●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.323 ●▲■

発行日:2025年11月26日(水)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■

発行:きた産業株式会社 
https://kitasangyo.com



------------------
< 目 次 >------------------

●▲■ 大学生の視点で見た日本酒と酒類産業

● 「NO-LO化(ノーアル・低アル化)、酒類規制強化」
● 「酒類の国内の低価格問題、ライフサイクルカーブ」

● 「日本酒の、国ごとの価格差・内外の価格差」 
、、、などについての、大学生の感想
text = 喜多常夫


ご紹介情報●1▲ 清酒の「びん燗」対応のKSとPPキャップ・・・新製品「JTT」
ご紹介情報●2▲ ミニチュアびんの充填機「WGF-MINI」
ご紹介情報●3▲ HACCP対策に「醸造所のホースラック」(フランス製)



●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■



(清酒出荷量日本一の兵庫県・灘にある)
神戸大学には「日本酒学入門」という講座がある。

(清酒蔵元数日本一の新潟にある)
新潟大学の「日本酒学センター」のような研究拠点ではなく、
全学部の生徒が聴講可能な年一回の講座。

灘五郷酒造組合のバックアップで2018年から始まったもので、
灘の大手蔵元、酒類総研、酒造組合中央会、酒類業界経営者などの講師が
醸造、歴史、文化、酒米、法律、経営などについて講義する。

浅学ながら私、喜多も講師の一人として、海外についての講義を受け持っていて、
今年も今月初めに講義をしてきた。

「日本酒学入門」は人気講座で、大講義室で毎年100人位が聴講。
「20歳以上」より「20歳未満(飲酒年齢以下)」の学生のほうが、例年やや多いように思う。
理学部・文学部・医学部・農学部・工学部・経営学部・法学部・海事科学部・海洋政策学部・・・など、
あらゆる学部から聴講があるが、「文系」より「理系」の学生のほうが、例年やや多いように思う。
課題レポートもあって、単位も認定される。



課題レポートとは別に、学生からは、感想のようなものも寄せられる。
酒類業界を知らない大学生の感想なのだが、
知らない人の率直な感想だからこそ、考えさせられることが多い。
今回は、それを紹介しようと思う。

そのままの文章を引用することは避け、以下は多少アレンジ・脚色して書いている。

今年の分だけでなく、去年までものも参照しながらまとめてみた。


(まったく余談ながら、神戸大学も新潟大学も地元では「シンダイ」である。
信州大学もシンダイだが、ここもワイン教育を行っている。
「シンダイ・お酒研究会」があれば、楽しそうである。)



●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■





●▲■ 「NO-LO化(ノーアル・低アル化)、酒類規制強化」 ●▲■
の世界の潮流については、データや実例を示して時間を取って解説している。
それについての、大学生の感想:

■WHO(世界保健機関)がアルコール消費抑制を進めていることを初めて聞いた。
世界全体で「酒類消費抑制」の潮流であるというのが印象に残りました。

■2010年頃まで「世界人口が増えるにつれ世界ビール需要は増えた」が、
2020年代になって「人口が増えてもビール需要が増えなくなった」のは不思議に感じる。

■「酒類消費抑制」のために、酒税をわざと高くして購入しづらくする国があること、
「アイルランドは最低価格規制が始まって、アルコール1gにつき0.1ユーロ以上」、
「日本で同じ税率にしたらAL14%の2L清酒紙パックが4,000円以上」と聞いて驚いた。

■日本ではテレビCMでも街中でもお酒の宣伝が当たり前に行われているから、
お酒の広告を規制している国があることを知らなかった。

■2024 パリ・オリンピックのスポンサーのバドワイザー(AB InBev)が、
ビールではなく、ノンアルコールビールだったというのが意外。

■日本では、どのコンビニでもスーパーでも、いつでもお酒を買うことができる。
カナダ、ノルウェーなど
で、酒販売が政府管理というのは驚きました。
タイでは午前11時~午後2時と午後5時~0時しか酒が買えないのも驚きました。





●▲■ 「サケづくりに取り組む、若い人・女性・外国人が増えている」 ●▲■
ことについて、
「『稲とアガベ』(秋田のクラフト・サケ)の岡本さんは神戸大学出身」
「2023年までの10年で、
東大・京大・九州大・岩手大・愛媛大・・・・などの大学
旭川高専・米子高専・八戸高専・・・などの高専、計38もの学校が清酒試験免許を取得」
「今は地方の酒蔵で若い人・女性の作り手が増えている、かつては考えられなかった」、
などについて、解説している。
それについての、大学生の感想や質問:

■清酒製造に免許が必要なのに、新免許が出ないのはなぜですか。

■清酒の試験酒造免許を取得する大学、高専が増えていることを知って、
新たな産業・職業として期待されているのだと思いました。

■21世紀に入って、お酒にチャレンジする若者が増え、
地方の中小蔵元でも若い人や女性が増えていると聞いて、
日本の酒造りが新たな段階に入っているのだと感じました。

