●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.70 ●▲■
発行日:2005年 12月2日(金)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:喜多産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
------------------< 目 次 >------------------
前々回に続き、お酒の俳句(その2)
●▲■ はいさい遠き国の米銘酒醸す <泡盛>
●▲■ 顔赤め寒夜のビール独逸人 <ビール>
●▲■ 新緑の蒸溜所伝記ささやくスワンネック <ウィスキー>
●▲■ 熱酒で一人暖取るミラノかな <燗酒>
(詠み人:喜多常夫、Gerry Melliwol、Sienna K.Emiri)
ご紹介アイテム●1▲「チタンのお酒用品」
ご紹介アイテム●2▲「TCWリンサーパージャ」
ご紹介アイテム●3▲「ビールとガス飲料の卓上充填機、BF III R」
(付録) 口直しに、一茶、芭蕉、子規、虚子など
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●▲■(沖縄で泡盛の仕込みを見せていただいたとき詠める)
美ら海や泡盛酌みてめでる月
(ちゅらうみや あわもりくみて めでるつき)
はいさい遠き国の米銘酒醸す
(はいさい とおきくにのこめ めいしゅかもす)
「泡盛」は夏の季語の由。春夏秋冬飲めども、確かに夏が似合う。
蒸留機からでてくる生まれたての泡盛は、
刺すような烈しさとともに、凛(りん)とした風格を感じる。
今の泡盛はまろやかだが、昔は喉越しの激しさがあったように思う。
学生時代に訪れた沖縄の美ら海(ちゅらうみ:美しい海の沖縄言葉)の
月夜の海岸で飲んだ初めての泡盛を思い出した。
夏祭りの晩、地元の若者に誘われるまま飲んだ一升壜泡盛だったが、
それはこんな感じだったように思う。
デジャヴのような感覚。
二句目の「はいさい」とは、沖縄言葉で「こんにちは」「やあ」といった意。
さわやかな響きの言葉である。
泡盛は、よく知られるようにタイ米でつくられる。
遠い国、タイの大地に実り、沖縄まで運ばれてきた砕米は、
さらさらとして、まるで沖縄の美しい海岸の砂のようだった。
沖縄の美しい砂浜、空、海を思うとそれだけで満ち足りて、
読み込むべき季語を思いつかない。
なんだか「おーいお茶」的俳句(季語なし許容)になってしまう。
「銘酒」の部分は
あまりにも有名な坂口謹一郎さんの「君知るや銘酒泡盛」から。
(余談ながら、日本醸造協会誌に9、10、11月と掲載された
「父 坂口謹一郎」「坂口謹一郎を歌で偲ぶ」は興味深い。ご一読あれ。)
●▲■(ある冬の日に地ビールの仕込みに立ち会って)
冬晴れにビール仕込みて夕焼ける
(ふゆばれに ビールしこみて ゆうやける)
顔赤め寒夜のビール独逸人
(かおあかめ かんやのビール ドイツじん)
晴れた冬の日、朝からヴァイツェンビールの仕込みに立ち会った。
ビールの仕込みは1日仕事である。
狭い地ビール醸造所で朝から夕方まで作業をするのはきつい。
やっと終わって外に出ると、すでに暮れなずむ夕暮れ。
丸一日の作業が、きれいな夕焼けを呼び寄せたよう。
ヴァイツェンビール(小麦のビール)、ヴァイスビアと聞くと、
私の場合、
何とはなしにドイツ人たちが冬に飲む光景を思いだす。
日本人が震えあがる寒さでも、
パブから街頭にはみだし、
中には半袖シャツ姿(嗚呼どんな感覚しとるんだといつも思う)で、
歓声を上げながら飲んでいる赤ら顔のドイツ人たちの姿。
●▲■(京都のウィスキー蒸留所を訪れたゲリー氏の詠める)
thousands of bottles,
filled with amber -
thousands of histories kept into
(琥珀満ち 歴史も満つる 壜幾千)
fresh green surrounds a distillery,
the swan-necks
like whispering biography
(新緑の蒸溜所 伝記ささやく スワンネック)
時々メルマガに投稿してもらうシアトル在住のゲリー。
彼から「最近KUKAI(句会)に出ている」と聞いていた。
彼とは去年春、サントリー山崎蒸溜所を見学した(メルマガ44号に詳しい)。
そのときのことを俳句にせよ、とミッションを送ったところ、
1時間後に返ってきた英語俳句2句。参考和訳は私。
山崎蒸溜所には、薬品壜のようなシンプルできれいな形の壜に、
過去に蒸留したさまざまなウィスキーが詰められ、
何千本も棚に並べて保管されている。
