●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.291(メルマガ20周年)●▲■

発行日:2022年5月25日(水)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■

発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com



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  「きた産業 メルマガ」を始めたのが2002年5月なので、
        今号・291号で、まる20年。
 気ままな内容の拙文を長年にわたってお読みいただいていること、
      そして、きた産業へのご愛顧に感謝します。
            ありがとうございます。

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------------------< 目 次 >------------------


●▲■ 「統計がないお酒」のマーケットサイズの推定

梅酒の輸出比率は40%ちかい!?
   ●ウイスキーの輸出のうち「大手以外」:量で3%、金額で10%
甲乙混和焼酎:25万石、梅酒:20万石、甘酒:14万石、泡盛:8万石
スパークリングワイン:100社が4,000KLを生産、びん内二次は60社
スパークリング清酒:150社が2.8万石を生産(輸出含む)、びん内二次は65社

text = 喜多常夫

ご紹介情報●1▲ クラフトビールリスト更新、578か所@2022年3月末
ご紹介情報●2▲ ジン・ウイスキーでも実績、流量計の充填機「SF(サケフロイント)」
ご紹介情報●3▲ ホースを床に置かない・HACCP対策に「ホース巻きMODULO」



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前々号で紹介した、お酒業界・常識テストで以下の問題・回答を書きました

Q10     梅酒の市場サイズは?
(ヒント:日本酒は約230万石、本格焼酎も約230万石)
①約10万石      ②約20万石   ③約30万石

A10     ②約20万石 (注:当社の推定)



その後、「どこから引用したの?」という照会を複数いただきました。


国税庁のお酒の区分では梅酒というカテゴリーはありませんが、
日本洋酒酒造組合の統計ページに2021年の数量が載っています。

非発泡性の梅酒   2万5,311KL (2020年比83.5%)
   発泡性の梅酒        2,418KL (2020年比97.8%)
   梅酒合計        2万7,728KL (2020年比84.5%)

すなわち、2021年は2万7,728KL=15.4万石。
前年比で84.5%なので、2020年は18.2万石
(すいません、「KL」ではピンと来ない頭の構造なので、
以下でも「石」表示を併記します。)


これは、日本洋酒酒造組合に加盟している会社の数字
で、
梅酒の主な大手サプライヤー、

チョーヤ、中野BC、白鶴
メルシャン、サントリー、オエノン、アサヒ、サッポロ

などの各社はこの組合に加盟しています。
(上段の会社は主にびん製品、下段の会社は主に紙パック製品)

ただ、日本洋酒酒造組合に加盟しているのは90社程。
加盟していない全国の多くの清酒・焼酎の蔵元なども、梅酒はつくられる。
非加盟分の量は1.5万石程度と推定・・・この数字はです。


合計すると、梅酒の国内市場サイズは、
2020年が19.7万石、2021年が16.9万石。
なので、3択の回答は「約20万石 」となります。

なお、梅の実を買って自宅で梅酒を漬ける人はとても多くて、
梅酒づくり用で売れる甲類焼酎は1万石程度と推定・・・これもですが。。。


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酒類は、税務統計で毎年正確に製造や販売数量が分かります。
しかし、税務統計で区分されていないお酒ジャンルのマーケットサイズ
公式にはわかりません。

今回のメルマガは、「業界の皆さんが気になるのでは」と思うジャンルについて、
質問形式で、そのサイズ推定してみることにします。

以下、20年記念号なのに、数字の羅列のような内容でスミマセン。



●▲■ Q1梅酒
  「リキュールの輸出量3万3,221KL
    =18.5万石(2021年暦年)のうち、梅酒の比率は?
(注:財務省輸出統計には「梅酒」の区分はなくて、「リキュール」に含まれる)

<回答>
「60%程度=11万石程度

少し前は70%程度と思っていましたが、
近年は様々なリキュールが増えて、梅酒のシェアは減少傾向

※前述した国内分16.9万石+輸出分11万石=約28万石の梅酒が、
2021年に日本国内で生産された計算となるので、
梅酒の輸出比率は11/28=約40%。
輸出ではチョーヤさんが圧倒的な存在とはいえ、
日本独特の3つのお酒=「清酒・焼酎・梅酒」のなかで、
一番国際化が進んでいるのは、意外や、梅酒です。
(清酒の輸出比率は5%程度、本格焼酎は0.5%程度)

