在庫品
ご紹介情報●3▲ 30x60キャップ:酸素透過度バリエーション
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
日経新聞の日曜版に時々、
ジャンシス・ロビンソンさん(世界的なワインジャーナリスト)のワインリポートが載る。
カラー写真入りの1ページ全面記事なので読む方は多いと思う。
昨日、8月24日(日曜)には
「コルクとスクリュー、どちらが優秀?」
と題して、イギリスで中身が同じで栓だけ違うワインを飲み比べた体験記が出ていた。
キャップ・クロージャのことが日経新聞に載ることはめったにない。
「EUでPETボトルのキャップは、ボトルから外れない構造が義務化」
という去年の記事以来だと思う。
「記事」曰く、、、
●ニュージーランドの白はスクリューキャップの優位は明白
●ブルゴーニュの古い白はコルク優勢だったがスクリューキャップの酸素透過度が高かったから
●DIAM(マイクロアグロのコルク栓)では、スクリューキャップとの差を感じないものがあった
■赤ワインでもスクリューキャップが圧勝だった
■テースティングした赤ワインの多くはローザンセグラやヘンチキなど長期熟成ワイン
■赤はすべて天然コルクだったが、DIAMだったら結果が違ったかもしれない
「結語」として、、、
▲白ワインに最も適した栓については明確な答えがない
▲赤ワインは通説に反して天然コルクよりスクリューキャップの方が優れている可能性がある
白ワインについては、「記事」内容と「結語」に齟齬があるように思ったが、
天然コルクでなく、DIAMを良しとしているようなニュアンス。
ワインジャーナリストの重鎮、ジャンシス・ロビンソンさんに楯突くわけにもいかないが、
専門的にワインクロージャを扱う当社としては、
ちょっと、意見を書いておきたい、、、というのが今回のメルマガ。
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
ワイン栓については講演することもあるので、長年、統計データを蓄積している。
私の見立てでは、今世紀に入っての世界の変化は以下の通り。
●▲■ 「スティルワインのワイン栓の世界市場の変化」 ●▲■
2000年 → 2010年 → 2023年
世界のワイン栓の総数 145億個 → 180億個 → 180億個
●天然コルクのシェア 32% → 21% → 18%
●アグロ・テクニカルのシェア 58% → 38% → 19%
●マイクロアグロのシェア 2% → 7% → 25%
●合成コルクのシェア 3% → 18% → 11%
●スクリューキャップのシェア 5% → 16% → 26%
(注1:世界全体のシェア。日本のことではない)
(注2:アグロ(圧搾コルク)とマイクロアグロの差は、
原料に使う天然コルク粒のサイズの違い。
アグロは5~8mmくらい、マイクロアグロは1mmくらい、
マイクロアグロは小さいのでTCA除去プロセスにも有利。)
スクリューキャップとDIAM(マイクロアグロのトップブランド)は、
確かに世界的に増加傾向にあり、日本のワインブランドでも採用が増えている。
しかし、開栓不良や開栓が硬い、などのトラブルが時々伝えられるのも事実。
また、独特の官能的特徴を感じる、という方もいるということだ。
さらに、クロージャ業者の立場から見た専門的なことだが、
以下のような事もある。
▲スクリューキャップのガラスびんのリサイクルについて▲
かつてサントリー・オールドとリザーブは30x44と30x60のアルミキャップを使っていたが、
プラスチックキャップに変更した歴史がある。
キャップの変更は、「開けやすさの改善・安定化」もあったが、
「空きびんとなったときキャップのスカート部(アルミ)がガラスびんに残るので、
カレットにした時にアルミ分別に困る」、というのも理由の一つだった。
1980年代はオールドが年間1億本以上売れていた時代で、
アルミが残っている大量の空きびんは、リサイクルの妨げになった。
30x60のアルミスクリューキャップは、
当時はNCC社と柴崎製作所(現、CSI)が製造していたが、
日本では生産されなくなった歴史がある。
世界では2005年ごろからワインで30x60スクリューキャップの採用が増え、
日本でも2010年ごろから輸入ワインで積極的に導入され、
今では国産ワインも多くが採用している。
