●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.328 ●▲■
発行日:2026年4月27日(月)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■
発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
●▲■ 伸びる日本酒輸出、その潜在リスク(その1)
● 21世紀2Qは、日本食レストラン数の伸びが止まるクォーター
● 「カントリーリスク」:5大仕向け国(中・米・香港・韓・台)すべてが高い
● 「モンシノワ」(中国世界)依存度=約50%
text = 喜多常夫
ご紹介情報●1▲ お酒スタティスティクス
「日本酒vsフランスワイン、日本ウイスキーvsスコッチウイスキー」
ご紹介情報●2▲ デザインレファレンスブック
「サケびん口クロージャ ZKシリーズ」
ご紹介情報●3▲ ルーツ機械研究所の缶ビール充填機
「2+CAN」と「Beer Radix 6」
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清酒は、国内需要が減少のなか、
輸出は概ね好調で、これからの5年も伸びると期待できる。
■■ 清酒の輸出金額、過去5年の推移
2021年 402億円(+67%)
2022年 475億円(+18%)
2023年 411億円(▲13%)
2024年 435億円(+6%)
2025年 459億円(+6%)
■■ 5年後?
2030年 760億円(政府の目標)
2030年 680億円程度(私の感覚的予測)
先月公開された国税庁のアンケートによれば
輸出をしている清酒蔵元は663者で、これは全国の蔵元の過半。
輸出をする蔵元では輸出比率(数量比率)10%程度が普通で、
40%越えも数社ある(獺祭、IWA、李白など)。
輸出は一般的には、「量的依存度」より「利益依存度」が高く、
輸出が経営の柱になっている清酒蔵元は多い。
日本全体でみると、清酒総生産にしめる輸出比率は
2025年時点で8%。
5年後の2030年には12~15%になると予測する。
日本酒産業は、
20世紀後半は「国内市場だけで成り立った」(輸出比率1%未満)が、
21世紀1Qで「海外市場の基礎」ができ、
21世紀2Qは「海外なしでは成り立たなく」なる。
「海外なしで成り立たない」のは
フランスのワイン産業や英国のスコッチウイスキー産業と同じ、
とも言える。
ただ、日本酒が海外で伸びる上では、「潜在リスク」があると考える。
6項目を指摘したいが長くなるので、
今回は「その1」として、3項目を書きます。
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● 21世紀2Qは日本食レストラン数の伸びが止まる
21世紀1Qは、世界で日本食レストランの数が劇的に増えたクォーター。
日本酒輸出の成長は、日本食レストランの増加に支えられた。
輸出される日本酒の9割は、海外の日本食レストランで消費される。
農水省は海外の日本食レストラン数を公表している。(2年ごと)
■■ 「海外の日本食レストラン」の数、過去5回の公表値
2017年 11.8万軒(+42%)
2019年 15.6万軒(+32%)
2021年 15.9万軒(+2%)
2023年 18.7万軒(+18%)
2025年 18.1万軒(▲3%)
■■ 5年後?
2030年 20±1万軒(私の感覚的予測)
コロナ下でも増えてきたが、直近の2025年に初めて減少となった。
主因は中国の減少だが、
フランス、イタリア、台湾、ロシアなどでも減った。
▲中国:2023年7万8,700→2025年6万3,500
(▲1万5,200軒=▲19%の減少)
▲フランス:2023年4,680→2025年3,390
(▲1,290軒=▲28%の減少)
▲イタリア:2023年2,460→2025年2,160
(▲300軒=▲12%の減少)
アメリカでも2021→2023年に減少を経験している。
▲アメリカ:2021年2万9,000→2023年2万6,040
(▲約3,000軒=▲約10%の減少)
農水省の公表値は各国の公館やJETROの情報の集計で、
必ずしも一定基準ではないと思うし、
中国やフランスの減少数字が、日本食人気と相関しない可能性もあるが、
サチュレーションのフェーズに到達した国が出現していることがうかがえる。
これからは、日本食レストラン数の大きな伸びは期待できない。
すなわち、21世紀2Qは、
日本食レストラン数を日本酒輸出の原動力にはできない。
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● 「カントリーリスク」
:5大仕向け国(中・米・香港・韓・台)すべてが高い
日本酒の5大輸出国は中・米・香港・韓・台(金額順)で、
5か国で総輸出額の79%をしめる。
しかし、この5か国は、高「カントリーリスク」の国々でもある。
政治を語る知見はないので、以下に概略だけを述べる。
●中国(2025年の輸出金額1位、輸出量2位)
2023年8月、原発処理水放出にともない日本の水産物輸入禁止。
2025年11月、高市総理の台湾有事の国会答弁に対し、日本への渡航自粛要請。
2件とも、清酒輸出にも影響が出ている。
中国では2010年と2012年に全土で反日デモがあり、
現地日系企業に大きな被害があった。
●アメリカ(金額2位、量1位)
トランプ政権の高関税政策で、
2025年8月から清酒の関税は15%に。
円安もあって思ったより影響は少ないようだが、輸出のブレーキ要素になっている。
古い話だが、1980年代には日米貿易摩擦で、
暴徒が日本製自動車を壊すシーンが連日報道されたこともあった。
●香港(金額3位、量5位)
2014年の「黄色い雨傘運動」では影響がほぼなかったが、
2023年の原発処理水放出時の対応など、
中国に歩調を合わせる傾向が強まっている。
別の事情もあって、2022年以降4年連続の輸出金額減の状況。
●韓国(金額4位、量3位)
2020年のコロナの前のことなので今では印象が薄れたが、
2019年7月の日本製品不買運動はとても厳しい状況だった。
韓国向けの日本酒輸出量は、1/3以下まで落ち込んだ。