なお、貿易統計のリキュールの輸出総額は120億円(2021年暦年)。
金額シェアも6割が梅酒とすれば、梅酒の輸出は約70億円(酒税抜き)。
業界では、梅酒の国内マーケットは約200億円(酒税込み)と言われますから、
日本の梅酒の生産規模は270億円程度になります(酒税の有無がありますが)。

注:梅酒を含むリキュールの輸出は、
2020年の2万3,875KL・86億円から、
2021年は3万3,221KL(+39%)・120億円(+39%)と急増。
一方、2021年の国内は2020年比84.5%(洋酒組合分)で大幅減。
つまり上記内容は、2021年=突出した年に該当する点に注意を要します。



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●▲■ Q2ウイスキー ①
「国産ウイスキーの課税移出数量13万2,004KL
   =73.3万石(2021年3月度)のうち、
クラフト・ウイスキーなど『大手以外』ブランドのは?」
注:『大手』サントリー・ニッカ・キリン・宝など、とします

<回答>
「1%程度」と推測

(国産ウイスキーメーカーの9割近い会社が加盟する、
日本洋酒酒造組合は、正確なデータを把握されていると思います。
サントリー・ニッカで国産の80%強でしょう)


●▲■ Q2ウイスキー ②
「日本から輸出されるウイスキー1万2,554KL
   =7.0万石(2021年暦年)のうち、
クラフト・ウイスキーなど『大手以外』ブランドのは?」

<回答>
「3%程度」と推定

海外では、もちろんサントリー・ニッカも大人気ですが
それ以外のジャパニーズ・ウイスキーの人気もとても高いので、
輸出シェアは国内シェアの3倍。
ウイスキー輸出金額では461億円(2021年暦年)ですが、
    金額シェアでは、大手以外のウイスキーは10%程度=45億円程度と推定。
「量で3%、金額で10%」ということは、
クラフト・ウイスキーなどは高価格で輸出されるということです。
クラフト・ウイスキー以外にも、高価格ブランド(軽井沢など)があります


●▲■ Q2ウイスキー ③
成田・羽田・関空などの
国内の空港免税店で売られる、日本製のウイスキーの量

<回答>
「100KL程度」

(これは全くの「勘」です。
国税「輸出免税数量」 - 財務省「輸出統計」 = 空港など国内免税販売
となる気がしますが、それらしい数字になりません。
コロナ前の2019年は、数倍はあったかも知れません)



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●▲■ Q3焼酎
甲乙混和焼酎の販売量は?」
   参考:2021年3月度の課税移出数量は、
     単式40万5,611KL=225万石、連続29万4,680KL=164万石)

<回答>
「25万石程度」

(甲乙混和が問題視された10年ほど前は専門誌によく記事が出ましたが、
近年はあまり情報を見ないので、25万石は推定。
ピーク時は40万石程度あった。
「25万石」のスケールをイメージするため、
本格焼酎のジャンル別の2020年暦年の量を引用すると:
沖縄の泡盛が約8万石、
米焼酎・約17万石、麦焼酎・約93万石、いも焼酎・約98万石)

※なお、甲乙混和はある程度の量、輸出も行われています。
貿易統計では従来,甲も乙も混和も区分せず「しょうちゅう」でしたが
2022年から「連続式蒸留焼酎」と「泡盛と単式蒸留焼酎」にわかれました。
甲乙混和は、前者に区分されるとのことです。
統計が公表されている2022年3月までの累計でみると、
「単式」は「連続」の金額で3倍弱、量で1.2倍くらい。
「連続」の中には混和の輸出分が相当あるのだと感じます)



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●▲■ Q4(酒類ではありませんが)甘酒
「日本の甘酒の市場サイズは?」

<回答>
「2021年現在14万石程度と推定」

(森永・マルコメなど「非酒類企業の甘酒」+
八海山・篠崎・大関など「酒類企業の甘酒」の合計。
金額では約140億円程度の国内マーケットと推定)



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●▲■ Q5ワイン ①
「国産ワインの課税移出数量12万6,539KL
    =70.3万石(2021年3月度)のうち、スパークリングワインは?」

<回答>
「4,000KL程度=国産ワイン総量の3%強と推定」

(2021年現在、全国で約100社のワイナリーが
ブドウのスパークリングワインを製造、あるいは委託製造。
ブドウのワイナリーの数は全国で約400なので、100社は25%に該当。
なお、輸入スパークリングは3万8,601KL(2021年全期)なので、
日本で消費されるスパークリングワインは輸入+国産=4万KL程度。
日本で飲まれるワインのうち「10本に1本以上」が、「泡モノ」)