ガラスをカレットにした時の分別技術は進んでいるのかもしれないが、
同じ問題は残っている。
▲スクリューキャップのライナーについて▲
30x60のワイン用アルミスクリューキャップのライナー(パッキン材)は、
初期には「Tinサラン」と「サラネックス」の2択だった。
サランとかサラネックスはPVDC(ポリ塩化ビニリデン)のことで、
ガスバリアー性が非常に高いので、かつては日本でもよく使われたが、
「塩素を含むパッケージ素材は避けるよう」という方針が、
生協や大手流通から示された時期があって、
以降は日本製キャップではPVDCは使われなくなった経緯がある。
その時期に、塩ビボトルや塩ビキャップシールも姿を消した。
今はステルヴァンでは、Non-PVDCライナー3種も選べるようになっているが、
現状ではまだ、「Tinサラン」が最も多く使われている。
▲マイクロアグロの化学物質問題▲
プラスチックの化学物質規制は世界的に厳しくなる傾向で、
日本でも今年6月から「ポジティブリスト規制」が始まった。
DIAMは、重量の65%以上がコルク粒(天然物)なので、
ポジティブリスト規制対象にならないという見解のようだが、
35%以下は「マイクロスフィアやバインダーなど」で構成されていて、
この部分がどのような化学物質なのか、という関心は残る。
DIAMでは、マイクロスフィアの代わりに、
ハチミツや植物由来成分を使用したものも発売しているが、
その場合でも化学物質は残ってるのだと思う。
▲マイクロアグロの硬さ▲
DIAMは、酸素透過度の違いで5種類くらいのランクがあるが、
ワイン醸造家は透過度の低いものを使う傾向がある。
透過度はコルク粒以外の構成要素でコントロールするので、
透過度の低いものは打栓、抜栓とも、硬くなる傾向がある。
コルクスクリューを使った時、天然コルクとは感触が異なる。
なお、コルク栓最大手のアモリムの最新のマイクロアグロ製品は、
天然コルク粒の重量構成比を80%以上と高めていて、
この点で有利だと思う。
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
21世紀最初の2つのディケードは、世界的にワイン栓が議論され、
新製品開発が進み、急激に変化した20年だった。
「wine closure debate(ワイン栓の議論)」という言葉が定着し、
海外のワイン専門誌では、年に1回は「ワイン栓特集」がある状態が続いたが、
最近は少し落ち着いてきたように思っていた。
そこに、昨日のジャンシス・ロビンソンさんの記事が出た格好。
日本酒、焼酎、梅酒、ウイスキーなどの関係者にはピンとこないと思うが、
ワインはワイン栓を通じた微量の酸素透過についての議論がある。
「同じワインに14種の異なるワイン栓をすると、半年で14種の異なるワインになる」
(AWRI-オーストラリアワイン研究所の早坂洋司さんの2005年の研究)
というくらい、ワイン栓はワインにインパクトを持っている。
天然コルクにはTCA(コルク臭、トリクロロアニソール)の問題もつきまとっていて、
「20年のワイン栓の変化」のトリガーの一つだが、
これについては、今は劇的に改善された。
当社は、主には以下のワイン栓を提供している。(スティルワイン用)
■ノマコルク(合成コルク)
■アモリム(天然コルクとマイクロアグロ)
■アムコア・ステルヴァン(30x60スクリューキャップ)
■グアラ(30x60スクリューキャップ)
■ヴィノロック(ガラス栓)
それぞれのワイン栓に良さがあるので、以下に簡単に整理しておく。
●▲■ Nomacorc(ベルギー) ●▲■
ノマコルクは「合成コルク栓(Synthetic Cork)」と呼ばれる範疇のワイン栓で、
プラスチックを二層押出成形して造る。
現在はサトウキビ由来のバイオプラスチックを使って、CO2排出を抑えている。
2000年ころ、世界では10社以上が合成コルクに参入して熾烈な競争をしていたが、
現在、世界ブランドとして残るのはノマコルクだけ。
2015年頃までは毎年のように販売数量を伸ばし、
一時は20億個程度、単独で世界シェア1割以上になったが、
今はマイクロアグロに押され気味で、数量を減らしている。
酸素透過度のバリエーションに先鞭をつけたのはノマコルク(2012年)で、
DIAMが2013年に追従した。
後述のステルヴァンが酸素透過度の異なる新ライナーを導入したのも2013年。