■神戸大学出身でクラフト・サケに挑戦している人がいると聞きうれしいことだと思いました。
一方、「清酒の免許が新しく出ないので違う免許でつくる」
「クラフト・サケは清酒ではない」、と聞いて難しいことだと思いました。





●▲■ 「酒類の国内の低価格問題、ライフサイクルカーブ」 ●▲■
について、
「清酒では『低価格紙パック』が
発売されてから、
ビールでは低価格志向の『発泡酒』や『第三のビール』が
発売されてから、
それぞれの全体販売量が減少した、
という過去事例」
「この半世紀、清酒・ウイスキー・ビール・本格焼酎などが
順次ピークとなり、
その後は減少していく、いわゆる『ライフサイクルカーブ』」に良くあてはまる」
ことなどを、データで解説しています。
それについての感想:

■「お酒で低価格商品を出すと数年で市場全体が縮小する」法則というのは
「安くすれば売れる」という
常識に反していて非常に驚いた。
確かにワインやシャンパンでも、価格
が安すぎると価値を感じなくなるように思う。

■「ライフサイクルの第4期(清酒の国内市場)に価格を下げてはいけない」
という話が興味深かった。

■お酒は値段を安くすれば売れるってものじゃないということを聞いて、
とても納得しました。お酒は憧れを持って買う人が多いと思います。

■日本酒の価格を下げると市場が縮小するというのは意外で面白いと思った。
酒にはブランド価値があるのだと気づいた。





●▲■ 「日本酒の、国ごとの価格差・内外の価格差」 ●▲■ 
について、
「2024年の清酒輸出の国別の1.8L単価が、
香港¥4,570、中国¥3,948、アメリカ¥2,574、韓国¥1,379、
英国¥2,714、イタリア¥1,260、ドイツ¥1,121と、国によって大差があること」
「一方日本では、2025年9月の小売物価統計「清酒2L紙パック」が¥1,033、
輸出価格と条件をそろえるため1.8L酒税抜きに換算すると¥750」
などを、データで解説しています。
それについての大学生の感想:

■講義で最も印象に残ったのは、海外における日本酒の価格格差の問題。
主要6か国でも、香港と韓国では単価が約3倍も異なり、
さらにヨーロッパ4か国を加えると、香港とドイツでは4倍もの差があるという点に驚いた。

■2L紙パックが1,000円程度で買えるという現実があり、国内外の価格差は非常に大きい。
輸出上位国を見ても、価格のばらつきが顕著であり、
日本酒にとってこの価格格差をどう是正していくかが大きな課題であると感じた。






●▲■ 「海外事情、輸出状況」 ●▲■
について、
「今世紀に入ってから
2024年までの輸出データ」
「輸出に占める中国
・香港依存度の高さと、カントリーリスク」
世界における日本食レストラン増加と日本酒輸出増加の相関関係」
「日本
が輸出する日本酒+日本ウイスキーの合計金額より、
 日本が輸入するスパークリングワインの金額のほうが多いこと」
などを、データや写真で示して説明しています。
れについての大学生の感想:

■海外レストラン法則
の、
「非日系の日本食レストラン、日本人客が少ない日本食レストランほどサケ消費が多い」
というのを不思議に感じました。

■万博のレストランで働いた経験で、日本酒を注文するのは確かにほとんどが外国人客、
「セイク」(sake)と言われ
、それがサケとはわからず戸惑いました。

■英文で'sake'と
書かれていると、
30年前は「目的・セイク」であることがほとんどだったが、
今は「お酒・サケ」の意味で出てくることが圧倒的に多くなった、というのが印象的。

■韓国に日本文化・商品の規制
した時代(1998年まで)があったというのを知らなかった。
その当時、北朝鮮の方が
清酒輸出が多いもあったと聞いて驚いた。

■LOTTEが韓国で清酒を生産していると聞いて驚いた。
(LOTTEは「清河」「白花寿福」などの清酒ブランドを生産)

■韓国の2019年の日本製品不買運動は知っていたが、
中国で2010年と2012年に、反日デモで日本企業が被害を受けた事
アメリカで1980年代に、貿易摩擦で日本製自動車が被害を受けた事は、知らなかった。

■イギリス・フランス・スペインでもSakeが生産されていることは意外だった。
(イギリス3か所、フランス3か所、スペイン2か所がある。イタリアでも2か所始まる見通し)

■海外で消費されている「サケ」の6割が日本酒(日本製)でないというのは面白かったです。
(日本酒輸出は直近で17万石。
一方アメリカで10万石以上、韓国・ブラジル・台湾でも相当量が造られ、海外製は20万石以上)

日本酒の輸出額は2010年・85億円が2024年・435億円(5倍)に増えたのに対し
日本ウイスキーの輸出額が同じ期間で17億円から437億円(26倍)に増えたと聞き、
  ウイスキーの成長率の大きさにとても驚いた。

