●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.134 ●▲■
     発行日:2009年 12月25日(金)
  ■アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com

 

------------------< 目 次 >------------------

  年の瀬のご挨拶。それに、2009年の○と×

 ●▲■ ○その1「0.00%ビール」 ●▲■
  ●▲■ ○その2「発泡清酒というジャンル」 ●▲■
  ●▲■ ○その3「清酒の輸出が堅調」 ●▲■
(韓国は台湾をイッキ抜きして2位。アメリカの半分に到達)

 ●▲■ ×「お酒の安値傾向激化」 ●▲■
(一般公表とは異なる消費者物価指数と食料自給率がある)

               (text = 喜多常夫)

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(付録)ワイン関係の皆さんに:モンペリエSITEVI展示会報告

 

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今年も押し詰まりました。
暮れのご挨拶を申し上げます。

 http://www.kitasangyo.com/2010message/message_2010.html
(↑「クリスマス&年賀のカード、それに年末年始の休日のご案内」)

      
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さて、年末恒例の「2009年の○と×」、
お酒・アルコール飲料業界の2009年を振り返って、
○(良かったこと)と×(悪かったこと)を書きます。

 

●▲■ ○その1「0.00%ビール」 ●▲■

メルマガvol.124で、
   「発泡酒」、「第三のビール」の開発動機は、
   酒税を節約し価格を安くすることであって、
   清酒における「三増酒」、「合成酒」とは意図が異なる。
   けれども、結果として出来上がった商品は、
   戦前から戦中に開発された、
   清酒代替え品の「三増酒」、「合成酒」に似ている。
と、書きました。

2009年の総計はもうすぐ公表されるでしょうが、
   「ビール」は数%減
   「発泡酒」は十数%減
   「第三のビール」は20%にちかい十数%増
   3つのジャンル合計では数%の減
というのが概ねの数字のはず。

2001年から「発泡酒」、2003年から「第三のビール(新ジャンル)」、
という低価格代替えジャンルを生み出したことは、
日本のビール業界百年の計でみると、
恐縮ながら、×(バツ)だったのではないかと感じます。

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しかし、2009年にキリンさんが出した「アルコール0.00%」は、
新コンセプトとして○(マル)だと思います。
酒税がないので、税務署の方には怒られそうですが。

従来のノンアルコールビールには、
1%未満の、0.5%くらいはアルコールが入っていたのが、
完全にゼロ、というコンセプトは
新需要を生み出したようで大変売れているそう。

(2年ほど前に、「こどもびいる」「よい子のびいる」なんていう
完全ゼロ%のビール風飲料がブレークしましたが、
大人のファンもいたそうです。予兆だったのか?)

キリンさんに引き続き3社も速攻で同ジャンルの商品を出して、
「0.00%」は4社合計で今年450〜470万ケースくらいだそう。
発売時期が4月だったので、通年に換算すればさらに多い。

「ビール」「発泡酒」「第三のビール」の4社合計は、
ざっと4億6,000万ケースなので、
すでに「アルコール0.00%」はいっきに1%以上をしめる状況です。

日本のビール業界百年の計でみて、
「アルコール0.00%」は2009年の○(マル)だと思います。

 

●▲■ ○その2「発泡清酒というジャンル」 ●▲■

今月初め、フランスの地方出張で、
割烹、あるいは小料理屋とでも呼びたくなるような
感じのいい日本食レストランで食事をしました。

メニューはフレンチ食材を取り入れた懐石。

そのお店の「ワイン・お酒メニュー」のなかの
「ぺティアン(ガス入り)」の部に、シャンパーニュと並んで、
日本のスパークリング清酒が載っていて、
「ああ、ここまできたなあ」と思いました。

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スパークリング清酒、発泡清酒は、毀誉褒貶(きよほうへん)、
すなわちほめる人もけなす人もあるとは思いますが、
日本酒の国際化には欠かせないように思います。

現在の清酒の輸出は6.5万石程度(石:古い単位ですいません)、
うちスパークリングは数百石程度(1%くらい)と推定しています。

一方、フランスのワインの世界への輸出のうち、
スティル(ガスなしのワイン)と
スパークリング(シャンパーニュやヴァン・ムスー)の比率は9:1。
この比率は豊かなワイン消費、ワイン文化にとって重要だと思います。

日本酒も、30年くらい先には、
発泡清酒の割合が輸出全体の5〜10%になることが、
サケの国際化には大変有効ではないかと考えます。

御存じのとおり日本国内でも一定の市場ができつつあります。
発泡清酒、というジャンルが清酒の中で確立されつつあるのは、
2009年の○(マル)だと思います。
 

 