ノマコルクは正直なところ、初期のころは日本ではあまり売れていなかったが、
近年になって良さが認められ、採用者も増えて一定の販売規模になっている。
上位モデルの「Reserva」は、天然コルクと見分けがつかないほど。
スクリューキャップやDIAMから切り替える方もいる。
●▲■ Amorim(ポルトガル) ●▲■
コルクの生産量世界一のアモリムは、ワイン関係者は誰もが知る会社で、
ポルトガルを代表する大企業である。
TCA(トリクロロアニソール)を取り除く技術、
NDTechを実用化していて、日本でも採用実績がある。
既述の通り、近年、ワイン栓として「マイクロアグロ」が世界的に伸びていて、
これはDIAM社が大きなシェアを持つ。
ただ、最近、アモリムが有力なマイクロアグロ、XpürとQorkをラインナップしたので、
この面でも対応できる体制になった。
●▲■ AMCOR・スクリューキャップ、STELVIN(フランス) ●▲■
アムコア社の前身はアルキャン社、その前身はペシネ社というフランスの会社で、
当社はペシネ時代から、錫シールを輸入・販売している。
同社は半世紀以上前から30x60スクリューキャップ(商品名「ステルキャップ」)をつくっていたが、
ワイン用として2005年頃から注力するようになった。
(商品名「ステルヴァン」、ワインのスクリューキャップの代名詞的商品)
ステルヴァンが成功した一つの理由は、
既存の錫シールの印刷・刻印設備を流用し、小ロットの生産対応をしたからだと思う。
普通なら10万個程度の印刷ロットがいるが、ステルヴァンは3万個程度で印刷・刻印が可能。
世界でスクリューキャップが積極的に採用されるようになったのは2005年ごろから、
「コルク栓の潜在的問題であるTCA(コルク臭)や酸素透過度過多を解決するのはスクリューキャップ」
という主張がオーストラリアなどから始まって世界で共感者が増え、
加えてコルク栓に対する価格的優位もあって今も増勢を続けている。
●▲■ Guala・スクリューキャップ(イタリア・オーストラリア) ●▲■
イタリアのグアラ社は元々は、
安全キャップ(詰め替え防止キャップ)に特化したファミリーカンパニーだったが、
クレディスイスなどが出資、2000年以降、ウクライナ、オーストラリアなどでキャップのメーカーを買収、
アメリカ、NZ、インドなどには新工場を建設し、世界規模のキャップメーカーになるとともに、
30x60スクリューキャップの生産量ではステルヴァンを凌駕する規模。
グアラとアムコアは競合ブランドだが、当社は両方を販売している。
実際の取引は地理的に近い、グアラ・オーストラリアから輸入することが多い。
スカート部がびんに残留することが30X60など長いスクリューキャップの難点だが、
グアラ社は2021年にスカート部が取り外せる「グリーンキャップ」を開発、
当社がマーケティングを行っている。
●▲■ Vinolok・ガラス栓(チェコ) ●▲■
ヴィノロックは元々ドイツ・アルコア社が2004年頃に商品化したものだが、
2011年にチェコの大手ガラス製品メーカーのプレシオサ社が事業を買い取った。
その後、ヴィノロック社として独立部門となった。
なお、ポルトガルのアモリムが2019年にヴィノロックの株の半分を取得している。
チェコに移管後はプレミアム商品に的を絞って強力なマーケティングを行い、
今ではワイン用だけでなく、蒸留酒用としても世界的に注目を浴びるTトップ栓となっている。
当社は2012年から取引を開始。
今では日本酒向けに「サケびん口」規格も生産してもらっている。
なお、ヴィノロックの酸素透過度はシーリングリングの材質に依存している。
概ね、ノマコルクのSelect Green 100程度である。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
オーストラリアのワインは国内向けは、ほぼすべてスクリューキャップだが、
実はオーストラリアは、ポルトガルから天然コルクを大量に輸入している。
仕向け国によっては、天然コルクを使っているからである。
今年、2025年のFOODEX展示会でワイン栓のアンケートをとった。
(いずれ、「酒うつわ研究」で詳細を報告すると思います。)
●▲■ 「コルク」のワイン vs 「スクリューキャップ」のワイン ●▲■
■Q1:どちらのワイン栓が好きですか?
