●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.52 ●▲■
    発行日:2004年 12月20日(月)
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:喜多産業株式会社 http://www.kitasangyo.com


------------------< 目 次 >------------------
●▲■ 「はいさい、沖縄にて泡盛見学記」
 ●「畢竟、製麹が、日本の酒の、鍵なるや」
 ▲「君知るや名酒泡盛」を改めてひも解く
 ■「びんの中でも熟成する(?)蒸留酒」

ご紹介アイテム●1▲ 汎用デザインのPPキャップ「泡盛」
ご紹介アイテム●2▲ 「アート150」「シャトー180」「ドレスII 」

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前回の「焼酎体験」に引き続き今回は「泡盛体験」を書きます。
沖縄の、H酒造の社長さんにご無理をお願いして、
泡盛つくりの作業を見せてもらいました。

●▲■ 「はいさい、沖縄にて泡盛つくり見学記」

http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/awamrmaking.htm


(タイトルの「はいさい」という言葉、よい響きです。
沖縄言葉で、こんにちは、やあ、といった意味。
H酒造社長さんがよく使われるのを引用させていただきました。)

体験は僅か半日でしたが、それでも実作業させていただいた。
中でもドラム製麹機の洗浄作業(資料写真参照)は、
ズボンまで汗びっしょりのハードな作業。印象的でした。

「泡盛は全麹仕込み、清酒や焼酎と違って麹だけで仕込む」、
とは、予習して知っていた知識ですが、
現場を見てこそ、なるほど、と理解できました。
麹だけで仕込んだモロミの味は、とても印象的。
黒麹由来のクエン酸(酸っぱさ)はこれほどか、と感心しました。

まさに百聞は一見にしかず、泡盛理解度が一気に深まりました。
H社長さん、教えてもらったAさんはじめ皆さん、
本当にありがとうございました。

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この一年で、清酒、焼酎、泡盛の製麹(せいぎく)工程を体験しました。
新潟(越後杜氏)、鹿児島(黒瀬杜氏)、そして今回の沖縄です。

麹(こうじ)も、米も、最終製品も違うのだから当然かもしれませんが、
蒸した米にアスペルギルス(麹)を増やす原理は同じ。
それなのに狭い日本でずいぶん方法が違うのは、個人的には驚きです。

清酒は、水平円盤式製麹機が普通なのに対し、
焼酎・泡盛では回転ドラム式が多いよう。
麹蓋式の式手作り製麹も、清酒と焼酎ではずいぶん流儀が違ったし、
室(むろ)の形式も、泡盛の三角屋根式や、焼酎の屋根裏部屋・筵式など、、、
ずいぶん豊富なバリエーションが健在なのに驚かされました。

歴史の中でずいぶん技術交流と淘汰があったろうに、
これだけのバリエーションが存在するのは、
やはり、それぞれに必然性があってのことだろう、、、

「畢竟(ひっきょう)、製麹が、日本の酒の、鍵なるや」、
と、いうのが個人的総括です。(つい、古い表現で言いたくなる心境。)

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さて前回に引き続き、菅間誠之助さんと坂口謹一郎さんの話を少々。

菅間誠之助さん(平成8年逝去):
泡盛とのかかわりはとても深い。
名前でインターネットから検索してみると、
「泡盛の技術指導と酒質向上のため本土復帰前から多大な尽力をされた」
「沖縄が大好きで、泡盛関係者の菅間門下生も多数に及ぶ」
「死んだら自分の灰を沖縄の海に撤いてほしいと言う程沖縄を愛した」
などの情報があった。

前回引用した菅間さん著の「焼酎のはなし」にも泡盛の話題が多い。
「廃藩置県まで泡盛つくりは琉球王朝の直轄事業であり、
 モロミを腐らせた職人は家財没収のうえ島流しにあった」
「泡盛製法は母から嫁へ受け継がれる女性伝来の秘法だった」
「明治41年には318(!)の泡盛メーカーがあった」(注:現在は48)
「黒糖焼酎以前(=戦前)の奄美では
 米焼酎と泡盛の中間のようなつくり方の酒があった」など、など。

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坂口謹一郎さん(平成6年逝去):
「君知るや名酒泡盛」というフレーズを
会社案内や製品パンフレットに引用している泡盛メーカーは実に多い。
(今回体験させていただいたS酒造さんも然り)