●▲■ ○その3「清酒の輸出が堅調」 ●▲■

リ―マンショックで、
需要が半減以下になった生産物、輸出品は珍しくありません。

21世紀に入って8年連続で順調に伸びてきた清酒の輸出も
大幅な減少局面になるのではないかと心配しました。

しかし直近の情報、
2009年1〜10月の財務省貿易統計で清酒輸出を見ると、
前年同期比で数量5.8%減、金額10.6%減に「とどまって」いて、
個人的には「予想外に堅調」と感じています。

たとえばフランスワインの輸出について、
2009年1〜6月のデータがあるのですが、
数量で12.3%減、金額で26.1%減。
同時期の清酒は数量で6.7%減、金額で11.3%減。
ジャパニーズサケのダメージは、フランスワインの半分以下。

一方、焼酎の輸出は残念ながら、
2009年1〜10月の財務省貿易統計で見ると、
数量14.4%減、金額18.7%減と、清酒に比べて厳しい。

(韓国のSOJU(焼酎)輸出がどの程度のダメージか、
ジャパニーズ焼酎との比較のために調べようとしましたが、
韓国サイトは難しくて力及ばず、で不明です。)

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ただ、清酒が予想外に堅調といっても、
国によって相当開きがあって、
清酒輸出の3割を占める最大市場のアメリカでは、
2009年1〜10月で数量9.6%減、金額17.6%減と厳しい。
高級日本食レストランが人気を牽引していた反動もあるでしょう。

一方、韓国は、
2009年1〜10月で数量26.6%増!、金額25.0%増!と大幅増。
韓国は2008年に輸出先世界3位だったのが、
台湾をイッキ抜きして今や2位。アメリカの約半分の量に到達。

それに4位の香港も好調です。
(米国、韓国、台湾、香港が清酒輸出TOP4。これで全体の2/3)

国によって差はあるけれど、世界全体としてみて、
日本食と日本酒の人気が不景気の中でも底固かったことは、
2009年の○(マル)だと思います。

 

 

●▲■ ×「お酒の安値傾向激化」 ●▲■

デフレの悪影響は大きかった。

秋に沖縄旅行に行った人から、
「泡盛の一升壜が2本紐でまとめてで1,000円で売っていた」
という話を聞きました。

PBワインのフルボトルは、
トップバリュで498円、ドンキホーテは398円。

ビール系飲料は、一番安価な「第三のビール」だけが伸びるし、
単式蒸留焼酎も、全体の伸びが止まるのと、甲乙混和との競合で、
価格競争の潜在条件ができつつある。

大手居酒屋チェーンでは競って、
料理もお酒も300円程度のメニュー展開を拡大しています。

清酒については、前回のメルマガでシーナ・エミリが、
NBの2L紙パックの価格競争や、
890円の2L紙パックPBについて書いていましたが、
御存じの方も多いと思いますが690円の2L紙パックPBもあります。
また、3L紙パックで1000円を切る清酒もあるそうです。

今では夢のような話ですが、
2008年にビールや焼酎の大部分は値上げした。
一方、清酒はほとんど価格据え置きにしたうえに、
2009年のこの競争激化。

流通もメーカーもサービス業も、特に大企業は、
骨身を削って、(出血までしながら?)
安値で需要を喚起する、まさに消耗戦の様相。

特に清酒業界はすでに10年以上消耗戦を続けているわけですが、
価格競争はますます厳しくなる。

このデフレ状況は2009年最大の×(バツ)です。
責任者でてこーい、の漫才が懐かしい。。。状況ですね。

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 「10月の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除いて2.2%低下。
   3年ぶりに緩やかなデフレ状況」
というのが、報道されたデフレに関する最近の政府見解。

2.2%は実感からは少なすぎないか、と思いますが、
  「CPIの統計には特売品や格安PBは含まれない」
と、新聞に注釈がでていました。

NB清酒やNBビール類の特売、
清酒、ワイン、ビールなどの格安PB商品は、
物価統計に反映されないようですね。

我々消費者は、特に食品や飲料、衣料品については、
特売や格安PBで多くの買い物を済ませているわけで、
この1年間でずいぶん価格は安くなったと実感します。

政府発表の統計ではわずか「数%」の値下がりですが、
実は「二桁%」値下がりが実態なのでしょう。

 

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似た話を一つ。
  「日本の食糧自給率は40%、世界的に極めて低い」
というのはよく聞く話。