■マーベルの映画でアイアンマンが
、日本酒と刺身を注文して、
「サケなしで刺身は楽しめない」と話すシーンがある。
  日本酒の国際化を感じます。





●▲■「クラフト・サケ生産者」 ●▲■
については、
「いまや50か所以上となった海外のクラフト・サケ醸造所」
「日本では新しい清酒免許が出ないこともあってクラフト・サケが増えている」
「必ずしもお金儲け目的ではないクラフトの造り手もいる」
などを、データや写真で示して説明しています。
その感想:

■クラフトと大手生産の、生産の姿勢の対比が印象的だった。
利益よりも作りたいものを追求
する姿勢と、利益優先で効率を追求するやり方は、
どちらがいいとは判定しにくい。

■日本のクラフト・ビールは、免許上もビールであることもあるが、
日本のクラフト・サケは、免許上は清酒ではない。
清酒ではないのにサケと呼ぶのはなぜですか。

■海外のクラフト・サケは、日本基準の清酒であることもあるが、
日本のクラフト・サケは、日本基準の清酒ではない、
というのは矛盾を感じます。

■クラフト・ビールでは、醸造所の数が、
日本で1,000、アメリカで10,000に近づいていて、
もうすぐ臨界が来るという予想を聞いて、少しさみしい気持ち。






●▲■ 「日本酒産業、日本のマーケット」 ●▲■
については、その歴史、潜在的問題点などを説明するのですが、
その感想:

■日本に「合成清酒」というお酒が存在することを知りました。
輸出もされるとのことですが、海外ではSakeなのでしょうか。
(英語表記は、国税ではsake compound、貿易統計ではsynthetic sake)

■「本醸造酒」や「普通酒」はアルコール添加している、ということですが、
海外では「醸造酒」になるのですか。

■今回の講義の中で最も印象に残ったのは
日本酒製造業が世界でも類を見ないほど長寿企業で構成されているということ。
海外市場を広げていくため歴史の深さをアピールすることが大切だと思った。

■日本酒では「パック」のお酒が最も売れているということに驚きました。
日本酒も焼酎も「びん」に入ったものを想像していて、それが主流だと思っていました。

■日本が、世界で一番「ドンペリ」(高価なシャンパン)を買う国だったことがある、
と聞いて、高いお酒が売れる国なのだと、とても驚いた。





大学生の率直な感想には、
業界人が考えなければならない指摘が多い。

講義の前には
「就職先として酒類産業に興味のある人は手をあげて」
と尋ねるのだが、毎年、数人の挙手がある。
就業する人が、夢の描ける酒類業界に変えていくべきだと思う。


text = 喜多常夫





●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■



さて、当社情報のご紹介です。



●▲■ ご紹介商品 その1:KK ディヴィジョン ●▲■
清酒の「びん燗」対応のKSとPPキャップ・・・新製品「JTT」
https://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/binkan.pdf

サケビン口(一升びん口)用の、びん燗対応のKS(替栓)に、
新製品「JTT」を追加しました。
厚みのあるツバ、フラットな天面で、開けやすい。
海外市場のほか、高齢化する国内市場にも。



●▲■ ご紹介商品 その2 :ROOTS ディヴィジョン ●▲■
ミニチュアびんの充填機「WGF-MINI」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/SF_WGF_WGF-MINI.pdf

ウイスキーやジン、焼酎・泡盛では、ミニチュアびん入りの製品が増えています。
300ml以下のびん・缶に、手軽に正確に充填できる卓上充填機。
ルーツ機械研究所の新製品です。



●▲■ ご紹介商品 その3:ROOTS ディヴィジョン ●▲■
HACCP対策に「醸造所のホースラック」(フランス製)
https://www.kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/MODULO.pdf

ホースを巻いてコンパクトに収容、残留液が排出されて衛生的。
「大型」(70~90m収容)のほか、「小型」(10~50m収容)も。
醸造所・蒸溜所の備品や資材はご照会ください。






●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■
●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■


●▲■バックナンバー閲覧可能!「メルマガ・クロニクル」

https://kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html

2002
年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
__________________________


●▲■ブログもやってます!「スローなブログ」

http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog/

2006
年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
__________________________



●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■ ●▲■



紹介商品に関するお問い合わせは、営業部まで。
西日本担当:大阪営業部
tel.06-6731-0251
mailto:osaka@kitasangyo.com
東日本担当:東京営業部
tel.03-3851-5191
mailto:tokyo@kitasangyo.com


__________________________


●本メールがうまく表示されない場合  ●登録内容の変更や、
配信停止希望の場合  ●メルマガに関するご意見・ご要望など、
は、メールアドレス:
mailto:info@kitasangyo.com まで 。


_________________________


このメルマガは、「ご登録いただいたお客様」、
及び「当社営業担当で登録させていただいたお客様」に、
お届けするサービスです。
ご要望があってもお届けできない場合がございます。


発信専用アドレスから送付しております。このアドレスに返信
いただきましても回答できませんので、予めご了承ください。


__________________________


記載された記事を許可なく転送・複製・転載することを禁じます。
Copyright 2002-2025. Kita Sangyo Co., Ltd. All rights reserved.
きた産業株式会社 ニューズレター担当:企画・開発グループ