●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.85 ●▲■
    発行日:2006年 8月17日(木)
 ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com


------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 「台湾の地ビール事情 @2006年夏」
●▲■ 「台湾の日本酒事情  @2006年夏」

付録 ●▲台湾地ビール秘録?「解禁前のブリューパブたち」▲■
参考情報 ▲■台湾のマイクロ・ビール・ブルワリー一覧■●
                (text:喜多常夫)

ご紹介アイテム●1▲「Beer Radix」ビール缶詰め機
ご紹介アイテム●2▲「缶巻き締めのQC器具について」
ご紹介アイテム●3▲「ビールの王冠・マキシキャップ」脱酸素仕様もあり

末尾に記載→ ●▲■求人情報●▲■


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日本の地ビール解禁は1995年だったが、
台湾でも2002年のWTO加盟から「小規模ビール醸造」、
日本式に言えば「地ビール」が解禁になっている。

夏休みに台湾に行ったのだが、
解禁後5年目の台湾地ビールを飲んできたので、今回はその報告。


●▲■台湾地ビール一軒目:「デラックス・ビール(Deluxe Beerコ?寶)」

台北中心部の台北ドーム(漢字では「台北巨蛋」、言いえて妙)に直営パブがある。
アメリカの野球場併設ブリューパブより豪華。スポーツパブである。
バーカウンターのすぐ向こうに銅製のブリューケトルやワールプールが見える。

事前に調べた情報では、台湾は環境要求を厳しくしており、
オン・プレミス(醸造所併設)パブは、普通は当局が承認しないとのこと。

「台湾ではパブから見える醸造設備はほとんど飾り」、
と台湾人の知己(醸造設備屋さん)から聞いていたこともあるし、
ここもたぶん飾りだろうと思いつつ、意地悪のつもりで聞いてみた。

「あの設備でビールをつくってるの?」
すると、意外にも、
「勿論。それがうちのウリ」、との返事。

ホンマカイナ?!

内心は疑ったが、飲むと確かに醸造したての味、
泡持ちもよく極めてフレッシュであった。

ビールメニューは英文表記で、「Weiss」「Dunkel」「Gold Pils」の3種類。
300mlグラスで一杯180〜200NTD(\600〜700くらい)と高価。

3種類とも名前どおりの正調オリジナルスタイル。
(勝手な解釈のヴァイスやデュンケルではない、の意)
ピュアで、汚染やコンタミの気配は全くなし。
日本の一般的地ビールよりレベルが高いと思った。

評価は★★★

なお、デラックス・ビールは台北を中心に数店で飲めるほか、
会員直売もやっていて年間100Klくらいらしい。
www.deluxebeer.com.tw


●▲■台湾地ビール二軒目:「ルブレドール(Le Ble D'or 金色三麦)」

デラックス・ビールのある台北ドームの交差点斜め向かい、
横断歩道をL字型に渡ったところにIKEA家具がある。
(IKEAは日本にも最近できたが、スウェーデンのモダン家具の店)
その中庭にルブレドールの直営パブがある。

こちらはオフ・プレミス、
すなわち別の場所(醸造所)で造ったビールを運んでくるスタイル。

午後4時の開店直後に入ったのだが、
ロゴをプリントした黒いTシャツ姿の若いウェイター、ウェートレスたちが
予約ブックを見ながら次々テーブルに「Reserved」の札をおいていく。
よく流行っている様子。

メニューは漢字表記で「大麦」「小麦」「黒麦」の3種類。

それぞれ「ピルスナー」「ヘフェヴァイツェン」「デュンケル」とのことで
350mlジョッキで一杯150NTD(\500くらい)。
徒歩3分のデラックス・ビールと比べると、
種類は真っ向タメを張り、量は50ml多くて、価格は少し割安。

ハハーン、量が多くて値段も安いから圧勝なのかな、
と思いつつ、ビールを順次試す。

ウーン、、、
悪くはないが、味はどれもデラックス・ビールの勝ち。
フレッシュさに欠ける。オフ・プレミスゆえか。

評価は★★

ルブレドールは、台北近郊を中心に数店で飲めるほか、
ちょうど台中でも飲める店がオープンした、とのこと。

www.lebledor.com.tw

●▲■大手との比較:「台湾ビール(Taiwan Beer台湾?酒)」

台湾?酒は、WTO加盟までは独占企業だったビールで、
今なお台湾のほとんどのシェアを押さえている。

地ビールと比べて「台湾?酒」はどうか。中華レストランで試してみた。

私が入ったお店の場合、「レギュラー」と「生」があり、
600ml壜(リユース壜)で、どちらも50NTD。
地ビールの1/3、いや容量を考えると1/6の価格で、
圧倒的パフォーマンスである。

日付を見ると、製造後1ヶ月あまり。
フムフム、フレッシュローテーションも出来ておるわい、
原材料は、日本大手ビールと同じく麦芽、ホップ、米、
まあ、典型的アメリカンラガータイプだろうな、
と思いつつ飲んでみると、、、

これが結構、キツイ。
素人の感想だが、ハッキリと良くないように感じた。

パソコンでは圧倒的競争力で世界市場を席巻する、
自由主義の国の商品とは思えない出来ばえ。

評価は、★

競争の無い独占企業だった故だろうか。
これだと上海や北京のビールに負けちゃうよ、
いや案外、
故に台湾地ビールの将来は明るいのかもしれないぞ!

