●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.95 ●▲■
発行日:2007年 2月14日(水)
■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■
発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com
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●▲■酒米「山田錦」の長い歩み (後編)
(text:入江経明)
ご紹介情報●1▲「一升壜の王冠(冠頭・替栓)の打栓管理について」
ご紹介情報●2▲「PPキャップの巻き締め管理:シーマー調整編」
ご紹介情報●3▲「27mm王冠の打栓管理について」
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「山田錦」は大正12年(1923年)生まれ、今年84歳。
山あり谷ありですが、お酒のために本当によく頑張っているお米です。
前号に引き続き、「酒米「山田錦」の長い歩み (後編)」です。
●■速醸系酒母の普及●■
速醸系酒母の普及も山田錦には逆風だったと思います。
10℃以下で蒸米を溶かさ(糖化)なければならない生もと、山廃もとに対して
20℃前後で溶かす速醸酒母、
さらには55℃前後で溶かす高温糖化酒母では
低温でも良く溶ける山田錦を必要としませんでした。
当時灘酒研究会でも理論派として知られたD氏の
「うちの会社では山田錦を掛け米に使用してそれなりに効果を上げている」
という言葉が今でも頭に残っています。
●■使い慣れた米がいい●■
この間酒米試験地では山田錦と同等或いはそれ以上の品質で
しかも栽培しやすい酒米の育種に努めています。
山田錦よりも短稈で多収穫の改良山田錦、
より大粒で心白が大きい兵系酒18号、
大粒短稈耐病多収を育種目標にした、なだひかり等を
世に出しましたが残念ながら大成しませんでした。
それはどうも栽培の難易度或いは品質だけでの問題ではなかったように思われま
す。
農家はより作り易いものをより高価に、
酒造家はより品質の良いものをより安く
という思惑が交差して相容れなかったように思います。
これら新品種に対する品質評価試験は灘の各社で行われましたが
その結果は各社バラバラで一定せず
同じ会社でも技術者と杜氏とでも評価が異なる事もあったようで
当時の酒米試験地の育種家を悩ませたようです。
このあたりの機微を現育種家の皆さんは
兵庫県農水技術総合センター研究報告(農業編)第53号(平成17年)の中で
「食料統制の強化は山田錦が麹評価される絶好の機会を得る契機となった。
酒造りは使い慣れた米が求められ、
それまで使っていた品種以外の米は敬遠される。
そのため特に新品種は、その酒造特性を評価されるチャンスが少ない。
山田錦については、このような戦時下という特殊な状況が、
その酒造適正を開花させ、普及拡大の後押しになったと考えられる(原文)」
と率直に述べられています。
酒造技術者として大変耳の痛い話です。
もっとも昭和51年には酒米の品質を客観的に
数値で定めようとする全国酒米研究会が発足し今も活動していますが。
●■昭和60年〜平成10年ころ、吟醸酒につれて●■
再び山田錦が増産に転じたのは昭和61年以降です。
多用途利用米制度が発足して山田錦の生産枠が広げられた事、
改めて山田錦の品質が見直された事、
好景気に支えられて高級酒の消費が伸びた事等々が考えられます。
この頃から全国新酒鑑評会では消費者の観点に立って、
飲んで美味しいもの、ふくらみのある吟醸酒が評価されるようになりました。
山田錦のチャンス到来です。
今では山田錦とそれ以外の酒米で造ったものとは区別して審査されています。
個性的な吟醸酒を見出すのが目的のようですが
最初から勝負ありきの感じがしないわけではありません。
主催者の酒類総合研究所理事長の審査講評を見ると今年は
「山田錦以外の米を使用した区分は
ふくらみのある山田錦の区分とは異なり、
すっきりとした切れの良いタイプになる傾向にある」
とあります。昨年も同じようなコメントが出されていました。
ちなみに今年の金賞受賞酒253点のうち山田錦以外は19点です。
この様にして平成10年には山田錦の作付面積は全国で6000haまで回復しました。
●■山田錦の特徴●■
山田錦の蒸米の最大の特徴は
空気中に長時間さらしても内部が硬化(老化)しにくい事、
低温でも良く溶ける事の2点と私は考えています。
高い吟醸香を出すには高グルクアミラーゼ力価と低温発酵が不可欠です。
吟醸麹は最小の菌糸で最大の酵素活性を持たせなければなりません。
菌糸はビタミン、不飽和脂肪酸を含み酒質を損ないます。
そのためには蒸米表面の菌糸の生育を出来るだけ押さえて