その後徐々に改善、2025年にようやく2018年レベル(3万石)に回復。
ただ韓国では、過去に何度も反日運動が起きている。
●台湾(金額5位、量4位)
現在はカントリーリスクが低い国といえるが、
最大の懸念は、いわゆる「台湾有事」。
次項で述べる「モンシノワ(中国世界)」の一員になる日が、
近未来にくるかもしれない。
「カントリーリスク」や「地政学リスク」が日常的な言葉になった。
日本酒の輸出でも、
順調だったビジネスが突然変わるリスクを考慮しなくてはならない。
■キリンがミャンマーのビール生産から撤退(2022年)
■ハイネケンとカールスバーグがロシアのビール生産から撤退(2022年)
というのも「カントリーリスク」の範疇である。
膨大な損失だったと思うが、
世界における企業の社会的責任として、自主撤退したものだった。
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● 「モンシノワ」(中国世界)依存度=約50%
フランスのシャンパーニュ協会では毎年輸出統計を公表している。
常連のTOP3は、1位アメリカ、2位英国、3位日本で、
以下、イタリア、ドイツ、、、などと国名が続くのだが、
ランキング上位に国名ではなく「Monde Chinois(モンシノワ・中国世界)」
というのが登場する。
中国+香港+台湾(書いていないがたぶんマカオも)を合算した数字で、
シャンパーニュ協会が中国に忖度しているのか?、、、と感じる。
「モンシノワ=中国+香港+マカオ+台湾」として、
清酒輸出におけるモンシノワ依存率を見てみよう。
■■ 清酒の全輸出金額にしめる
モンシノワ向け輸出金額の比率、過去5年の推移
(カッコ内は台湾を除いた、中国+香港+マカオの比率)
2021年 54%(50%)
2022年 50%(45%)
2023年 52%(46%)
2024年 45%(39%)
2025年 45%(40%)
5年をならすと、モンシノワ依存度=約50%。
2021年は、台湾なしでも50%であった。
中国は巨大市場で、
世界中の多くの産業・企業が中国なしではなりたくなっている。
清酒輸出でも中国向けが増えるのは必然ではあるが、
1つの顧客への依存度が高いことは、
あらゆるビジネスにとってリスクである。
また、以下のような事情も、中国独特のリスクと言えるだろう。
1)
中国では、1990年代に日本の技術指導などで清酒生産が始まり、
今では、「清酒・Sake」を生産している会社は10社以上と推定。
日本の定義では清酒とは言えないものも含め、
中国製の「清酒・Sake」は、中国国内やヨーロッパで流通している。
日本に「合成清酒」がある中では指弾しにくいが、
様々な製法や品質の清酒・Sakeが世界で流通することは、
日本酒のグローバル化にとってリスクと言える。
2)
中国では、ワイン市場の拡大に伴い、
数年前、ヨーロッパスタイルの本格的で大規模な「ワイン生産者」が続々とできた。
近年は、素晴らしいスコットランド製ポットスチルを持つ、
大規模な「ウイスキー生産者」が続々とできている。
近い将来、大規模で本格的な「清酒生産者」ができる可能性もあるかもしれない。
善し悪しの判断はしにくいが、
日本酒のグローバル化にとって、競合になりうるかもしれない。
※ 先日、「醸造用資材規格協議会」で、海外の日本酒市場について講演する機会があった。
本稿は、その講演のために取りまとめた最近の統計情報などを元に執筆したものです。
(以下、次号)
text = 喜多常夫
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さて、当社情報のご紹介です。
●▲■ ご紹介情報 その1:eアカデミー情報 ●▲■
お酒スタティスティクス
「日本酒vsフランスワイン、日本ウイスキーvsスコッチウイスキー」
https://www.kitasangyo.com/pdf/e-academy/osake-s/osake_s_2602.pdf
日本酒輸出金額は、フランスワイン輸出金額の2.3%相当。
日本ウイスキー輸出金額は、スコッチウイスキー輸出金額の4.3%相当。
今回のメルマガ本文に関係した内容です。
●▲■ ご紹介情報 その2 :アーカイブ情報 ●▲■
デザインレファレンスブック 「サケびん口クロージャ ZKシリーズ」
https://www.kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/DRB2025_ZK.pdf
清酒の720mlびんで、ZKシリーズの採用が増えています。
採用事例をまとめた、2025年版レファレンスブック(写真集)です。
●▲■ ご紹介商品 その3:ROOTS ディヴィジョン ●▲■
ルーツ機械研究所の缶ビール充填機「2+CAN」
https://www.kitasangyo.com/pdf/machine/2plusCAN.pdf
2ヘッド充填機と缶シーマーを組み合わせた卓上機
DO増加量=+100~150ppb
350ml缶と500ml缶の兼用が可能
一部の海外製ビール缶詰機と異なり、カウンタープレッシャ充填です
ルーツ機械研究所の缶ビール充填機「Beer Radix 6」
https://www.kitasangyo.com/pdf/machine/BR6.pdf
300~350cph、全自動、2ヘッド充填+2ヘッド缶シーマー
DO増加量=+50~100ppb
大手ビールの研究所での採用実績
クラフトビールでの小規模生産とラボ用
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https://kitasangyo.com/Archive/mlmg/BN_top.html
2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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https://ameblo.jp/kita-slow-blog/
2006年4月以来、きた産業のトピックスを写真で収録。
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