●▲■ Q5ワイン ②
「さらに、そのうち、
シャンパーニュのような『びん内二次醗酵』のスパークリングのは?」

<回答>
「800KL程度と推定」

(2021年現在、全国で約60社のワイナリーが、
びん内二次醗酵スパークリングを製造。
ほぼすべて、「日本ワイン」の範疇)



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●▲■ Q6清酒 ①
「清酒の課税移出数量41万4,211KL
    =230万石(2021年3月度)のうち、スパークリング清酒は?」

<回答>
「2.2万石程度=ほぼ1%と推定」

(ガス添加やびん内二次醗酵などを含め、
2021年現在、全国で約150社の蔵元がスパークリング清酒を製造。
最大量のブランドは宝酒造の「澪」。
仮に清酒蔵元の数を1,300-免許数ではなく事業活動をしている数-
とすれば、150社は12%相当。
なお、前述のとおり日本で飲まれるスパークリングワインは4万KL=22万石。
スパークリング清酒2.2万石の市場規模は、その1/10)


●▲■ Q5清酒 ②
「さらに、そのうち、
びん内二次醗酵』のスパークリング・サケのは?」

<回答>
「0.7万石程度と推定」

(AWA酒協会28社を含め、全国で約65社の蔵元が製造。
デゴルジュマンして滓を除くもののほか、滓が残るものも含む)


●▲■ Q6清酒 ③
「清酒の輸出量3万2,052KL
=17.8万石(2021年暦年)のうち、スパークリング清酒は?」

<回答>
「6,000石=3%強と推定」

(スパークリング清酒は、日本より海外のほうが、人気が高い。
国内分2.2+輸出分0.6=2.8万石のスパークリング清酒
が日本国内で生産されている計算)



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「小人閑居して不善をなす」、という言葉があります。
努めてその轍を踏まぬよう、
「コロナで閑居して業界を観察」(のつもり)で書
いてみました。

諸々の情報をもとに推定してみたものですが、
間違いやご指摘があれば、ぜひご連絡ください。



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他にも、あれはどのくらいだろう、、、と思うモノは多くて、、、

●▲■ (大手5社以外の)クラフトビールの生産量?

●▲■ 大手のクラフトビール(スプリングバレー、隅田川など)の生産量?

●▲■ ノンアルコールのうち、ビール以外(梅酒、カクテルなど)の量?

●▲■ 輸入ウイスキーのうち、国産ウイスキーにブレンドされる量?

●▲■ 輸入ワインのうち、国産ワインの原料に使われる量?

●▲■ 輸入ウイスキーのうち、RTDハイボール缶に使われる量?

●▲■ 輸出されるジャパニーズ・ジンのうち、サントリーやニッカ以外のジンの量?

●▲■ 世界(日本以外)の空港免税店で売られるサントリーやニッカの量?

●▲■ 梅酒以外の「和のリキュール」(ゆず、ミカン、抹茶など)の生産量?

●▲■ 青森・長野・北海道で増えている「シードル」の生産量?

などなど。


「石の上にも3年」ではありませんが
「業界向けのメルマガを20年」も書くと、

浅学の身にも、多少は業界の知見が(「勘」も?)養われたように思います。

その結果、疑問に思うことが増えるのは、
この20年の進歩と言えるかもしれません。


                               text = 喜多常夫



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さて、情報紹介です。


●▲■ ご紹介情報 その1  アーカイブ情報 ●▲■
「クラフトビールリスト更新、578か所@2022年3月末」
https://kitasangyo.com/beer/MAP.html

1995年以降、継続的に独自に調査・作成しているリスト。
新規醸造所情報があれば、是非ご連絡ください。




●▲■ ご紹介情報 その2  ROOTSディビジョン ●▲■
焼酎・ジン・ウイスキーでも実績、マニュアル充填機「SF(サケフロイント)」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/sake_freund.pdf

「電磁流量計」方式による正確な計測。
透明度が高くて流量が計測しにくい蒸留酒向けに、「重量計」方式も追加。




●▲■ ご紹介情報 その3  ROOTSディビジョン ●▲■
ホースを床に置かない・HACCP対策に「ホース巻きMODULO」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/winery-and-brewery/MODULO.pdf

フランス製。実際に使ってみると非常に便利。
在庫があります。






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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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