これは「カロリーベースの自給率」というのは知っていましたが、
  「カロリーベースで統計を出しているのは世界で日本と韓国だけ。
   日本で公表されている各国の数字は農水省が独自に計算している」
というのは知りませんでした。

日本の農水省のホームページを見ると、
世界比較のデータははるか昔の2003年で止まっていて、
   日本40%、イギリス70%、フランス122%、アメリカ128%
などと書いています。
で、欄外をよく見ると確かに「日本以外は農林水産省で試算」と書いてある。
(いったいどんな複雑な計算方法で世界各国の試算するのか、
そんな試算作業は「仕分け」対象になりそう。。。)

一方、金額ベースでは日本の食料自給率は
2003年が70%、2008年速報値で65%だそう。

諸外国はどうかと探しましたがそもそもそんな統計はあまりないらしく、
イギリスの環境・食糧・農業省の統計(金額ベース)のみ見つけたのですが、
2003年63.6%、2008年60.3%と書いてありました。

すなわち金額ベースだと、
日本の食料自給率はイギリスより高いことになります。

統計の取り方や条件はそれぞれ正当な意味があるのでしょうが、
消費者物価指数にしろ食料自給率にしろ、
公表値とは異なる数字も存在することを再認識すべきだなあと思いました。

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話がややそれましたが、以上、年末恒例の「2009年の○と×」でした。

 

なお、○(マル)×(バツ)以外に「!」も記録しておくと、
キリンさんとサントリーさんの経営統合のニュースが、
間違えなく2009年最大の「!」(ビックリ)ですね。

まだ公正取引委員会の正式認可は出ていないようですが、
日本どころか、世界にとって大きなインパクトがあります。

2010年はもっとすごい「!」(ビックリ)があるのでしょうか。

 

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最後に短く、2009年の会社の○と、個人的○。

 

●▲■ きた産業の会社的○

「酒王冠博物館」を開設できたことは、2009年の○でした。
   http://www.kitasangyo.com/museo/museo.html

「Museo Vetulus Sak? Futa」はイタリア語、ラテン語、日本語のミックス。
1930〜1980年の全国のお酒の王冠の展示です。

既に見たことのある方も再度クリックしてみてください。
京都、兵庫、鹿児島など、NEW!と表示している約20県について、
古い王冠そのものの写真も加えるなど、12月に入って展示を増強しています。

 

●▲■ 2009年の個人的○(と×)

この数年、いつまでもお酒を飲み続けられるように、
年間100日の飲まない日、(週に2日飲まない計算)を心がけていますが、
2009年もめでたく100日を達成したことが個人的○。

でも、これには重大な欠陥があって、飲む日には飲みすぎてしまうのが×。

この一年間にこんなに飲んでしまった、という、
清酒、焼酎、ビール、スパークリングワインの「メタルキャップ」
   http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/metal_closures.pdf

当社は、基本的にメタル(金属)キャップ製造業なので、
自社製、他社製をとわず飲んだ酒の金属蓋を一年間集めてみた次第。

写真にはゆうに400個以上あるが、これ以外に自宅以外で飲む。
それに、ワインを飲んでもコルク栓はメタルキャップに入らない。
すなわち、飲む日には1回平均2個以上のキャップや栓を開けている。

2010年はもう少し肝臓をいたわろう。。。

 

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 (むすび)

 わが王冠・キャップ業界の実態は極めて厳しい。
  ご記憶の方も多いと思うけれど、業界中堅のN社が破産した。
  また、2009年に自主廃業された同業者もあるし、
  休日を設けて雇用調整助成金をもらう同業者もいる。

 キャップの主原料であるアルミは、
  来年の第1四半期の値上がりが確定しているし、
  2010年は極めて厳しい一年になりそうです。

 けれど、逆風に負けず、
  よりすぐれた製品品質、付加価値の高い提案で、
  お役に立つよう精進します。

 今年もお世話になりました。
  2010年もなにとぞ宜しくお願いいたします。
      

      きた産業株式会社 代表取締役 喜多常夫

 

 

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(付録)ワイン関係の皆さんに:モンペリエSITEVI展示会報告

  http://blog.goo.ne.jp/kita-slow_blog

直近3回分のブログが、モンペリエSITEVI展示会とフランス情報、
その前が、11月21日の広島のASEV Japanのブログです。

<リンゴの蒸留酒「カルバドスAOC」の蒸留機>
<ブドウ畑は石ころだらけだった>
<サヴェールの新製品、「エッチ・ドーゾ」、、、意味深>
<「通常環境で醸造」vs「不活性ガス環境下で醸造」の試飲>

など、写真でご覧ください。

 

 

 

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