「コルク」 61% vs 「スクリューキャップ」 39%
■Q2:どちらが環境に良いと思いますか?
「コルク」 67% vs 「スクリューキャップ」 33%
■Q3:5,000円のワインを買う時、どちらを買いますか?
「コルク」 94% vs 「スクリューキャップ」 6%
FOODEX参加者は食品関係者なので、バイアスがかかっている面もあると思うが、
日本ではコルクスクリューで抜くワイン栓が一定の人気がある。
因みに、私自身は、天然コルクのワイン栓が一番好きである。
text = 喜多常夫
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
さて、当社情報のご紹介です。
●▲■ ご紹介商品 その1:K2 ディヴィジョン ●▲■
スカート部が手でとれる30x60キャップ、「GreenCap」
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/greencap.pdf
30x60キャップのスカート部をカットする、「PEQI」
https://kitasangyo.com/pdf/PEQI/PEQI_ed01.html
「グリーンキャップ」はイタリア・グアラ社の画期的新製品。
「ペキ」は、きた産業の製品です。
●▲■ ご紹介商品 その2 :K2 ディヴィジョン ●▲■
30x60キャップ:汎用の在庫品
https://kitasangyo.com/pdf/package/30X60cap.pdf
無地の汎用品を在庫しています。
(注:資料のアップデートができておらず、一部、在庫していないものや
在庫品が表記したライナーと異なる場合があります。)
●▲■ ご紹介商品 その3:K2 ディヴィジョン ●▲■
30x60キャップ:酸素透過度バリエーション
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_272w.pdf
ステルヴァンは「1O2」「3O2」「5O2」の3段階の酸素透過度が選べます。
すべて、PVDCフリーです。
(注:「7O2」は、2023年からなくなりました。)
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」
https://kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
__________________________
●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」
http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/
2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
__________________________
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
紹介商品に関するお問い合わせは、営業部まで。
西日本担当:大阪営業部
tel.06-6731-0251 mailto:osaka@kitasangyo.com
東日本担当:東京営業部
tel.03-3851-5191 mailto:tokyo@kitasangyo.com
__________________________
●本メールがうまく表示されない場合 ●登録内容の変更や、
配信停止希望の場合 ●メルマガに関するご意見・ご要望など、
は、メールアドレス:mailto:info@kitasangyo.com まで 。
_________________________
このメルマガは、「ご登録いただいたお客様」、
及び「当社営業担当で登録させていただいたお客様」に、
お届けするサービスです。
ご要望があってもお届けできない場合がございます。
発信専用アドレスから送付しております。このアドレスに返信
いただきましても回答できませんので、予めご了承ください。
__________________________
記載された記事を許可なく転送・複製・転載することを禁じます。
Copyright 2002-2025. Kita Sangyo Co., Ltd. All rights reserved.
きた産業株式会社 ニューズレター担当:企画・開発グループ