内部に食い込ませなければなりません。
中心部まで食い込ませるためには蒸米内部はいつまでも軟らかい状態が必要で
す。
心白がつくる蒸米の割れ目も菌糸の内部食い込みを助長しています。
そして低温でも良く溶ける山田錦は
高酵素活性のもとで高い香りとふくらみのある味をもたらしてくれます。
●■平成10年〜現在●■
ところが残念な事に平成10年台に入って再々度減少し始めました。
主因は清酒の客離れでしょう。
平成10年と17年を比較して清酒の課税出荷量の減少率は28%で
全国の酒米作付面積の減少率28%と一致しています。
全体的に落ち込む中で平成17年の山田錦の作付面積は4781ha(減少率20%)、
五百万石4324ha(同37%)に比べて逆転健闘しています。
山田錦の真の良さが消費者に広く認知されてきたためでしょう。
三木市の近くに明石鯛で有名な明石市があります。
あるお寿司屋さんで板前さんに
「天然ものと養殖ものとで味の違いが素人にも判りますか」
と愚問を発したところ
「腕の良い板前に当れば判る」
との事でした。
●■山田錦に適した製麹●■
山田錦は麹室での無通風製麹が基本で製麹操作には熟練を要します。
腕の良い熟練した蔵人は高齢化し後継者もあまり期待できません。
無通風の機械製麹機がありますが麹層を薄くしなければならず
通風製麹機の5倍程度の床面積が必要でかなり大掛かりなものになります。
そこでコンパクトな製麹機が出来ないかと考え思いついたのが
風を通さずに蒸米を通す?方法です。
発想の逆転です。
既存のコンベア式や円盤式とは異なる構成で
回転ドラム等に蒸米を入れて空調された空気を送りながら
連続的に回転流動させて製麹しようというものです。
中に蒸米を連続的に流動させて
製麹しようというものです。
蒸米同士を絶え間なくすり合わせて
はたして菌糸が生えるかという素朴な疑問ですが、見事に生えてきました。
すり合わせて千切れるような菌糸は最初から生えないようです。
乾燥空気中で蒸米は均一に乾燥してくれます。
現在K社とタイアップして 実用化に向け試作中です。
山田錦の故郷であり全国の8割を生産する兵庫県では
山田錦の減少に強い危機感を持っていて
高級酒だけでなく普段飲むお酒にも活用して欲しいと願っています。
そのためにも是非完成させたいと考えています。
●■山田錦を食べてみる!●■
三木市に隣接するそろばんの町小野市では
山田錦でパンを作って好評です。せんべいも追加されました。
そこで良い酒米は食べても美味しいと昔の人が言った事を思い出して
多くの関係者に聞いてみました。
答えは食べた事がない、軟らかすぎて不味いと聞いている、でした。
それでは試してみようと近くの農協から玄米を手に入れ
無人精米機で飯米用に精米しました。
炊き上がったご飯は透き通るような白さで表面は少し軟らか目でしたが
内部は腰があって噛み応えがあり旨みが感じられ
冷やして1日置いても弾力性は変わりませんでした。
炊き方に一工夫いると思いますが、ひょっとするとプレミア米として
高級寿司米などに使えそうです。
世に知られた山田錦ブランドをお酒だけに限らずもっともっと広げたいもので
す。
最後に山田錦についていろいろと教えて頂き資料も提供して頂いた
酒米試験地の池上勝主任、
そして山田錦を手配して頂いた
JA兵庫みらい三木営農センター営農販売課の藤原浩一課長に深謝します。
text:入江経明 (大手酒造メーカーの技術担当部長を経て、
現在は清酒製造の指導やコンサルティングをおこなう。三木市在住。)
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さて、当社の情報や商品の紹介です。
今回は、当社ウェブサイトの「e-アカデミー」から、
キャップの管理に関する情報です。
●▲■ ご紹介情報その1:K2ディビジョン ●▲■
「一升壜の王冠(冠頭・替栓)の打栓管理について」
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/capping/KT_KK_capping_ed02.pdf
●▲■ ご紹介情報その2:K2ディビジョン ●▲■
「PPキャップの巻き締め管理:シーマー調整編」
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/PPmakijime_S.pdf
●▲■ ご紹介情報情報その3:K2ディビジョン ●▲■
「27mm王冠の打栓管理について」
http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/CR27_Capping.pdf
王冠・キャップに関することなら、当社にお問い合わせください。
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