と思ったが、街には日本大手ビールがあふれている。
日本のビールの将来の方が明るいのかもしれない。。。


詳しくは下記の写真資料を参照ください。
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/Taiwan_2006.pdf

●▲■「台湾の日本酒事情 @2006夏」●▲■

上記資料の下半分には「台湾のジャパニーズサケ」と題して
■ホテルの部屋の冷蔵庫には「日本酒」、
■デパ地下フードコートでは持ち込み「カップ酒」、
■人気の日式(日本)レストランにはワインリストならぬ「地酒リスト」
を写真で紹介しています。

コンビニ(セブンイレブンやファミマの密度は日本以上)では
必ず日本酒とおでんがおいてあるのもうれしい。

「和民」や「白木屋」など日本の居酒屋チェーンもあれば
地元経営の寿司レストラン、ヌーベルジャパニーズも多い。

欧米では韓国人や中国人経営の
「似非なる」ジャパニーズレストランが急増する中で、
台湾は「日本的」ジャパニーズレストランが多いように感じた。

「日本酒党」あるいは「燗酒おでん党」の諸姉・諸兄には、
秋冬の台湾がとてもいいのではないか。温泉も沢山あるし。

周知のとおり、台湾はアメリカに次ぐ第2の清酒輸出相手国である。
「台湾の日本酒は安売り競争が激化して大変」との声も聞いているが、
これからも楽しみなマーケットであると思った。

いっそ、「小規模ビール醸造所」ならぬ
「小規模サケ醸造所」を台北中心部につくるのもいいのではないだろうか。


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付録 ●▲台湾地ビール秘録?「解禁前のブリューパブたち」▲■

資料によれば、
台湾でビールが始めて飲まれたのは日本統治時代(1895〜1945年)の初頭、
最初のビール醸造所は1919年に日本人が作った高砂麦酒株式会社とのこと。

比較のために記すと、日本の最初のビール醸造所は
1869年に横浜にアメリカ人コープランドが作ったもの、
日本人の手になる札幌開拓使醸造所は1876年。

一方、メインランド中国でのビール醸造所設立の歴史は、
ハルピンに1900年、チンタオに1903年、上海に1915年とのこと。
以上はロシア、英・独、スカンジナビアの外国資本の設立で、
国営の最初は北京で1915年。*
(* "An Introduction to the Beer Business in China"
IBD Asia Pacific 2006, by L. Zhou, K. Nakatani, Suntory Breweries)

さて、台湾のビールに話をもどすと、
日本統治が終わり、蒋介石の時代になって、
多くの企業が国民党政府の国有化・専売制に組み入れられたが、
高砂麦酒もその一環で接収され、政府専売になった。

日本でタバコや塩が専売だった時代は記憶から遠ざかりつつあるが、
台湾では実に半世紀以上、21世紀にいたるまで
酒類はTTL(=台湾タバコ・リカー公社)1社のモノポリーが続いた。
台湾製ビールは「台湾?酒」だけであったのである。

しかしついに2002年、台湾のWTO(世界貿易機関)加盟で、
ビール製造も自由化され地ビール(マイクロ・ブルワリー)も可能になった、
というのが「公式な歴史」である。


一方、台湾地ビールの歴史には「秘話」がある。

時代は1990年代後半。
あまり知られていないかもしれないが、日本の地ビールに
醸造設備を供給していたアメリカやイギリスの設備メーカーの中には、
実はタンクやステンレス部品を台湾で生産しているところがあった。

銘板には米英のメーカー名が書いてあるが、
実はmade in Taiwanのタンクやブリューハウス(釜)、という具合。

台湾に行けば判るが、水道水貯蔵用に一軒に1個、
屋上にステンレスタンクを設置している個人住宅が極めて多い。
台湾全土では膨大な数のステンレスタンク需要があることになる。
そんな関係かどうかは知らないが、台湾ではステンレス製品が安い。

アメリカではクラフトビールブームの初期、90年代初め、
ドイツ経由で東欧(チェコやハンガリー)の醸造設備を調達する例が多かったが、
その後90年代後半に一部が台湾製にシフトしてきた、
ちょうどその頃日本で地ビール解禁になった、という感じだと思う。