出典は、坂口謹一郎さんが沖縄の日本復帰前、
1970年に書かれた文のタイトル。坂口さんが、ゲーテの、
「君よ知るや南の国」を意識したかは知らないが、語感もよい。

当時まだ認知度の低かった「泡盛」について、
すぐれて特異な文化的歴史的背景を持つ、
非常にすばらしい酒であることをアピールしたものある。

今でこそ本格焼酎と並んで沖縄泡盛は全体には好調だが、
戦後は大変な苦難の時代であったはず。
逆境の当時、斯界の権威が発表したこの一文は、
関係者にとって我が意を得たり、快也たる文章であったに違いない。
それが今に至るまで多く引用され続けている所以だろう。

今回沖縄で泡盛体験の後、改めて坂口謹一郎全集で
「島国では、文化は海によって運ばれ、海によって隔離される」
で始まる、その一文を読み返してみた。

沖縄の文化・歴史的側面、そして科学的側面からも解説されているほか、
当時「日本で唯一古酒を尊ぶ酒である」ことについて、書かれている。

今でこそ「貯蔵」焼酎や「熟成」清酒も増えたが、
当時は泡盛のみが古酒(クース、と発音)を尊ぶ日本の酒類だった由。

今でも、泡盛の価格は、原料や醸造・蒸留プロセスより、
むしろ貯蔵(古酒かどうか)で決まる、と聞きました。


樽やタンクあるいは甕では、あらゆるお酒が熟成、あるいは変化する。
しかし、びん内で熟成するのは限られる。私の理解では、

●びんの中で熟成する酒:ワイン、清酒、ベルギービールの一部、、、
●びんの中では熟成しない酒:ウィスキー、ブランデー、ウォッカ、、、

という分類。通常、蒸留酒は、タンクや樽では熟成が進んでも、
ガラスびんに入れてしまうとそれ以上熟成しない。ストップする。
たとえばブランデーのV.S.O.を買って、何年か置いておいても
それは決してV.S.O.P.になったりはしない。

蒸留酒の範疇たる泡盛の場合も、
通常の市販のクースは、タンクや甕で熟成される。

が、びん製品で売られているクースのとろりとした味を味わってみると、
これをこのびんのままあと1年2年と置いておけば、
個人的感想としては、びん内でもさらに熟成しそうな感じがする。

焼酎類の熟成は一般的には、
「初期」(3〜6ヶ月、刺激臭の減少)、
「中期」(6ヶ月〜3年、香味の安定と丸みの増加)、
「古酒期」(3年以上、固有の香味形成)の3段階だそうである。
(醸協、94年、第89巻5号)

ちょっと調べた範囲では、泡盛のびん内熟成について、
明確に記載した文献はなかったのですが、
「びんに入れた状態でも古酒期の熟成が進む」
(=「蒸留酒にもかかわらずびん内熟成がある」)のであれば、
それは泡盛(焼酎も?)の非常な強みではないだろうか?
(この点、どなたかご存知の方教えてください。)

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長文になりますが、もう少々続けます。

クースについては、ご存知の「仕次ぎ(しつぎ)」という、
スペインのシェリーのソレラシステムに酷似した方式もある。
これは、私が昔作ったこの資料を見てください。(清酒で試してみた。)

●▲■ 「純米酒、ソレラシステム」
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Solera.htm


あと、坂口謹一郎さんが戦前沖縄で収集され、
東大で保存されていた麹で伝統的な泡盛が復活した、というエピソードも、
よく知られています。そのあたりは、下記に少し記載しています。

●▲■ 「お酒の温故知新、坂口謹一郎先生とのツーショット」
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Onkochishin.html


なお、泡盛に関しては近年、富永麻子さんが非常に精力的に取材され、
その紹介サイトは面白いので、下記に紹介しておきます。
http://www.awamoriya.com/content/asako/index.html


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さて、当社の商品ご紹介です。

●▲■ ご紹介アイテムその1:KKディビジョン ●▲■ 
汎用デザインのPPキャップ「泡盛」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/hanyoucap_Awamori.html
黒地に「泡盛」と印刷した汎用PPキャップ
●環境にやさしい、オールポリエステル塗装(ビニール系非使用)
●「妊娠中や授乳期の飲酒は、、、」の注意表示印刷あり。
●「PET貼りのライナー」(=TCAハイバリア)
ケース単位出荷可能。ぜひ、ご採用ください。


●▲■ ご紹介アイテムその2:K2ディビジョン ●▲■ 
「アート150びん」「シャトー180びん」「ドレスII 180びん」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/art150.htm
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/chateau180.htm
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/dress2.htm


泡盛、焼酎、清酒、ワインなどの差別化のパッケージに。
キャップは、マッシュルームコルク栓のほか、
スケルトン替栓、マキシキャップも適応しますので、
商品設計に自由度があります。
               (text:喜多常夫)

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