濃いもの、薄いものさまざまの琥珀色系の液体はとても美しく、神秘的。
壜の中に蒸溜所の歴史が封じ込められているよう。
スワンネックとは蒸溜釜(ポットスチル)の上の部分、
スワン(白鳥)のネック(首)のように優雅に曲がった形をしている。
蒸溜所に並ぶ、燻し色の銅製スワンネックは壮観である。
蒸溜所の谷は、ちょうど新緑の季節だった。
スワンネックを本物の鳥の首に見立てると、
まるで創業からのさまざまなエピソードをささやき合っているようだ。
●▲■(ミラノにて日本酒を想ふエミリ嬢の詠める)
熱酒で一人暖取るミラノかな
(あつさけで ひとりだんとる ミラノかな)
寿司バアの燗酒熱し耳つまむ
(すしバアの かんざけあつし みみつまむ)
当社PR誌「酒うつわ研究」のコラムを手伝っているシーナ・エミリ。
今はミラノにいる。酒がらみで一句頼む、
とメールしたら送られてきた日本語俳句。以下本人の弁。
「ミラノにはたくさんの日本レストランがあります。
寿司バアも大流行で、バイクの寿司ケータリングも出現。
日本酒も気軽に飲めます。」
「燗酒(メニューではHot Sake)を頼むと、文字通り「熱い酒」、
いや「熱すぎる酒」が出てきます。どういうわけかどのお店も熱すぎ。
徳利をもつと思わず耳たぶをさわる」
「しかし、コートの襟を立てても寒い年末のミラノの夜には
たとえ熱すぎでも燗酒は旨い。
一人飲む日本酒は心も体も温まる。
でもなんだか孤独も増幅させるなあ、という気持ちも詠みました。」
「ぬるめの燗を、とオーダーすると変な顔をされる。
上品なお燗の酒の旨さを知る身には「人肌燗」が恋しいです。」
イタリア人にも秋冬の日本酒はロマンチックなようである。
2回続いた俳句特集ですが、大賞はエミリ嬢に決ッ定〜、です。
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さて当社の商品ご紹介です。
●▲■ ご紹介アイテムその1:K2ディビジョン ●▲■
「チタンのお酒用品」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/package/titanic.htm
こんなものも販売しています!
チタン製のコップ、徳利、猪口など。ご照会ください!
●▲■ ご紹介アイテムその2:ROOTSディビジョン ●▲■
「TCWリンサーパージャ」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/rinserpurger.html
200台以上の出荷実績のあるベストセラーのマニュアルびんリンサー。
2本のびんを手で持って差し込むと、
水(5ミクロンフィルターつき)を噴出してびん底からリンスのあと、
エアまたは任意のガスでパージします。
びん内残留水の量は0.数ml程度に抑えられます。
●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■
「ビールとガス飲料の卓上充填機、BF III R」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/BF3R.html
全国の数多くの地ビール醸造所で利用されているほか、
最近は多くの研究所でも
ガス飲料のテスト充填にご採用いただいています。
カウンタプレッシャや飲料の圧力をセンサーで読み込んで
プロコンでデジタル処理して充填を制御しています。
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(付録)
前々号、本号と、つれづれの素人俳句で失礼しましたが、
口直しに(?)有名な詠み人の俳句をいくつかご紹介します。
(稲−清酒)
稲の波案山子も少し動きをり (正岡子規)
(ホップ−ビール)
雲膨れホップ蔓切る梯子急 (武良山生)
(ぶどう−ワイン)
黒きまで紫深き葡萄かな (正岡子規)
(そば−焼酎)
蕎麦はまだ花でもてなす山路かな(松尾芭蕉)
(りんご−シードル)
もぐときの林檎の重さ指先に(稲畑汀子)
(新酒)
杉の葉のぴんと戦(そよ)ぐや新酒樽(小林一茶)
(にごり酒)
老いの頬に紅潮(さ)すや濁り酒(高浜虚子)
お酒の原料に関する俳句、お酒自身の俳句を選んでみましたが、
これらはすべて秋から冬の句でした。
はや師走、まさに秋から冬へ移る季節。
今宵の一献が楽しみです。
(text:喜多常夫)
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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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