私は1999年に2度、台湾を訪れたことがある。
当社の得意なビール充填機の台湾への販売の可能性も探るべく、
また一方では、台湾製のタンクやビール設備の日本導入にも興味を持っていた。
ブリューパブ(ビール醸造所併設パブ)事業を計画する人や、
台湾のステンレス設備業者を訪問したのである。

その時、1999年はまだ小規模醸造解禁前であるが、
驚くべきことに台湾にはすでにブリューパブが存在していた。
私が実際に訪問したのは台北で2箇所、台中の1箇所。
別に高雄にも1軒ある、といっていた。

当時から台湾は、
「99年中にはWTOに加盟する」「少なくとも2000年には加盟」
などとまことしやかに語られていた。
ビジネスに敏感な人が、解禁になったら即醸造を開始できるように、
という名目で設備をそろえたらしい。

中国に対する潜在的脅威感から、台湾では北米に留学する人が多く、
アメリカのブリューパブの成功を目の当たりにした人が多いことも背景であろう。


ところが、醸造設備を入れてみたものの、なかなかWTOに加盟しない。
痺れを切らして、
ちょっとビールを造ってみよう、
個人用ならいいだろう、
少しくらいなら客にも出してしまえ、
あっちの店では作ったらしいうちもやってみよう、、、
といった具合で、
競い合うように醸造設備を備えたパブがビールを作り始めたらしい。

台北の2箇所のうち、1軒はベルギーコンセプトの店だった。
カウンターの向こうに北米製と思しき醸造釜やタンクが並んでいる。
「自家製ビールのメニューを見せてよ」、と頼むと、
「造っていない、醸造釜は飾り」と、そっけない返事。
案内してくれた台湾人によると、
「自家製ビールが飲めると聞いていたのだが、、、
一見(いちげん)客はだめなのかな」との事だった。
「ベルギーのビール」というのを飲んだが、実は自家製だったのかもしれない。

台北のもう1軒にいくと、
ガラス越しにタンクは見えるけれど、閉まっていた。
後で聞いたところによれば、直前に摘発された!ということ。

台中の1件はマンションの部屋をぶち抜いて、
イギリスの醸造設備をおいていた。
オーナーによれば、練習のために時々醸造している、とのことであった。

「台湾式」と言っていいのかどうかわからないが、
なんとも驚くべき見切り発車である。

かくのごとき「解禁前のブリューパブたち」が台湾にあったことを、
ここに記録しておこう。


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参考情報 ▲■台湾のマイクロ・ビール・ブルワリー一覧■●

インターネット情報や台湾人関係者に聞いた範囲では、
デラックス・ビール、ルブレドール以外のマイクロ・ブルワリーには、
下記のようなものがある。


●Taiwan Micro Brew Company:最初に参入したマイクロ・ブルワリー。
契約パブでの販売のほか、コンビニのセブンイレブンでオーダーすると、
ハーフガロン(1.9リットル)びんで届けてくれる。

●North Taiwan Brewery:台湾で唯一330mlびんを販売。
ただ小売はせず、24本以上の単位でホテルやレストランに直販。

●Great Reliance:自社のタイフードレストランを中心に販売。
ビールの評価は高い。

●Today's Beer:フランチャイズ方式で台湾名物「夜市」で売ることを計画。
注文を受けて配達(直販)する方式。

どれも販売ルートに工夫していることが窺える。
5年目の台湾地ビール。これからどうなるか楽しみである。
                       (text:喜多常夫)

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さて当社商品のご紹介です。


●▲■ ご紹介アイテムその1:ROOTSディビジョン ●▲■
「Beer Radix」ビール缶詰め機
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/B_RADIX.html


全国の地ビール醸造所や研究所で十数台の採用実績のある、
ビール缶詰機械です。

250cphと低速ですが、
缶供給と製品取り出しまでワンマンオペレーションが可能。

液体窒素滴下装置、ヘパフィルター、インクジェットなど
ご要請に応じた仕様が可能です。
小規模生産や研究目的の缶詰設備に関してはお任せください。


●▲■ ご紹介アイテムその2:ROOTSディビジョン ●▲■
「缶巻き締めのQC器具について」
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/machine/QC_Wseaming.pdf


缶巻き締めの品質管理器具一覧です。

●▲■ ご紹介アイテムその3:ROOTSディビジョン ●▲■
「ビールの王冠・マキシキャップ」脱酸素仕様もあり
http://www.kitasangyo.com/Products/Data/closure/O2_Scavenger.htm

資材在庫の圧縮に、
また、シェルフライフの改善に、ご検討ください。
ケース単位出荷が可能です。

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   ●▲■求人情報●▲■
      きた産業では求人を行っています。
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